定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年1月23日(木)

午前10時00分 午前11時10分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官、国家公安委員会会務官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会委員長に対する開示請求の決定について(行政機
関情報公開法関係)

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会委員長に対してなさ
れた行政機関情報公開法関係の開示請求に係る決定の案について説
明があり、原案どおり決定した。

(2)警察官の服制に関する規則の一部を改正する規則案について

官房長から、女性警察官の制服上衣の制式を改めることを内容と
する警察官の服制に関する規則の一部を改正する規則案について説
明があり、原案どおり決定した。
 山本委員より、「警察の現場での仕事に関して、改善を要すること
は数多くあると思われるが、それを一番よく知っているのは、現場
で働く全国28万人の警察職員ではないかと思う。ところが、現場
の警察職員にとっては、国家公安委員会は雲の上の存在であるとい
う意識があって、なかなか改善提案に至らなかったというのがこれ
までの流れであったと思う。しかし、現場の職員が改善意識を持っ
て仕事に取り組んでいくことで大きな成果が出るということは、民
間企業などにおいても間違いないことである。現場の警察職員には、
是非、小さなことでも提案をすれば実現するのだ、という意識を持
って、日々の業務の改善点を見つけてもらいたいということを、改
めて申し上げておきたい。現場の警察官は、極めて忙しくタイトな
生活を送っているが、警察の果たすべき役割を全うしてもらうため
には、ある程度余裕が持てるような状況に置くことが必要であり、
そのためには、ムリ・ムダ・ムラのないように、みんなで無駄と思
われる仕事や作業を見つけていく、ということが大切である。国家
公安委員会としても、是非現場の皆さんの意見を聞きたいと思って
いる、ということをお伝えいただきたい」旨、委員長より、「山本委
員から大変重要な御指摘があったと思う」旨の発言があり、長官か
ら、「現場の業務に関する改善提案を吸い上げる仕組として、『第一
線の業務改革』という取組をしており、今回の警察官の服制に関す
る規則の改正もその中で提案がなされたことを踏まえて行ったもの
である。予算や制度上の制約や各都道府県の警察本部がどれだけ現
場の意見を吸い上げているかといった課題はあるが、このような取
組を活性化していかなければならないと考えている」旨の説明があ
り、山本委員より、「予算の問題などがあり、対応が難しいものもあ
るとは思うが、『今は実現できないけれども、このようにしていくと
よい』ということを確認することだけでも大切なことである」旨の
発言があった。

(3)「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則の一
部を改正する規則案」に対する意見の募集について

生活安全局長から、消費税及び地方消費税の税率の引上げに伴い、
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」の
一部を改正するに当たり、1月24日から2月22日までの間、そ
の改正案を一般に公表し、意見を募集することについて説明があり、
原案どおり決定した。

(4)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募
集について

交通局長から、道路交通法の一部を改正する法律の施行に伴い、
道路交通法施行令を始めとする関係法令の一部を改正するに当たり、
1月24日から2月22日までの間、その改正案を一般に公表し、
意見を募集することについて説明があり、原案どおり決定した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)契約における実質的な競争性の確保に関する調査について

官房長から、「総務省は、全府省を対象に、国が締結する契約にお
ける実質的な競争性を確保するための取組の推進状況等について調
査を実施し、この度、国家公安委員会・警察庁を含む全府省に対し
て勧告を行うこととなった。警察庁においては、勧告を踏まえ、調
査結果を全部局に周知させ、必要な改善措置を講じるとともに、改
善措置の実施状況について会計監査を通じて確認を行ってまいりた
い」旨の報告があった。

(2)平成25年中の懲戒処分者数について

首席監察官から、「平成25年中の全国警察職員の懲戒処分者数
は、前年と比べ、69人減の389人で、その内訳は、懲戒免職3
5人、停職99人、減給178人、戒告77人である」旨の報告が
あった。

(3)平成26年度監察実施計画について

首席監察官から、「この度、監察に関する規則に基づき、平成26
年度に警察庁が行う監察の実施計画を作成した。このうち、四半期
ごとの全国統一実施項目は、それぞれ、『警察情報システム等におけ
る情報の取扱状況』、『サイバー犯罪対処能力の強化等の推進状況』、
『恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案への迅速かつ的確な対
応状況』及び『証拠物件の保管管理の徹底状況及び適正捜査の徹底
状況』である」旨の報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「山口県警察の巡査が、酒気帯び運転で物損事故
を起こして逃走する等した事案に関し、同県警察は、1月27日、
同巡査を懲戒免職処分とする予定である」旨の報告があった。

