定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年11月28日(木)

午前10時00分 午前11時55分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「1月1日付け国家公安委員会犯罪被害給付専門委員
1名の任命について発令していただきたい」旨の説明があり、原案
どおり決定した。

(2)風営法施行令第1条の規定によるダンス教授講習の指定について

生活安全局長から、「公益社団法人日本ダンススポーツ連盟から、
同法人の行う公認指導員特定講習について、風営法施行令第1条の
規定によるダンス教授講習として指定を受けたい旨の申請があり、
審査したところ、法令に定める指定要件に適合すると認められたこ
とから、これを指定し、告示することとしたい」旨の説明があり、
原案どおり決定した。

(3)四代目浅野組、二代目親和会、道仁会及び双愛会の指定の確認に
ついて

刑事局長から、「岡山県、香川県、福岡県及び千葉県公安委員会か
ら受理した四代目浅野組、二代目親和会、道仁会及び双愛会に対す
る指定暴力団としての指定の確認請求について、審査専門委員の意
見聴取を終えたことから、本日、国家公安委員会による確認を求め、
各公安委員会に通知することとしたい」旨の説明があり、原案どお
り決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)殉職事案の発生について

官房長から、「山口県警察の巡査が、11月23日午後0時36分
頃、山口県美祢市美東町内の県道において、白バイにより交通指導
取締り中、対向車線にはみ出して、中型貨物車と衝突し、同日午後
2時31分、搬送先の病院で死亡を確認、殉職した」旨の報告があ
った。

(3)第1回日越治安当局次官級協議の開催結果について

官房長及び次長から、11月26日、ベトナム社会主義共和国に
おいて開催された第1回日越治安当局次官級協議の結果について報
告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「北海道警察の巡査部長が、失踪した上、飲料
水等を万引きしたとして11月3日に現行犯逮捕された事案に関
し、北海道警察は、11月28日、同巡査部長を懲戒免職処分とす
る予定である」旨の報告があった。

(5)狩猟期間中の猟銃等による人身事故の発生状況について

生活安全局長から、狩猟期間中の猟銃等による人身事故の発生状
況について報告があった。
 委員長より、「猟友会は相当高齢化が進んでおり、そのメンバー
の方々からは、体力が衰えているから自信がないが、要請があれば
仕事をせざるを得ないという実情を聞いている。害獣を駆除する際
の猟銃によるこのような人身事故は、悪意がなくても、起きる可能
性がこれからもっと高まっていくのではないかと思う。イノシシな
どの野生動物による農作物への被害は深刻であり、田畑に電柵を張
り巡らしても上手にすり抜け、農作物を荒らしたり、駅前などに出
没し、場合によっては人に危害を加えかねないというような実態が
ある。エゾシカなどの被害に悩む北海道では、自衛隊が被害防止対
策に協力したりしているが、警察だけでなく、自治体、関係機関、
関係者が連携し、害獣対策も含め総合的にやっていかなければ、猟
銃による事故は間違いなく増えていくだろうと思う。それくらい深
刻な実態があるということを御理解いただきたい」旨の発言があっ
た。
 委員長より、「鳥獣被害の防止については自治体の対応というこ
とになろうが、猟友会に若い人に入っていただけないという課題が
ある」旨、山本委員より、「若者によるライフル免許の取得が難し
く、もう少し何とかならないかという要望があるということをかつ
て聞いた」旨の発言があり、生活安全局長から、「農作物に被害を
もたらす鳥獣の駆除のためにライフル銃を必要とする者については、
散弾銃を10年以上所持していなくてもライフル銃の所持を認めて
いるほか、鳥獣被害防止特措法に基づき市町村等の職員が捕獲を行
う場合にも、ライフル銃の所持許可の対象になり得ると解釈し、所
持許可の手続が円滑に行われるような措置が講じられている」旨の
説明があった。

(6)指定暴力団「九州誠道会」の「浪川睦会」への名称変更について

刑事局長から、「福岡県公安委員会は、指定暴力団『九州誠道会』
が、団体の名称を『浪川睦会』に変更したと認めたことから、暴力
団対策法第7条、第36条等の規定に基づく団体の名称変更手続を
行うこととした」旨の報告があった。

(7)福岡県志免町所在の中学校における拳銃誤射事案の発生及び拳銃
加重所持等事件被疑者の検挙について(福岡県警察)

