定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年1月10日(木)

午前10時00分 午後0時05分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「1月25日付け警察庁長官の任免及び1月25日付
けを始めとする地方警務官11名の人事案件について発令していただ
きたい」旨、「1月25日付け内閣承認人事12名の人事案件につい
て内閣に承認を依頼していただきたい」旨、「1月25日付け警察庁
長官及び警視総監の任免について内閣総理大臣に承認を依頼していた
だきたい」旨、「1月25日付け警視総監の任免について東京都公安
委員会に同意を求めるよう依頼したい」旨及び「1月25日付け地方
警務官に係る倫理監督官について指名していただきたい」旨の説明が
あり、原案どおり決定した。

(2)平成24年度警察庁補正予算要望の概要について

官房長から、平成24年度警察庁補正予算要望の概要について説明
があり、原案どおり決定した。

(3)平成25年度警察庁予算概算要求(案)の概要について

官房長から、平成25年度警察庁予算概算要求(案)の概要につい
て説明があり、原案どおり決定した。
 髙木委員より、「原子力関連施設に対する警戒警備体制の強化に関
して18億円余の要求を行うということであるが、本日の別の議題で
ある防災業務計画について、原子力関係の部分を修正するということ
とは連動しているのか」旨の発言があり、警備局長から、「防災業務
計画については災害が発生した際の対処について規定するものであり、
予算要求においては、原子力関連施設に対するテロの未然防止のため、
原発施設内を警戒するための車両や警戒する部隊が携行する銃器、防
弾衣等について要求を行うものであって、両者は連動していない」旨
の説明があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「兵庫県警察の一般職員が寝具リース代金等を横
領した事案の監督責任として、同県警察は、国家公安委員会の了承が
得られれば、1月11日、地方警務官の警察学校長らを本部長注意の
措置とする予定である」旨の説明があり、原案どおり了承した。

(5)「国家公安委員会・警察庁防災業務計画」の修正について

警備局長から、「国家公安委員会・警察庁防災業務計画」の修正に
ついて説明があり、原案どおり決定した。

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「富山県警察の警部補が、平成22年4月、知人
夫婦を殺害した上、同夫婦宅に放火したとして、平成24年12月22
日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、1月11日ないし1
3日、同警部補を懲戒免職処分とする予定である」旨の報告があった。

(2)平成24年の刑法犯認知・検挙状況と今後の犯罪抑止対策について
【暫定値】

生活安全局長から、平成24年中の刑法犯認知・検挙状況と今後の
犯罪抑止対策について報告があった。
 山本委員より、「全体としては認知件数が減少してよかったとは思
うが、内訳を見ると、粗暴犯、風俗犯が増加しているということなの
で、このような状況を重く受け止め、これらの犯罪を減らすように更
に力を尽くす必要があるということを認識して取り組んでいただきた
い」旨の発言があった。

(3)暴力団幹部らによる死亡ひき逃げ事故を偽装した保険金目的殺人事
件被疑者の逮捕について(熊本県警察)

刑事局長から、平成24年10月20日、熊本市内の路上において
発生した暴力団幹部らによる死亡ひき逃げ事故を偽装した保険金目的
殺人事件被疑者の逮捕等について報告があった。
 山本委員より、「本件を摘発したことについて捜査に従事した職員
に敬意を表したいと思う。本件ではまだ保険金が支払われていないと
いうことであり、被害防止の観点からも大きな成果を上げたというこ
とになるのだと思うが、平素から保険会社等における不自然な請求事
案についての情報が警察に提供されるような工夫をしておくことが、
被害を生まないために大きな力になると思われる」旨の発言があり、
交通局長から、「交通事故に絡む保険金詐欺に関しては、各都道府県
において、保険業界と警察との間で定期的に連絡会議を開催しており、
情報が提供されれば、これを端緒に捜査を行っている」旨の説明があ
った。

(4)「第53回交通安全国民運動中央大会」の開催について

交通局長から、「1月15日及び16日、第53回交通安全国民運
動中央大会が開催され、第1日目は分科集会、第2日目の本会議では、
交通栄誉章等の表彰、交通安全宣言等が行われる予定である」旨の報
告があった。

(5)平成24年中の交通事故死者数について

交通局長から、「平成24年中の交通事故死者数は、4,411人
で12年連続の減少となり、負傷者数及び発生件数についても8年連
続で減少した」旨の報告があった。

(6)靖国神社放火犯の引渡し拒否について

警備局長から、平成23年12月に発生した靖国神社に対する放火
事件被疑者の引渡請求に関し、ソウル高等裁判所における拒否の決定
等について報告があった。
 髙木委員より、「このような決定は論理的にはどうなのか」旨の発
言があり、警備局長から、「本日の報告はソウル高等裁判所が発表し
た内容に基づいて申し上げたところであり、韓国政府から正式な決定
通知はまだ来ていない状況にある。いずれにしても、現在、今後の対
応について、関係省庁と協議を行っているところである」旨の説明が
あり、委員長より、「この問題については安倍内閣総理大臣からも見
解が発表されている」旨の発言があり、警備局長から、「新年の記者
会見において、安倍内閣総理大臣からも、今回の決定については極め
て遺憾である旨の表明がなされている」旨の説明があった。

