定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年9月5日(木)

午前10時05分 午前11時35分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、8月30日付け人事案件1名について説明があり、
原案どおり決定した。

(2)犯罪被害者等給付金の裁定(石川県)に対する審査請求事案の審
理状況及び採決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の
審理状況及び裁決案について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)警察庁長官に対する異議申立てに係る決定及び開示請求に係る決
定について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関
係の異議申立てに係る決定及び開示請求に係る決定について報告
があった。

(2)日・トルコ警察当局間意図表明文書の署名等について

官房長から、8月22日開催の定例会議で報告のあった、日・ト
ルコ警察当局間意図表明文書の署名等に係る米田警察庁長官のトル
コ出張及び同意図表明文書への署名の結果について報告があった。

(3)日米間のPCSC協定の実質的な合意について

官房長から、日米間のPCSC協定の実質的な合意について報告
があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「福岡県警察の警部補が、信用調査会社経営者
に調査対象者の住所、犯罪経歴等の情報を漏洩するなどの便宜を図
り、現金の供与を受けたとして、8月6日に収賄罪で通常逮捕され
た事案等に関し、同県警察は、9月5日、同警部補を懲戒免職処分
とするとともに、監督責任等として、上司等を所属長訓戒等の措置
とする予定である」旨の報告があった。
 前田委員より、「ベテランの職員が長期間同一所属にいて、上司
は頻繁に異動するということになると不祥事は大変起こりやすくな
る。もし職員を長期間同じところで勤務させるのであれば、このよ
うな不祥事が起こり得るということを認識した上で、しっかりとし
た監督が必要となるが、監察においては、こうした観点からの指摘、
注意喚起が重要であると思う」旨の発言があった。
 奥野委員より、「個人情報保護法ができたことにより情報の入手
が困難になり、違法な、又は不当な方法を使って、なんとか警察情
報にアクセスしたいという者の事案も出てくるということも考えら
れるが、これを防ぐ内部チェックの仕組みはあるのか」旨の発言が
あり、首席監察官から、「職員による個人情報の照会記録は保存さ
れ、組織的にチェックできるようになっているほか、不自然な照会
をチェックする方法についての検討なども行われたりしており、様
々な観点で事後的に確認・評価するという仕組みを導入することに
より、不正の誘因の芽をできるだけ摘んでいくということについて、
できる限り努力してまいりたい」旨の説明があり、前田委員より、
「そうした行為がなかなか分からないという場合も考えられるとこ
ろであり、やはり、同じところに長期間勤務してチェックが麻痺す
ることがないようにするとともに、やむを得ず、それが難しい場合
にはそれだけ十分な監督を行うということが肝心であると思う」旨
の発言があった。
 委員長より、「仕事のやり方やノウハウが属人的なものとされる
傾向があると、その人がいなくなると困るので、同じ職員がずっと
長くいてしまうということが起こりうる。特に警察は、人材育成を、
属人的な形ではなく、システムとして効果的に進めていくというこ
とが大切である」旨の発言があった。

(5)サイバー犯罪対処能力の強化等に向けた緊急プログラムに係る各
施策の取組状況について

生活安全局長から、「サイバー犯罪対処能力の強化等に向けた緊
急プログラム」が本年1月に策定されてから半年が経過したことを
踏まえ、これまでの各施策の取組状況について報告があった。
 奥野委員より、「この緊急プログラムの根幹は、民間事業者等と
の連携や情報共有にあると思うが、その中でも、日本版NCFTA
の創設に向けた取組状況についてはどのようになっているのか」旨
の発言があり、生活安全局長から、「現在、総合セキュリティ対策
会議において、有識者や事業者も交え、どのようなものになるのか、
どのような機能を持つのがよいかということについて議論が行わ
れているとともに、米国NCFTAに関わりのある方や、その研修
を受けた捜査員の話も聞いたりしているところである。さらに、い
かに日本の制度にマッチしたものにしていくかということについ
ても議論を深め、この会議において一定の提言をまとめていただき
たいと考えている」旨の説明があり、委員長より、「私も内閣官房
の情報セキュリティ政策会議においてこの点について言及してお
り、やはり日本版NCFTAを作るべきであるということについて
委員から特段の御異論はなかったところであるが、そうした方向で、
できるだけスピード感を持って対応していただきたい」旨の発言が
あった。
 長谷川委員より、「サイバーセキュリティに関する専門的知識・
能力を持った優秀な人材を確保したいという要請があると思うが、
処遇の問題もあることから、なかなか難しいのではないかとも思わ
れる。今後の在り方として、現在在籍している職員への教育研修を
大きく充実させていくべきなのか、何かドラスティックに良い人材
を確保することを考えた方がいいのか、そのあたりはどう考えるの
か」旨の発言があり、生活安全局長から、「この緊急プログラムに
おいて、『専門的知識・能力を有する者の採用等』と『効果的な教
育・訓練』の双方が掲げられており、これによりサイバー犯罪捜査
に必要な捜査力・解析力を強化していこうとしている。専門的知
識・能力を有する方の部外登用については、現在のところ、複数の
都道府県警察において御活動いただいているという状況であり、い
ろいろとクリアすべき点もあるが、その更なる充実に向けて、引き
続き検討を進めてまいりたい」旨の説明があり、奥野委員より、
「民間の専門的知識・能力を有する方を職員として採用することが
できれば理想であるが、処遇面や、警察という組織の特殊性などか
らなかなか難しいということであるならば、例えば、嘱託といった
形で、あるいは、一時的又は短期の応援・協力を頂けるような仕組
みをよく検討していただきたいと思う」旨の発言があり、長官から、
「アドホックに、また、その方の持ち味を発揮いただきつつ、いろ
いろな形で連携していくということも考えながら進めてまいりたい」
旨、生活安全局長から、「また、NCFTA自体がまさに産官学間
の連携と情報共有を図っていく枠組みであるので、こうしたものが
できてくると御指摘の点についてもさらに前進するのではないかと
考えている」旨の説明があった。
 委員長より、「人材の確保については、処遇の問題もあり、難し
いところもあるが、知恵を絞っていただきたい。長官を始め、警察
庁として重点的に取り組んでいる課題であり、日本版NCFTAの
問題も含め引き続きしっかり取り組んでいただきたい」旨の発言が
あった。

