定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年5月16日(木)

午前10時00分 午前11時30分


第2 出席者 長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、生活安全局長、刑事局長、警備局長、情報通信
局長、総括審議官、審議官(交通局担当)、首席監察官
国家公安委員会会務官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会に対する審査請求事案の裁決について

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会に対する審査請求事案
の裁決について説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

総括審議官から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関情報公開法
関係)

総括審議官から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法
関係の開示請求に係る決定について報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「埼玉県警察の警視が、セクシュアル・ハラスメ
ント行為をした事案に関し、同県警察は、5月22日、同警視を停職
処分とする予定である」旨の報告があった。

(4)生活経済事犯に悪用されるレンタル携帯電話対策について

生活安全局長から、生活経済事犯に悪用されるレンタル携帯電話対
策に関し、悪用されたレンタル携帯電話の契約実態等に関する最近の
調査状況、今後の取組等について報告があった。
 長谷川委員より、「レンタル携帯電話が出現したことによって、そ
れまではなかった、犯罪者にとってどのような利点が生まれたのか」
旨の発言があり、生活安全局長から、「悪質なレンタル携帯電話事業
者等が本人確認を行わないで貸与しているという実態がある。レンタ
ル携帯電話以外の携帯電話については、契約時における本人確認の徹
底等がこれまで進められてきたが、レンタル携帯電話については、そ
の実際の利用者が契約者確認の対象とはされていないこともあり、犯
罪者の側からすれば、悪用しやすいという点があるのではないかと思
われる」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「レンタル携帯電話を悪用する利点は、他の犯罪
一般についても利点となる新たな状況を生み出しているのではないか」
旨の発言があり、刑事局長から、「このようなものが広がると、犯人
からすると匿名性があるまま犯行可能であるので、捜査対象となって
も犯人にたどり着きにくくなってしまう。振り込め詐欺にもレンタル
携帯電話はかなり悪用されており、犯罪インフラとして共通のものと
なっている」旨、生活安全局長から、「今回、生活経済事犯の中でも、
特にヤミ金融事犯にレンタル携帯電話が多く悪用されていることから、
調査を行い、対策を検討しているところであるが、御指摘のとおり、
生活経済事犯に限らず、様々な犯罪に悪用されていることから、その
対策については、関係部門と連携しながら、携帯電話事業者等との協
議を進めている」旨の説明があった。
 山本委員より、「本人確認義務に違反してレンタル携帯電話を貸与
した場合、そのレンタル業者に対し、直ちに回線停止措置をとること
が、基本的なルールの遵守につながることになると思う。影響の大き
さを考えれば、慎重論もあるかもしれないが、やはり決められたルー
ルはしっかりと守っていただかなければならないものであり、犯罪に
悪用されているレンタル携帯電話については、速やかな回線停止を図
るべく、必要な要請を行い、警告を発してもらいたいと思う」旨の発
言があり、生活安全局長から、「現在協議を行っているところである
が、携帯電話事業者、関係省庁に対して強く要請してまいりたい」旨
の説明があった。

