定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年2月9日(木)

午前10時00分 午前11時40分


第2 出席者 長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)年齢条項の見直しについて

官房長から、年齢条項の見直しについて報告があった。

(3)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関情報公開
法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関
係の開示請求に対する決定について報告があった。

(4)平成23年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規
則の施行状況について

官房長から、平成23年における被疑者取調べ適正化のための監
督に関する規則の施行状況について報告があった。

前田委員より、「監督対象行為の類型のうち、便宜供与以外のも
のに関しては、誰が見てもそれは止めた方がいいということは分か
るが、便宜供与に関しては、その結果として不当な取調べになった
というものと、過失に近い、たまたま間違えてしまったというもの
とは分けた方が良いのではないか。報告で例示を聞いたが、相当悪
質なものもあれば、のど飴を与えたというようなものもある。その
ようなこともやらない方が良いことは分かるが、件数だけ見ると、
便宜供与が多く、ミスリードするのではないかと思う。のど飴はど
うかなど、あまり細かく言っても意味がないのかもしれないが、本
質的に問題があるものと一緒に混ざってしまっている気がする」旨
の発言があり、官房長から、「確かに、便宜供与の内容にはかなり
差があるが、いずれにしても認められないものである。本質的に問
題があるものと、もうすぐ逮捕する被疑者に勘違いして糧食を出し
てしまったとか、のど飴やかゆみ止めの薬を与えたというような、
組織としてきちんと対処すべき話ではあるが、取調べに対して実質
的に何か問題が生じるような悪意のないものとがあり、もちろん、
焦点は前者の方に当てて、いろいろと対策を講じているが、『何を
やってはいけない』という線引きが必要である。最初はいろいろと
混乱があったが、『こういうことはやってはいけない。勝手に何か
を与えるということはいけない』という意識がかなり定着してきて
いる」旨の説明があった。

前田委員より、「のど飴を与えたという事案では、被疑者が苦情
を申し出るなどして発覚したのか」旨の発言があり、官房長から、
「被疑者が留置場に戻った後、留置担当者との会話の中で発覚した
ものである。また、かゆみ止めの薬を与えたという事案は、取調べ
監督官が視認した際、被疑者が薬を塗っていたことから発覚したも
のである。確かに、このようなことで取調べの任意性や信用性を損
ねるということにはならないが、実質の問題が生じる手前で、やは
り意識をきちんとしようというのが、この制度の趣旨である」旨の
説明があった。

前田委員より、「気持ちは分かるが、暴力団員に携帯電話を使わ
せたといったようなものはまさに便宜供与に当たり、やってはいけ
ないことであるが、そのようなものとは違うのではないか」旨の発
言があり、次長から、「この制度は、実質の問題が生じる前に何と
か防ごうという趣旨であり、監督対象行為に該当したからといって
直ちに懲戒処分を受ける理由とはしておらず、懲戒処分は別に判断
している。また、のど飴を与えるといったことについては、被留置
者の処遇の問題、捜留分離といういわゆる代用監獄の問題に関わっ
てくることから、きちんと対応しなければならないと考えている」
旨の説明があった。

田尾委員より、「便宜供与以外の監督対象行為が非常に少なくな
ったことは結構なことであり、制度の趣旨が浸透してきているのだ
ろうと思う。しかし、その辺りを対外的にきちんと説明しなければ、
結局前と同じではないかと思われてしまうのではないか」旨の発言
があり、官房長から、「確かに、数字を見ると、便宜供与以外の監
督対象行為は9件で、しかも、身体接触、有形力の行使、人の尊厳
を著しく害するような言動の各1件と殊更に不安を覚えさせるよう
な言動のうち1件は同一事案であり、この事案以外で身体接触等に
わたった事案はなかったということである」旨の説明があった。

(5)市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)第6回政府報
告について

官房長から、市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)
第6回政府報告について報告があった。

(6)今冬期の大雪等への対応について

生活安全局長から、今冬期の大雪等への対応について報告があっ
た。

(7)クレジットカードショッピング枠現金化事犯の現状と対策につい

生活安全局長から、クレジットカードショッピング枠現金化事犯
の現状と対策について報告があった。

田尾委員より、「この種の被害については、警察への相談や被害
の届出というケースはないのか」旨の発言があり、生活安全局長か
ら、「警察における統計はなく、はっきりしたことは申し上げられ
ない。消費生活センターへの相談件数で把握している」旨の説明が
あった。

