定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年10月27日(木)

午前10時00分 午前11時55分


第2 出席者 長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、交通局長

長官官房審議官(刑事局担当、警備局担当)、技術審議官

首席監察官、国家公安委員会会務官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「11月4日付けを始めとする地方警務官等2名の
人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案ど
おり決定した。

(2)国家公安委員会委員長に対する行政文書開示請求に関する決定に
ついて

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会委員長に対して9月
26日、10月4日及び10月5日になされた行政文書の開示請求
に関する開示決定についてそれぞれ説明があり、原案どおり決定し
た。

(3)警察法施行令の一部を改正する政令案について

官房長から、東日本大震災に伴う岩手県、宮城県及び福島県の復
旧・復興過程における治安事象の変化及び警察事務の増大に的確に
対処するため、警察官の定員の基準の特例を定める警察法施行令の
一部を改正する政令案について説明があり、原案どおり決定した。

髙木委員より、「昨日まで福島県の視察に行ってきた。福島県警
察にも350人増員されるということであるが、他の都道府県警察
から出向する警察官の中には福島県との給与水準の差により、年収
が下がる人もいるという話を聞いた」旨の発言があり、次長から、
「御指摘のようなことが生じないように、増員される3県とも知事
部局と様々な協議を行っているところである」旨の説明があった。

髙木委員より、「福島県警では、県自体の予算が極めて厳しい状
況なので、なかなか手当てができないのではないかと危惧している
ようである」旨の発言があり、次長から、「阪神・淡路大震災の際
は、給与水準の高い兵庫県警察への出向ということで、このような
問題は生じなかった。この度の3県への出向についても処遇に問題
が生じないよう努力してまいりたい」旨の説明があった。

髙木委員より、「地域手当等給与上のルールがいろいろあるので、
それに従って生ずることなのだろうが、警視庁や神奈川県警察等か
ら出向する人は大変であろうと思う」旨の発言があり、次長から、
「なるべく負担が生じないように努力してまいりたい」旨の発言が
あった。

長谷川委員より、「他の都道府県警察から被災3県へ警察官を回
すという意味の増員なのか」旨の発言があり、官房長から、「被災
3県の定員を増やした上で、そこで新規採用すると教育に時間がか
かるため、全国から即戦力を送り込むということである」旨の説明
があり、次長から、「本来は各県で採用すべきものであるが、今回
増員する定員は、その後削減していくことになるため、3県で直ち
に新規採用することはできないと考えている」旨の説明があった。

(4)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

委員間の互選により、11月1日以降の「委員長を代理する者」
の順位について、第1順位田尾委員、第2順位髙木委員、第3順位
山本委員、第4順位前田委員、第5順位長谷川委員とすることとし
た。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、内
容を一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁長官に対する異議申立てに係る決定について(行政機関情
報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対する異議申立てに係る決定について
報告があった。

(3)平成23年第3四半期における地方警務官に係る贈与等報告書に
ついて

官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官か
ら平成23年第3四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に
対して提出され、これを国家公安委員会委員長が専決で受理し、こ
のうち、指定職以上の職員に係るものについては、その写しを国家
公務員倫理審査会へ送付することとしている」旨の報告があった。

(4)平成23年度第2四半期監察の実施状況について

首席監察官から、警察庁が都道府県警察等に対して行った平成2
3年度第2四半期における監察の実施状況について報告があった。

前田委員より、「都道府県毎の指摘状況を定例会議で説明しても
らわなければ、どの県が問題があり、どの項目が不適正なのか判断
できない。監察を行っても、目的を持って行うわけであるから、水
準が高いところはそれでよく、問題があるところを検討しなければ
ならない。今回の結果では、留置管理業務関係は全般的に監察の結
果がよくない。金品出納簿へ適正に記載されていないなど、元々の
決まりがあまり実務的ではないのではということがあるのではない
か。例えば、所持品が1万個あったとして、これを全部一つずつ書
かなければならないとしたら、それは現実的なのかということの方
を考える必要がある。適正に記載していない者に、『不適正だ』と
言ったところで、皆が守れないことをその通りにやれと言うのは異
常であり、元々の決め方が悪いのではないか。警察庁は実態をよく
見て、ただ、全部記載しろというのではなく、例えばクレジットカ
ードは1枚1枚書くが、重要度の低いものは一つ一つ記載しなくて
も良いといった改善を図るべきではないか。皆が対応できないこと
を対応できていないと言ってもだめで、対応できるようにすべきで
ある」旨の発言があり、首席監察官から、「いろいろな場面で業務
負担を軽減していくことは大切であると思うが、金品出納簿の記載
については、やはり被疑者の権利に直結するものであり、ある程度
詳細に記載する必要があると考えている」旨の説明があった。

