定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年6月26日(木)

午前10時05分 午前11時50分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備
局長、情報通信局長
首席監察官、国家公安委員会会務官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会に対する審査請求事案の裁決について

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会に対する審査請求事
案の審理状況及び裁決案について説明があり、原案どおり決定した。

(2)犯罪被害者等給付金の裁定(兵庫県)に対する審査請求事案の審
理状況及び裁決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の
審理状況及び裁決案について説明があり、原案どおり決定した。

(3)「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関
する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整理に関す
る政令案」等について

生活安全局長から、6月18日に成立した児童買春、児童ポルノ
に係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正す
る法律の施行に伴う関係政令・規則の改正案について説明があり、
原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、第186回国会における法案審議状況等について報
告があった。

(2)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関情報公開
法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関
係の開示請求に係る決定について報告があった。

(3)経済財政運営と改革の基本方針2014、「日本再興戦略」改訂
2014等について

官房長から、経済財政運営と改革の基本方針2014、「日本再
興戦略」改訂2014等について報告があった。
 髙木委員より、「外国人材の活用について盛り込まれているが、外
国人労働者に関しては、かつて外国人技能実習制度により来日した
技能実習生が、実習先の企業において、給料は貯金してやると言わ
れ、結果的に帰国時に返してもらえなかったり、パスポートを取り
上げられたり、過酷な環境に耐えかねて逃げ出したりといった問題
が指摘されていた。現在はかなり改善されたとは聞くが、この制度
を更に推進しようとするのであれば、関係省庁とも連携してこのよ
うな問題がないように対応していただきたい」旨、山本委員より、
「日本人があまりやりたがらない仕事を外国人労働者の方にさせ、
その過程で賃金がきちんと支払われていない事例もあると聞く。労
働環境については、基本的には厚生労働省、労働基準監督署の問題
だとは思うが、本来支払われるべき賃金が支払われないというのは
犯罪に該当することもあろうかと思うので、こういうことが野放し
にならないように配慮していただきたい」旨の発言があり、刑事局
長及び生活安全局長から、「今後、外国人技能実習制度を活用してい
く中で、厚生労働省が中心となり、受入れ先の企業等に対する管理・
監督を充実させる取組が検討されている」旨の説明があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「三重県警察の警部(行為当時警部補)並びに
滋賀県警察の警部補及び巡査が、平成25年11月、警察庁の管理
するデータサーバーに、事実と異なる刑法犯検挙情報等の情報を登
録した事案に関し、6月27日、三重県警察は同警部を本部長訓戒、
滋賀県警察は同警部補を本部長訓戒、同巡査を所属長注意の措置と
する予定である」旨、刑事局長から、「統計システムの改修や不送
致余罪に係る警察本部によるチェックの強化などにより、再発防止
を図りたい」旨の報告があった。
 山本委員より、「不送致余罪の処理に係る警察本部の関与につい
ては、現場の負担とのバランスについても考慮すべきである」旨、
前田委員より、「統計の修正やシステムの改修については、趣旨は
分かるが、統計の信頼性・安定性の観点から、一定の重大なものに
限り修正することも検討すべきである」旨の発言があった。

(5)安心な社会を創るための匿名通報事業の平成25年度中の運用状
況について

刑事局長から、安心な社会を創るための匿名通報事業に関し、平
成25年度中の通報の受理・活用状況について報告があった。

(6)岐阜県美濃加茂市長らによる贈収賄等事件の検挙について

刑事局長から、「愛知県警察・岐阜県警察合同捜査本部は、6月
24日、贈収賄及びあっせん利得処罰法違反で岐阜県美濃加茂市長
ほか1名を逮捕した」旨の報告があった。
 奥野委員より、「公共事業の減少など様々な外的要因もあり、近
年贈収賄事件の検挙が減少していたが、本年は増加に転じているこ
とを評価する。最近は、経済状況が変化し、公共事業も増えている
ようであり、今後、水面下で贈収賄などの動きも増えてくるのでは
ないかと思う。引き続き摘発に努めてほしい」旨の発言があった。

