定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年12月1日(木)

午前10時00分 午前11時45分


第2 出席者 山岡委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官、国家公安委員会会務官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会委員長に対する行政文書開示請求に関する決定に
ついて

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会委員長に対して11
月4日及び11月9日になされた行政文書の開示請求に関する開示
決定についてそれぞれ説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「警視庁の一般職員(係長職)が、警視庁職員
互助組合からの助成金を預かり保管中に横領したとして、10月4
日に通常逮捕された事案等に関し、警視庁は、国家公安委員会の了
承が得られれば、12月2日、監督責任として、地方警務官の警察
署長を警視総監訓戒の措置とする予定である」旨の説明があり、原
案どおり了承した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、内
容を一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)国を被告とする文書不開示処分取消請求訴訟の控訴審判決につい

官房長から、11月30日に言い渡された国を被告とする文書不
開示処分取消請求訴訟の控訴審判決について報告があった。

(3)「地方向け補助金等の一括交付金化」に係る議論の状況について

官房長から、警察関係の補助金が地方向け補助金等の一括交付金
化の検討対象となっていることに関して、政府内における直近の議
論の状況と当庁の今後の対応について報告があった。

委員長より、「警察にとって一括交付金化はなじまないことは以
前から言っている。先日、担当大臣から協力して欲しい旨要請され
たところであり、一括交付金を制度化しようという趣旨は良く分か
っており、異論を唱えているわけではないが、警察は、構造上、組
織上、全く違うものであるにもかかわらず、『何でも良いから出せ』
というのはおかしいと申し上げた。しかし、足並みを揃えてもらい
たいということであり、昨年、警察からは39億円出している経緯
もあるため、当該分野で他に出せるところはないか検討はさせるが、
それを前例とするわけではないことをよく確認してもらいたい旨申
し上げたところである」旨の発言があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(3)で説明のあった警視庁の一般職員によ
る業務上横領事案に関し、「警視庁は、12月2日、同職員を懲戒
免職処分とするとともに、監督責任として、上司4名を警視総監訓
戒等の措置とする予定である」旨の報告があった。

山本委員より、「平成20年4月から平成23年2月まで、この
ようなことが行われていて発覚しないというのは、仕事の進め方に
少し問題があるのではないかという印象を受ける。そこをきちんと
手当しなければならないと思う」旨の発言があり、首席監察官から、
「委員御指摘のとおりである。現在、警視庁に再発防止策をとらせ
ているが、例えば、給与の過誤払いの戻入金についても、半年過ぎ
ても戻入されてこないということで初めて督促を入れるようなシス
テムの管理であったり、ほとんどの県では、現金を会計責任者が取
り扱わない形で、職員それぞれから振込で戻させるようにしている
ところ、警視庁では、全て現金取扱いで行っていたりということが
あるため、このような不正をさせる余地を作ったということが考え
られる。したがって、システムの見直しや、それ以外の補助金や助
成金についても、極力、一定額以上の現金が管理者の手元にないよ
うにシステムを改めるよう、警視庁において取り組んでいるところ
である」旨の説明があった。

(5)遺留掌紋の部位推定の誤りにより被疑者が確認できなかった事案
について

刑事局長から、遺留掌紋の部位推定の誤りにより被疑者が確認で
きなかった事案について報告があった。

長谷川委員より、「確認は、最終的には鑑識の職員が目視でやる
のか。その際、2人以上の者が独立して行うのか」旨の発言があり、
刑事局長から、「現在、そのように明確に示していない。今はモニ
ター上でトレースを行い、遺留掌紋と照合させる形をとっていて、
本当にそのトレースで誤りがないかどうかということを別の職員が
見てチェックするというところまで、徹底した指導は行っていなか
った」旨の説明があった。

長谷川委員より、「どの部位であるか、どのようにトレースする
かということに対しては、それを行う者のこれまでの知識、経験と
主観が入ることから、それが誤った方向となると間違った結果にな
ってしまう。したがって、全く別の者が、2人独立して行ってみて
も同じ結論になるということが良い」旨の発言があり、長官から、
「部位の推定のダブルチェックやトレースを複数行うように今回指
示することとしている」旨の説明があった。

長谷川委員より、「少し時間と手間がかかるが、最初から別々に
行うようにする方が正確さが増す。また、事件についてあまり知ら
ない者に行わせる方が良い」旨の発言があり、官房長から、「基本
的にDNA型鑑定については、委員御指摘のとおり、鑑定を2回実
施する形をとっている」旨の説明があった。

田尾委員より、「遺留掌紋は、残っているものが小さければ小さ
いほど、どの部位に属するのかわかりにくい。部位がわからない場
合の遺留掌紋については、どのような取扱いをしているのか」旨の
発言があり、刑事局長から、「この事案の遺留掌紋も小さいもので
あったことから、警視庁は、2つの部位を推定して行った。8部位
全てを照会するとなると、膨大な数の情報が出てきてしまい、逆に
絞り込みができなくなってしまうことから、不鮮明な遺留掌紋につ
いては登録しないで保管している場合も多い。犯人が捕まった後、
押なつ掌紋と目視確認し、『これは一致した』という確認の意味で
の証拠として使えるケースはかなりあると思う」旨の説明があった。

前田委員より、「システムのソフトの組み方で、どの部位か不明
である場合は全て照合するというソフトを組んでおけば良いのでは
ないか。目視で行うのは大変であるが、今の技術であれば簡単にで
きるのではないか」旨の発言があり、次長から、「どこの部位と推
定するかによってトレースの仕方が違い、手作業が増大するという
ネックがある。いずれにしても、システムの改善は考えていかなけ
ればならないと思う」旨、刑事局長から、「トレースを1回行った
際、他の部位であれば、トレースを回転させていくことで、自動的
にトレースの向きを変化させて、もう少し絞り込みをかけたり、他
の部位にも当てることが可能ではないかという議論をしており、コ
ストの問題はあるが、そのようなことも至急考えたいと思う」旨、
長官から、「掌紋の照会技術については発展途上であり、まだまだ
高度化を図る余地があると思うので、御指摘を踏まえて検討してま
いりたい」旨の説明があった。

