定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年12月19日(木)

午前10時05分 午前11時35分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「自動車安全運転センター役員の選任について認可し
ていただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「宮城県警察の巡査らが、取調べ中の被疑者に取
調室から逃走された事案の監督責任として、同県警察は、国家公安
委員会の了承が得られれば、12月20日、地方警務官の警察署長
を本部長訓戒の措置とする予定である」旨の説明があり、原案どお
り了承した。

(3)配偶者暴力防止法の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公
安委員会規則の整備に関する規則案について

生活安全局長から、配偶者暴力防止法の一部を改正する法律の施
行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則案に関し、1
1月1日から30日までの間に実施した意見募集の結果及び同規則
案の概要について説明があり、原案どおり決定した。

(4)「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関す
る基本的な方針」について

生活安全局長から、配偶者暴力防止法の一部を改正する法律の施
行に伴い、新たに策定されることとなった「配偶者からの暴力の防
止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針」の案に
ついて説明があり、原案どおり決定した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)平成26年度警察庁予算の査定状況について

官房長から、平成26年度警察庁予算の査定状況及び今後の予定
について報告があった。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「近畿管区警察局滋賀県情報通信部の事務官が、
パワハラ行為をした事案に関し、同管区警察局は、12月19日、
同事務官を減給処分とする予定である」旨、1(2)で説明のあっ
た、宮城県警察の巡査らが被疑者に逃走された事案に関し、「同県警
察は、12月20日、同巡査らを戒告処分とするほか、監督責任と
して、上司らを本部長注意等の措置とする予定である」旨、「宮城県
警察の警視らが、信用失墜行為等をした事案に関し、同県警察は、
12月20日、同警視らを本部長訓戒等の措置とする予定である」
旨、「警視庁の巡査部長が、児童買春をした事案に関し、警視庁は、
12月20日、同巡査部長を懲戒免職処分とする予定である」旨、
「埼玉県警察の非常勤職員が、本年8月、女児に対してわいせつな
行為をしたとして、11月1日に通常逮捕された事案に関し、同県
警察は、12月20日、同非常勤職員を懲戒免職処分とする予定で
ある」旨及び「愛知県警察の巡査部長が、12月5日に収賄罪で通
常逮捕された事案に関し、同県警察は、12月25日、同巡査部長
を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司らを所属長
訓戒等の措置とする予定である」旨の報告があった。

