定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年1月26日(木)

午前10時00分 午後0時05分


第2 出席者 松原委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「2月6日付けを始めとする地方警務官等15名の
人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案ど
おり決定した。

(2)民法等の一部を改正する法律の施行に伴う内閣府令・国家公安委
員会規則の整備等に係る意見の募集について

生活安全局長から、民法等の一部を改正する法律の施行に伴う内
閣府令・国家公安委員会規則の整備等に係る意見の募集について説
明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁長官に対する異議申立てに係る決定について(行政機関情
報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関
係の異議申立てに係る決定について報告があった。

(3)平成23年度第3四半期監察の実施状況について

首席監察官から、警察庁が都道府県警察等に対して行った平成2
3年度第3四半期における監察の実施状況について、平成23年1
0月27日開催の国家公安委員会における委員の指摘を踏まえて見
直しを行った資料に基づき、報告があった。

前田委員より、「資料は改善され、非常にスッキリしたものとな
ったと思う。ただ、監察を行ったところは個別には指導し、改善し
ており、それはそれで良いが、国家公安委員会の場で全国の状況を
報告する際には、監察項目によりバラつきがあるか、県ごとの差が
あるか、そもそも項目自体がおかしいのかなどということが分かる
ようにしてもらいたい。例えば、証拠物件の適正な取扱いに関して、
教養については全国的に比較的よくやっていると思うが、証拠物件
の保管管理については、半分くらいの県が×となっている。これは、
証拠物件の取扱いがこれだけ大切だと言っている割には、結構杜撰
に管理されているということであり、このような実態を警察庁とし
てどのように見ているのか。指導が悪いのか、それとも手続きが煩
雑過ぎてどうにもならないのか。実際に現場の人間からすると、
『そんな手続きをやっている隙がない。人が足りない』ということ
であれば手当てをしなければならない。その辺りを分析して行政に
活かすということが重要なのではないか。また、警察庁が直接監察
を行った県については比較的結果が良く、他方、管区警察局が行っ
た監察については結果が悪いが、これは何か理由があるのか。さら
に、資料について言うと、○の記載は不要ではないか。全県○が付
いている項目は国家公安委員会で議論する必要もない。かえって特
定の県だけ○が付いていたら、他の県は全部×だったのかというこ
とにもなる。水準をチェックしているのであるから、不合格のとこ
ろはどこであるかを示せば良く、合格のところと不合格のところを
一緒に書いてしまうと、合格か不合格かがわからなくなってしまう
ので、工夫した方が良いのではないか」旨の発言があり、首席監察
官から、「一つ目の御指摘については、このテーマで主管をしてい
る部局ともこの結果を踏まえて意見交換を行っている。指摘を受け
た県が多かった項目の一つに、取調べなどで証拠品を持ち出す際に、
その都度出納簿に書くべきところ、これが行われていないというも
のがある。これについて出納簿の記載要領等を確認したが、煩雑あ
るいは特別重い業務負担を課すようなものではなく、簡単に書ける
のに忘れていたというものがほとんどであり、手続きの方に問題は
ないと思われた。また、指摘を受けた県が多かった項目のもう一つ
に、短期保管から長期保管への移管について、刑事課内のキャビネ
ットから保管専用の倉庫へ移すべきところ、これが移されていなか
ったというものがある。これについては、警察署等によって十分な
スペースのある倉庫等が確保できず、移しようがないといった施設
上の問題点がないかどうか担当部局に確認してもらったが、今回指
摘したところにおいてはそういうものはなく、移せるのに移してい
なかったことが判明した。ただ、今回監察を実施しなかった警察署
において、十分な施設の確保がそもそもできていないのに無理を強
いるようなものになっていないかどうかといった観点で、見直すべ
きところがあるか、担当部局とも引き続き検討し、そのための調査
も行うことになっている。二つ目の警察庁と管区警察局の監察結果
の差についての御指摘については、全国警察に対して統一テーマで
監察を警察庁として行う場合、警察庁本庁で全てはできないことか
ら、管区警察局と手分けして行っているが、その際、必ず同じレベ
ルの監察が行われるように、全ての管区警察局の首席監察官以下を
警察庁に集めて、水準を合わせる検討会というものをやってから監
察に臨んでいる。したがって、結果は実態を表しているものと思わ
れるが、更に分析することとしたい。三つ目の○は不要との御指摘
については、警察における監察というのは、業務の推進状況、組織
管理の状況の実態把握を行って、警察行政の能率あるいは公正の確
保の一層の推進に資する目的で行っているものであり、悪いものは
悪い、良いものは良い、そこそこやっているが更にというように指
摘して、各県警察にも取り組ませるし、警察庁においても、全体が
どこまでよく達成されているのか、そこそこなのか、ダメなのかと
いうことを把握して、都道府県警察への指導に活かしている。その
状況を管理していただく立場の国家公安委員会にも報告申し上げて
いるところであり、警察改革の柱の一つが、厳正な監察の実施であ
って、この『厳正な監察』の中には、良いものは良い、悪いものは
悪いというところまで含むので、そこも含めて御報告させていただ
く方が良いのではないかと思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「私としては、この○の存在意義はあると思って
おり、従来どおりで良いのではないかと思う。これまでの実施状況
の報告書は少し記載が多過ぎたが、今回工夫されたものについては
非常に意味があると思っている。○があって全体のレベルがよくわ
かるし、×の意味もよくわかってくるので、私はこれで良いと思う」
旨の発言があった。

