定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年4月3日(木)

午前10時00分 午前11時10分


第2 出席者 古屋委員長、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、刑事局長、警備局長、情報通信局長
審議官(サイバーセキュリティ担当)、審議官(生活安全
局担当)、審議官(交通局担当)、首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成26年度警察庁組織改正等をいかした治安課題への取組の強
化について

官房長から、現下の治安情勢や捜査を取り巻く環境の変化に対応
するための平成26年度警察庁組織改正等の概要について報告があ
り、関連して、今回の組織改正等をいかした治安課題への取組の強
化として、審議官(サイバーセキュリティ担当)から、サイバーセ
キュリティ対策の司令塔機能の強化について、刑事局長から、捜査
支援分析のための総合的な取組の推進強化について、それぞれ報告
があった。
 奥野委員より、「今回の組織改正では、捜査支援分析のための総合
的な取組の推進強化の一環として、捜査支援分析管理官が新たに設
けられたが、その最大の目的は、捜査インフラの構築にあるという
ことでよいか」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘のとおりで
あるが、他機関に働き掛けての捜査インフラの構築とともに、具体
的な捜査を支援するツール、例えば、コンピュータの画面の地図上
に防犯カメラの設置場所や犯罪発生状況などを一目で表すことので
きるシステムなどの開発・導入あるいは管理したりする役割もある」
旨の説明があり、奥野委員より、「捜査の支援や分析については、こ
れまでは刑事企画課が所掌していたと思うが、新たな形の犯罪が出
現するなど、昨今の犯罪情勢を踏まえると、やはりこういう新たな
組織による対応が必要になってきたということか」旨の発言があり、
長官から、「捜査の支援・分析のための体制としては、平成15年に
警視庁が犯罪捜査支援室を設置したのが始まりで、平成18年には
警察庁にも同種の組織を設置し、以後、発展してきたが、今回更に
その機能を強化したものである。これまでは、課長級の対応が必要
となる他省庁折衝等の場面においては刑事企画課長が対応していた
が、刑事企画課長は局の筆頭課長として多岐にわたる事務を所掌し
ており、専任の課長級職員を置いて対策を進展させようというもの
である」旨の説明があった。
 委員長より、「このように、システムは作ったので、次は現場の皆
さんに、縄張り意識を捨て、意識改革を図っていただきたい。上と
下との両方で意識改革をすることが大切である。是非しっかりと頑
張っていただきたい」旨の発言があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「宮城県警察の巡査部長が、男性を恐喝しようと
したとして、2月18日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察
は、4月4日、同巡査部長を懲戒免職処分とするとともに、監督責
任として、上司らを本部長注意の措置とする予定である」旨及び「京
都府警察の巡査部長が、3月8日に酒気帯び運転等で通常逮捕され
た事案に関し、京都府警察は、4月10日、同巡査部長を懲戒免職
処分とする予定である」旨の報告があった。
 前田委員より、「宮城県警察の巡査部長は、何故このような行為に
及んだのか」旨の発言があり、首席監察官から、「知人女性と、恐喝
された被害者の男性との関係に嫉妬してこのような行為に及んだと
のことである」旨の説明があり、前田委員より、「この巡査部長は、
仕事は真面目にやっていたのか」旨の発言があり、首席監察官から、
「特段問題となるようなことは把握されていない」旨の説明があっ
た。

(4)自主防犯活動を行う地域住民・ボランティア団体の活動状況につ
いて

審議官(生活安全局担当)から、平成25年12月末現在の自主
防犯活動を行う地域住民・ボランティア団体の結成状況、活動状況
について報告があった。
 山本委員より、「防犯ボランティアの方々は、どのような犯罪の防
止を意識して活動されているかといえば、窃盗、子どもに対する人
身的な攻撃、あるいは人の生命・身体に対する犯罪といった、どち
らかというと、従来からある型の犯罪の防止を中心に意識されてい
るのではないかと思う。しかし、現在は、オレオレ詐欺やストーカ
ーなど、新しいタイプの犯罪への対応が課題となってきており、防
犯ボランティアの方々に、こうした新しいタイプの犯罪にも関心を
持っていただき、その防止のための活動していただければ、より広
く一般の国民に注意喚起できると思う」旨の発言があり、次長から、
「そもそもこのような防犯ボランティア団体は、平成15年ころ、
窃盗や街頭犯罪などが増加して、治安悪化がピークを迎えたことを
背景にできてきたものであり、その頃は振り込め詐欺などの犯罪は
まだ出始めのころであった。そのような情勢の下で発展した防犯ボ
ランティアの活動は、委員御指摘のような、従来型の犯罪の防止が
その活動の中心となってきたように思う。しかし、最近では、振り
込め詐欺など新しいタイプの犯罪の防止についても、防犯シールの
作成、街頭キャンペーン、高齢者宅訪問といった活動が活発に行わ
れるようになってきたところである。いずれにしても、御指摘のよ
うに、犯罪のタイプの変化とともに、防犯ボランティアの内容も変
化していかなければならないと認識している」旨の説明があった。
 委員長より、「山本委員御指摘のとおりだと思うが、更に言えば、
サイバー犯罪の防止に関するボランティア活動はまだ少ないと思う。
NISCが作った情報セキュリティ9か条のパンフレットを活用す
るなど工夫をして、サイバー犯罪やSNSを通じたトラブルにより
若い女性が犠牲になるような犯罪の防止にも取り組んでいただきた
い」旨の発言があった。

