定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年3月20日(木)

午前10時10分 午前11時40分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)「平成26年度政策評価の実施に関する計画(案)」等について

官房長から、平成26年度政策評価の実施に関する計画(案)等
について説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「岡山県警察の本部留置施設における留置業務不
適正事案に関する監督責任として、同県警察は、国家公安委員会の
了承が得られれば、地方警務官の警視正を本部長注意の措置とする
予定である」旨の説明があり、原案どおり了承した。
 奥野委員より、「本件は、ちょっと理解し難いケースだと思う。警
察本部に留置施設があるということが要因として考えられるのか」
旨の発言があり、首席監察官から、「警察本部の留置施設であっても、
警察署の留置施設と同様に、規則に基づいて巡視、点検等を確実に
行っていれば、この種の事案は起こり得ない。なお、岡山県警察の
特殊事情として、倉敷市内に新たに警察本部の留置施設が設置され
たが、増員がない中で、本件留置施設から人を割いて新しい留置施
設に要員を配置するという運用を行うなど、課長を始め、幹部の意
識が新しい留置施設に向きがちであった。そのような中、本件留置
施設では、問題のある被留置者も積極的に受け入れ、収容率も上が
っていたということがあり、一部の被留置者に対する動静監視が十
分できなかったという背景がある。もちろん、勤務規律が緩んでい
たこと、幹部の業務管理が徹底していなかったことが今回の事案の
要因であると認識している」旨の説明があった。

(3)「特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律の施行に伴う
関係政令の整備等に関する政令案」等について

交通局長から、特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法
律の施行に伴い、交通安全対策特別交付金制度に関係する政令等に
ついて必要な改正を行うための標記の政令案及び道路交通法施行規
則の一部を改正する内閣府令案について説明があり、原案どおり決
定した。

(4)平成26年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画(案)に
ついて

交通局長から、平成26年度国家公安委員会・警察庁交通安全業
務計画(案)について説明があり、原案どおり決定した。
 委員長より、「昨年12月26日に提出された『交通事故抑止に資
する取締り・速度規制等の在り方に関する提言』の内容を反映した
部分については、現場の警察官に対して、人事評価を含め、意識改
革を図るなどにより、特にしっかり対応していただきたい」旨の発
言があった。

(5)標識標示令改正案に対する意見募集等について

交通局長から、道路交通法の一部を改正する法律の施行等に伴い、
道路標識、区画線及び道路標示に関する命令について所要の改正を
行うに当たり、3月24日から4月22日までの間、その改正案を
一般に公表し、意見を募集することについて説明があり、原案どお
り決定した。また、交通局長から、外国人旅行者も含めた道路利用
者に分かりやすい案内標識となるよう、英語表記その他の所要の改
正を行う国土交通省関係の同令の改正案について説明があり、原案
どおり決定した。
 髙木委員より、「新たな右回り通行の道路標識の対象となる交差
点は全国で何箇所くらいあるか」旨の発言があり、交通局長から、
「今回の改正道路交通法により、新たに車両が右回りに通行すべき
ことを指定する環状交差点、いわゆるラウンドアバウトについては、
今後、この新たな交通ルールを適用すべき交差点を選定していくこ
とになるが、現在、対象となり得るような形状の円形の交差点は、
全国で100箇所程度把握しており、道路管理者ともよく連携しな
がら調査研究を進め、このルールを適用するのが適当な交差点を選
定してまいりたい」旨の説明があり、髙木委員より、「交差点の交
通量など様々な要因により、ラウンドアバウトにした方がよいのか、
普通の交差点にした方がいいのか判断が分かれるのではないかと思
うがどうか」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘のとおりで
あり、適切な交通量・交差点の規模であれば、ラウンドアバウトに
した方が交通の安全と円滑に資するという面があり、そのあたりの
基準を明確にしてまいりたい。また、既存の交差点の形状を変更す
るということになれば、道路管理者の協力が必要になるので、その
点の連携もよく図ってまいりたい」旨の説明があった。
 委員長より、「ラウンドアバウトは、海外の例を見ても、一定の
交通量以下であれば交通事故防止に効果があるという報告があり、
また、景観上もきれいである。他方、今後も信号機のLED化を進
めていくことになるが、かなりの費用を要することでもあり、信号
機の代わりに交差点をラウンドアバウトにすることによって、信号
機のメンテナンスコストを低減することもできる。個々の現場によ
って状況は異なるとは思うが、この種の施策は、トップダウンで判
断しないとなかなか進まないと思うので、知事と警察本部長との間
でよく相談していただき、条件の整ったところから、積極的に導入
していってもらいたい」旨の発言があった。