前田委員より、「それは分かるが、目的と負担軽減は別である。
実務を担当する者にもう少し負担がないように何かサポートする仕
組みを導入するべきである。ただ『やれ』と言うのではなく、例え
ば、署長が状況を見て他の者に担当者を応援させるなどの措置を講
じないと、記載すべきものをみんな『その他』としてしまうことに
もなりかねない。監察ではそこをよく見ないと、ただ指摘するだけ
では改善されない」旨の発言があり、首席監察官から、「業務の仕
組みそのものも見直すべく、積極的に取り組んでまいりたい」旨の
説明があった。

長谷川委員より、「配付された資料は量も多く、いろいろ記載さ
れているが、よく見ると、どのように指摘し、指導したとするよう
なことについて、ほとんど同じ文章で書いている箇所が多い。例え
ば、『DNA型データベースを活用しているか』という項目の評価
が×となっていて、『本部では、検挙した被疑者のDNA型鑑定の
実施について、生活安全部が主体となった具体的教養を行っていな
い』と記載されているが、これに対して、『生活安全部が主体とな
った具体的教養を行うよう指導した』と記載されているなど、同じ
ような記載が繰り返されているので、もう少し簡素でわかりやすい
ものにした方が良いのではないか」旨の発言があり、首席監察官か
ら、「御指摘いただいたように、重複するような記載については、
まとめるなど、資料の作り方を工夫してまいりたい」旨の説明があ
り、長官から、「資料を作り始めて以来、作成方法がほとんど変わ
っていないので、もう少し検討させたい」旨の説明があった。

また、田尾委員より、「都道府県別にみると、指摘事項が多いと
ころも、ほとんどないところもあるようであり、それぞれの組織の
規範意識の状況が分かるような資料も工夫の一つだと思う」旨の発
言があった。

(5)平成23年秋の勲章等伝達式について

官房長から、11月3日付けで発令される平成23年秋の叙勲等
に関し、警察関係の受章者に対する勲章等の伝達式の予定等につい
て報告があった。

(6)平成23年度警察庁補正予算(第3号)(案)の概要について

官房長から、平成23年度警察庁補正予算(第3号)(案)の概
要について報告があった。

(7)東ティモールへのJICA短期派遣専門家の派遣について

官房長から、東ティモールへのJICA短期派遣専門家の派遣に
ついて報告があった。

(8)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「埼玉県警察の巡査が、青少年にわいせつな行
為をした事案に関し、同県警察は、10月28日、同巡査を懲戒免
職処分とする予定である」旨、「大阪府警察の巡査部長が、警察情
報を漏洩するなどした事案に関し、同府警察は、10月27日、同
巡査部長を懲戒免職処分とする予定である」旨及び「鹿児島県警察
の巡査2名が、飲食店の女性従業員に強制わいせつ行為をしたとし
て、10月8日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、同月2
8日、同巡査2名を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、
上司らを本部長注意等の措置とする予定である」旨の報告がそれぞ
れあった。

田尾委員より、「大阪の事案において、巡査部長が職員の住所録
を提供していたというのは、やはり暴力団の側に刑事の住所を把握
したいという思惑があったということなのか」旨の発言があり、首
席監察官から、「暴力団側が当該職員に提供を依頼したのは、その
ような動機があったものと思われる」旨の説明があった。