(3)スマートフォン等の普及を踏まえた児童の犯罪被害等を防止する
ための取組の推進について

生活安全局長から、「スマートフォンや携帯ゲーム機など、児童が
利用するインターネット接続機器が多様化し、急速に普及する中、
関係機関・団体と連携し、スマートフォンに対応したフィルタリン
グの普及など、インターネット利用による児童の犯罪被害や非行を
防止するための取組を総合的に推進することとした」旨の報告があ
った。
 髙木委員より、「アプリフィルタリングのサービスがないスマート
フォンの機種があるとのことだが、そうしたニーズがあるというこ
とが最初から分かっているにもかかわらず、アプリフィルタリング
サービスがない状態の製品が市場に流通すること自体が問題ではな
いのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「一部の機種について
は、利用者の年齢を制限する機能は有しているものの、年齢制限の
設定を保護者が考えながら取捨選択しなければならないなど、保護
者の負担が大きくなっており、他のメーカーと同様に簡便な設定が
できるようになれば良いと思う。海外の仕様で日本の市場に参入し
ているというものもあり、まだまだ課題が多いという感じがする。
ただ、メーカーもフィルタリングの必要性について総論的には理解
されていると思われ、内閣府や総務省とも連携して検討会を開催し
たり、必要な働き掛けをしたりしているところであるので、今後も
そのように取り組んでまいりたい」旨の説明があり、髙木委員より、
「最近は、次々と新しい機種が出てきており、いわゆるガラケーで
はいろいろな対応ができるようになったと言ってみても、その利用
者のシェア自体が減ってきているのだから、このままでは、頭隠し
て尻隠さずということが繰り返されるということにはならないか。
きちんと対応するのは、社会に製品を送り出す側の責任ではないか
と思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「事業者としては、通
信の普及と被害の防止双方の観点があると思われ、そうした兼合い
の中で、警察としては、様々な事例等を紹介しながら、危険性をア
ピールして、特に児童が有害アプリを利用したりしないように取り
組んでいきたいと考えている」旨の説明があった。
 髙木委員より、「最近の子供や学生は携帯電話ばかりしていて、授
業をまともに聞かないとの声もある」旨の発言があり、生活安全局
長から、「メール等のやりとりも、返信をしないというだけで、無視
をしたということになって仲間はずれにされかねないと、どきどき
しながらやっているという話も聞く。調査をする度に、携帯電話に
向かい合う時間が長くなる、利用者が低年齢化する、危険なアプリ
ケーションが次々と出てくるというようになってきており、警察と
しても、こうした動向に対応できるよう努力しなければならないと
思う」旨の説明があった。
 委員長より、「スマートフォンを児童が使うことによって犯罪被害
に遭わないようにするため、学校関係者、PTA等との連携はどの
程度できているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「県によ
って違いはあるが、最近では、警察署と学校間、警察本部と教育委
員会間でも、少年非行問題、いじめ問題などへの対応も含めて連携
の強化が図られてきているほか、中央レベルでも、警察庁と文部科
学省との間で人事交流を行うなどして、相互に密に連携が取れるよ
うになってきている」旨の発言があり、委員長より、「それは、都道
府県警察と教育委員会との間でなど、地域の自主性により行われて
いるものなのか。文部科学省も通達などにより現場を指導している
のか」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察庁としては、これ
までも、さまざまな形で警察と学校の連携の強化について全国に指
示をしてきたところであり、文部科学省においても同様に対応され
ていることと思う。例えば、非行防止教室などの場に警察からも参
加して、一緒に啓発活動などを行っているところである」旨の説明
があった。

(4)海外の偽サイト等に係る被害拡大防止対策について

生活安全局長から、「海外のサーバを通じてインターネット上に
掲載された、偽のインターネットショッピングサイト等による詐欺
被害等が多発していることから、その被害拡大を防止するため、各
都道府県警察が、相談の受理等を通じて把握した、これら偽サイト
のURL情報等を警察庁が集約し、ウイルス対策ソフト事業者等に
提供することにより、被害拡大の防止を図る対策を推進することと
した」旨の報告があった。
 前田委員より、「この対策は、大阪府警察が既に今年の3月から
取り組んでいたということだが、各都道府県警察によるこのような
独自の良い取組に関する情報については、そのままだと把握できな
い可能性があるので、警察庁に報告がなされる仕組を作った方がよ
いのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「大阪府警
察によるこの取組については、実施後速やかに警察庁に報告がなさ
れている。良い取組であり、全国的に推進するべく検討を始め、御
協力をいただく事業者との調整を経て、今般全国的に実施すること
ができることとなったものである。このように、各都道府県警察に
おいて、効果的な取組を行った場合には、警察庁、管区警察局への
報告や他の都道府県警察への紹介がなされることとなっている」旨
の説明があった。

(5)指名手配被疑者捜査強化月間実施結果について

刑事局長から、本年11月に実施した指名手配被疑者捜査強化月
間における検挙状況等について報告があった。

(6)広域にわたる少年漫画関連箇所を対象とした威力業務妨害事件等
について(警視庁)