刑事局長から、福岡県志免町所在の中学校における拳銃誤射事案
の発生及び拳銃加重所持等事件被疑者の検挙について報告があっ
た。

(8)「治安の回顧と展望」(平成25年版)について

警備局長から、「治安の回顧と展望」(平成25年版)について報
告があった。

(9)天皇皇后両陛下のインド国御訪問に伴う警衛警備について

警備局長から、「天皇皇后両陛下は、11月30日から12月6日
までの間、インド国政府からの招請を受け、国際親善のため、同国
を御訪問になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施す
る」旨の報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、「10月8日に東京都三鷹市において発生した
女子高校生被害に係る殺人事件に関し、警視庁は、この度、相談対
応等の確認結果及び今後取り組むストーカー対策について取りまと
め、12月6日に開催される東京都公安委員会定例会議において報
告し、御検討いただくこととしており、同委員会の了承が得られれ
ば、その結果を公表することとしている。また、警察庁においては、
本事件を踏まえ、人身安全関連事案に対処するための体制の確立及
びストーカー事案等に係る危険性判断チェック票の活用に関する通
達を発出することとしている」旨の報告があった。
 山本委員より、「12月6日に東京都公安委員会において検討し、
その後公表するとのことであるが、御遺族において公表を差し控え
てほしいという内容もあるのではないかと思われるが、どのように
対応するのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「御遺族には、
公表させていただいてよいかということも含め、あらかじめ御説明
することとしている」旨の説明があり、山本委員より、「公表によっ
て被害者・御遺族のプライバシーを害することにならないよう、十
分に注意していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、
「御遺族の御意向を踏まえ、慎重に対応したい」旨の説明があった。
 山本委員より、「警察としては、相談があった場合、被害者の方か
らお話を聞いて事案の概要を把握し、執るべき措置について判断す
ることとなるが、最初の段階ではそれほどはっきりした事実を把握
できない場合もあると思う。そうすると、加害者を検挙して身柄拘
束し、刑事手続に乗せることにより事態を沈静化させる効果がある
かないかということと、身柄を拘束したとしても、すぐに釈放され
る可能性がある今の刑事司法のシステムの下で、逆に火に油を注ぐ
ことにならないかということとを考えながら、刑事手続をとるのか
どうか判断することになろうが、そのあたりもよく研究していただ
く必要があると思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「今回、
相談に対して適切な判断をするための態勢の構築を検討することと
しているほか、相談受理時における適切な危険性・切迫性の判断に
資するため、専門家の助言をいただきながら、『危険性判断チェック
票』を活用することとしているところである。また、警察署に相談
があった場合には、警察署長に報告するとともに、警察本部にも速
報し、警察本部の有する知見を活かして警察署を指導するようにす
ることとしているほか、来年度予算概算要求にはストーカーの行為
者に対する精神医学的・心理学的アプローチに係る調査研究を盛り
込んでおり、加害者心理についても研究していくこととしている」
旨の説明があった。
 山本委員より、「早い段階で加害者の身柄を拘束しても、大抵は略
式起訴での罰金刑で終わり、釈放されてしまう」旨の発言があり、
生活安全局長から、「確かに、せっかく逮捕し、起訴され、有罪とな
っても、執行猶予が付され、執行猶予中に再び事件を敢行するとい
う事例がある」旨の説明があり、山本委員より、「そういった実情を
裁判所にも理解してもらうことが必要ではないか。現場に責任がか
ぶされて結果責任ということでは問題があり、それで現場が回って
いくのか心配である」旨の発言があり、長官から、「被害者自身にお
いて危険を認識し、避難してもらうことが大変重要である。恋愛の
トラブルが発生した場合、安全を守るためには、被害者にもかなり
の負担・制約が出てくる場合もあるということを理解してもらう必
要がある」旨の説明があり、山本委員より、「そういう意味では、全
国で起こっている事例を踏まえ、安全を確保するためには、どうい
った点に注意すればよいか、避難するということでもいいので、情
報発信していく必要があると思う」旨、奥野委員より、「被害者に避
難を強制はできないし、警察の助言を受け入れてくれるかという問
題はある」旨の発言があり、生活安全局長から、「学校や仕事との兼
ね合いから避難をためらう場合もあるほか、避難先から出たところ
で危害を加えられる可能性はある」旨の説明があった。
 前田委員より、「ストーカー規制法の改正など規制を強化しても、
効果に結びつかないということはないか」旨の発言があり、生活安
全局長から、「警察の警告・指導を聞き入れる加害者であれば、規制
の効果はあるが、そうでない場合もあり得ると思う」旨の説明があ
り、前田委員より、「避難しなさいというのが警察の対応の限界であ
り、それ以上は限界を超えているように思う」旨、奥野委員より、
「個人の生命・身体を守る責務のある警察としては、何らかの対応
は必要で、未然防止を図ることのできた事例もあり、少しでも被害
を食い止められるよう、そのための能力・体制を強化していくこと
が必要だと思う」旨の発言があった。
 長谷川委員より、「この事案では、年齢が若いことと、遠方から被
害者の家にやってくるようなことからすると、かなり危険といえる
と思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「検挙後、被疑者の供
述などから判明した事実関係も多く、当時としては、危険性の十分
な認識が困難であったものと思われる」旨の説明があり、奥野委員
より、「相談者から話をしてもらうためにどのようなことが必要なの
か考え、女性警察官の配置など、工夫や改善を進め、危険性・切迫
性を判断していくという努力が必要である」旨の発言があり、生活
安全局長から、「現場で相談に当たる職員のセンス・聞き方に左右さ
れるところもあるので、複数の職員が関与したり、判断に資するツ
ールを活用したりして、適切な判断ができるように努めてまいりた
い」旨の説明があった。
 奥野委員より、「重大なストーカー行為があっても連鎖はしないと
聞いたことがあるが、そのような理解でよいか」旨の発言があり、
長谷川委員より、「自殺については研究結果があるが、ストーカー行
為については、そのような研究がなされておらず、分からない。た
だ、潜在的に相手に対する攻撃の感情を持っている人が、このよう
な事件に触発されて実行するということは考えられ、他で発生した
事件がその契機になるということはあるかもしれない」旨の発言が
あった。
 委員長より、「事案の9割は警察が警告をすれば収束するとして、
課題はそれでも収まらない残りの1割である。警察としてどのよう
な対応を執るのか、警察の対応の限界はどこなのか、事例をよく集
めて、都道府県警察にきめ細かく指導していくことが必要であろう。
もうひとつ大切なことは、できるだけ自主的な対応ができるよう教
育していくことである。例は違うかもしれないが、防災行政におい
ても、避難勧告が出てもなかなか住民が避難しないという現実があ
り、勧告・指示がなくても危険を感じたら自らの判断で避難してい
ただきたい、空振りならそれはそれで幸いではないかという意識を
国民が持たないと災害死はなくならないということを申し上げたこ
とがあるが、批判よりむしろ評価いただいたと思う。同様に、この
種の事案についても、誰がいつ被害者になるのか分からないから、
そういう視点で教育をしていくことについて、学校や関係機関に働
き掛けていくことが大切である。警察のやることには限界があるの
で、そういうアドバイスを学校にしていくなど、総合的な取組が必
要である」旨の発言があり、生活安全局長から、「現在、文部科学省
を含め、有識者検討会を行っているところであり、警察庁としては、
関係省庁と連携して取り組んでまいりたい」旨の説明があった。
 髙木委員より、「被害者に避難してもらう場合、避難先としてはど
のような場所があるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「婦
人相談所のほか、友人・知人宅やホテル等の宿泊施設などがある」
旨の説明があり、髙木委員より、「婦人相談所で被害者を十分に保護
できるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「ストーカー規制
法の改正の議論などの中で、婦人相談所の積極的な活動を期待する
声があると聞いている」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「対面であれば、表情、声、ゼスチャーなどで相
手の本気度や怖さが分かるが、メールだと文字だけであるので、い
くら嘘を言われても、真実という保証がない」旨、山本委員より、
「長谷川委員から御指摘があったようなことを一般社会に伝えてい
かないといけない。認識を超える実態があるのかもしれない。今は、
写真だけでなく、あらゆる情報がネット上で一瞬のうちに広がって
しまう」旨、委員長より、「SNSの負の側面であり、これから更に
増えることが予想される。学校教育においてICT教育が推進され、
利用方法についての教育はかなり進んできたが、今後は、ツールの
利用は当たり前との前提の下に、リテラシー等の教育にも力を入れ
ていかなければ、この種の事件は増えるばかりである」旨、長谷川
委員より、「人とのコミュニケーションが全部メールなどで行われる
ようになり、全般的に相手を見極める力が落ちてきていると思う」
旨の発言があった。
 委員長より、「道路交通も、車社会になり始めたばかりの時はルー
ルやマナーが守られず、死者数が1万人を超えていたが、今では技
術の発展やインフラの整備、マナーの向上などにより大きく減少し
ている。ネット社会は、まだ普及し始めたところであり、これから
は、利便性と裏腹の関係にあるリスク・コストを如何に減らしてい
くかということを考えていくのが大切であろう。警察は、警察の司
のところでしっかりとやっていただきたい」旨の発言があった。

