定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年8月9日(木)

午前10時00分 午後0時40分


第2 出席者 松原委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「8月27日付けを始めとする地方警務官等47名の
人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どお
り決定した。

(2)平成25年度警察庁予算概算要求重点項目(案)について

官房長から、「平成25年度警察庁予算概算要求重点項目(案)に
沿って概算要求を行うこととしたい」旨の説明があり、原案どおり決
定した。

(3)原子力規制委員会設置法の施行に伴う核原料物質、核燃料物質及び
原子炉の規制に関する法律施行令等の改正について

生活安全局長から、原子力規制委員会設置法の施行に伴う核原料物
質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令等の改正につい
て説明があり、原案どおり決定した。

(4)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する
法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令案(仮称)等に対す
る意見の募集について

刑事局長から、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の
一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令案(
仮称)等に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定し
た。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関情報公開法
関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係
の開示請求に対する決定について報告があった。

(3)平成24年第2四半期における地方警務官に係る贈与等報告書につ
いて

官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官から
平成24年第2四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に対し
て提出され、これを国家公安委員会委員長が専決で受理し、このうち、
指定職以上の職員に係るものについては、その写しを国家公務員倫理
審査会へ送付することとしている」旨の報告があった。

(4)平成24年上半期の懲戒処分者数について

官房長から、「平成24年上半期の全国警察職員の懲戒処分者数は、
前年同期と比べ、39人(23.5%)増加の合計205人で、その
内訳は、懲戒免職31人、停職52人、減給77人、戒告45人であ
る」旨の報告があった。

(5)「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策について

官房長から、発出予定の長官通達「「警察改革の精神」の徹底のた
めに実現すべき施策」に基づく各施策の着実な実施について報告があ
った。
 髙木委員より、「早急に実施すべき施策とそうではないものという
仕分けになっているが、更に検討すべきものについては、今後どのよ
うに進めていくのか。特に、都道府県の公安委員会からも意見を聴取
するということであるが、秋には各管区の公安委員会連絡会議や全国
公安委員会連絡会議もあるので、そのような機会に、いろいろと議論
することも考えられるので、その辺りを踏まえ、どのように考えてい
るのか」旨の発言があり、官房長から、「更に検討を要するものにつ
いては、警察庁として制度設計にもう少し時間をかけるべきだと考え
ている部分であるが、これまで行った都道府県の公安委員会からの意
見聴取においても、結構御意見をいただいている部分が中心となって
いる。例えば、「施策6厳正な調査・検証の徹底」の「監察部門の独
立性向上」については、当初、警察庁の職員を都道府県警察の監察部
門に配置したり、派遣したりするという考えを示していたが、これに
対しては否定的な意見が出されている。また、「施策7非違事案の組
織的隠蔽等を根絶するための取組」の「規律違反行為を自主的に申告
した者に対する懲戒処分等の減免」について、「どのようなものを、
どのような基準で減免するのかが分からなければ意見が出せない」と
いったような、議論の精度を上げる必要があるという趣旨の意見が出
されている。現在これらを整理しているところであり、それを踏まえ
て内容をまた検討した上で、国家公安委員会はもちろんのこと、都道
府県公安委員会にも再度御意見を伺うことを考えているところである。
中には検討にかなり時間を要すると思われるものもあるが、概ね半年
ぐらいを目処にきちんと取りまとめたいと考えている。したがって、
秋の各管区の公安委員会連絡会議や全国公安委員会連絡会議において、
これらについて取り上げて御議論いただければ大変有難いと思うし、
我々としても是非補佐させていただきたいと思う」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「「施策3女性被害者等に対する対応強化」とい
うことで、「女性被害者等の心情をより理解した対策の推進」では、
女性警察職員が24時間体制で対応できるとあり、「女性被害者等の
心情をより理解するための教養の推進」では、女性被害者等の心情に
根ざした対応とあるが、もう少し具体的に何を考えているのか示した
方がいいと思う。どのようなことを考えているのか」旨の発言があり、
官房長から、「我々が女性支援の活動をしている方々などからヒアリ
ングした限りでは、女性被害者等が望むときに女性の警察職員が対応
することが必要であるという御指摘であり、また、一定の判断ができ
る女性幹部がいることにより、女性の感性が組織に活かされることに
なるので、そのような方向で体制を整えようというのが、「女性被害
者等の心情をより理解した対策の推進」である。しかし、実際に業務
に従事するのは男性職員がかなり多いことから、女性が持つ恐怖感や
女性の感性といったものを男性職員に対して、もう少しきちんと教え
てもらいたいという御指摘もあり、そのような観点から教養の内容を
充実させようというのが、「女性被害者等の心情をより理解するため
の教養の推進」になる」旨の説明があり、長谷川委員より、「男性は
何が分かっていないのかということを、男性が分からないといけない
と思うので、その何が、どこがまずいからそのような対応になるのか
ということを、自ら知ることが必要であると思う」旨の発言があった。