刑事局長から、「昨年10月以降、特定の人気少年漫画を対象と
して、関連する東京都内の大学に硫化水素発生中の容器が置かれた
り、全国各地の当該少年漫画関連企業や報道機関等へ脅迫文書が郵
送されたりするなどの事案が相次いで発生したことを踏まえ、所要
の捜査が推進されてきたが、警視庁は、先に述べた大学における事
案について、12月15日、被疑者を威力業務妨害罪で通常逮捕し
たところであり、一連の事案の全容解明に向け、鋭意捜査を推進す
る」旨の報告があった。
 奥野委員より、「広域にわたる犯罪、サイバー犯罪という2つの
特徴があり、今後もこのような事件が起きれば警視庁が中心となっ
て捜査をすることになるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「こ
の事件では、硫化水素発生中の容器を置かれた場所が東京都内の大
学であり、また、全国で脅迫文が投函されているが、被害に係る関
連企業やイベント施設が東京に多かったところであり、体制的にも
充実している警視庁を中心に捜査がなされている」旨の説明があり、
奥野委員より、「今年度サイバー犯罪対策の体制を強化したことの
成果でもある典型的な事件だと思うが、警視庁のどのような部署が
捜査の中心になるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「警視庁
は、早い時期から、刑事部捜査第一課内にサイバー犯罪を主な任務
とするハイテク犯罪捜査班を立ち上げていた。今回の事件では、ロ
グの解析と防犯カメラ捜査と組み合わせることにより、犯人にたど
り着いたものである」旨の説明があった。
 奥野委員より、「犯人は身柄を拘束された際、『負けました』と
いう趣旨のことを言ったと報道されているが、あたかも警察と対決
するというゲーム感覚のようなものを持っていたのではないか。動
機や犯行の態様を見ると、非常に現代型というか新しいタイプの事
件であり、捜査員の地道な努力を評価したい」旨、山本委員より、
「報道では、成功している漫画家に対する嫉妬が動機であるという
ことが言われていたが、正直、嫉妬だけでそこまでやるのか、本当
の動機は他にあるのではないかと思っていた。ゲームとして警察と
対決する感覚というものがあるとすると、ゲーム感覚で警察と対決
するということに興味を持つという、ある種のマニアが今後次々に
出てこないとも限らない。仮に、このような者らによるこの種の行
為が蔓延したとすれば、その対応のために警察力が大きく削がれる
ということにつながりかねないので、この事件の捜査に当たっては、
そうした観点から、被疑者が、どういう背景を持つ人物で、なぜこ
のような感覚を持つに至ったのか、というようなことをよく解明し
ていただき、同種の事案が起きないようにするためには何ができる
のか、ということを是非強く意識していただきたい。興味本位であ
る種の遊びにはまった結果、反社会的なものに対する抵抗力や規範
意識を失った人間が増えることが懸念され、社会全体で意識的に対
応していかなければならないと思う。例えば、児童ポルノに関して
も、所持禁止が議論されるところまで来たが、インターネットの利
用が促進され、興味本位でアプリケーションが次々と作られていく
中で、知らず知らずのうちに正常な感覚を失っていくとか、小さな
子供がゲームばかりして社会性が身に付かないとかいったことが、
やがて大きな問題に発展するということはあり得ると思う。この事
件の捜査を通じて、どういう背景があれば正常な感覚が麻痺してし
まうのか、ということを解明していただき、判明したことを社会に
発信するということも是非意識してやってもらいたい」旨の発言が
あり、刑事局長から、「捜査を進めていく中で、事件の背景や犯行
動機等についても解明するようにしてまいりたい」旨の説明があっ
た。

(7)自動車安全運転センター評議員の任命の認可及び業務方法書の一
部変更の認可について

交通局長から、「自動車安全運転センター法の規定に基づき、同セ
ンターから国家公安委員会に対し、評議員の任命の認可の申請及び
業務方法書の一部変更についての認可の申請がなされ、それぞれ適
正であると認められたことから、長官決裁の上、認可を行った」旨
の報告があった。

(8)天皇誕生日一般参賀及び新年一般参賀に伴う警備について

警備局長から、「12月23日に天皇誕生日一般参賀が、平成26
年1月2日に新年一般参賀が、それぞれ皇居において行われる予定
であり、皇宮警察本部及び警視庁において所要の警備を実施する」
旨の報告があった。

(9)大手企業に対するサイバー攻撃事件について

警備局長から、大手企業を対象として敢行されたサイバー攻撃事
件のこれまでの捜査経過等について報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、パトカーが警らの際にメロディ音を鳴らしな
がら走行し、犯罪抑止と住民の安心感の醸成を図る「メロディパト
ロール」の全国における実施状況について報告があった。

(2)委員長より、「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方
に関する懇談会については、最終回となる会合が昨日行われ、来週、
これまでの議論の結果を踏まえた提言を頂くこととなった。今後は
提言に沿って如何に対応していくかということが重要となる。提言
については、来週の公安委員会で御報告する予定であるので、是非
各委員からの御意見をいただきたい」旨の発言があった。