定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年9月1日(木)

午前10時00分 午前11時55分


第2 出席者 中野委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「千葉県警察の巡査部長が、酒気帯び運転をした
として、8月9日に現行犯逮捕された事案に関し、同県警察は、国家
公安委員会の了承が得られれば、9月2日、監督責任として、地方警
務官の警察署長を本部長注意の措置とする予定である」旨及び「富山
県警察の巡査が、同僚宅に侵入したとして、8月9日に通常逮捕され
た事案等に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、
9月1日、監督責任として、地方警務官の警察署長を本部長注意の措
置とする予定である」旨の説明があり、原案どおり了承した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、第177回国会における議案審議状況について報告が
あった。

(2)警察庁予算監視・効率化チーム第7・8回会合について

官房長から、警察庁予算監視・効率化チーム第7・8回会合につい
て報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「北海道警察の警部補が、捜査書類等を不適切管
理する等した上、失踪を続けている事案に関し、北海道警察は、9月
1日、同警部補を懲戒免職処分とする予定である」旨、1(1)で説
明のあった千葉県警察の巡査部長による酒気帯び運転事案に関し、
「同県警察は、9月2日、同巡査部長を懲戒免職処分とする予定であ
る」旨、同じく1(1)で説明のあった富山県警察の巡査による住居
侵入事案に関し、「同県警察は、9月1日、同巡査を懲戒免職処分と
する予定である」旨、「沖縄県警察の巡査長が、保護した女性に対し
てわいせつな行為をしたとして、8月3日に通常逮捕された事案に関
し、同県警察は、9月1日、同巡査長を懲戒免職処分とする予定であ
る」旨及び「警視庁の警部が、捜査対象者に対して捜査書類の写しを
交付し、職務上知り得た秘密を漏らしたとして、7月22日に通常逮
捕された事案等に関し、警視庁は、9月2日、同警部を懲戒免職処分
とする予定である」旨の報告があった。

田尾委員より、「北海道警察の事案では、被害届を長期間放置して
いたようであるが、事件管理というのは、通常どのように行っている
のか」旨の発言があり、首席監察官から、「各都道府県警察とも、捜
査状況については簿冊管理することになっており、捜査が長期にわた
る場合には、長期未処理事件として別の簿冊を作成して、本部を含め
て管理することとなっている。北海道警察の事案については、長期間
放置されており、事件の捜査管理に問題があるが、当該職員が失踪し
ており、まだ十分調査できていないので、その点を含めて調査を進め、
必要であれば、行為責任、監督責任にかかる処分も検討していきたい。
これまでも、未処理事件の捜査書類の放置事案が発生し、現在、厳し
く捜査管理している状況にあり、本事案についてはしっかりと検証し
ていきたい」旨の説明があった。

長谷川委員より、「警察庁から各都道府県警察へ監察に赴いている
はずであるが、このような事案を見つけることはできなかったのか」
旨の発言があり、首席監察官から、「従前より、捜査管理の状況につ
いて監察を実施しており、警察本部と1つの警察署を選んで行ってい
る。また、各都道府県警察においても、全警察署に対して監察を行っ
ているところである。しかしながら、簿冊から発見できない、簿冊に
虚偽の記載をしていた、そもそも被害届を受理したことが記載されて
いないなどの理由で発見が困難であったということも考えられ、これ
らの点も含めて十分検証してまいりたい」旨の説明があった。

委員長より、「19件が時効になっており、報告を聞いてかなり深
刻な印象を受ける。単に件数の問題ではなく内容の問題もあると感じ
ている。このような事案が他にもあるとすれば大変由々しきことであ
り、警察への不信感にもつながりかねないので、全国的にしっかりと
点検してもらいたい」旨の発言があった。

(4)業務上の非違事案防止のための諸対策について

官房長及び刑事局長から、業務上の非違事案の絶無を期すとともに、
捜査管理の徹底、適正な退職管理の推進を図るため諸対策を講じるこ
とについて報告があった。

(5)平成23年上半期における主な生活経済事犯の検挙状況等について

生活安全局長から、平成23年上半期における主な生活経済事犯の
検挙状況等について報告があった。

田尾委員より、「クレジットカードのショッピング枠を悪用して現
金化する事案について、先般、警視庁が初めて摘発したようだが、こ
の種事犯は法律的にいろいろと難しい問題があるように聞く。潜在的
に出資法違反や貸金業法違反のケースが多いと思うがどうか」旨の発
言があり、生活安全局長から、「インターネットにおいて広告が出回
っており、かなりあるのではないかと思っている。この種事犯につい
ては、詐欺、貸金業法違反の無登録営業及び出資法違反の脱法行為に
当たることが考えられるが、警視庁のケースではいろいろと検討した
結果、出資法違反で摘発したものと思われる。この種事犯は、すぐに
検挙できるものばかりではないと思うが、検挙に至るまでの過程でど
のような問題点があるのか分析してまいりたい」旨の説明があった。

田尾委員より、「この種事犯の増減は、認知件数のようなものがな
いことから、消費生活センターにおける相談件数で把握することにな
るのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「委員御指摘のとおり
である。配付資料には検挙件数も掲載しているが、それはいろいろな
情勢に左右されるところがあるので相談件数で捉えている。ここでは
既遂被害の相談件数を掲載しているが、皆が相談するわけではなく、
実際の被害は更に膨らむかもしれない」旨の説明があった。