(9)携帯電話販売店に対するフィルタリング推奨等実態調査(第2回)
の結果について

生活安全局長から、携帯電話販売店に対するフィルタリング推奨
等実態調査(第2回)の結果について報告があった。

長谷川委員より、「配付資料にグラフが提示されているが、提示
の仕方が良くないと思う。グラフがたくさん提示されているが、あ
まり意味のあるものになっていない。調査の趣旨は、昨年と今年を
比較して、フィルタリングの推奨が浸透したか否かということの検
証のはずであり、そのためには検定をしなければならない。ある部
分が、本当に良くなったのかどうか、差があるのか無いのかという
ことは統計の検定をしてみないとわからないことである。配付資料
をざっと見たところでは、昨年と今年ではほとんど差はないように
思う。例えば、『自社が提供するフィルタリングサービスの説明の
程度と危険なサイトへの対応についての説明内容』や『小学校高学
年に奨励するフィルタリング方式』は、確かなことは検定してみな
いとわからないが、見たところほとんど昨年と差はないと思う。結
論として何が言えるかを言うためには、ただグラフを多く示しても
だめで、本当に意味があるということを幾つか抽出してきちんと検
定して言う必要がある。もし、ABC等という携帯電話事業者ごと
に差異があるのか否かということが重要な検証の目的の一つである
のであれば、携帯電話事業者間に本当に差異があるのか検定しなけ
ればならない。いろいろ調査を行っているが、全てについて円グラ
フにするだけではなく、相互に関連している項目もあるので、関連
するものはまとめて、比較した場合に意味のある結果として何が出
てきたのかということをまとめて示せば良いと思うので、検討して
もらいたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「統計分析の手
法等については検討してまいりたい。ただ、今回の調査結果は、携
帯電話事業者に対して更に取組を強化してもらうための一つの根拠
として使っている」旨の説明があった。

髙木委員より、「この種のものは、99パーセントまで達成して
初めて改善したと言えるのだと思う。携帯電話事業者でもいろいろ
なマニュアル等を作成して取り組んでいると思うが、資料にも記載
されている改善を要する不適切な事例が今でもこれだけあるという
状況を見ると、改善したと言えるためには、60パーセントだった
ものが、90や95パーセントくらいまでは達成されていなければ
ならない問題だと思う。それが9ポイント向上したから良しとする
受け止め方はできないのではないか」旨の発言があり、生活安全局
長から、「各携帯電話事業者に対しては、個別に不適切な事例につ
いても説明しており、また状況に応じて調査を実施することも伝え
ながら、不十分な点については更に取組を徹底してもらうよう要請
しているところであり、各事業者も更に取組を強化するとの姿勢で
あった」旨の説明があった。

(10)刑法等の一部を改正する法律案等について

長官官房審議官(刑事局担当)から、刑法等の一部を改正する法
律案等について報告があった。

髙木委員より、「最近、保護観察の体制が非常に弱くなっている
という話をよく耳にするが、そういう意味では、刑の一部執行猶予
の制度によって対象が増えて適切に対応できるのか疑問に感じる。
その点については、どのような議論がなされているのか」旨の発言
があり、長官官房審議官(刑事局担当)から、「以前の法制審議会
においても、委員御指摘のような話があり、薬物事犯に特化した保
護観察官を作るべきではないかという意見等が出たことは承知して
いるが、今回はそのような措置はとられていない」旨の説明があっ
た。

髙木委員より、「一部執行猶予となる者はどれくらいになる見込
みなのか。どのような運用になるのかは、改正法が施行されないと
わからないということなのか」旨の発言があり、長官官房審議官
(刑事局担当)から、「平成22年中に地裁での終局判決で3年以
下の自由刑に処せられた者が約5万6千人であるが、このうち刑の
一部執行猶予を受けることになる者がどのくらいの割合になるかは
運用されてみなければわからない」旨の説明があった。

髙木委員より、「保護観察に付される対象が多くなれば、それだ
け対応が難しくなると思われる」旨の発言があり、官房長から、
「警察庁からも法制審議会でその点は指摘しており、法務省からは、
保護観察制度、保護司の体制について検討する旨の回答を得ている
ところである」旨の説明があり、髙木委員より、「そもそもは刑務
所の収容人員が限界に来ていることから始まった議論であったと思
う」旨の発言があり、官房長から、「そのとおりである。ただ、再
犯の可能性もあることから、そのような者が適切に保護観察を受け
ないと別の問題が生じてくるため、警察として言うべきことはこれ
からも進言していくこととしている」旨の説明があった。

(11)天皇皇后両陛下の第31回全国豊かな海づくり大会御臨席等に伴
う警衛警備について

長官官房審議官(警備局担当)から、「天皇皇后両陛下は、10
月29日から10月31日までの間、第31回全国豊かな海づくり
大会御臨席等のため、鳥取県へ行幸啓になる予定であり、これに伴
い所要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

(12)皇太子殿下の第26回国民文化祭・京都2011御臨場等に伴う
警衛警備について

長官官房審議官(警備局担当)から、「皇太子殿下は、10月2
8日から10月30日までの間、第26回国民文化祭・京都201
1御臨場等のため、京都府へ行啓になる予定であり、これに伴い所
要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

