定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年10月25日(木)

午前10時00分 午前11時45分


第2 出席者 小平委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)「雇用と年金の接続」に伴う義務的再任用制度の導入について

官房長から、「雇用と年金の接続」に伴う義務的再任用制度の導入
の検討状況について報告があった。

(2)地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るため
の厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(
仮称)について

官房長から、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保
険法等の一部を改正する法律により廃止された公務員共済の職域加算
額に代わるものとして退職等年金給付を創設することなどを目的とす
る「地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るた
めの厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案
(仮称)」を制定するため、関係省庁と共同して閣議請議することと
したい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)犯罪被害者等給付金の裁定(東京都)に対する審査請求事案の審理
状況及び裁決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審
理状況及び裁決について説明があり、原案どおり決定した。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「愛知県警察の警部らが、セクシュアル・ハラス
メント行為をした事案等の監督責任として、同県警察は、国家公安委
員会の了承が得られれば、10月26日、地方警務官の元警察学校長
を本部長注意の措置とする予定である」旨の説明があり、原案どおり
了承した。
 長谷川委員より、「本当にどうしようもない事案であると思うが、
やはりセクハラの体質のようなものがあるのではないか。セクハラ事
案をみると、年齢構成では20代から50代まで、どの年齢層でもあ
り、日本の男性が未だにそのような意識から抜けきっていないのでは
ないか。しかし、このようなことでは本当に困るので真剣に対策を講
じてもらいたい。また、先日、女性の支援団体から警察官の資質向上
についての要望がなされた際、警察庁の女性警察官も一緒に対応した
方がいいと指摘したが、どう対応したのか」旨の発言があり、長官か
ら、「その点については、女性警察官が対応した。教官については、
以前、他の管区学校においても同様の事案があったが、学校は密室的
なところがあり、特有の問題があるのではないかと思われる。したが
って、教官の選考方法の見直しをしたり、女性の教官を増やすなど、
男性職員がもっと緊張感をもって職務に当たるようにしなければなら
ないと思う。学生を守る立場にある者が今回の事案のようなことをし
ていては本末転倒である。現在、教官になる者の大半は警察大学校に
入校して教養を受けていることから、まずそこで厳しく指導してまい
りたい」旨の説明があった。

(5)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

委員間の互選により、11月1日以降の「委員長を代理する者」の
順位について、第1順位髙木委員、第2順位山本委員、第3順位前田
委員、第4順位長谷川委員、第5順位田尾委員とすることとした。

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)平成24年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会結果について