田尾委員より、「警察への相談もかなりあるのか。その統計はとっ
ているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察でも相談件
数の統計はあるが、集計方法が配付資料に掲載している相談内容と符
合する形で分類されていない」旨の説明があり、田尾委員より、「配
付資料にある相談件数は、消費生活センターが専ら保有しているデー
タに基づいているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「その
とおりであり、全国の消費生活センターで受理した相談件数をまとめ
たものである」旨の説明があった。

山本委員より、「報告を聞いて、この種事犯の予防という点にも配
慮し、いろいろな情報を集約、確認するという動きが見え、大変よい
方向だと思う。弁護士会等に寄せられる意見からすると、『被害に遭
い、警察に伝えてもなかなか動いてくれない』という印象を持ってい
る人が少なくないということであるが、警察からすると、必要なとき
に必要な情報がなかなか警察に届かないということが実態としてある
と思われる。日本証券業協会からの情報提供や消費生活センターのデ
ータベースの利用というようなことも報告にあったが、どのような情
報をどのようなタイミングでどこへ流してもらうことが警察の活動に
結びつきやすくなるのかなど、警察の実情をもう少しきめ細かく伝え
る工夫をして、関係団体等との連携もより密接になっていくと、早い
段階での摘発につながっていくと思われ、結果的に被害の拡大を防ぐ
ことになるので、一層の努力をしてもらいたい」旨の発言があり、次
長から、「この種事犯については以前から情報があり、第一線は問題
意識を持っていたと思う。ただ、新しい形態の犯罪である場合、事件
化するに当たって、さまざまな隘路があり、念入りな検討に相当な時
間を要することとなる。委員御指摘のとおり、新しい形態の犯罪につ
いては、早めに検挙する、そして二の矢、三の矢を打って、事犯をつ
ぶして撲滅していくことが必要であると思う。また、警察として、い
ろいろな情勢に機敏に反応するという癖を付けていかなければならな
いと感じている」旨の説明があった。

前田委員より、「国や地方公共団体から警察へ被害情報が提供され
る仕組みができあがったということだが、消費者庁は様々な相談を受
理しているはずであり、どのくらい警察へ情報提供がなされているの
か」旨の発言があり、生活安全局長から、「例えば、配付資料にある
利殖勧誘犯罪の相談件数は消費者庁から提供された統計である。なお、
消費者庁から警察庁への情報提供については、従来から、全国消費生
活情報ネットワークシステムによって提供される仕組みがあり、加え
て、今年の7月19日から、個別にリアルタイムで提供される枠組み
が構築され、本日までに13件の情報が提供されている」旨の説明が
あった。

前田委員より、「消費者庁で把握している相談件数は多いはずなの
で、犯罪抑止の観点から、これまで以上に警察への情報提供を要請す
る必要があるのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、
「現在、警察は、消費者庁と全国の消費生活センターから情報提供を
受けているが、例えば、口座凍結の働きかけについて、消費者庁や消
費生活センターからも、把握した情報や相談に基づいて、金融機関に
対してもっと提供してもらえるような働きかけをしていきたい。」旨
の説明があり、前田委員より、「消費者庁から直接依頼するよりも、
警察に情報提供してもらい、警察から金融機関へ情報提供する方が早
いのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「委員御指摘
の点については現在行っているが、最初に相談を受理した段階で、そ
の相談内容に基づいて金融機関へ情報提供することは消費者庁や消費
生活センターにおいても可能であり、より早く情報提供が行えると思
われる。もちろん警察としても努力しており、今年上半期では、昨年
と比べて2倍以上の情報提供を金融機関に対して行っているが、これ
に加えて、相談を受理したところにおいても更に情報提供してもらえ
るよう働きかけていきたい」旨の説明があった。

委員長より、「効果的な情報提供の在り方について整理する必要が
あるかもしれない」旨の発言があった。

(6)別府市明礬(みょうばん)における殺人等事件について(大分県警察)

刑事局長から、平成22年9月4日に発覚した別府市明礬における
殺人等事件について、捜査状況等の報告があった。

(7)平成23年上半期の薬物・銃器情勢について

刑事局長から、平成23年上半期の薬物・銃器情勢について報告が
あった。

髙木委員より、「覚醒剤事犯の検挙人員で40歳代以上の年齢層が
増加傾向にあるということだが、どのような背景があるのか」旨の発
言があり、刑事局長から、「正確な分析はできていないが、最近の特
徴的な傾向として、インターネット利用による密売等が増加しており、
自分で密売人を探さなくても覚醒剤を入手することが可能であり、会
社員等一般市民が末端乱用者として摘発されるケースが少なくない。
また、覚醒剤事犯は再犯率が非常に高い犯罪であり、検挙人員の約6
割が再犯者であることから、30歳代前後で検挙された者が40歳代
になって再度検挙されていることも考えられる。一方、20歳代以下
の若年層については減少傾向にあり、社会全体の教育や啓発活動が浸
透してきていると思う」旨の説明があった。

(8)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの特
別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等について報告があり、関連
発言として、刑事局長から、死体取扱及び身元確認状況等について、
生活安全局長から、避難所において相談受理等に従事する特別派遣の
女性警察官の活動状況、関係省庁並びに関係金融機関及びATM運営
会社との間で、コンビニエンスストア等に設置されたATMの防犯対
策の強化についての検討等について、交通局長から、被災3県におけ
る運転免許証の更新状況について、情報通信局長から、通信機能の維
持・復旧のための活動について、それぞれ報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、宇田川町ライブハウス内無差別殺人未遂事件(警視
庁)について報告があった。