(13)野田内閣総理大臣のフランス訪問(G20カンヌ・サミット出席
等)に伴う警護警備について

長官官房審議官(警備局担当)から、「野田内閣総理大臣は、1
1月2日から11月5日までの間、G20カンヌ・サミット出席等
のため、フランスを訪問する予定であり、これに伴い所要の警護警
備を実施する」旨の報告があった。

(14)サイバー攻撃事案への対応状況について

長官官房審議官(警備局担当)から、サイバー攻撃事案への対応
状況について報告があった。

(15)スペイン・アストゥリアス皇太子賞の受賞について

長官官房審議官(警備局担当)から、スペイン・アストゥリアス
皇太子賞の受賞について報告があった。

(16)東日本大震災に伴う警察措置について

長官官房審議官(警備局担当)から、東日本大震災に伴う警察措
置に関し、これまでの特別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等
について報告があり、関連発言として、長官官房審議官(刑事局担
当)から、身元確認状況について、生活安全局長から、防犯活動等
について、それぞれ報告があった。

(17)指掌紋自動識別システムの不具合と対策について

技術審議官から、指掌紋自動識別システムにおいて、納入業者の
プログラムの取り違えにより、遺留指紋と押なつ指紋の類似度の計
算が不正確となったこと及び今後の対策について報告があった。

髙木委員より、「指紋と掌紋のプログラムの取り違えについて、
誤認逮捕はあり得ないものの、捕り逃がしはあったかもしれないと
いうことであるが、捜査に影響するこのようなミスはあってはなら
ないことである。ミスを犯した業者に対して厳しい対応をするべき
ではないか」旨の発言があり、官房長から、「今回のケースは、非
常に単純なミスから生じたものと思われる。警察としては、数年間
このシステムを使用してきたことから、業者に対して然るべき対応
をする必要があると考えている」旨の説明があった。

長谷川委員より、「バグのようなもので、何か複雑なプログラム
の中のどこか1つを間違えていたということなのか」旨の発言があ
り、技術審議官から、「掌紋の特徴点抽出と指紋の特徴点抽出につ
いて、どちらも基本的に紋様を見るものであることから、同じよう
な考え方で処理はするが、両者は異なるものである。それなのに掌
紋のプログラムを入れるべきところを指紋のプログラムを入れてし
まったということである。それでも、明確にどの位の割合か言えな
いが、ある程度正しい結果が出ていて分からなかったのだと思う。
システムの研修を受けていた警察職員が、実際の画面と研修を受け
ている内容の計算値が異なることに気づき、そこから調べて明らか
になったというものである」旨の説明があり、次長から、「例えば、
指紋であれば中心点がはっきりしているという所で特徴点が付いた
りするが、掌紋の場合は中心点がない。掌紋を指紋のプログラムに
よって識別し、類似度の順位を決めると下位に行ってしまう状況が
起こりやすくなり、掌紋と指紋とでは似ていながら異なるものであ
るので、抽出するときの優先順位に違いが生じて、その結果、見落
としが生じた可能性は否定できない」旨の説明があり、官房長から、
「重要事件ではかなりの数のものを目視で確認するのでその中には、
本来確認すべきものが含まれていることが多いと思われる。特徴点
は12点一致しないと犯人とは認めないので、犯人を間違えたとい
うことはない」旨の説明があった。

長谷川委員より、「我々はコンピュータのプログラムが正しいと
仮定してコンピュータに全て任せて仕事をしているが、そのコンピ
ュータのプログラムが間違っているかもしれない、バグがあるかも
しれないという可能性が常にある。ただ、複雑な統計計算等のソフ
トのどこかに間違いがあることを発見するのは非常に難しい。極め
て複雑な数学や物理の計算を行うプログラムがあって、それを使っ
て学術誌に論文が掲載されたりするが、本当にそのプログラムが正
しいのかどうかは、なかなか検証できない。それが今の科学の状態
である。警察では他にも多くのプログラムを使用しているわけであ
るから、このような可能性があるということを常に頭に入れておく
必要があると思う。今回のプログラムを導入するに当たり、警察と
してもこれでいいと了承していたのではないか」旨の発言があり、
長官から、「仕様書の基準は満たしていたことから、気がつかなか
ったものと考えられる」旨の説明があった。