(5)立ち直り支援ボランティア・リーダーシップ研修会の開催につい

生活安全局長から、「非行少年の立ち直り支援活動に御協力いた
だいている全国の少年警察ボランティアのリーダーを対象とした研
修会を、1月29日、東京都内で開催する」旨の報告があった。
 前田委員より、「この研修会は報道機関にも公開されるというこ
とであるが、ボランティア活動を育成する意味でも、このように全
国で展開している施策については、警察庁ホームページにも掲載し、
情報発信していただきたい」旨の発言があった。

(6)情報セキュリティ政策会議第38回会合の開催について

生活安全局長から、1月23日に開催された情報セキュリティ政
策会議第38回会合の内容等について報告があった。
 奥野委員より、「NISC、すなわち内閣官房情報セキュリティセ
ンターの機能強化に関し、調査機能の強化ということで、警察の捜
査との関係について説明があったが、NISC自身が捜査権を持つ
という趣旨ではないという理解でよいか」旨の発言があり、生活安
全局長から、「NISCが持つのはあくまで調査権であり、捜査権を
持つということではないが、警察の捜査権とNISCの調査権との
調整については今後検討する必要はあろうかと思う」旨の説明があ
り、委員長より、「本日の情報セキュリティ政策会議において、NI
SCの強化について検討を始めるという決定をしたところであり、
その検討の中で、警察の捜査との調和という論点も出てくると思う。
今後関係省庁間でよく検討し、捜査に支障がなく、かつ、有機的な
連携を図れるようにしていくことになろうかと思う」旨の発言があ
った。
 委員長より、「情報セキュリティ政策会議の席上、NISCが製作
した『インターネットを安全に利用するための情報セキュリティ対
策9か条』というパンフレットの紹介があった。その内容は、『OS
やソフトウェアは常に最新の状態にしておこう』、『パスワードは貴
重品のように管理しよう』、『ログインID・パスワード絶対教えな
い用心深さ』など、情報セキュリティ対策に関して国民に広報啓発
をするものであり、非常に良い中身となっている。情報セキュリテ
ィ対策をしている国民の方は少ないと思われ、このように広報啓発
することは大切であるが、NISCと言っても一般の方にはなかな
か分からないと思うので、これを参考に警察版を作成して、警察署
で配布するなど、警察でも活用すればよいのではないか」旨の発言
があり、生活安全局長から、「参考にさせていただきたい」旨、長官
から、「確かにこれまでは、情報セキュリティ対策といえば、警察内
部での情報管理という面が中心であり、国民への広報啓発という観
点では、出会い系サイト対策といった個別のテーマでは行っている
が、情報セキュリティ対策全体の広報については、もっと力を入れ
る余地があるかもしれない」旨の説明があり、山本委員より、「せっ
かくNISCという組織までつくって良い方向に行っているのだか
ら、情報セキュリティ対策の必要性を国民全体に徹底するための広
報について、もっと考えるべきである」旨、委員長より、「今後、N
ISCの機能強化について検討していく中で、どうやって国民の皆
さんにPRしていくのかについて、関係省庁間で相談していい方法
を考えてもらいたい」旨の発言があり、長官から、「警察庁としては、
平成26年度予算における組織要求において、サイバー対策専任の
審議官及び参事官の設置を要求しており、これらが設置されると、
広報の在り方の検討も含めた警察庁における情報セキュリティ対策
全体を担当できることになる」旨の説明があった。

(7)不動産売買を仮装したヤミ金融業者の検挙について(警視庁)

生活安全局長から、「警視庁は、不動産の買取代金又は手付名目で
金銭を貸し付けた上で、買戻代金又は違約金名目で法定金利を超え
る利息相当額を受領していた出資法違反事件に関し、被疑者7名を
通常逮捕した」旨の報告があった。