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁長官に対する異議申立てに係る決定(行政機関個人情報保
護法関係)及び開示請求の決定(行政機関情報公開法関係)につい

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関個人情報保護
法関係の異議申立てに係る決定及び行政機関情報公開法関係の開示
請求に係る決定について報告があった。

(3)「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討
会」取りまとめについて

官房長から、第2次犯罪被害者等基本計画に基づき、犯罪被害者
等施策推進会議の下に設置された「犯罪被害給付制度の拡充及び新
たな補償制度の創設に関する検討会」により取りまとめられた提言
の概要及び今後の予定について報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「警察庁の警部による、虚偽有印公文書作成・同
行使事案に関し、警察庁は、3月20日、同警部を減給処分とする
予定である」旨、1(2)で報告のあった、岡山県警察の本部留置
施設における留置業務不適正事案に関し、「同県警察は、3月20日、
所属長の警視等を停職処分等とする予定である」旨、「神奈川県警察
の巡査部長が、被疑者に逃走された事案に関し、同県警察は、3月
20日、同巡査部長を戒告処分とするほか、行為・監督責任等とし
て、上司らを所属長訓戒等の措置とする予定である」旨の報告があ
った。
 長谷川委員より、「警察庁の警部の事案に関して、実況見分調書や
捜査報告書というものは、これを作成せずに事件を処理することは
できるのか」旨の発言があり、首席監察官から、「基本的には、発生
した事件を捜査する過程で行った実況見分や捜査の状況については、
実況見分調書や捜査報告書を作成し、検察庁への送致書類に添付し
ており、これらがなければ事件を立件することは難しいということ
になると思う」旨の説明があり、長谷川委員より、「本件は事件の処
理の仕方としては中途半端だったということか」旨の発言があり、
首席監察官から、「捜査自体が長らく放置されていたという状況であ
る」旨の説明があった。
 前田委員より、「では、この警部は、大阪府警察の担当者から、事
件当時に作成されるべき書類がなかったから作成するよう言われた
時に、どうするのが正しい対応だったのか」旨の発言があり、首席
監察官から、「本件は、この警部が、大阪府警察の警察署で勤務して
いた平成17年当時に取り扱った事件に関し、警察庁に出向後の平
成24年になって、同警察署の担当者から、事件当時作成されてい
なかった実況見分調書と捜査報告書を作成するよう依頼され、東京
の自宅において、発生当時の日付、階級、所属名で実況見分調書と
捜査報告書を作成し、当該警察署に書類を送付したものであるが、
本人としては、過去に自分が取り扱った事件に関して元の所属に迷
惑を掛けてはいけないと思い、このような行為に及んだものである。
本来のあるべき姿としては、まず、警察署の担当者は、事件当時に
書類が作成されていなかったことに気付いた時点で上司に報告し、
当時作成されるべき書類が作成されずに7年経過しているというこ
とを検察庁に相談した上で、その経緯をありのまま報告書にして検
察庁に送付するというように、事実に即した捜査手続を執るという
ことであろう。検事からは、そのような報告書しかできないならば
起訴は難しいと言われるかもしれないし、本人は、事件当時作成す
べき書類を作成していなかったことの責任は問われるかもしれない
が、少なくともこういった大きな事態にならずには済んだはずであ
る」旨の説明があり、前田委員より、「二次災害を誘発しているよう
な印象を持った。チェックすべき人が何もチェックしないで、ただ
書類を作成した本人が悪い、ということになっている。この日付を
遡った報告書を書いた本人は、ある意味正直な人なのであり、求め
られるまま書類を作成したのだけれど、そうしたら偽造だと言われ、
責任を取らされるわけである。では、この警部は、責任を取らされ
たくなければ、全部忘れました、何も書きませんと言っておけばよ
かったということになり、何か変だ、どこか教育・指導が抜けてい
るのではないかという感じがする」旨の発言があり、長官から、「過
去のこの種の書類改ざん事案の大半は、実質的に内容を改ざんしよ
うというものではなく、調書の文言をちょっと書き直すとか、もら
うのを忘れた指印を偽造するとか、ちょっとした失敗を後で取り繕
うというものであり、その根底には、そのような失敗をリカバーす
る方法を十分に教えられていないということがある。現在、失敗を
したときに、日付を遡って書類を作り直すことは犯罪になり、捜査
報告書で補うのが正しいリカバーの方法であるというように、正し
い失敗対処の方法について指導するリカバリー教育というものに力
を入れており、これを浸透させることにより、この種の事案を防止
してまいりたい」旨の説明があり、前田委員より、「警察は犯人には
正直に言えと言うが、自分たちが失敗したときには、正直に言うこ
とを認めないような組織風土が元々あり、だから隠蔽事案が起きる
のではないか。教育によって、正直に言った方を評価するというカ
ルチャーに変えていかないと、この種のいわば二次災害的な事案は
また起こり得る。警察に限らず役所には多分にそういうところがあ
るが、せめて警察だけでも変えてもらいたい。せっかく正直に言っ
てくれた人は救済してあげないといけない」旨、委員長より、「今の
前田委員の御指摘については、よく心得て取り組んでいただきたい」
旨の発言があった。