(6)監察の取扱い事案について

監察官から、「警視庁の巡査部長が、電車内において女性から定期
券を抜き取り窃盗したとして、5月17日に現行犯逮捕された事案等
に関し、警視庁は、8月17日、同巡査を懲戒免職処分とするととも
に、監督責任として、上司を警視総監注意の措置とする予定である」
旨、「滋賀県警察の警部補が、知人女性宅に侵入した上、傷害を負わ
せるなどして、5月19日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察
は、8月14日、同警部補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任
として、上司らを本部長訓戒等の措置とする予定である」旨及び「高
知県警察の巡査が、機動隊寮において同僚の現金を窃取したとして、
6月14日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、8月10日、
同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任等として、上司らを
減給処分等とする予定である」旨の報告があった。

(7)治安に関する特別世論調査の実施結果について

生活安全局長から、治安に関する特別世論調査の実施結果について
報告があった。

(8)平成24年上半期の少年非行情勢について

生活安全局長から、平成24年上半期の少年非行情勢について報告
があり、また、2月16日開催の定例会議における前田委員の指摘を
踏まえた刑法犯少年の家族状況に関する分析等について報告があった。

(9)愛知県碧南市における強盗殺人事件被疑者の逮捕について(愛知県
警察)

刑事局長から、平成10年6月に発生した愛知県碧南市における強
盗殺人事件に関し、本年8月3日、被疑者3名を逮捕したことなどに
ついて報告があった。

(10)平成24年上半期の特殊詐欺認知・検挙状況等について

刑事局長から、平成24年上半期の特殊詐欺認知・検挙状況等につ
いて報告があった。
 山本委員より、「いろいろ対策を講じていることはよく理解してお
り、対応が進んでいるという印象は受けるが、それでも依然として、
被害件数も多いし、被害額でも莫大な被害が発生している。一般社会
の中で、被害に遭った人たち、特に高齢の被害者たちの被害の実情と
いうものが見過ごされているのではないか。残された人生を普通に生
きていくために必要な資金が、違法な行為によって取り上げられてな
くなり、その後、長い間悲惨な生活を余儀なくされている被害者がた
くさんいるのだろうと思う。ところが、そのような被害者に対するケ
アというのは、現状では全くなく、放置されてしまっている一方で、
同じような被害が依然として発生しているということは、やはり大き
な問題であると思う。現在いろいろと対応を考えてもらっているとい
う報告を受け、それはそれでいいことだとは思うが、犯行グループの
核心にいる首謀者というか、そのような者らを本当に捕まえるための
手段、『法律上許されないからダメだ。でもこれが許されれば捕まえ
られる』というようなものがないのかどうかということを、もう一度
よく考えてもらいたい。例えば、通信傍受といったことも含めて、『
このような手段が認められれば、振り込め詐欺のような被害は防ぐこ
とができる』ということを考えるべきだと思う。押収した名簿を被害
抑止のために利用するといった努力をしてもらっていることはよく分
かるが、被害の現状は社会が無視できるようなレベルをはるかに超え
ていると思うので、是非、今後の対応を検討してもらいたい」旨の発
言があり、刑事局長から、「特殊詐欺については、通信傍受や刑事減
免といった、まさに新たな捜査手法をとるべき代表的な対象犯罪であ
る。とにかく犯行グループを根こそぎ捕まえるためには、通信傍受の
適用の拡大が必要であるということは、現在、法制審議会の場におい
ても訴えているところであり、更に検討を進めてまいりたいと思う。
また、この種犯罪の捜査は、全国で捜査第二課が主管となって行って
いるが、現在は、特殊詐欺の捜査にかなり捜査力をシフトしている。
規模が大きな事件であればあるほど、背後に暴力団や違法行為を繰り
返す集団がいることが多いので、これらを如何にして捕まえていくか、
首領格を如何に捕まえていくかということが御指摘のとおり重要であ
り、現行法の中でももちろん検挙に努めていくが、やはり通信傍受な
どは非常に威力があるので、新たな捜査手法の確立についても同時並
行で努めてまいりたい」旨の説明があり、山本委員より、「一般の人
が通信傍受に対して警戒感をもつことは分かるが、そのために結果と
して大きな被害を生む犯罪が放置されるとすれば、問題ではないだろ
うか。そのような実情についての警告やメッセージというものは、や
はり警察が出していかないと一般の人にはなかなか分かってもらえな
いと思うので、是非尽力いただきたい」旨、委員長より、「消費者庁
も関係してくるが、先般、消費者政策会議が開催され、その会議にお
いても、会長である野田内閣総理大臣から、高齢者に対する詐欺事案
の撲滅は極めて重要である旨の指示が出されており、そのようなこと
も併せて、様々な連携ということがあると思うので、考えてまいりた
い」旨の発言があった。

