定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年1月12日(木)

午前10時00分 午前11時30分


第2 出席者 山岡委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、交通局長、警備局長、

情報通信局長

長官官房審議官(刑事局担当)、首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「1月20日付け地方警務官5名の人事案件について
発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)三代目福博会及び松葉会の指定の確認について

長官官房審議官(刑事局担当)から、三代目福博会及び松葉会の指
定の確認について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、内容を
一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「愛知県警察の巡査が、女性に強制わいせつ行為
等をしたとして、平成23年12月27日に通常逮捕された事案に関
し、同県警察は、1月16日、同巡査を懲戒免職処分とする予定であ
る」旨の報告があった。

(2)平成23年の刑法犯認知・検挙状況と今後の犯罪抑止対策について
【暫定値】

生活安全局長から、平成23年の刑法犯認知・検挙状況と今後の犯
罪抑止対策について報告があった。

(3)平成23年中における自殺者数(速報値)について

生活安全局長から、平成23年中における自殺者数(速報値)の総
数、都道府県別数について報告があった。

委員長より、「愛媛県における自殺者数が若干増えているようであ
るが、何か理由はあるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、
「速報値で集計したものであり、その点は不明である」旨、長官から、
「この統計は、自殺した方の住所がそこにあるということではなく発
生地で集計しており、今後、内閣府が住所地別の統計を出すので、そ
れを見れば住所地別の状況がわかると思う」旨の説明があった。

(4)警察庁指定特別手配被疑者等に関する追跡捜査の強化等について

長官官房審議官(刑事局担当)から、警察庁指定特別手配被疑者等
に関する追跡捜査の強化等について報告があった。

前田委員より、「今回発出された通達では、「重要指名手配被疑者
等の出頭時等における的確な対応」とあるが、あまりにも沢山いろい
ろなことが書かれており、的確な対応はできなくなるのではないか。
途中、『重要指名手配被疑者が出頭することはないという先入観を持
つな』といいながら、『それぞれの警察で具体的な対応要領を作れ』、
『単独で判断するな』などと指示しているが、現場の人間からすれば、
これではどうやって行動したらいいのかわからないのではないか。も
っと機能するように、例えば、『自首してきた者は全て施設内に入れ
て事情をゆっくり聞きなさい』などと、現場の人間が行動できるよう
に指示しなければ、指示したことにならないのではないか。丸の内署
で女性警察官が上司に聞いたというのは適切な対応だが、それはマニ
ュアルを見てやったというわけではない。行動の原点を考えて通達を
出す必要がある」旨の発言があり、警備局長から、「委員御指摘のと
おりであるが、通達には必要な事項はのせておく必要がある。現場で
もし指示するとすれば、自首してきた人間がいれば、個別に隔離して、
『直ちにきちんと調べろ』と指示すべきであるが、現場で通達をどう
噛み砕いて指示していくかというのが、まさに警察幹部がやるべきこ
とである。現場では重点を絞って、特に機動隊員に対しては機動隊長
が、委員が仰ったような指示をすることになる。通達は基本的には考
え方を示すものである」旨の説明があった。

前田委員より、「元々の通達が、こういう再発防止のときは分かり
やすく、具体的に、『これはこうすればいい』というように示さない
と、『現場で的確に対応しろ』などと言うのでは、指示しないことと
同じである。『的確に対応しろ』と言っているが、それは当たり前の
ことを言っているだけであり、現場では、『一体どうすればいいのか』
ということにならないか。今回は普通の場合でなく、特別な場合であ
り、もし同じことがもう一度起こってしまったら、警察の信頼は失墜
してしまう。一般論ではなく、『上司にきちんと相談しろ』などと明
確に示すべきである」旨の発言があり、長官から、「基本的には、委
員御指摘のとおり、上司の判断をきちんと仰いで対応するようになっ
ているが、また別途しっかり徹底することとしたい」旨の説明があっ
た。

(5)オウム真理教関係被疑者の逮捕について(警視庁)

長官官房審議官(刑事局担当)から、1月10日に逮捕したオウム
真理教関係被疑者にかかる犯人蔵匿事件について報告があった。

(6)台湾人留学生の殺人事件の発生と被疑者の自殺について

長官官房審議官(刑事局担当)から、台湾人留学生の殺人事件の発
生と被疑者の自殺について報告があった。

前田委員より、「警察としては極めて短期間で見つけて身柄を確保
したのに最後がまずかったのではないか。再発防止の通達を見ると、
自殺防止が主眼になっている。いろんなケースがあるので一概には言
えないものの、逮捕状が出ている被疑者で、否認しているわけではな
く自認しているのに逮捕せず、報告では、『外国人だから特に慎重に
やるべきだと判断した』ということだが、余りにも対応がまずいので
はないか。外国人であれ、日本人であれ、指名手配している被疑者を
捕まえるに当たっては、『本人だ』と言ったら、とりあえず逮捕すれ
ば良いのではないかと素朴に思う。人権とか誤認とかあまり強く言い
過ぎると、現場は絶対慎重になるに決まっている。自殺防止と言うが、
きちんと逮捕しなかったことが原因ではなかったのか。一番重要な原
因は何だったのかということを調べないと、『全部やれ』と言っても、
現場は多分行動できないのではないかと思う。通達を出すときにはそ
の点に留意すべきである」旨の発言があり、長官から、「仰るとおり
である。現場の状況を聞くと、誤認逮捕というのを恐れており、慎重
にも慎重を期するような対応がなされているようである」旨の説明が
あった。