(7)自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の
施行後1か月間の適用状況について

交通局長から、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰
に関する法律の施行後1か月間の適用状況について報告があった。

(8)男女8名を死傷させる交通事故の発生について

交通局長から、「6月24日、東京都豊島区西池袋地内において、
普通乗用自動車が歩道上を暴走して歩行中の男女8名に衝突し、死
傷させる交通事故が発生した。警視庁は、運転者を過失運転致死傷
罪により現行犯逮捕したが、いわゆる脱法ドラッグの影響も疑われ
ることから、危険運転致死傷罪の適用を視野に捜査を推進している」
旨の報告があった。
 奥野委員より、「いわゆる脱法ドラッグに関しては、報道によると、
分析・鑑定に時間が掛かることが対策上のネックであるということ
が言われているが、鑑定技術の向上、科学警察研究所や各都道府県
警察の科学捜査研究所の体制強化など、短時間で鑑定結果を出せる
よう改善の必要があるのではないか」旨の発言があり、刑事局長か
ら、「いわゆる脱法ドラッグに関しては、膨大な数の化学物質を規制
対象として包括指定しているが、現状の鑑定では、これらの膨大な
規制対象物質に該当するかどうか一つ一つ分析しなければならず、
覚醒剤のようにその場で簡易鑑定できるキットを開発するのはなか
なか難しい。いずれにせよ、鑑定機関の体制の強化を含めて研究し
てまいりたい」旨の説明があった。
 山本委員より、「『脱法』という呼び方をするから、禁止されてい
ない薬物というイメージができるのだと思う。包括指定により、禁
止されているものが多くなってきているとしたら、むしろ『違法』
な精神薬など、違う呼び方を考えなければならないのではないか」
旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘のとおり、呼び方の問題は
大きい。脱法ドラッグの問題が出始めたころ、『違法ドラッグ』と呼
ぶべきではないかという意見もあったが、当時はまだ違法でないも
のが多く、一応のところ『いわゆる脱法ドラッグ』と呼んできたも
のである。ただ、我々としては、より抵抗感を少なくする『ハーブ』
という言い方はしないようにはしている」旨の説明があり、委員長
より、「膨大な数の物質が包括指定により規制されており、事実上違
法薬物であるのに、『脱法』というネーミングが罪悪感を少なくして
おり、おかしい、ということをテレビで言っていた識者がいたが、
正論だと思う。厚生労働省とも連携して、ネーミングについて検討
した方がよいと思う」旨の発言があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、6月20日に公表された「2014年米国務
省人身取引報告書」について報告があった。
 奥野委員より、「報告書の内容を見ると、日本の実態が誤解されて
伝わっていると思われる部分がある。米国側が事実を誤認している
と思われる点については誤解を解くようにきちんと説明すべきだと
思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「米国側は、毎年、本報
告書の作成に当たって関係国からヒアリングを行っており、ヒアリ
ングに際しては、外務省ほか関係省庁と連携して、我が国の法制度
や実情について説明し、事実誤認があると思われる点についても説
明を行っているところである」旨の説明があった。

(2)生活安全局長から、「先週の定例会議で報告した、自転車防犯登録
団体に対する消費税転嫁対策特措法に基づく勧告について、公正取
引委員会は、本日、勧告対象の2団体に対して勧告書を交付し、公
表することとなった」旨の報告があった。

(3)刑事局長から、法制審議会第28回特別部会において、取調べの
録音・録画制度に関し、日本弁護士連合会から、録音・録画の対象
事件を法定合議事件とすることなどを内容とする新たな提案がなさ
れたこと、同提案をめぐる議論の結果等について報告があった。刑
事局長から、「録音・録画が捜査に与える支障を考慮し、対象事件は
必要性の高い裁判員裁判対象事件を限度とすべきであるとの方針を
維持したい」旨の説明があり、その旨を了解した。

(4)刑事局長から、「三重県三重郡朝日町地内における女子中学生強盗
殺人・死体遺棄事件に係る捜査特別報奨金に関し、この度、捜査特
別報奨金審査委員会の答申を踏まえ、警察庁長官が支払いを決定し、
三重県警察本部長に通知することとした」旨の報告があった。