定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年1月9日(木)

午前10時00分 午前11時00分


第2 出席者 長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「岩手県警察の警部補が、酒気帯び運転をしたと
して、平成25年12月12日に現行犯逮捕された事案等に関し、
同県警察は、1月10日、同警部補を懲戒免職処分とするとともに、
監督責任として、上司を本部長注意の措置とする予定である」旨の
報告があった。

(2)平成25年の刑法犯認知・検挙状況と今後の犯罪抑止対策につい
て(暫定値)

生活安全局長から、平成25年中の刑法犯認知・検挙状況と今後
の犯罪抑止対策について報告があった。

(3)冷凍食品への農薬混入事案について(群馬県警察)

刑事局長から、群馬県邑楽郡大泉町所在の冷凍食品工場において
製造された冷凍食品に農薬が混入した事案の捜査状況等について報
告があった。
 髙木委員より、「会社による従業員への聞き取り調査は、警察の捜
査との関係で中断しているとの報道があったがどうか」旨の発言が
あり、刑事局長から、「警察が捜査の一環として従業員から事情聴取
を行っていることを受け、会社が従業員に対する聞き取り調査を中
断したと聞いている」旨の説明があった。
 髙木委員より、「農薬は原材料に練り込まれていないということだ
がどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「厳密には事件を検挙し
てみなければ分からないが、原材料に練り込まれた可能性は低いと
考えられる」旨の説明があった。

(4)「第54回交通安全国民運動中央大会」の開催について

交通局長から、「第54回交通安全国民運動中央大会が、1月16
日及び17日の2日間、東京都内において開催される。第1日目は
分科集会、第2日目には本会議が行われ、本会議においては、秋篠
宮同妃両殿下の御臨席を仰ぎ、交通栄誉章等の表彰、交通安全宣言
等が行われる予定である」旨の報告があった。

(5)平成25年中の交通事故死者数について

交通局長から、平成25年中の交通事故死者数は4,373人で
あり、13年連続で減少したこと等について報告があった。

(6)安倍内閣総理大臣のオマーン国及びアフリカ諸国(コートジボワ
ール共和国・モザンビーク共和国・エチオピア連邦民主共和国)歴
訪に伴う警護警備について

警備局長から、「安倍内閣総理大臣は、1月9日から1月15日ま
での間、各国首脳との会談等のため、オマーン国、コートジボワー
ル共和国、モザンビーク共和国及びエチオピア連邦民主共和国を歴
訪予定であり、これに伴い所要の警護警備を実施する」旨の報告が
あった。

