定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年3月15日(木)

午前10時00分 午後0時10分


第2 出席者 松原委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、警備局長、

情報通信局長

長官官房審議官(交通局担当)、首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「3月22日付けを始めとする地方警務官等204名
の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案ど
おり決定した。

(2)警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の一
部を改正する政令案について

官房長から、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法
律施行令の一部を改正する政令案について説明があり、原案どおり決
定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「神奈川県警察の巡査が、自転車盗事件の検挙を
捏造したとして1月26日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察
は、国家公安委員会の了承が得られれば、3月16日、監督責任とし
て、地方警務官の前警察署長を本部長注意の措置とする予定である」
旨の説明があり、原案どおり了承した。
 長官から、「本来、微罪処分の場合には、その処理をした警察官の
上司が、本人等に対して訓戒を施すということになっているが、この
警察署では一切していなかった。それで、上司の管理が甘いというこ
とで、この巡査は絶対にばれないと思っていたようである。上司の管
理が規定どおり行われていなかったことから、これからきちんと行わ
せるように指導してまいりたい」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「この事案に限らないが、上司が上司として機能
していない、おかしいと感じたときに、部下はどのようなルートで意
見を言うことができるのか」旨の発言があり、次長から、「例えば、
大阪府警では監察110番があり、結構機能していると聞いている」
旨、長官から、「上司が悪いことをしている場合であれば、言いづら
いところはあるかもしれないが、方法は幾つもある。だから大抵は発
覚し、隠しようがない話である」旨、首席監察官から、「この事案に
ついては、別の事案の内部調査の過程で発覚したものであるが、現在
ほとんどの県警において、監察110番、監察ホットライン等があり、
職場内で、上司に限らず、仕事上でも私生活上でも不審なことがあれ
ば通報できる仕組みがある」旨、官房長から、「先週の国家公安委員
会において報告した事案のようなものもあり、まだまだ指導が足りな
い。もう少し職場づくりといったものが必要だと思う」旨の説明があ
った。
 田尾委員より、「この事案が発生した警察署の部署だけの問題では
なく、他の所属でも同様のことがあるのではないか、規律の緩みが生
じているのではないかということが懸念される」旨の発言があり、長
官から、「管理をきちんとしていないと警察官一人で処理してしまえ
ば分からないということになる。微罪処分なので本人はもう呼ばれる
ことはないし、知らぬ間に検挙歴が付いてしまう。だからこそ誰かが
きちんと見ていかないとこのような事案が起こり得る。この事案が発
生した警察署はこれから厳しく調べることにしており、監察を通じて
県警全体をもう一度調べてみたいと思う」旨の説明があった。
 刑事局長から、「大阪府警察の証拠物件に係る不適正事案では、関
係職員が、総合監察を控え、証拠品がなくなっていることが分かると
問題になると思って引き起こしたようである。本末転倒も甚だしいこ
とであり、そのようなときは正直に話をしなければならない」旨の説
明があり、前田委員より、「正直に上に言えないからそういうことに
なる。上司や監察は怖いものである」旨の発言があり、次長から、「
そういう意識もあると思うが、不適正な事案を誤魔化すために大きな
労力を払っていることが多い。職員の行動パターンも変わってきてお
り、こんなことで評価されたくないということがあるようだが、やは
り、早く正直に言わなければ、どれだけ大変なことになるかをよく実
感させることが大事だと思う」旨の説明があった。
 田尾委員より、「最近、職務に関連する不祥事が続いているので、
こうした事案を発生させないようしっかりと対策を講じなければいけ
ないと思う」旨の発言があり、長官から、「証拠をめぐる非違事案は、
大阪地検の証拠改ざん事件と結びついて、そのような構図で物事を見
られてしまう。このような事案は本当に言語道断であるし、注意しな
ければならないと思っている」旨の説明があった。

(4)探偵業の業務の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する内閣
府令案について

生活安全局長から、「探偵業の業務の適正化に関する法律施行規則
の一部を改正し、探偵業者が営業開始時に交付された届出証明書の番
号を変更の届出の際に交付される届出証明書上においても明示するこ
ととする」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(5)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二十条第五項
に規定する指定試験機関を指定する規則の一部を改正する規則案につ
いて

生活安全局長から、「遊技機の試験事務を行う指定試験機関につい
ては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二十条第
五項に規定する指定試験機関を指定する規則により、財団法人保安電
子通信技術協会が指定されているところ、今般、同協会が名称を変更
することとなったため、同規則を改正し、指定試験機関の名称及び遊
技機の試験事務を行う事務所の名称を変更することとする」旨の説明
があり、原案どおり決定した。

(6)平成23年中の不正アクセス行為の発生状況等の公表について

生活安全局長から、平成23年中の不正アクセス行為の発生状況等
の公表について説明があり、原案どおり決定した。

(7)「犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律の
施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案」等について

刑事局長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を
改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政
令案」等について説明があり、原案どおり決定した。