(6)平成25年上半期における主な生活経済事犯の検挙状況等につい

生活安全局長から、平成25年上半期における主な生活経済事犯
の検挙状況等について報告があった。

(7)三重県朝日町における女子中学生被害の強盗殺人等事件の発生に
ついて(三重県警察)

刑事局長から、8月29日に三重県朝日町において認知した女子
中学生被害に係る強盗殺人等事件の発生及び捜査の経緯について
報告があった。

(8)行政対象暴力に関するアンケート調査結果について

刑事局長から、国の行政機関の地方支分部局等に対する暴力団等
反社会的勢力による不当要求の実態を把握し、行政対象暴力対策の
推進に役立てることを目的として、日本弁護士連合会及び全国暴力
追放運動推進センターと共同で本年6月から7月にかけて実施し
た行政対象暴力に関するアンケート調査結果について報告があっ
た。

(9)東日本大震災発災後2年半に当たっての被害状況等について

警備局長から、東日本大震災発災後2年半に当たっての被害状況、
警備体制及び行方不明者の捜索状況について報告があり、関連発言
として、刑事局長から身元確認の状況及び被災地における暴力団の
活動実態と対策について、生活安全局長から被災地における犯罪情
勢について、官房長から平成25年度において岩手、宮城及び福島
の各県警察において増員された警察官及び特別出向者の活動状況
等について、それぞれ報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、内閣府における「子どもの安全に関する世論
調査」の実施結果について報告があった。

(2)刑事局長から、道仁会及び九州誠道会の動向について報告があっ
た。

(3)交通局長から、「貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関す
る有識者検討会」の開催について報告があった。
 委員長より、「この中型免許については関係業界の要望などを踏
まえ、検討・創設されたものであるが、最近ではまた新たな要望が
なされているほか、高校新卒者の就職にも影響があるとの声もある。
しかし、車両台数当たりの死亡事故発生件数については、5トン未
満の車両と比較して、5トン以上の車両がかなり多くなっていると
ころであり、こうした安全面を無視することもできないと思う。こ
うした高校生の就職への影響や、交通安全の確保などを含め、現在
の貨物自動車の運転免許制度の課題に対応していくため、どのよう
な取組が必要であるのか有識者において幅広く議論いただくことは、
警察にとっても意味があると思われ、こうした点について、有識者
検討会を開催し、御検討いただくことを、私としてもお願いしたと
ころである。なお、高校生の就職への関連もあることから、スピー
ド感を持って検討を進めていただきたいと考えている」旨の発言が
あった。
 髙木委員より、「今お話しがあった中型免許制度が設けられた具
体的な経緯はどのようなものであったか」旨の発言があり、交通局
長から、「中型免許制度ができる前は、当時、普通自動車であった
4トン積みのトラックに、リフト等の架装をした上で荷物を積む場
合、車両総重量が10トン近くになり、大型自動車としての規制を
受けることとなるため、普通免許の対象を8トン以上に拡大してほ
しいという要望がなされていたところであるが、安全面を考慮の上、
平成16年の道路交通法の改正により、車両総重量5トンから11
トンまでの自動車を新たに中型自動車とし、必要な試験に合格して、
安全が確認できれば、中型免許が交付されるということになったも
のである」旨の説明があった。

(4)情報通信局長から、民間セキュリティコンテスト「SECCON
2013」横浜大会への警察庁職員有志の参加結果について報告が
あった。
 委員長より、「積極的な参加について以前から申し上げてきたと
ころである。こうしたことは、技術のレベルアップということだけ
ではなく、仕事に役立ついろいろな人脈を構築していくという意味
でも効果があると思うので、引き続き督励していただくようお願い
したい」旨の発言があった。