定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年4月18日(木)

午前10時00分 午前11時10分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成24年度における被疑者取調べ監督に関する実地点検及び指導
の実施状況について

官房長から、平成24年度における被疑者取調べ監督に関する実地
点検及び指導の実施状況について報告があった。
 前田委員より、「以前も申し上げたが、昨年中の監督対象行為は3
9件あったということで、それは是正しなければならないと思うが、
平成20年に規則を制定し、数年経過して、制度として定着した後は、
廃止を含めて見直さなければ、チェックのためのチェックになってし
まうと思う。例えば、専任の警視や警部が配置されていないとして体
制の不備が指摘されているものの、他に指導事項はなく、監督対象行
為もないとすると、体制の不備が問題であるというよりは、制度その
ものが不要となっているのではないかと感じる。業務をチェックする
こうした事務のために警察官が配置されているが、本当に必要なのか
どうか検討しなければならないのではないか。体制については、制度
が定着してきたのであれば、専任ではなく兼任でよいと思うし、実態
と照らし合わせて、もし大きな問題がほとんどないということであれ
ば、監察部門がチェックするなど、他の方法に切り替えていかないと、
非効率なものになってしまうと思う」旨の発言があり、長官から、「
この制度は、取調べの可視化の議論との兼ね合いで、取調べの適正を
担保するため、捜査部門とは異なる部門によりこれを監督するもので
あるが、御指摘のように、人員の効率的な運用にも留意して目的を達
成するという視点も重要であると考えており、過渡期にある刑事司法
制度の動向も勘案しながら、この仕組みを将来どうするのか検討して
いく必要があると考えている」旨の説明があり、委員長より、「前田
委員の指摘を踏まえつつ検討・報告をしてもらいたい」旨の発言があ
った。

(3)平成24年度会計監査実施結果について

官房長から、平成24年度会計監査実施結果について報告があった。

(4)平成24年度「総合セキュリティ対策会議」報告書について

生活安全局長から、「平成24年度総合セキュリティ対策会議にお
いて、「官民が連携した違法・有害情報対策の更なる推進」及び「サ
イバー犯罪捜査の課題と対策」について検討を行い、それぞれ報告書
を取りまとめた」旨の報告があった。
 委員長より、「今回の報告書において、「警察と民間事業者等との
間での人事交流についても検討がなされることが期待される」旨記さ
れている。本年1月には、「サイバー犯罪対処能力の強化等に向けた
緊急プログラム」が策定され、民間事業者への手口分析等の嘱託や官
民の人事交流等が施策として掲げられたところであり、かなり前進し
ているとは思う。この報告書においては人事交流について、「検討が
なされることが期待される」というやや抑制的な書きぶりになってい
るが、今後ともしっかりと検討して実現してもらいたいと思う」旨の
発言があった。

(5)愛知県稲沢市における窃盗被疑者の逃走事案等の発生・検挙につい
て(愛知県警察)

刑事局長から、4月16日に発生した愛知県稲沢市における窃盗被
疑者の逃走事案等の概要、捜査の経過について報告があった。

(6)護送中の受刑者逃走事案の発生・検挙について(山形県警察)

刑事局長から、4月16日に発生した山形市における護送中の受刑
者逃走事案の概要、捜査の経過について報告があった。
 前田委員より、「今回の事件に関し、いくつか報道されているが、
手錠の装着を含め、凶悪犯の受刑者の逃走に至った経緯・原因という
のは、今後の対策を考える上で大変重要ではないか」旨の発言があり、
刑事局長から、「手錠については、被疑者を逮捕した際、なされてお
らず、護送中の他の受刑者の腰縄に残されていたところである」旨の
説明があり、前田委員より、「そのような逃走に至った事実関係につ
いては法務省側にはっきりと伝えるべきではないか」旨の発言があり、
刑事局長から、「捜査の過程で判明したことについては、法務省側に、
受刑者の護送の参考・改善に資するよう情報提供してまいりたい。ま
た、今回の護送態勢が不十分ではなかったのかという指摘もあると思
われる」旨の説明があり、前田委員より、「極めて凶悪な事件の犯人
であり、また、昨年も広島の刑務所から受刑者が逃走する事案が発生
しており、法務省側に再発防止を要請すべきである」旨の発言があり、
刑事局長から、「注意喚起のため、必要な情報提供を行ってまいりた
い」旨の説明があった。
 奥野委員より、「迅速な初動捜査により、発生してから約1時間後
に逃走受刑者が検挙されているが、通常、このような護送の場合、法
務省側から関係都道府県警察に対して事前に連絡はあるのか」旨の発
言があり、長官から、「例えば、奪還のおそれがあるような場合は、
事前に連絡を受けて、警察において所要の警戒態勢をとることとなる」
旨の説明があった。
 奥野委員より、「法務省所管の問題ではあるが、警察としては、今
後、どのような形で事案を処理していくことになるのか」旨の発言が
あり、刑事局長から、「被疑者については、建造物侵入罪で現行犯逮
捕した後、単純逃走罪でも再逮捕しており、逃走罪の捜査の必要があ
ることから、手錠が外れた原因、逃走に至る経緯等についても捜査を
進めることとしている。先ほども申し上げたとおり、その結果判明し
た事項については、今後の護送の改善に資するよう、情報提供するこ
とになる」旨の説明があった。
 委員長より、「「刑務所間で移送すること自体が危険を伴うと思わ
れるが、今回のような護送は頻繁に行われるものなのか」旨聞かれた
が、実態はどのようになっているのか」旨の発言があり、刑事局長か
ら、「全般的なことをお答えするのは難しいが、本件においては、行
刑の観点から、これに対応する施設に移送されることとなったもので
あると思われる」旨の説明があった。