(11)「終戦記念日」をめぐる動向と警察措置について

警備局長から、「終戦記念日」をめぐる動向と警察措置について報
告があった。

(12)全教「教育研究全国集会2012」をめぐる動向と警察措置につい

警備局長から、全教「教育研究全国集会2012」をめぐる動向と
警察措置について報告があった。

(13)平成24年上半期における技術支援実施状況について

情報通信局長から、平成24年上半期の都道府県(方面)情報技術
解析課における技術支援実施状況、及び解析台数が大幅に増加してい
るスマートフォンに対する解析上の課題と対応等について報告があっ
た。

3 その他

(1)生活安全局長から、滋賀県における自殺した中学2年男子に対する
いじめ事案への対応について報告があった。
 山本委員より、「警察がどれだけ関与していくのかについてである
が、これまではどちらかと言うと、非常に抑制的であったと思うし、
それはそれで意味がありよかったのだろうと思うが、いじめという言
葉で言われているものの中にはいろいろな態様があるはずである。そ
の中には、鉛筆や消しゴムをぶつけたといったものから、殴ったり傷
つけたりというようなものもある。やはり、有形力の行使はそれだけ
で暴行という犯罪になり、傷害を負わせれば傷害罪になるわけであっ
て、学校の中だから暴行も傷害も罪に問われなくていいということに
は、本来ならないと思う。だから、有形力の行使、更に傷害というこ
とがあれば、『基本的には、警察としては捜査しますよ』というよう
な情報を出すことが必要ではないかと思う。もちろん、そのようなこ
とが1回あったからすぐ捜査に入るかどうかということについては、
いろいろな事情があると思うが、蹴飛ばしたり、殴ったり、突き飛ば
すといったことまで行われているにもかかわらず放置されている実態
があるような印象を受ける。そもそも、子どもの時代に、あるいは学
校生活の中で、具体的なルールをきちんと分からせておくということ
が、教育の本当に基本的なところであるはずなので、他人に対して有
形力を行使するなどということは犯罪行為で、絶対にやってはいけな
いということを分からせることは、まさに学校の中で必要とされてい
ることである。そのようなことがあった場合には、警察としては放置
しないというアナウンスを出し、子どもたち自身にも、有形力を行使
すれば警察の取扱いになるということをよく分からせておくというこ
とが必要なのではないかと思う。そのようなことが甘くなっている結
果、金を持って来させるといった強要等に当たるような犯罪まで現実
には起こっている旨の報道を目にするので、警察には、そのような犯
罪行為に当たるようなものがあったときには、基本的には捜査に入る
というようなことを伝えてもいいのではないかと感じる。是非その辺
りも検討して対応していただきたいと思う」旨の発言があり、生活安
全局長から、「警察としてもこれまで腰を引いていた訳ではないが、
滋賀のような事案もあり、御指摘のとおりだと思う。基本的には、学
校における対応を尊重しつつも、例えば、暴行を伴ういじめのような
犯罪行為等が明らかになれば、警察として放置するわけにはいかない
ので、必要な措置をとることになる。もちろん保護者や被害者の意向
も尊重しなければならないが、学校と連携を取りながら、積極的に措
置を講じていくという考えであり、これについては、改めて全国警察
に指導したいと思っている。また、これまでも対外的に説明してきて
いるところであるが、さらに努力していきたい。今回の事案では、自
殺という事態が発生してしまった訳であるが、本来であれば、そのよ
うな事態が発生する前に、学校と警察との間できちんと情報が共有で
きて、必要な措置がきちんととれていなければならなかった。そのよ
うな観点から、警察のスタンスとしては、必要な場合には積極的に対
応するということ、そして何と言っても、学校と連携を強化して情報
を入手するという努力をしていくことが必要であると思うので、引き
続き取り組んでまいりたい」旨の説明があり、委員長より、「先般、
平野文部科学大臣から連携についてお話があり、現在、文部科学省と
警察庁の担当部局間で検討しているところである。このような議論が
国家公安委員会であったということも平野大臣に伝え、どのような形
で、『それは犯罪ですよ』というメッセージを出していくのか考えて
いきたいと思う」旨の発言があった。

(2)刑事局長から、オウム真理教関係警察庁指定特別手配被疑者菊地直
子及び高橋克也に係る事件に対し、捜査特別報奨金の支払いを決定し
たことなどについて報告があった。

(3)刑事局長から、福島県警察におけるDV被害の取扱いをめぐる報道
に関し、8月8日、被害関係者等が警察庁に来庁して申し入れを行っ
たことなどについて報告があった。

(4)交通局長から、文部科学省、国土交通省及び警察庁が、通学路の交
通安全の確保について検討を行ってきた有識者懇談会から取りまとめ
た意見を公表したことなどについて報告があった。