(8)平成24年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画(案)につ
いて

長官官房審議官(交通局担当)から、平成24年度国家公安委員会
・警察庁交通安全業務計画(案)について説明があり、原案どおり決
定した。
 長谷川委員より、「交通安全業務計画の中で、自転車の利用に関す
ることが柱として盛り込まれ、自転車の安全についていろいろと書か
れているが、『ライトは絶対つけるように』ということをもっと強調
してもらいたい」旨の発言があり、長官官房審議官(交通局担当)か
ら、「道路交通法では、夜間の無灯火は当然違反であり、この交通安
全業務計画においても、自転車の安全利用に向けて、自転車利用者の
無灯火等の行為については、指導警告活動を一層強力に推進する旨記
載している」旨の説明があった。
 髙木委員より、「実態として、無灯火で走っている自転車は非常に
多い。暗いところから無灯火でいきなり飛び出してくると避けられず
危険である」旨の発言があり、長官官房審議官(交通局担当)から、
「そのような実態が多いことを踏まえ、指導警告活動を徹底してまい
りたい」旨の説明があった。
 前田委員より、「電池式であれば漕がなくても点灯されるので良い
が、本当に灯火を点けていない」旨、また、長谷川委員より、「自転
車の販売店にも対応を働きかけてはどうか」旨の発言があり、長官官
房審議官(交通局担当)から、「業界の対応状況を確認したい」旨の
説明があった。

(9)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成24年度会計監査実施計画について

官房長から、平成24年度会計監査実施計画について、重点項目、
対象部署、実施時期等の報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(3)で説明のあった神奈川県警察の巡査によ
る虚偽有印公文書作成事案等に関し、「神奈川県警察は、3月16日、
同巡査等を懲戒免職処分等とする予定である」旨の報告があった。

(4)平成23年中のサイバー犯罪の検挙状況等について

生活安全局長から、平成23年中のサイバー犯罪の検挙状況等につ
いて報告があった。

(5)証拠物件に係る不適正事案について(大阪府警察)

刑事局長から、大阪府警察における証拠物件に係る不適正事案につ
いて報告があった。
 前田委員より、「証拠物件は、基本的には各警察署でずっと保管し
ているということだが、死刑に該当する罪の時効の廃止等により、極
めて長期間にわたって保管するケースがこれから増えてくると思われ
る。証拠物件は集中管理として、すぐに使用しないようなものは長期
保管にして、別のところで保管しチェックするということが合理的で
ある。警察署で長期間保管させて、その間ずっと署長等にチェックさ
せるというやり方はしない方が良いと思う。これは予算と関係してく
るので、警察庁がある程度大きな方針を示すべきである。例えば、小
規模県で対応できているということであれば良いが、大都市を抱える
都道府県では、全てを警察署で保管させるというのは、別の形でやら
ないと、現場に負担がかかりすぎてしまうし、それを監察がチェック
していくというのは、非効率であると思う。民間でも、今では契約書
類等はほとんど集中管理しており、そうすることで、改ざん等はほと
んどできなくなるし、出し入れ等を専門的に管理させれば、極めて合
理的である。これは警察庁で少し考えた方が良いのではないか」旨の
発言があり、次長から、「覚醒剤事犯で、被疑者不詳で覚醒剤だけ証
拠品としてあるというケースが結構あり、その管理が問題になり、大
阪府警では、覚醒剤の証拠物件を集中管理するようになった経緯があ
る。したがって、やろうと思えばできるとは思うが、証拠品の数が膨
大であり、確かに予算と物理的な面での問題があると思う」旨、官房
長から、「長大物等は警察署では保管できないので、民間の倉庫を借
り上げて保管するなど、現場でもできることはしている」旨の説明が
あった。
 前田委員より、「そのような個別に対応が必要なものについてはそ
れで良いと思うが、保管期間が長期になり、それは恐らく減ることは
ないので、何か考えないと、『自分たちでやれ』と言ってもなかなか
現場では解決できないのではないか」旨の発言があり、官房長から、
「時効制度が廃止、延長になる際、調査を行ったところ、確かに警察
署の証拠品保管庫は溢れている状況であった。しかし、刑事訴訟法が
改正され、司法警察員が還付公告して証拠品の廃棄処分ができるよう
になったことから、この制度は活用している。また、送致後も証拠品
が警察に残っているケースが随分あることから、検察庁に移管すべく、
各県警で地検と協議を進めている状況にある。それでも、長期間、た
だ保管するだけのものがあることから、その管理の方法については、
委員御指摘のとおり、別途考える必要があると思う」旨、次長から、
「事件の公判を考えても、やはり客観証拠の重要性が高くなることか
ら、証拠品そのものだけではなく、その入手方法や保管方法について
も、これから論点になる割合が高くなると思われるため、御指摘のと
おりだと思う」旨の説明があった。

(6)平成23年の暴力団情勢について

刑事局長から、平成23年の暴力団情勢について報告があった。

(7)自動車安全運転センター評議員の任命の認可について

長官官房審議官(交通局担当)から、「自動車安全運転センター法
の規定に基づき、同センターから国家公安委員会に対して、評議員任
命について申請がなされ、適正であると認められたことから、長官決
裁の上、評議員の任命について認可を行った」旨の報告があった。

3 その他

(1)委員長より、「3月13日付けで、長谷川委員が国家公安委員会委
員として再任された。長谷川委員には、引き続き委員としての指導を
宜しくお願いしたい」旨の発言があり、長谷川委員より挨拶があった。

(2)刑事局長から、控訴中の強盗殺人事件の被告人の死亡について報告
があった。