(7)刑務所等を出所した暴力団離脱者の社会復帰対策について

刑事局長から、刑務所等を出所した暴力団離脱者の社会復帰対策に
関し、現状及び今後の主な連携強化の枠組み等について報告があった。
 髙木委員より、「今回のような連携強化の枠組みはこれまでなかっ
たのか」旨の発言があり、刑事局長から、「警察としては、都道府県
警察単位で、協力いただける企業を募る形での就労支援を行ってきた
が、このような保護観察所と連携した施策というものはこれまでなか
ったところである。他方、保護観察所では、暴力団離脱者に限らず、
更生した者に対する就労支援という枠組みでの取組が行われており、
今回これらを結びつけた形となったものである」旨の説明があった。
 髙木委員より、「私が承知している限りでは、暴力団離脱者に限ら
ず、刑務所からの出所者の就労ということに関して、法務省において
様々な対策を講じ、その一環として、就労先企業との調整を行うNP
Oも設立されている。しかし、出所者の就労は非常に困難で、結局、
再犯によって刑務所に戻る例も少なからずあり、このような悪循環を
断ち切ることは非常に難しいと聞く。また、保護司の高齢化も進んで
おり、その対策の強化が必要であるとされているが、警察の関与の度
合いによっては、対象者本人や企業との関係においてデリケートな問
題が生ずる可能性があるような気もするところである。いずれにして
も、大変難しいスキームであり、今後の推移を見守っていかなければ
ならないと思う。協賛いただける企業に対して、かなりしっかり働き
かけをしていくことが大事なのではないか」旨の発言があり、刑事局
長から、「御指摘のとおり、就労支援メニューである身元保証制度と
いうものは、法務省が所管するNPOが実施主体となっており、また、
全国に約10,000社ある協力雇用主を組織している公益法人が、
トライアル雇用制度や身元保証制度等の取組を行っているところであ
る。このスキーム自体は従前から活用されていたものであるが、今回、
暴力団離脱者を対象として法務省側と連携するという施策になったも
のであり、浸透するように一層努めてまいりたい」旨の説明があり、
委員長より、「暴力団壊滅に向けた取組を現在強く進めているが、暴
力団離脱者の社会復帰ということもパッケージで取り組んでいかなけ
ればならない非常に大切なことであり、この新しい試みを確実に進め
てもらいたい」旨の発言があった。

(8)平成25年春の全国交通安全運動の実施結果について

交通局長から、「4月6日から15日までの平成25年春の全国交
通安全運動期間中の交通事故死者数は、前年同期比13人減の105
人であり、期間中、各都道府県警察において、運動の重点等に沿った
様々な取組みが実施された」旨の報告があった。

(9)淡路島付近を震源とする地震に対する警察措置について

警備局長から、4月13日早朝に発生した淡路島付近を震源とする
地震に対する警察措置について報告があった。
 委員長より、「防災担当大臣・国家公安委員会委員長としての私の
対応について申し上げると、地震発生直後に報告を受け、午前5時4
0分の総理指示の発出に続き、午前6時頃官邸に到着し、危機管理セ
ンターにおいて各種の対応に当たり、午前6時40分頃には官房長官
による会見が行われている。午前6時45分には、兵庫県知事を本部
長とする兵庫県災害対策本部が開催され、また、現地におられた西村
内閣府副大臣には、地震発生直後に事実上の現地対策本部長となって
もらいたい旨お願いして、この災害対策本部に出席いただいたところ
である。その後、知事と副大臣により、被災した淡路島3市の現地調
査が行われ、知事からテレビ会議で、その状況や私たちが対応すべき
事項について説明いただくなど、非常に早く対応することができたと
思う。警察のヘリテレ映像も最も早く官邸に送られていたところであ
る。ただ、アナログ映像のため非常に画像が悪く、液状化現象なのか
どうかといったところまでは分からなかったところであり、これをデ
ジタルの機材にすると、危機管理センター、県警察ともに鮮明なもの
となることから、順次進めているとは思うが、しっかり対応してもら
いたい」旨の発言があった。

3 その他

(1)警備局長から、4月15日に発生した米国・ボストンにおける爆弾
テロ事件について報告があった。