(5)自転車盗の発生状況と対策について

審議官(生活安全局担当)から、自転車盗の発生状況と対策につ
いて報告があった。
 委員長より、「従来のプレス型錠より防犯性能の高いシリンダー型
錠の普及に取り組んでいるという報告があったが、プレス型錠とシ
リンダー型錠とでは値段はどのくらい違うのか」旨の発言があり、
審議官(生活安全局担当)から、「プレス型錠の方が若干安く、普及
している状況にある。しかし、より防犯性能の高いシリンダー型錠
を普及させるべく、JIS規格に盛り込んでもらうなど、関係機関・
業界に対する働き掛けを行ってきたところであり、今後もシリンダ
ー型錠の普及に向けて取り組んでまいりたい」旨の説明があった。
 前田委員より、「盗難被害に遭いにくい錠を普及させることは重要
ではあるが、無施錠の自転車や元々錠の付いていない自転車がかな
り被害に遭っているという特別調査の結果を見ると、何故鍵を掛け
ないのだろうか、そのように放置自転車同然の状態にある自転車ま
で、果たして忙しい警察が保護しなければいけないのかと素朴に思
う」旨の発言があり、審議官(生活安全局担当)から、「盗難被害に
遭った自転車のうち約3割が無施錠で、そのうちそもそも施錠設備
のない自転車が約3割を占めている。自転車販売店の業界に対して
施錠設備を付けるように申入れをしているが、無施錠自転車への対
策としては、更なる広報啓発が必要である」旨の説明があり、前田
委員より、「必ずしも警察でやる必要はないと思う。もちろん自転車
盗の被害数は多く、中高生が自転車盗を入口に更に悪いことをする
ようになるということもあるから、放置はできないのだが、警察に
は他にもしなければならない業務がたくさんある。これは自治体の
仕事でもある。自治体は、放置自転車対策をしており、一面では、
放置自転車をまとめて処分するということもしているのだから、や
ってもらったらよいのではないか。警察も対応を変えていかないと、
何でも警察が背負い込むことになってしまう」旨の発言があり、審
議官(生活安全局担当)から、「確かに自転車は、かつては値段が高
く、重要な財産であったが、今では価格が下がり、消耗品のような
扱われ方もされている。そういう時代の変化の中で、委員御指摘の
ように、限られた警察力をどのような対策に重点的に配分するかと
いう課題はあるかと思う。ただ、地域警察官が自転車盗の検挙を視
野に職務質問したことをきっかけに、より大きな犯罪を発見・検挙
するということもあり、手を抜くわけにはいかないというところも
ある」旨の説明があった。
 奥野委員より、「私は、自転車盗に遭わないよう、施錠を啓蒙する
今の施策で良いと思う。自転車盗の検挙率はさほど高くなく、また、
新たな形の様々な犯罪に警察が対応していかなければならなくなっ
ている中で、自転車盗の捜査が難しくなっていることも理解してい
る。しかし、自転車盗は盗む方も盗まれる方も若者が多く、これを
きっかけに更なる犯罪に走るという現状があることも考えると、自
転車盗対策は決して無視はできず、是非警察に啓発活動をやってい
ただきたいと考える」旨の発言があった。

(6)ゴルフ場からの暴力団排除対策の推進状況について

刑事局長から、ゴルフ場からの暴力団排除対策の推進状況につい
て報告があった。

(7)自動車安全運転センターの平成26年度予算及び事業計画の認可
について

審議官(交通局担当)から、自動車安全運転センターの平成26
年度予算及び事業計画の認可について報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、いわゆる「袴田事件」に係る再審開始決定と特別
抗告について報告があった。

(2)警備局長及び長官から、日本時間4月2日午前8時46分にチリ
北部沿岸で発生した地震による津波注意報に伴う警察措置等につい
て報告があった。