前田委員より、「誤認逮捕がないようにということはわかるが、自
殺した被疑者は、『私です』と言っており、誤認とは違うのではない
か」旨の発言があり、長官から、「例えば、交通事故で替え玉で出頭
してきた者を逮捕した後、犯人ではないことがわかった場合にも、誤
認逮捕という報道等がなされるので、そういうことを現場は恐れてい
るようだが、私はそれを恐れることはないと思う。本件でも、本人が
自認していることから、逮捕するという方法は十分にあり得たと思う。
逮捕していれば身体捜検も確実に行える」旨、次長から、「抵抗する
とか逃走しようとする被疑者であれば、本人であると確認できている
わけであるから、それを防ぐために逮捕していたと思うが、逆に素直
に同行に応じたということで逮捕せず、結果として自殺されてしまっ
た。外国人登録証で確認し、自認もしていたのであるから、逮捕して
当然であったと思う」旨の説明があった。

山本委員より、「逮捕というのは、単なる身柄の確保ということだ
けではなくて、警察官や第三者に対する加害行為を防止するという意
味もあると思う。そう考えれば、逮捕状が出ているということは、逆
に言えば、逮捕しなければならないということである。確かに自認し
ていて素直に同行に応じるというのは、身柄の確保という点では大丈
夫だということになるのだろうが、加害行為等についても何ら心配い
らないということにはならないわけである。そういう点では、逮捕の
意味がちょっと曖昧になってしまっている気もするので、ただ単に、
『注意しろ』と言うだけではなく、具体的に何をどうしたらいいのか
ということについて、もう一度認識を改めてもらう必要があると感じ
る」旨の発言があった。

委員長より、「結果論的には、皆さんの指摘のとおりだが、素直に
従ってきたということであり、現場の対応としては何となく分かる感
じもする。ただ、こういう結果となってしまうと指摘のとおりという
ことになる」旨の発言があり、官房長から、「これは、現場で本人性
の確認を慎重に考えたということだと思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「任意同行と所持品検査の徹底というのは、どうし
ても相容れないところがある。通達にいう『所持品検査の徹底』と
『動静監視の徹底』の二つだけではなかなか解決しにくいところがあ
り、恐らく『的確な逮捕状の執行』というのがむしろメインになるの
ではないかと思う。本件の場合、現場でどの程度所持品検査ができて
いたのかという観点からみて、そこに落ち度があったかと言っても、
なかなか難しいところがあると思う」旨の発言があり、長官から、
「被疑者が素直に応じて、捜査員が服の上から一応の確認をしたと思
うが、それでは発見できず、安心してしまったのではないかと思う」
旨の説明があり、田尾委員より、「法律的にそれ以上やれるかと言う
と問題があり、所持品検査が不十分だということで、今度は『どんど
んやれ』ということになると、それはそれでまた問題を生じると思う」
旨の発言があり、長官から、「任意同行であり、それに被疑者が応じ
ないと言って拒否していれば、先ほど説明にあったように、逮捕して
いたと思う。本件では、被疑者が非常に素直に応じたことから、捜査
員が安心してしまったのだと思う」旨の説明があった。

長谷川委員より、「そこまで巧妙に隠していた凶器を取り出そうと
すれば、随分身体を動かしたのではないか。よほど捜査員は安心して
しまっていたのか」旨の発言があり、長官官房審議官(刑事局担当)
から、「連れてきている間は話もしており、穏やかな雰囲気だったと
報告を受けている。車から降りる寸前、警察署が目の前という場所で
発生したものである」旨の説明があった。

(7)第52回交通安全国民運動中央大会の開催について

交通局長から、「1月16日及び17日、第52回交通安全国民運
動中央大会が開催され、第1日目は分科集会、第2日目の日比谷公会
堂における本会議では、秋篠宮同妃両殿下の御臨席を仰ぎ、交通栄誉
章等の表彰、交通安全宣言が行われる」旨の報告があった。

(8)島根県隠岐の島沖漂流船事案について

警備局長から、島根県隠岐の島沖漂流船事案について報告があった。

(9)外為法違反事件被疑者の逮捕について

警備局長から、外為法違反事件被疑者の逮捕について報告があった。

(10)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの特
別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等について報告があり、関連
発言として、長官官房審議官(刑事局担当)から、身元確認状況につ
いて、生活安全局長から、防犯活動等について、それぞれ報告があっ
た。

3 その他

(1)生活安全局長及び長官官房審議官(刑事局担当)から、広島県にお
ける中国人受刑者逃走事件に係る緊急配備等の状況について報告があ
った。

髙木委員より、「刑務所の不手際だが、逃走した受刑者は、過去に
凶悪な事件を引き起こしている危険な者であり、早期に検挙する必要
がある」旨の発言があり、長官官房審議官(刑事局担当)から、「鋭
意捜査中である」旨、次長から、「刑務所周辺に潜伏している可能性
はもちろん、広域に逃走している可能性も念頭に捜査を行っている」
旨の説明があった。

(2)生活安全局長から、佐賀県における保護活動中の死亡事案に係る付
審判事件訴訟控訴審の判決について報告があった。