田尾委員より、「それだけ業者の方も違法性の認識があまりなく、
利用する方も被害の意識がないということなのか」旨の発言があり、
生活安全局長から、「事犯によっては、業者と利用者が一緒にカー
ド会社を騙しているような面もあるので、必ずしも被害者という認
識を持っているとは言えないかもしれない」旨の説明があった。

田尾委員より、「昨年は1件の検挙ということであるが、有罪に
なったのか。これだけ重大視している現状にあるのだから、もう少
し検挙があってもおかしくないと思うがどうなのか」旨の発言があ
り、生活安全局長から、「警視庁が検挙した事犯については、一審
で有罪となっている。売買を仮装しているということで、立件への
ハードルが結構高かったが、有罪判決も出ており、この仮装売買を
どういう点で立証していくのかということを整理して、事件化でき
るように都道府県警察を指導していこうと考えている」旨の説明が
あった。

田尾委員より、「高金利という点については、基本的にはキャッ
シュバックによる返金率、還元率で明らかではないか。また、よく
出資法の高金利違反で検挙しているが、貸金業法違反の無登録で検
挙しないのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「この事犯の
業者は貸金業の登録はなく販売業であったが、出資法違反で検挙し
たものである」旨の説明があった。

(8)大分県日出町における女児死体遺棄事件の検挙について(大分県
警察)

刑事局長から、平成23年9月13日に発生した大分県日出町に
おける女児死体遺棄事件の検挙状況等について報告があった。

(9)第17回アジア・太平洋薬物取締会議について

刑事局長から、「2月14日から16日までの間、第17回アジ
ア・太平洋薬物取締会議(ADEC17)が東京都内において開催
され、28カ国2地域2国際機関が参加する予定である」旨の報告
があった。

(10)外為法違反事件被疑者の逮捕について

警備局長から、外為法違反事件被疑者の逮捕について報告があっ
た。

3 その他

(1)刑事局長から、福岡県久留米市における建設会社に対する爆発物
投てき等事件の発生について報告があった。

(2)髙木委員より、「大阪府では、性犯罪の前歴者に対し、居住地の
届出を義務付け、支援し、再犯防止策を講じるという条例を議会に
提出するということである。宮城県でも、中身は違うが、性犯罪前
歴者に関する条例の話が以前あった。性犯罪が非常に多いという地
域の事情があるのかもしれないが、特定の地域が条例を作ってやる
話なのかと思うがどうか」旨の発言があり、生活安全局長から、
「大阪府の条例案については、今春にも府議会で審議されるようで
ある。内容は、出所後5年間は居住地を届け出る義務を課すこと、
また、委員御指摘のように、様々な更生のため警察官の相談を受け
ることなどとなっている。この居住地の届出義務を課すことについ
ては、報道にもあるように、二重処罰やプライバシーの問題等の観
点から、いろいろ議論があるのではないかと思う。したがって、国
レベルでどうするのかということについては、まだいろいろと検討
する必要があると思う。また、大阪府が出所者情報をどこから入手
するのかということについても、これから法務省と協議をしていく
ことになると思われるが、そのような技術的な課題もあり、推移を
見守っているというのが実情である」旨の説明があった。

髙木委員より、「本質的に、いろいろ議論になる問題があると思
うが、特定の地域だけがそのようなルールでやるという類の話では
ないのではないかと感じている。難しいテーマであるが、もし大阪
府や宮城県で条例ができても、対象者がそこから転出したらどうな
るのかという問題もある」旨の発言があり、生活安全局長から、
「確かにそのような問題があると思う。警察として、現在全国レベ
ルで実施しているのは、法務省から出所者情報の提供を受けたもの
について、各都道府県で所在確認を行うというものであり、また、
昨春から強化しているものとして、警察官が一定の状況の下で、実
際に面接し、確認するというものである。全国的には、もう少しこ
の運用を継続して、その実効性を見極めていくことになると思う」
旨の説明があった。