前田委員より、「全体として、この水準が妥当かどうかという判
断が書かれていない。判断が書かれていれば、○はあってもなくて
も良い。○があるために、○と×とが混在し、どこに問題があるの
か判断しづらい。監察を行った結果、警察庁が『大丈夫です。任せ
て下さい』と言うのであれば、国家公安委員は誰も何も言わないと
思うが、『ここは何回言っても直らない。仕組みも悪くないけど直
らない。どうしたらいいのか』というようなものがあったとすれば、
やはり重点的に何かしないといけない。本当に水準はこれで良いの
かというのは、警察改革の原点みたいなものなので、そこは分かる
ようにしてもらいたいという趣旨である。表現にこだわっている訳
ではない」旨の発言があり、首席監察官から、「監察項目のそれぞ
れに着眼点があるが、例えば、資料の中に、『証拠物件の還付等及
び保管負担の軽減に取り組んでいるか。』とあるが、これについて
は、更に細かい具体的な着眼点があり、その具体の着眼点、一つ一
つの水準を全部記していくと、資料が膨大となることとなる」旨の
発言があり、前田委員より、「警察組織全体が一定のレベルになっ
ているかということを監察は判断するのだと思う。個別について指
導はしてもらっているので問題はないが、組織全体で見た場合、
『やはり、ここはまずいのではないのか』というものが見えなけれ
ば指導できないのではないか。年度計画で統一の指導テーマを作っ
て、各県で弱いところをチェックするようになっているが、そのテ
ーマで本当に良いのか。もっと重要なものがあるのではないかとい
うことは、基のデータがないと指摘できない。せっかく資料を作っ
たのに、使えるものでないと全体の行政に活かせない。非違事案と
業務状況の両方を監察は見ているが、業務の在り方でもう少し何と
かならないかというのは、質を上げるという意味では重要な議論で
あり、手続きが悪いのか、インフラが悪いのかなどということを常
に分析し、全体を見ることが大切であると思う」旨の発言があり、
首席監察官から、「今回で言えば、証拠物件の保管管理の状況に関
して、業務上の指摘が大変多かったが、インフラや手続き、仕事の
仕組みやさせ方に問題があるのかどうか、その辺りの分析がこれま
で希薄であったと思うので、その辺りのところを報告できるように、
御指摘を今後に活かしてまいりたい」旨の報告があった。

(4)平成23年中の懲戒処分者数について

首席監察官から、「平成23年中の全国警察職員の懲戒処分者数
は合計367人で、前年と比べ、18人(4.7%)減少し、その
内訳は、懲戒免職45人、停職83人、減給123人、戒告116
人である」旨の報告があった。

長谷川委員より、「統計の取り方について、以前も話したことだ
が、説明にあった『階級ごとに、職員の構成比では何パーセント、
懲戒処分者に占める割合では何パーセント』というのではなく、基
となる数字として、警視以上が何人、警部が何人いて、そのうち何
人が非違事案を起こしたのかという数字が必ずあるはずであるから、
警視以上千人当たり何人、警部千人当たり何人が非違事案を起こし
たのかという数字を示してもらいたい。そうすることで、階級間の
比較ができるし、過去10年間で、各階級の者が、母数としては変
動があっても、千人当たりでみたときは、どのくらい非違事案が起
こっているのか、本当に増減しているのかどうかがわかる。また、
年齢別についても、若手がどんどん入ってきて増えているとか、大
量退職前の50歳代が多いとか、いろいろ母数の違いがあるはずな
ので、同様の分析をすれば、本当のリスクグループがどこにあるか
がわかるし、都道府県別についても、都道府県警察ごとに人数が違
うので、人数が多いところが非違事案の数が多いというのは当たり
前であり、職員千人当たりでみれば、どこか非違事案が特に多いと
ころがあるのか、それとも皆同じ程度なのかが一目瞭然でわかると
思う」旨の発言があり、首席監察官から、「委員御指摘の視点で申
し上げれば、警視以上については、千人当たり1.749人、警部
は、千人当たり2.093人、全警察職員の平均は、千人当たり1.
212人の懲戒処分者数となっている。全警察職員でみると、千人
当たり1.2人くらいであるが、警部は2人くらい、警視以上では
2人弱なので、やはりこれは多いということであり、この方がわか
りやすいという御指摘のとおりであるので、今後、このような形で
分析資料を示すこととしたい」旨の説明があった。