(8)サイバーテロ対処訓練の実施結果について

警備局長から、1月15日、警察庁、警視庁及び重要インフラ事
業者が参加して実施したサイバーテロ対処訓練の実施結果について
報告があった。
 奥野委員より、「重要インフラ事業者が参加したとのことであり、
非常にいい訓練であったと思うが、是非、今後も他の重要インフラ
事業者にも参加させ、訓練を続けてほしい。今回の訓練の教訓とし
て、重要インフラ事業者は、サイバー攻撃を受けた際に、復旧を重
視するがあまり被害拡大防止には目が行き届かず対応が遅れた、と
いうものがあった。企業はどうしてもそのような側面がある。一方、
重要インフラ事業者は一般市民の生活に関係する事業を行っている
こともあり、市民生活に影響が出ないようにどう広報していくのか、
という課題もあろうかと思う。参加する事業者を拡大して更に対処
訓練を重ねることにより、そのような課題について各事業者の意識
を高めていってもらいたい」旨の発言があり、長官から、「サイバー
攻撃対策については、根本的にそのような悩みがあって、サイバー
攻撃に遭った事業者が警察など関係機関に通報するよりも復旧を優
先させてしまうこともあり、原因が分からなくなるということがあ
るので、事業者との間で、対処の基本、広報の在り方等について何
らかのコンセンサスをつくっておかなければならないと考える」旨、
次長から、「今回の訓練においては、重要インフラ事業者からシステ
ムダウンしたとの通報がなされた、というところから訓練を開始し
ている。このように、重要インフラ事業者を巻き込んだ訓練を重ね
ることによって、事業者にサイバー攻撃があった場合の執るべき対
応について認識してもらうことができると思う」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「訓練でいろいろやってみることによって課題が
分かってくるということが一番重要であるから、何だかんだ言わず
にとにかく訓練をやらないとだめだと思う。絶対の安全とか自信と
かいうことが嘘であることは東日本大震災でよく分かったことであ
る。福島第一原発の事故でものすごくショックで教訓だったのが、
サイエンスコミュニケーションとかリスクコミュニケーションとか
いわれるものが全くできていなかったということが如実に分かった
ということである。私たち科学者は専門的な科学知識をどうやって
一般の方に伝えたらいいか、リスクコミュニケーションというもの
を、どういうタイミングで、どういう形で行うべきかということを
学会などでずっと議論してきたはずなのに、いざ原発事故が発生し
たら何一つうまくいかなかったということが分かった。このように、
どの時点で、どういう形で公表や注意喚起を行うかというのは非常
に難しいので、その辺りをよく考えておかないと、いざ発生した時
には対応できないと思う」旨、山本委員より、「確かに、東日本大震
災の現場では、金融機関やコンビニの現金自動支払機から現金が盗
まれるという事件があり、これを早い段階で広報すると真似する者
が出てくるし、かといって注意喚起しないと警戒のしようがないと
いうことで、ずるずると対策に時間を要したという感があるが、そ
のような点についてもある程度シミュレーションしておく必要があ
るという気がする」旨、委員長より、「私は国土強靱化の初代担当大
臣をやっており、昨年末に国土強靱化大綱を作り、今年の5月くら
いには基本計画を策定するように有識者懇談会等で作業を進めてい
るが、その中でも、リスクコミュニケーションについては、これま
で対応が相当遅れている分野であり、今回はそこを強化しようとい
うことで、基本計画に反映させるよう、専門家をかなり入れて検討
しているところである。長谷川委員御指摘のとおり、あらゆる分野
でリスクコミュニケーションが重要であり、なかなか難しいが、や
らざるを得ないことであると思う」旨の発言があり、警備局長から、
「確かに福島第一原発の事故において、原発の状態の説明や国民に
対する広報は非常に難しいものであった。サイバー攻撃対策だけで
はなく、新型インフルエンザ対策などリスクコミュニケーションが
重要になる課題は多く、警察としても勉強したり、関係者と協議す
るなど、しっかり対応してまいりたい」旨の説明があった。

(9)2020年オリンピック・パラリンピック東京大会開催に向けた
最近の動向について

警備局長から、2020年オリンピック・パラリンピック東京大
会開催に向けた最近の動向について報告があった。

(10)安倍内閣総理大臣のインド訪問に伴う警護警備について

警備局長から、「安倍内閣総理大臣は、1月25日から1月27日
までの間、インド首相との会談等のため、インドを訪問予定であり、
これに伴い所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。
 奥野委員より、「内閣総理大臣の海外訪問が増えており、警護警備
の体制・人員の確保や準備作業が大変だと思うが、大丈夫か」旨の
発言があり、警備局長から、「警護警備に必要な体制・人員は確保し
た上で、必要な対応は行われているところである」旨の説明があっ
た。