(5)総合的なサイバー攻撃対策の強化について

警備局長から、「サイバーテロの脅威の増大、サイバーインテリジ
ェンス事案の続発に対応するため、警察庁にサイバー攻撃分析センタ
ーを設置するなどの態勢の整備、官民連携の推進等により、サイバー
攻撃対策の強化を図ることとした」旨の報告があった。
 奥野委員より、「サイバー攻撃特別捜査隊とサイバーフォースを設
置する等の対策の強化を打ち出しているが、サイバー攻撃の対象とな
るのは、政府機関、大企業、安全保障に関わる業務を行う企業等が中
心になると思われるので、結果として、警視庁の取扱い事案が多くな
るのか。また、全国に展開しているのは、広域的に攻撃対象が広がる
可能性があるという考え方によるものであるのか」旨の発言があり、
警備局長から、「御指摘のとおり、対象となり得るのは、国の行政機
関、重要インフラの事業者や先端技術を有する企業等であり、そのよ
うな意味では、警視庁管内の対象が多いのではないかと思われるため、
サイバー攻撃特別捜査隊の体制として最も大きいのは警視庁であるが、
サイバー攻撃に県境はなく、その他の府県も攻撃を受ける可能性はあ
るため、13都道府県に設置することとしたものである。なお、小規
模県においては、体制の構築が困難であるため、このような場合には、
警視庁等が中心となり、広域的な運用により全体で対処する方針であ
る」旨の説明があった。
 奥野委員より、「そのような発想であれば、情報の共有が重要にな
ってくるが、警察庁に設置するサイバー攻撃対策官、サイバーフォー
スセンター長が中心となり、情報交換を密にして対応していくという
ことになるのか」旨の発言があり、警備局長から、「そのような意味
からも、サイバー攻撃分析センターに司令塔機能をもたせることとし
ている」旨、長官から、「東京のみならず、地方の行政機関や企業等
もサイバー攻撃を受けている状況にあり、全体的には効率的・合理的
な配置になっていると思う」旨の説明があった。
 奥野委員より、「相当程度の専門性が必要となると思うが、サイバ
ー犯罪対策部門との協力は考えているのか」旨の発言があり、生活安
全局長から、「犯罪捜査と情報通信技術のノウハウという面から、し
っかりと連携して対応していくこととしている」旨、警備局長から、
「専門的、技術的な知見を有する職員の力を結集して対応していかな
ければならないと考えており、今回も、単に13都道府県にサイバー
攻撃特別捜査隊を設置しただけではなく、各県にサイバー攻撃対策プ
ロジェクトを設置し、サイバー犯罪対策部門、情報通信部門の職員も
加わり、共同で対処することとしている」旨の説明があった。

(6)皇太子殿下の第24回全国「みどりの愛護」のつどい御臨席等に伴
う警衛警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、5月17日から19日までの間、
第24回全国「みどりの愛護」のつどい御臨席等のため、三重県へ行
啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の
報告があった。

3 その他

(1)総括審議官から、早期退職募集制度の導入等について報告があった。
 奥野委員より、「早期退職募集制度の導入により、優秀な人材が外
部に流出していくというおそれはないのか」旨の発言があり、総括審
議官から、「今後どのような運用になってくるのか、現時点で申し上
げることは困難であるが、職員の年齢別構成の適正化を図るという趣
旨に沿った運用を念頭に置いている」旨、次長から、「制度の仕組み
としては、応募者全てを認定しなければならないこととされているも
のではなく、各省各庁の長等において引き続き公務に従事させること
を必要と認める場合は、その例外とされているところである」旨の説
明があった。

(2)生活安全局長から、5月6日に発生した埼玉県大宮西警察署管内に
おける殺人未遂事件に関する事前の対応状況等について報告があった。
 髙木委員より、「今回の被疑者のように、他人に危害を加えるおそ
れがある旨の申立てがなされた場合、過去にはどのような申立てがな
されていたのか把握できるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、
「相談を受理すれば、所定の記録がなされることになることから、そ
の後の対応において把握可能と考えている」旨の説明があった。
 髙木委員より、「国家公安委員会宛てにも多種多様な申出がなされ
ているが、こうしたおそれがあるものがないかどうかという点につい
ては気になるところである」旨の発言があった。
 山本委員より、「この事件の被疑者のような問題を抱える人は増え
ているのではないかという印象を受ける。これまでは加害行為にまで
及ぶという例は少なかったのかもしれないが、現場の警察官がその危
険性を判断することは極めて困難であり、今回のような申立てがあれ
ば、その危険性について、速やかに専門家の意見を聴くような仕組み
が必要ではないかと思う。以前とは状況が変わってきているというこ
とを前提に、もう少し踏み込んだ対応、体制の構築について議論する
必要があると思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「御指摘を
踏まえ、考えてまいりたい」旨の説明があった。