田尾委員より、「内容をみると、私行上の非違事案が増加してお
り、しかも、飲酒、異性関係が多いというのが特徴だと思うが、こ
れまで様々な報告を受けても、警察官として全く話にならないよう
な事案がたくさんあった。非常に由々しき問題であり、指導、教養
を徹底する必要があると思う。具体的にどうやればどういう効果が
あるかというのは、非常に難しい問題であるが、もう少し、どのよ
うな効果的な方法があるのかを全体として、真剣に考えてもらいた
いと思う」旨の発言があり、長官から、「最近は、出来心や魔が差
したといったような事案ではないものが結構あり、警察に入る前か
らやっていたものなど、採用の問題についても考えなければならな
いが、なかなか採用でチェックすることは難しく、警察学校に長い
期間入校しているので、その間によく指導してチェックすることが
必要なのだと思う。それも、聞いてみると、そのような兆候はなか
ったなど、なかなか難しいようだが、平成24年度第1四半期に実
施する非違事案防止対策についての監察の中で、学校での指導、身
上把握等も検証するなど、そういうことも含めて考えていきたいと
思っている」旨の説明があった。

(5)平成24年度監察実施計画について

首席監察官から、警察改革の精神を踏まえた非違事案防止対策の
推進状況、地域警察における業務管理状況等を監察の実施項目とす
る平成24年度における警察庁の監察実施計画について報告があっ
た。

(6)平成23年における通信傍受に関する国会への報告について

刑事局長から、「通信傍受法第29条の規定に基づき、平成23
年中の通信傍受の実施状況について国会に報告する」旨の報告があ
った。

(7)平成23年中の捜査本部設置事件の捜査状況について

刑事局長から、平成23年中の捜査本部設置事件の捜査状況につ
いて報告があった。

(8)堺市内における主婦強盗殺人等事件の検挙について(大阪府警察)

刑事局長から、堺市内における主婦強盗殺人等事件の検挙につい
て報告があった。

(9)元石巻市職員らによる震災に伴う被災家屋等解体処理業務をめぐ
る贈収賄事件(加重)の検挙について(宮城県警察)

刑事局長から、元石巻市職員らによる震災に伴う被災家屋等解体
処理業務をめぐる贈収賄事件(加重)の検挙について報告があった。

(10)平成23年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況
について

交通局長から、平成23年中の交通事故の状況について、交通事
故死者数は4,611人であり、11年連続で減少したこと、交通
事故発生件数及び負傷者数も7年連続で減少したことなどについて
報告があった。

(11)日教組「第61次教育研究全国集会」をめぐる動向と警察措置に
ついて

警備局長から、1月28日から30日までの間、富山県富山市で
開催される日教組「第61次教育研究全国集会」をめぐる右翼等の
動向と警察措置について報告があった。

(12)オウム真理教に対する観察処分の期間更新決定(第4回目)につ
いて

警備局長から、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関す
る法律第5条第4項の規定に基づき、1月23日、公安審査委員会
がオウム真理教に対する観察処分の期間更新(第4回目)を決定し
た」旨の報告があった。

(13)原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境
省設置法等の一部を改正する法律案等について

警備局長から、「東日本大震災における福島第一原子力発電所の
事故による災害の結果を踏まえ、規制と利用の分離及び原子力の安
全の確保に関する規制の一元化の観点から、環境省に原子力規制庁
を設置するほか関係する組織を再編するとともに、原子力の安全の
確保に関する規制その他の制度について所要の見直しを行うため、
内閣官房において、原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改
革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案等について検
討中である」旨の報告があった。

(14)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの
特別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等について報告があり、
関連発言として、刑事局長から、身元確認状況について、生活安全
局長から、防犯活動等について、それぞれ報告があった。