(5)平成25年中のストーカー事案及び配偶者からの暴力事案の対応
状況について

生活安全局長から、平成25年中のストーカー事案及び配偶者か
らの暴力事案の対応状況について報告があった。
 山本委員より、「ストーカー・DV事案については、これまでの経
験を踏まえ、事件化して加害者の身柄を拘束することが増えてきて
おり、それはそれで加害者が更なる加害行為に及ぶことを抑圧する
ためにも意味のあることだとは思う。しかし、この種の事案では、
加害者の身柄拘束は長期に及ぶことはなく、短期で釈放されること
が予想されることから、被害者に対し、警察の対応もさることなが
ら、基本的には、自分自身で身の安全を確保しなければならないと
いうことを強く意識していただく必要があると思う。女性が元交際
相手の男性に拳銃で殺害されるという事件が現に発生しており、同
様の事件が起きることが危惧されることも理解していただかなけれ
ばならない。また、加害者を逮捕した事案がこれだけ増えてくると、
釈放後の動向に注意を要する人物もそれだけ増え、これに伴う警察
の負担はどんどん増えていくということにもなるので、そうした観
点からも、被害者は、自分の身は自分自身で守らなければならない
ということを、是非伝えていってもらいたい」旨の発言があり、長
官から、「確かに、被害者の危機意識は、DV事案に比べてストーカ
ー事案の被害者の方が弱いという感はある。実務を通じ、被害者に
対しては、危険性について、過去の事例も踏まえてきちんと知らし
め、被害者自身が強い対応を望まなくても、強く説得して対処する
くらいの必要があると思う」旨の説明があった。

(6)ファイル共有ソフトネットワーク上の児童ポルノの流通・閲覧防
止対策について

生活安全局長から、「ファイル共有ソフトネットワーク上の児童ポ
ルノ事犯に対処するため、総務省と連携し、インターネットコンテ
ンツセーフティ協会及びプロバイダの自主的な協力を得て、ファイ
ル共有ソフトネットワーク上の児童ポルノの流通・閲覧防止対策を
実施することとした」旨の報告があった。