(6)福井市東安居(あご)団地内における女子中学生殺人事件の再審開
始決定について

刑事局長から、福井市東安居(あご)団地内における女子中学生殺
人事件の再審開始決定について報告があった。

(7)北九州市における建設会社役員に対する拳銃使用殺人事件の発生
について(福岡県警察)

刑事局長から、北九州市における建設会社役員に対する拳銃使用
殺人事件の発生について報告があった。

委員長より、「被害者は、暴力団との付き合いを絶って殺害され
たのか」旨の発言があり、刑事局長から、「詳細は現在捜査中であ
る」旨の説明があった。

(8)第16回国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部会合の開催結果
について

警備局長から、第16回国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部
会合の開催結果について報告があった。

(9)「治安の回顧と展望」(平成23年版)について

警備局長から、「治安の回顧と展望」(平成23年版)について
報告があった。

委員長より、「サイバーテロに関して、中国について触れている。
アメリカなどは中国を名指しで批判しているが、実態として状況は
どうなっているのか」旨の発言があり、警備局長から、「サイバー
攻撃で中国所在のIPアドレスと判明したものについては、中国当
局に対して当該IPアドレスを送付し、捜査共助依頼を行っている
が、引き続き解明に努めていく」旨の説明があった。

(10)災害に係る危機管理体制の再点検及び再構築について

警備局長から、災害に係る危機管理体制の再点検及び再構築につ
いて報告があった。

前田委員より、「今回通達が発出されたが、これを受けた都道府
県警察は、いつまでにどうすればいいということなのか」旨の発言
があり、警備局長から、「警察庁として取り組むものについては、
来春くらいを目処に考えており、都道府県警察に対しては、四半期
ごとに、進捗を報告させるよう考えているが、予算措置もあること
から、1年くらいはかかるのではないかと思う。現時点では、いつ
までにという時期は示していない」旨の説明があった。

前田委員より、「いつまでにどのようにするのか示さなければ、
通達の出し放しになってしまうのではないか。危機管理であるから、
『緊急度の高いものはすぐにやれ』などと示さずに、『自分たちで
やれ』などと言っていたら、各県とも忙しいのでできないのではな
いか」旨の発言があり、警備局長から、「フォローアップをしっか
りやることにしており、四半期ごとに報告を求めることとしている
が、御指摘のとおり、集中的にやるべきものについては、都道府県
警察に指導して、早速実行させることとしたい」旨の説明があった。

前田委員より、「通達にその旨示すべきではないか。受け取った
都道府県警察は困るのではないか。人や予算が必要なもの、いろい
ろな問題があるので、もう少し実効性があるようにした方が良いと
思う」旨の発言があり、警備局長から、「県によって取り組むべき
対象が異なるところがかなりあるが、御指摘の点に留意し、都道府
県警察に対して個別に指導してまいりたい」旨の説明があった。

(11)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの
特別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等について報告があり、
関連発言として、刑事局長から、身元確認状況について、生活安全
局長から、防犯活動等について、それぞれ報告があった。

田尾委員より、「宮城、岩手の被災地や福島の警戒区域における
最近の治安状況はどのようになっているのか」旨の発言があり、生
活安全局長から、「発災直後、特に福島県の警戒区域等において、
空き巣等が多発したのではないかと思われる。警戒区域については、
二巡目の立入りを行った中で、『また被害にあった』という申告も
ある。先週の時点で、9月以降に発生したと思われる侵入盗等の被
害申告は16件ほど報告があり、今も皆無になっているわけではな
い。その他の地域においては、仮設住宅周辺を含めて、犯罪が多発
しているとか、大きな問題が発生しているといった報告は受けてい
ない」旨の説明があった。

田尾委員より、「福島では、特別派遣部隊がかなりパトロールも
行っているということであるが、依然としてパトロールは継続して
いかなければならないのか」旨の発言があり、生活安全局長から、
「警戒区域では未だに被害申告があるということを踏まえると、引
き続きパトロールは行っていく必要がある。また、検挙を目的とし
た機動捜査隊の運用や、部隊を組んで定期的に警戒区域の中に入っ
て活動を行うことも継続していこうと考えている」旨、警備局長か
ら、「警戒区域内は、パトロールは行っているが、全ての地域に警
察官が24時間いるわけではない。今後は立入りの際、貴重品は持
ち出してもらった方がいいと思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「街頭防犯カメラはかなり増やしているのか」旨
の発言があり、生活安全局長から、「福島県の警戒区域においては、
既に60台の従来より高性能のカメラを新たに配置しており、被害
申告があれば、これを基に検挙することもあり得るし、防犯的な効
果もあると考えている」旨、長官から、「これから警戒区域を一部
解除しようという話があるが、その場合の警戒をこれからどのよう
にしていくのかということが一つの問題であると思う。基本的には、
家財道具は、もし住まないのであれば持ち出していただくことを考
えていただく必要があると思う」旨の発言があった。

(12)第12回アジア大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議等の開催に
ついて

情報通信局長から、アジア大洋州地域の治安機関が、情報技術の
解析に係る知識、経験等を共有し、各国地域の情報技術解析能力の
向上を図るため、12月5日から12月7日まで開催される第12
回アジア大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議等の概要について報
告があった。