田尾委員より、「押なつ掌紋ファイルの方は問題はなかったのか」
旨の発言があり、技術審議官から、「押なつ掌紋ファイルについて
は正規のプログラムが入れられていた。今回の事案について、業者
の説明では、実際に業務を担当する部門とプログラムを管理する部
門との間の連携がうまく取れていなかったということである」旨の
説明があった。高木委員より、「来年末までに行う再計算、再照会
の作業量は膨大なものと思われる」旨の発言が、また、田尾委員よ
り、「都道府県警察に対して照会・確認に万全を期すとあるが、具
体的にどのようにさせるのか」旨の発言があり、技術審議官から、
「プログラムが完全に改修されるまでは、例えば、これまで10や
20のリストで見ていたものを、30や50と従来以上に増やして、
候補をリストアップして目視で確認する作業を行っていくこととし
ている」旨の説明があった。

3 その他

(1)山本委員より、「先週の定例会議で報告を受けた良好な自転車交
通秩序の実現に関し、自転車の通行方法については、歩行者保護を
中心とする報道の取り上げ方がなされており、良い印象を受けるが、
違法駐車されている自動車との関係で、それが自転車に及ぼす危険
について、もう少し強調しても良いのではないかと思われるので、
工夫してもらいたい」旨の発言があり、交通局長から、「委員御指
摘のとおりである。見出しだけみると歩行者保護のため自転車をす
べて車道に下ろすように見えるが、そういうわけではない。もとも
と法律上も、自転車通行可となっている歩道のほか、高齢者や児童
の場合、危険を感じた場合等は歩道を走行することができる。これ
らを前提にして、今般、自転車の走行空間をもう少し確保しようと
いうことであり、それは車道に確保しても良いし、広い歩道であれ
ば歩道を区切って歩道の中に走行空間を確保しても良いと思う。ま
た、車道に下りた自転車を保護するということについては、自動車
に乗っている方に対しては、車道を自転車が走ることがあるという
ことを前提に運転するよう配慮してもらいたいということ、自転車
に乗る方については、ヘルメットを被るなど自分の安全を守っても
らいたいということを広報してまいりたい。他方、自転車が車道に
下りたら危険かどうかについては議論があり、歩道には立木等があ
るため、自動車が左折する場合にこれらが視界の妨げになって自転
車の存在を認識できず、巻き込んでしまうケースがあるが、自転車
が車道に下りていれば、走行していることがドライバーから見える
ため、かえって安全であるという意見もある。いずれにしても車道
を走行するに当たっては、自転車に乗る方、車のドライバーのそれ
ぞれに、気をつけていただけるような広報に努めてまいりたいと思
う」旨の説明があり、長官から、「通達でも、車道を通行させる場
合の自転車の安全性には配慮しており、歩道通行可の規制の見直し
も自転車が車道を通行すると危険な場合等を除くなど、実態をよく
見ながら判断することとしている。委員御指摘のとおり、多くの違
法駐車があるのに自転車に車道を走らせて良いのかという問題があ
り、車道を走らせるのであれば、駐車違反をきちんと取り締まるこ
とを併せて行わないと危険であるため、この点は十分配慮してまい
りたい」旨の説明があった。

(2)山本委員より、「暴排条例が全国で施行されて、各企業が暴力団
との関係を絶とうという動きになる。小さい企業の場合であれば、
その場で対応し警察の保護対策も行き届くと思われるが、大きな企
業の場合、各地に支店や営業所があり、警察の方でそこまできちん
と目配りしてもらえるのかという心配の声も聞かれる。早い段階で、
保護対策がきちんと行われているとわかるような対応をしていかな
いと、実際、暴力団と関係を絶とうとすると仕返しの方を心配しな
くてはならないということになって、暴排条例を制定しても実効性
が上がらなくなるおそれがある。この点しっかり対応してもらいた
い」旨の発言があり、長官官房審議官(刑事局担当)から、「保護
対策の関係については、例えば、先週の定例会議で報告した検挙事
件において、検挙した警視庁と被疑者と関係があると思われる暴力
団が所在する福岡県警察とが連絡を取り合い、企業の本支店にも連
絡を取って保護対策を進めている。一般的に、暴力団の支配状況等
を見て関係都道府県警察が連絡を取り合いながら、企業とも必要な
場合の措置を具体的な中身について相談しながら行っている状況に
ある」旨の説明があった。