(7)特定抗争指定暴力団等の指定の期限延長について

刑事局長から、道仁会及び浪川睦会に係る特定抗争指定暴力団等
としての指定期限を3月間延長すること等について報告があった。

(8)平成25年の薬物・銃器情勢について

刑事局長から、平成25年の薬物・銃器情勢について報告があっ
た。
 山本委員より、「日本に薬物を運び込んだことで検挙された者が、
運び込んだ荷物の中に薬物が含まれていることを知らなかったと主
張して無罪になるケースがある。抑止力や再発防止の観点からは、
そのような場合でも薬物自体は没収できるという効果はあるものの、
それ以上の本人の責任追及が困難になっていることが課題である。
普通の生活を送っている人にとっては、たまたま他人から預かって
運んだ荷物の中にあずかり知らない薬物が入っていたというのはあ
まり考えられないことであり、やはり、そこには何らかの事情があ
るのだろうと考えるのが自然である。場合によっては立法措置も含
め、他人の荷物を預かって運び込むような行為には、荷物の中身に
ついて非常に大きな責任があるというように対策を講じておく必要
がある。知らなかったということを押し通しさえすれば無罪になる
という風潮が蔓延することが危惧されるので、是非検討をお願いし
たい」旨の発言があり、長官から、「薬物の営利輸入に関する罪は、
法定刑が無期懲役まである罪で、裁判員裁判の対象となるが、他人
に依頼されて薬物の入った荷物を日本に運び込んだことで起訴され
た被告人が、公判において知情性を否定し、検察側は裁判員にその
主張を覆すだけの心証形成ができず無罪となる事件が相次いだこと
があった。ただ、昨年、第一審の裁判員裁判で無罪となった事件が
最高裁で覆ってから状況はやや変わってきており、今後とも、検察
庁と連携しながら、知情性を否認しても立証できるよう工夫してま
いりたい。その上で、更に必要だということであれば、山本委員御
指摘のように、立法措置も検討していくということになろう」旨の
説明があった。
 奥野委員より、「先週の定例会議で、メキシコからの大量密輸事件
に関して、密売先への突上げ捜査は難しいが是非やっていただきた
い旨申し上げたが、通信傍受は、この種の組織犯罪捜査に効果があ
ると考えてよいか」旨の発言があり、長官から、「現在の通信傍受法
の要件の下では、薬物事犯のように、犯罪が同様の形で反復継続し
て行われた場合に効果が上がりやすいように思われる。逆に言えば、
他の犯罪に対しては、ある種の使い勝手の悪さがあるのかもしれな
い」旨の説明があった。
 髙木委員より、「薬物の価格は下落しているということであり、こ
れは需給バランスが崩れていることの表れだと思う。需要が減少し
たのは、取締りの強化等によって押さえ込んだ結果であると見て取
れると思うが、他方で、供給に関しては、一定量の薬物が国内に流
入し、供給過多になっている状況があると見ることができる。そう
すると、薬物犯罪を更に減らしていこうとすれば、供給源を絶つよ
うな取組が必要であると思うが、先週報告のあったメキシコからの
大量密輸事件の検挙のように、ターゲットとなる国を絞って対策を
行っていくということになるのか」旨の発言があり、刑事局長から、
「仕出国については、過去は中国、北朝鮮と変化し、現在は、先週
御報告したメキシコにも注目している。現地の捜査機関との情報交
換も行っているところである。御指摘の需給バランスに関する分析
はなかなか難しいところがあるが、一つの要素として、脱法ドラッ
グが出現し、これが安易に入手でき、取締りを受けるおそれが少な
いものであるということで、その方に需要が流れたという見方もで
きるし、密輸が増えたことなど、様々な要素が絡んでいるのではな
いかと思う」旨の説明があった。

(9)アンネ・フランク関連図書に対する器物損壊等事件の検挙につい

刑事局長から、「警視庁は、東京都杉並区内の同区立図書館におけ
るアンネ・フランク関連図書に対する器物損壊等事件について、3
月14日、被疑者を逮捕した」旨の報告があった。

(10)埼玉県富士見市における男児死体遺棄事件について

刑事局長から、「神奈川県警察は、3月17日に埼玉県富士見市に
おいて発生した男児死体遺棄事件について、3月18日、被疑者を
死体遺棄罪で逮捕した」旨の報告があった。

(11)不正競争防止法違反事件被疑者の検挙について

刑事局長から、「警視庁は、国内大手電機メーカーと共同開発を行
っていた半導体メーカーの元社員による不正競争防止法違反事件に
ついて、3月13日、同人を逮捕した」旨の報告があった。

(12)自動車安全運転センター評議員の任命の認可について

交通局長から、「自動車安全運転センター法の規定に基づき、自動
車安全運転センターから国家公安委員会に対し、評議員の任命の認
可の申請がなされ、審査の結果、適正であると認められたことから、
3月12日付けで長官専決により認可を行った」旨の報告があった。

(13)天皇皇后両陛下の神宮御参拝に伴う警衛警備について

警備局長から、「天皇皇后両陛下は、3月25日から3月28日ま
での間、神宮御参拝のため、三重県へ行幸啓になる予定であり、こ
れに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

(14)安倍内閣総理大臣のオランダ王国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、「安倍内閣総理大臣は、3月23日から3月26日
までの間、ハーグ核セキュリティ・サミット出席等のため、オラン
ダ王国を訪問予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する」
旨の報告があった。