定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年11月15日(木)

午前10時00分 午前11時35分


第2 出席者 小平委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「12月1日付け暴力団対策法審査専門委員1名の任
命について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定
した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成25年警察庁月間等について

官房長から、平成25年警察庁月間等について報告があった。

(3)平成24年度全国警察逮捕術大会及び全国警察拳銃射撃競技大会の
開催について

官房長から、11月20日開催予定の平成24年度全国警察逮捕術
大会及び全国警察拳銃射撃競技大会について報告があった。

(4)第45回全国少年補導職員等研修会及び皇太子殿下御接見について

生活安全局長から、「11月19日から21日までの間、第45回
全国少年補導職員等研修会を開催し、研修参加者は、11月20日、
東宮御所において皇太子殿下の御接見を賜る予定である」旨の報告が
あった。

(5)消費者安全調査委員会との申合せについて

刑事局長から、捜査と調査の円滑かつ的確な実施を期するため、こ
れらの競合時における調整等、警察と消費者安全調査委員会との協力
に関して必要な事項を定めることを目的とした同調査委員会との申合
せについて報告があった。

(6)企業に対するアンケート調査結果について

刑事局長から、平成19年に策定された「企業が反社会的勢力によ
る被害を防止するための指針」に基づき本年7月に実施した企業に対
するアンケート調査結果について報告があった。
 長谷川委員より、「調査結果の中に、企業が過去5年間に反社会的
勢力からの不当要求に応じた要求額が示されているが、不当要求の一
部又は全てに応じたと回答した企業は62社にも上っている。具体的
な金額は分からないが、要求額の分類で真中の数字をとって概算した
だけでも数千万円になり、実際は、それ以上の相当な額に上っている
ものと思われる。今後の対策として、大規模企業に比べ、個人事業主
や小規模企業の取組みが遅れていることから、業界団体等へ働きかけ
ていく必要がある旨の説明があったが、そのような個人事業主や小規
模企業に対して、『このようなときは、このような対応をすればよい』
という指針のようなものは示しているのか」旨の発言があり、刑事局
長から、「例えば、暴追センター等が、個人事業主や小規模企業を能
動的に集めて、もう少しきめ細かく指導するようにしてもらうなど、
もっと工夫をしていかなければならないと思う」旨の説明があった。

(7)第81回国際刑事警察機構(ICPO)総会の開催結果について

刑事局長から、11月6日から8日までの間、イタリア共和国にお
いて開催された第81回国際刑事警察機構(ICPO)総会の概要に
ついて報告があった。

(8)安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインについて

交通局長から、「「安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検
討委員会」から本年4月5日に受けた提言を踏まえ、国土交通省と連
携して「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を策定し、
自転車通行環境の整備等をより一層推進することとしている」旨の報
告があった。

(9)天皇皇后両陛下の第32回全国豊かな海づくり大会御臨席等に伴う
警衛警備について

警備局長から、「天皇皇后両陛下は、11月17日から20日まで
の間、第32回全国豊かな海づくり大会御臨席等のため、沖縄県へ行
幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨
の報告があった。