3 その他

(1)委員長より、「先日、長官及び次長に対し、警察として当面最重点
に取り組んでもらいたい事項として次の4点を示したところである。
1点目は、高齢者の交通死亡事故を減少させることである。交通事故
死者数は、平成24年には全体で4,411人まで減少したが、この
うち65歳以上の高齢者が51.3パーセントを占めており、これを
如何に減らしていくかが大きな課題である。数値目標を掲げながら取
り組んでもらいたい。2点目は、暴力団対策の推進である。改正暴力
団対策法の効果をあらしめることが必要であり、暴力団を壊滅させる
取組を進めてもらいたい。これには安倍内閣総理大臣も強い関心をも
っておられるところである。今次取りまとめる平成24年度補正予算
においても、必要な装備資機材等14億円を計上することとしている
が、その多くを北九州地区に配備することとしている。私も近々現地
に赴き、督励したいと考えている。3点目は、社会問題化している脱
法ドラッグ対策の強化である。関係省庁と緊密に連携を図って、諸対
策を推進してもらいたい。4点目は、警察職員による不祥事防止対策
の推進である。平成12年の警察改革以降、諸対策により懲戒処分者
数は減少していたが、ここ3年間は増加傾向にあり、平成24年は4
00人を超える見込みである。既に12項目から成る施策を取りまと
め、順次実行に移しているところであり、中堅幹部の資質の向上等に
ついても施策の中に入ってはいるが、警察庁の幹部においても、不祥
事の絶無を期すという並々ならぬ覚悟、態度を示す必要がある。上に
立つ者の姿勢が極めて重要である」旨の発言があった。
 山本委員より、「暴力団対策は是非強化してもらいたい。北九州で
は先の見えない状況に地元の人々が悲鳴を上げている。警察の取組だ
けでは限界があると思われるので、関係省庁とも連携して効果を上げ
てもらいたい」旨の発言があり、委員長より、「政府を挙げて取り組
んでいきたい」旨の発言があった。
 長官から、「高齢者の交通死亡事故対策について、数値目標を示す
のであれば、警察だけではなく、内閣府を中心に政府全体で検討する
必要がある。現在、政府としては、平成27年までに全体の死者数を
3,000人以下にするという目標を掲げており、この目標とも関係
してくる。担当部局に対して、関係省庁とも連携して対応するよう指
示しているところである」旨の説明があり、委員長より、「よく連携
して取り組んでもらいたい」旨の発言があった。

(2)官房長から、女性被留置者の死亡事案に関する兵庫県警察の検証結
果について報告があった。
 髙木委員より、「兵庫県警察の今後の対策として女性留置施設の収
容能力の増強が挙げられているが、女性専用の留置施設や女性の看守
勤務員の数が足りないのではないか」旨の発言があり、長官から、「
被留置者数が減少傾向にあるなかで、全国的に見れば女性被留置者の
収容能力が不足しているということはないが、個々の留置施設のレベ
ルでは、処遇を女性警察官が担当する女性専用施設が過剰収容となっ
たり、女性留置担当官が足りないという状況が生じることもある。女
性被留置者の適正な処遇という観点からも、女性専用留置施設の整備
や留置部門への女性警察官の配置拡大について指導してきている」旨
の説明があった。
 長谷川委員より、「被留置者による自絞死の例は他にあるのか」旨
の発言があり、官房長から、「昨年中は、本件の前に、滋賀県警察に
おいて1件発生している」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「滋賀県警察の例については、全国的な情報共有
がなされていたのか」旨の発言があり、官房長から、「当該事案につ
いては情報共有がなされておらず、反省点でもある。近く通達を発出
し、全ての自殺の具体的事例に関する情報を全国的に共有するよう指
示することとしている」旨の説明があった。