官房長から、平成24年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会
結果について報告があった。

(2)平成24年度第2四半期監察の実施状況について

首席監察官から、警察庁等が都道府県警察等に対して行った平成2
4年度第2四半期における監察の実施状況について報告があった。
 前田委員より、「監察実施結果の中で、「警察本部では、所外活動
時における私用携帯電話の携帯等に関する誤った認識から、警察署長
による事前承認を指示していない事例が認められた」とあるが、何が
どう誤っていたのか」旨の発言があり、首席監察官から、「平成19
年に警視庁において、地域警察官が交際相手であった女性の自宅へ勤
務中に押しかけ、拳銃で相手を射殺し、自殺するという重大な非違事
案が発生したが、当時、地域警察官が私用の携帯電話を勤務中も所持
していることについてチェックがなされていなかった。そこで、地域
警察官の場合は、無線機を常時携帯しており、基本的には無線機があ
れば十分であることから、不感地帯等がある場合の対応に必要なとき
は、個別の必要性を判断して承認を与えた上で、私用の携帯電話を携
帯させるという制度をつくったところであるが、それが徹底されてい
なかったということである」旨の説明があった。
 前田委員より、「これまでも何度か指摘していることであるが、私
用の携帯電話を公用に使わせて、非常召集をかけたり連絡を行わせ、
その費用は個人負担としている実態にある。私用の携帯電話はセキュ
リティが十分でなく、例えば、署長等職員の連絡先が入ったものを紛
失等したらどうするのか、その方が心配である。本来、配分されてい
るPSD端末に通話機能が付いているのだから、そちらの方を使用す
ればよいと思うが、現場の警察官に聞くと、『私用に使えば叱られる
し、端末自体個人貸与ではないため、非番のときは返せと言われてい
るので使えない』などと言っていて、ものすごく矛盾した状態になっ
ていると思う。そもそもPSD端末は1人1台貸与にしないと使われ
ないと思う。また、現状では、PSD端末を携帯し、無線機を携帯し、
かつ私用の携帯電話も携帯しているようであるが、セキュリティの脆
弱な私用の携帯電話を最も多く使用している実態を改善しないと、何
か問題が起きたときにどうにもならないのではないかという気がして
ならないし、本末転倒と思われる。警察署では、私用の携帯電話のネ
ットワークをつくって非常召集等しているが、それはおかしいし、P
SD端末にはGPS機能も付いていて、行方不明や非番のときも位置
が分かるはずなので、PSD端末を使わないというのは非合理的であ
ると思う。また、PSD端末は国費で整備したという経緯があって、
不足が生じた場合、都道府県費で予算措置できるのかという問題があ
るが、PSD端末の単価は非常に安くなっているので、一人に1台貸
与されるよう国で予算措置し、私用の携帯電話を使わなくても済むよ
うにするべきだと思う。現場の警察官からは様々な意見が出ているに
もかかわらず、警察庁に上がってきていないのではないか。それは、
『警察庁に言っても仕方がない』と思っているからではないか」旨の
発言があり、情報通信局長から、「これまでの委員の御指摘を受け、
現在、情報通信局内において検討を行っているところであるが、PS
D端末をそのまま拡大整備すべきかどうかということについては、シ
ステムとして整備していることから、端末数を増やすことには限界が
あり、また、自宅に持ち帰らせた場合、セキュリティ上の問題はない
のかといった議論がある」旨の説明があった。
 前田委員より、「問題の所在は情報通信局だけではなく、地域警察
を所掌する生活安全局にもあるのではないかと思う。もう少し生活安
全局の方できちんと取り組まなければ、情報通信局だけでは対応でき
ないのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「現在、地
域警察官を含め約2万8千台整備し、当番要員には1台ずつ充てられ
ているが、これを勤務終了後も自宅にまで持ち帰って、保管等に注意
しながら持たせる必要があるのかということについては、生活安全局
としては、そこまでの必要はないのではないかと考えている」旨の説
明があり、前田委員より、「そのように考えるならば、警察官は、非
番のときは制服も何も全て返せということになるのではないか」旨の
発言があり、生活安全局長から、「全ての地域警察官に貸与するとな
れば、約8万8千台を整備する必要があり、また、PSD端末の亡失
等も懸念される」旨の説明があり、前田委員より、「これは現場の警
察官を信用するか、しないかということにかかってくる。性悪説に立
つのであれば、全て性悪説で考えなければいけないが、それでは恐ら
く警察組織は成り立たなくなってしまうと思う。そもそも、PSD端
末は、携帯している本人が亡失したりしても、中のデータは消去され
るようになっているので、誰がどのように悪用するのか想定できない」
旨の発言があり、生活安全局長から、「決して現場の警察官を信用し
ていないということではないが、悪用される問題のみならず、貴重な
装備資機材であるため、その管理をきちんと行うという要請はあると
思う。現場の声もよく聞いてみたいと思う」旨の説明があり、前田委
員より、「今のこの組織のやり方では、現場から声は上がらないと思
う。もう少し現場のことを知る必要があるのではないか。第一線の警
察官が如何に苦労しているか、全く認識していないのではないか。拳
銃を持ち帰れとは言わないが、情報端末を携帯するのは常識ではない
のか」旨の発言があり、生活安全局長から、「現場の声を我々として
もよく聞いてみたいとは思うが、必ずしもPSD端末を持ち帰りたい
と思っている者が多いとは感じていない」旨の説明があり、前田委員
より、「持ちたいかどうかということではなく、持ってもらうという
ことである。現状は、『非番のときは返せ、持つんじゃない、絶対に
使うな』と言っているが、これでは、非番のときに非常召集かけると
きは私用の携帯電話を使うことしかできない。このような実態をなぜ
おかしいと思わないのか」旨の発言があった。
 委員長より、「これは大事な問題なので、まず、しっかりとした基
準を警察庁で検討してもらい、それを報告してもらって改めて検討す
ることとしたいが如何か」旨の発言があり、前田委員より、「私から
は、この一年、同様の指摘をしてきたところである。現在、「警察改
革の精神」の徹底等に向けた検討が行われており、警察署長の勤務実
態等も調べてもらっているところであるが、警察庁は現場のことを知
らなすぎるのではないかと思う。確かに、現場との間に距離はあるの
で仕方がないとしても、一番原点となるところを押さえずに通達を出
すだけでは、現場の警察官は、効率的に仕事はできないと思う」旨の
発言があり、委員長より、「情報漏洩の危険性がある一方、利便性も
否定し難い。非常に大事な問題であるので、改めて検討することとし
たい」旨の発言があった。

(3)平成24年度総合セキュリティ対策会議におけるサイバー犯罪捜査
の課題と対策に関する検討について

生活安全局長から、「平成24年度の総合セキュリティ対策会議に
おいて、先般、インターネット掲示板等への犯行予告事案において、
犯行に使用された端末内から第三者による遠隔操作を可能とする新種
のウイルスが発見され、逮捕された方について、その後の捜査により、
犯人ではなかったと認められたこと等を受けて、「サイバー犯罪捜査
の課題と対策」を検討テーマとして追加することとなり、これに伴い、
ウイルス対策ソフト開発事業者及び学識経験者から数名程度を新たに
委員に追加し、11月中に会議が開催される予定である」旨の報告が
あった。

(4)インターネットを利用した犯行予告・ウイルス供用事件について
(警視庁・神奈川県警察・三重県警察・大阪府警察)

刑事局長から、インターネットを利用した犯行予告・ウイルス供用
事件に関し、関係警察による検証、合同捜査本部の設置及び警視庁に
おける有識者等を交えたコンピュータウイルスを用いた犯罪に関する
協議会の設置等について報告があった。

(5)FATF対日審査フォローアップ結果について(第4回報告)

刑事局長から、FATF対日審査フォローアップ結果について報告
があった。

(6)一定の症状を呈する病気等に係る運転免許制度の在り方に関する提
言について

交通局長から、「本日、一定の病気等に係る運転免許制度の在り方
に関する有識者検討会藤原座長から国家公安委員会委員長に対し、「
一定の症状を呈する病気等に係る運転免許制度の在り方に関する提言」
が提出された」旨の報告があった。

(7)皇太子殿下の第27回国民文化祭・とくしま2012御臨場等に伴
う警衛警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、10月27日から28日までの間、
第27回国民文化祭・とくしま2012御臨場等のため、徳島県へ行
啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の
報告があった。

(8)皇太子殿下の第15回全国農業担い手サミットinあきた御臨席等
に伴う警衛警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、10月30日から31日までの間、
第15回全国農業担い手サミットinあきた御臨席等のため、秋田県
へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」
旨の報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、警察庁指定重要指名手配被疑者の発見(死亡)につ
いて報告があった。

(2)警備局長から、国際テロ対策に係るデータのインターネット上への
掲出事案への対応状況と今後の取組及び当該事案に関する国賠訴訟の
状況について報告があった。