(10)野田内閣総理大臣のカンボジア訪問(ASEAN関連首脳会議出席
等)に伴う警護警備について

警備局長から、「野田内閣総理大臣は、11月18日から21日ま
での間、ASEAN関連首脳会議に出席等のため、カンボジアを訪問
する予定であり、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、神奈川県逗子市におけるストーカー事案及び警
察の対応について報告があった。
 長谷川委員より、「本件の被疑者が平成23年6月に逮捕されたの
は、被疑者がメールの他に電話も架けてきたことから、ストーカー規
制法を適用することができたということか」旨の発言があり、生活安
全局長から、「メールの内容が被害者に危害を加える趣旨のものであ
ったことから、脅迫罪で事件化できたものである」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「その後、本年に入り被疑者から約1,000件
のメールが送られてきたにもかかわらず事件化等ができなかった理由
は、メールの送信がストーカー規制法の規制対象行為になっていない
ことと、それらの内容が脅迫にも当たらなかったからなのか」旨の発
言があり、生活安全局長から、「御指摘のとおりであり、DV防止法
と異なり、規制対象行為に連続メールの送信の規定がないことと、内
容についても、慰謝料の請求や被疑者が退職したことによる経済的補
填等を要求するものであり、脅迫的なものであるとは言い切れないも
のであった」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「メールの内容が直接脅迫的なものでなくても、
今回のように1,000件もメールが送りつけられるということは、
実際、受ける方としては嫌なものであると思う。今後、ストーカー規
制法を改正して、規制対象行為に連続メールの送信が加えられても、
その内容にまで踏み込まなければ、多数のメールが送りつけられても
警察は対応できないということになるのか」旨の発言があり、生活安
全局長から、「法改正がなされて連続メールが規制対象とされた場合
には、ストーカー規制法により対応することは可能となる。なお、そ
のような行為者の目的については、つきまとい等は、恋愛感情やそれ
が満たされないことへの恨みの感情を充足するために行われるものと
定義されているが、民事上の権利行使の名目で行うような行為につい
ては恋愛感情等の要件を認定しづらいということも事例の中にはみら
れるので、目的の範囲が一つの課題ではあると認識している」旨の説
明があった。
 長谷川委員より、「本当に、実質的に嫌だと思うことは、法律に書
かれていないことであることもある。行為の目的や態様が限定されて
いるからストーカー規制法では対応できないと言われても、やはり嫌
なものは嫌なのだから、法律で限定されているからということで対応
できないというのは本当に歯がゆい感じがする。どのように条文に書
けば警察として踏み込むことができるのかということは、これから検
討するのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「規制対象行為の
内容については、現場での運用上の問題等を今集約しているところで
あるが、御指摘があったもの以外にも、もう少し拡充してもらいたい
という要望も多く寄せられているところである。どこまで明確に規定
するのかということや、どこまで具体的に条文に書けるのかというこ
ともあるが、正につきまとい等の定義について拡充したいという方向
で関係議員と相談してまいりたい」旨の説明があった。
 山本委員より、「警察がこれだけ対応しても被害者が殺害されると
いう事態を防げなかったということについては、もちろん考えなけれ
ばならないことではあるが、長崎県西海市における女性2名被害の殺
人事件も踏まえ、警察ではいろいろな努力をしているということはよ
く分かっているし、それはよいことだと思うので、その点について問
題があるとは思っていない。ただ、殺害されるような事態を本当に防
ごうと考えたとき、自分でそのようなことにならないようにもっと努
力しないと、法律を改正するだけで防ぐことができるのかと問われれ
ば、それはなかなか難しいことであると考えなければならないのでは
ないかと思っている。例えば、招からざる者が自分の住居に入ろうと
したときにそれが困難で入るのに時間がかかり、その間に警察へ通報
できれば、自分の身を守ることはできると思うし、被害者になり得る
人にはそのようなことも考えざるを得ない事態が起きつつあると思う。
そのことを警察はもう少し知らせる必要があるのではないかと思う。
というのも、本件でも分かるように、警察が被疑者を逮捕しても実刑
を科すにはなかなかハードルが高いため、逮捕して刑事手続に乗せて
も、起訴猶予になったり、有罪でも執行猶予となったりして、すぐに
釈放されて出てくるということが現状なのだと考えなければならない。
そうなれば、出てきた後、当初の目的で、思いを遂げようとしたり、
更には殺すということまで考える者がいれば、そのような者からどの
ようにして自分の身を守っていくのかということは、刑事手続だけで
はなかなか難しいという実態があるのではないかと思う。警察は一生
懸命やる、与えられた権限の範囲内で最大限尽くすということは発信
しつつも、他方で、本当にこのような事案を根絶するためには、やは
り、自分の身は自分で守るということをもっと真剣に考えなければな
らない時代になってきているということも、理解してもらうような工
夫が必要なのではないかと感じている。長崎県西海市における殺人事
件の際、『警察しっかりやれ』といった報道がなされたが、しっかり
やれと言われても、警察がどこまで、どのようにして守れるのだろう
かと感じていたところである。今回またこのような事案が発生したが、
やはり、刑事手続でできることというのは、基本的には結果が発生し
てからその責任を追及するということであって、予防という観点から
みた場合、できる範囲は非常に限られているというように考えなくて
はいけないのではないかと思う。したがって、男女の交際は、始めか
ら、場合によってはこのようなことになるというようなことも頭に置
いておかなければならない状況になってきているし、関係が拗れたと
きには、本当に自分の身を守るにはどのようにしていくのかというこ
とを考えなければならない時代になってきているということも、伝え
なければならないと思う。もちろん警察は法律で規定された範囲内で
法律を適用して最大限努めているし、今後も努めていくものと思うが、
それで本当に、例えば殺されるなどという事態を防げるのかと言えば、
かなりの部分で自助努力によらなければ果たせないというのが実態な
のではないかと感じているので、実態を伝えるということも是非工夫
してもらいたいと思う」旨の発言があった。
 長官から、「この種事案において、執行猶予を付けないという運用
はできないのだろうかと感じている」旨の説明があった。
 委員長より、「外国では、性犯罪者に対して、釈放後に接近禁止の
措置をとっているところもあると聞くが、ストーカー事案においても、
被害者に近づけないようにするような措置はできないか」旨の発言が
あり、長官から、「DV防止法においては、接近禁止を命ずる保護命
令がある」旨、生活安全局長から、「性犯罪者に対して御指摘のよう
な法制をもつ国はあると承知している。現行のストーカー規制法では、
つきまとい等の行為を繰り返して行うような場合には禁止命令を出す
ことが可能であり、それに反した場合は罰則が適用されるという仕組
みになっている」旨の説明があった。

(2)刑事局長から、「11月16日に衆議院が解散されることとなった
場合、翌17日、総選挙における選挙違反取締りに関する全国警察本
部長会議を開催するとともに、全国警察において本部長を長とする選
挙違反取締本部を設置する予定である」旨の報告があった。