(3)生活安全局長から、平成24年10月25日開催の定例会議におい
て前田委員から提起のあったPSD形データ端末の活用について報告
があった。
 前田委員より、「PSD形データ端末について実態調査を行い、様
々な提案を示していただいたことに感謝する。本件については、以前
からいろいろと問題提起してきたところであるが、警察のIT関係の
装備は民間と比べてかなり遅れており、平成23年度に無線システム
を更新する過程で、警察庁が予算をとり、このPSD形データ端末を
導入して、ある意味では初めて近代化が図られたものであるから、本
当に活用されるようにしてもらいたいと思っている。このような情報
系のシステムは、各県で別々に整備すると非常にコストがかかり、ソ
フトも高度化せず、共通性もないという事態になるので、国費整備し
たという意味は非常に大きいことから、もっと進化させる方向へ是非
もっていってもらいたい。ただ、現状では、予算上の問題があり、端
末本体は国費で負担し、通信料等については都道府県費で負担する形
となっていることから、インフラはあるが、通信料の予算がないので
通話するなという状況が生じており、使い勝手が非常に悪くなってい
る。これは、次世代のシステムをどうするか以前の問題であり、PS
D形データ端末は導入したばかりで、これから使用していくことにな
るわけであるから、警察庁が主導して、何らかの形で是非克服しても
らいたい。情報系のシステムについては、警察庁で主導して実施する
ものと都道府県警察で対応するものを分けず、全てを都道府県警察に
実施させると国全体ではコストが大きくなる。例えばソフトについて
も、まとめて契約すれば安価で済むということもあるので、このよう
な部分についても、都道府県警察に任せるということではなく、警察
庁が主導して進めてもらいたい。また、実態調査の結果から、私用の
携帯電話を公用に使わせている状況にあるが、私用の携帯電話はセキ
ュリティの面でも問題があるので、今後、本来公費で負担すべきもの
は公費で負担するという方向にもっていっていただきたい」旨の発言
があり、生活安全局長から、「委員からのこれまでの御指摘、また本
日の御指摘を踏まえ、PSD形データ端末の更なる活用と、運用面も
含めて様々な観点からグレードアップさせていくことを検討していき
たい。全国的に新しいパッケージで契約することができれば、少なく
ともPSD形データ端末間の通話は使い放題になるということであり、
それによって私用の携帯電話を公務に使用する機会は減らすことがで
きるのではないかと考えているので、まずこの部分について進めてま
いりたい」旨の説明があった。
 前田委員より、「今回、実態調査を行って分かったと思うが、第一
線からの改善要求は、実は警察庁までなかなか届かない、つまり、第
一線でPSD形データ端末を使用していて、その使い勝手が悪いとい
うことがあっても、そのことを伝達するルートがあるようでない。こ
れは警察の悪いところである。本来、この種のシステムを整備する際
は、第一線の声・ニーズを聞いてから整備するものであるが、既にシ
ステムを整備してしまっているので、使用している者の声を反映させ
て使い勝手を良くするということをしない限り改善されない。声が上
がってこないから改善しないというのは、少し違うのではないかと思
われるし、使い勝手が悪いまま放置すれば、予算の無駄遣いにもなっ
てしまうので、その点を是非認識してもらいたい」旨の発言があった。
 長谷川委員より、「今回の調査結果で、PSD形データ端末を使用
した者が87パーセント、使用しなかった者が13パーセントであっ
たということであるが、皆に持たせ、様々な機能もあるのに使用しな
い者が13パーセントいるというのは、どう捉えているのか」旨の発
言があり、生活安全局長から、「今回の調査は、ある一当務における
活用状況というスポットでの調査であり、その当務では使わなかった
という人も他の当務においては使用しているのではないかと思われる。
110番指令があればその確認に使用したり、強盗事件が発生して防
犯カメラの画像を撮影して手配するといったことに活用されているこ
とから、調査対象となった当務ではそのような機会がなかったという
ことではないかと思われる」旨の説明があり、委員長より、「使用し
なかった13パーセントの者について、年齢層が高い者に多いという
傾向が顕著に出ているといった結果はあるのか」旨の発言があり、長
官から、「可能であれば分析してみたいと思う。普段携帯電話もあま
り使わないような警察官にPSD形データ端末を携行させても、使用
しないということも考えられるので、その辺りはきちんと指導してい
かなければならないと思う」旨の説明があり、委員長より、「その意
味ではきめ細かな指導を行う必要があるのかもしれない」旨の発言が
あった。

(4)刑事局長から、インターネットを利用した犯行予告・ウイルス供用
事件について報告があった。
 髙木委員より、「江の島の方では記録媒体も発見されているようで
あるが、今後の犯人検挙の見通しはどうなのか」旨の発言があり、刑
事局長から、「これまでは犯人がインターネットの中だけで動いてい
たものが、現実の社会に出てきたということになれば、検挙への大き
な好機であると捉えており、現在全力で捜査中である」旨の説明があ
った。

(5)刑事局長から、富山県前高岡警察署員による殺人・放火等事案に関
し、被疑者が報道機関に対して送付した犯行内容等を記録した電磁的
記録媒体の押収経緯等について報告があった。

(6)交通局長から、平成24年12月2日に発生した中央自動車道笹子
トンネル(上り線)天井板崩落事故に伴い一部区間で通行止めを実施
中のところ、全面復旧に向けた今後の見通しについて報告があった。