3 その他

(1)官房長から、次期通常国会提出予定法律案の検討状況について報
告があった。

(2)刑事局長から、1月7日、横浜地方検察庁川崎支部において弁護
士と接見中の集団強姦等被疑者が逃走した事案について報告があっ
た。
 奥野委員より、「報道によると、川崎支部には接見室がないため、
取調室で接見が行われ、警察官と検察事務官が立ち会っていたとの
ことであるが、通常、取調室で接見を行う場合にはそのような体制
で行われるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「立会いそのもの
は基本的には検察事務官が行うが、身柄拘束をされていて護送状態
にある被疑者であり、被疑者には腰縄が着けられ、これを護送して
きた警察官が把持して警戒をしているという状況である」旨の説明
があった。
 前田委員より、「弁護士の接見後手錠は掛けなかったのか」旨の発
言があり、官房長から、「まだ完全に接見は終わっておらず、弁護士
も取調室にいたという状況であった」旨、刑事局長から、「接見をし
た弁護士は、結局受任しないことになり、その旨の通知書を検察事
務官に提出するに際して、そのコピーが欲しいと申し出たため、検
察事務官がコピーを取るために取調室を出ていた間に逃走されたも
のである」旨の説明があり、前田委員から、「警察官などの関係者が
いる目の前で逃げられている」旨の発言があった。
 髙木委員より、「弁護士は受任を断ったとのことであり、それが理
由で逃げたのか」旨の発言があり、刑事局長から、「動機は捕まえて
から本人に聞くほかないが、逃走直前に、取調室からトイレに行っ
ており、トイレでは一旦腰縄を外して片手錠で用便をさせ、トイレ
から取調室に戻った際、護送の警察官に腰縄が緩んでいると申し出、
警察官が締め直そうとした際に隙をぬって逃走したものである」旨
の説明があった。
 山本委員より、「そもそも検察庁の中で接見が行われる場合の、被
疑者の身柄を確保する責任は警察と検察庁のどちらにあるという認
識か」旨の発言があり、刑事局長から、「検察庁は、警察から身柄付
きで送致を受けており、この時点で、検察庁には、被疑者の身柄を
しっかりと確保するという責任があると思われる。ただ、警察とし
ても、被疑者を護送してきているわけであり、護送警察官としては、
警察署の留置場に戻すまで、被疑者に逃走されないよう確実に護送
をするという責任はある。その意味では、検察庁と警察の双方に責
任はあると考える」旨の説明があり、山本委員より、「取調室の鍵は
開いていたというし、身柄確保の責任が曖昧になっている中で起こ
ったものであると思う」旨の発言があり、刑事局長から、「専用の接
見室がない検察庁の施設は相当数あるとのことであり、法務省とと
もに逃走された経緯を確認して、再発防止を図っていかなければな
らないと考える」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「先日もドイツ人被疑者に逃げられたし、最近同
様の事案が割とあるように思う」旨の発言があり、刑事局長から、
「昨年は、宮城県仙台中央警察署から取調中の被疑者が逃走した事
案、刑務官に山形新幹線で護送されていた受刑者が山形駅頭で逃走
した事案があったが、いずれも、腰縄をずり下げ、外されたという
状況が共通している」旨の説明があり、長谷川委員より、「その場合
でも逃げ出すまでに多少の合間はあると思うが、なぜその間に何も
できないのか」旨の発言があり、刑事局長から、「床面に腰縄を落と
されてしまえば、すぐに逃走されてしまうが、それにしても警察官
なり刑務官は直近にいるのだから、なぜほんの一瞬であっても異変
を感じ、抱きついて阻止するなどの対応ができなかったのか、とい
う問題意識は今申し上げた3つの事案に共通して感じる」旨の説明
があった。
 山本委員より、「手錠を、片方は腕にして、もう一方は動かない椅
子などに確実につないでおくということなどはできないのか」旨の
発言があり、官房長から、「取調中であればかえって問題になると思
う」旨の説明があり、山本委員より、「取調べの適正を担保するため
にそのような配慮が行われているのだろうが、逃げられてしまえば
元も子もないわけだから、手錠の利用の仕方をもう少し考えなけれ
ばならないのではないか」旨の発言があり、官房長から、「簡単に抜
かれない腰縄ができないか研究を始めたところである。あまりがっ
ちりとしたものは、戒具のようになり、取調べの適正などの問題が
生じうることから、これまではあまり作られてこなかったが、こう
した逃走事案が続くと何らかの対策が必要なので、戒具との限界も
踏まえつつ抜かれないような腰縄を大至急研究させたい」旨の説明
があった。
 山本委員より、「このように逃走事案が続くと、被疑者や被告人に
逃げることはできるのだということを知らしめているようなものに
なる。そういう視点で見ると、裁判所における審理の際も被告人の
手錠を外すわけで、刑務官が側にいるとはいえ、被告人が本気で逃
げようと考えたら、本当に阻止できるのか、問題のある状態だと思
う。これまでは、被告人自身が逃げないと思っているから、あまり
そのような問題は起きなかったが、これだけ逃走事案が起きると、
裁判所も問題意識を持たないといけない場所の一つになると思う」
旨の発言があった。
 奥野委員より、「被疑者を逮捕し、しっかり確保するということは
警察活動の原点だと思う。今回は凶器も持っていない相手に簡単に
逃げられたわけで、素人目で見ても不思議でならない。隙があるの
か、制度に問題があるのか、教育が甘くなっているのか、もう一度
点検する必要があると感じた」旨の発言があった。
 髙木委員より、「スクーターで逃走したとの目撃情報があるとの報
道があったがどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「寄せられた
目撃情報を踏まえた捜査も行っているところである」旨の説明があ
った。

(3)刑事局長から、エクアドルにおける邦人観光客被害強盗殺人事件
の発生について報告があった。

(4)奥野委員より、「12月31日、東京都内において、タクシーを奪
って逃走中の被疑者が職務質問をした警察官をナイフで刺したため、
警察官が拳銃を発砲したという事案があった。報道を見ている限り、
当該警察官の拳銃使用について特段の問題があるようには思えない
がどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「拳銃を使用した警察官
が所属する警察署では、『現時点では、適正な職務執行と考えている
が、今後、状況を確認する』とコメントしており、現時点では拳銃
使用に問題はなかったとの認識である」旨、次長から、「拳銃を使用
せずにあのまま犯人に逃げられていたら、より大変なことになって
いたと思う」旨、長官から、「犯人も警察官も入院中であり、回復を
待って事情聴取した上で、最終的に事実を確定することになる」旨
の説明があった。
 奥野委員より、「この犯人は、母親を殺害し放火したとの疑いも出
ているところであり、その点についての捜査も必要になってくると
思うが、いずれにしても、事件の拡大を阻止をしたということで適
切な対応だったと思う」旨の発言があった。