(2)刑事局長から、11月27日、千葉県市川市八幡2丁目において
発生した女性殺害事件の発生状況、捜査経過等について報告があっ
た。

(3)警備局長から、長官狙撃事件の捜査結果の公表に対する国賠訴訟
の控訴審判決について報告があった。

(4)前田委員より、「外国人被留置者が取調室から逃走し、県下全域に
緊急配備が発令されている最中、部下とともにゴルフをしていたと
して、警察署長が更迭されている。警察署長は、休日も含めかなり
多忙になっており、捜査指揮など本来行わなければならない業務に
集中してもらうため、警察署長の業務の整理・合理化等に取り組ん
でいるが、そのような状況下で今回の事案が起こったことには違和
感がある。もちろん、警察署長が平日に休暇を取ってはいけないと
いうことはないし、禁止する性格のものでもないが、平日に部下を
連れてゴルフに行くというのはいかがなものかと思う」旨の発言が
あり、長官から、「職務命令で禁止するような性格のものではないと
は思うが、警察署長がむやみに管内から離れるというのが問題であ
ると思う」旨の説明があり、委員長より、「警察署長という職に就く
ということは名誉なことであり、任期も必ずしも長いというわけで
はないので、しっかりと頑張って取り組んでいただく必要がある」
旨の発言があった。