定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年7月10日(木)

午前10時00分 午前11時30分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
審議官(サイバーセキュリティ担当)


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)犯罪被害者等給付金の裁定(愛知県)に対する審査請求事案の審
理状況及び裁決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の
審理状況及び裁決案について説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)情報セキュリティ政策会議第40回会合の開催について

審議官(サイバーセキュリティ担当)から、「本日、情報セキュリ
ティ政策会議第40回会合が開催され、『我が国のサイバーセキュ
リティ推進体制の機能強化に関する取組方針(案)』、『サイバー
セキュリティ2014(案)』等が決定・報告される予定である」旨
の報告があった。
 山本委員より、「かつては警察がこの分野の最先端を行っていたが、
委員長の御尽力もあって、国を挙げて情報セキュリティに取り組む
方向に向かっているのは、非常に良いことだと思う。その中で、警
察としては、更に力が付くような予算要求の在り方や、全体的な政
策の中でどのような役割を主体的に果たしていくのかといったこと
について研究をしていただき、真に世界の最先端を行くように是非
尽力していただきたい」旨の発言があり、審議官(サイバーセキュ
リティ担当)から、「政府全体の機能強化に合わせ、警察が貢献でき
るよう、必要な情報を共有するとともに、能力の向上に努めてまい
りたい」旨の説明があった。

(2)平成26年上半期の刑法犯認知・検挙状況と今後の犯罪抑止対策
について【暫定値】

生活安全局長から、平成26年上半期の刑法犯認知・検挙状況(暫
定値)と今後の犯罪抑止対策について報告があった。

(3)風俗行政研究会の開催について

生活安全局長から、「ダンスに係る風営法規制の見直しについて、
外部有識者の意見を聴取するなどして検討を行うため、外部有識者
から成る『風俗行政研究会』を開催することとした。7月15日に
開催される第1回会合を皮切りに8月末までに計4回開催し、議論
の結果を取りまとめていただくこととしている」旨の報告があった。

(4)法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」における調査審議
の結果について

刑事局長から、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」に
おいて、7月9日に取りまとめられた「新たな刑事司法制度の構築
についての調査審議結果」の概要、今後の予定等について報告があ
った。
 髙木委員より、「裁判所は、証拠請求手続を経て提出された合意書
面をもって、この事件は合意がなされたために通常の同種の事件よ
りも低い求刑がなされている、ということを確認するということか」
旨の発言があり、刑事局長から、「合意書面により、裁判所は、合意
の存在及び内容を把握できることとなるが、裁判所は合意書面があ
ることだけではなく、様々な要素を踏まえて総合的に量刑を判断す
ることになろう」旨の説明があった。

(5)いわゆる「脱法ドラッグ」対策の強化について

刑事局長から、いわゆる「脱法ドラッグ」をめぐる情勢及び「脱
法ドラッグ」対策の強化について報告があった。これに関連して、
交通局長から、7月5日、東京都北区内で発生した薬物の影響によ
ると思われる人身交通事故の概要について報告があった。
 山本委員より、「以前報告のあった池袋で発生した交通事故や今回
報告のあった交通事故の事例を見ると、脱法ドラッグとして売られ
ている製品を服用して車を運転する者は、それによって他人の生命
身体を害する事態を引き起こすかもしれないということを認識して
いるとは限らない。その意味では、一般に販売されている製品の中
で、これを使用した直後には車を運転してはいけないということが
分かるようにする仕組みを作らないと、このような思わぬ運転行動
による悲惨な事故の発生は防げないのではないか。事故が発生して
から事後的に運転者が使用した物が規制対象薬物であるかどうかを
捜査するだけではなく、この種の製品の販売に関して、もっと事前
に審査なり規制を強化する仕組みを考える必要があると思う。確か
に、人体に影響のないような物質まで規制対象としてしまう可能性
があるので容易ではないのかも知れないが、特に最近連続して発生
しているので、もう少し強力な対応を是非御検討いただく必要があ
るのではないかと感じている」旨、委員長より、「事前規制の強化に
ついては厚生労働大臣が言及している。厚生労働省と事務的に検討
していると思うが、その状況はどうか」旨の発言があり、刑事局長
から、「厚生労働省では、薬事法による規制ができないかということ
を検討しているとのことである。現在のところ、指定薬物としての
指定や、医薬品に該当するかどうかの判断を迅速に行うことを検討
しているとのことである」旨の説明があり、委員長より、「これだけ
大きな社会問題になり、関係閣僚会議が開催されたということもあ
り、事務的にもさることながら、政治的な判断が必要な部分も出て
くると思うので、迅速に対応したい。覚醒剤などに関しては、長年
の取締りの蓄積があることから、どの程度服用すればどのような異
常行動が起きるか経験則で分かるが、いわゆる脱法ドラッグに関し
ては、まだこのような蓄積がないため、使用した場合にどのような
異常行動が表れるか予期しにくいことが課題になろう」旨、山本委
員より、「使用した結果、異常な運転行動により他人を巻き込む重大
な事故を起こしても、こうなるとは思わなかった、という弁解が成
り立つようでは、悪質な交通事故を厳罰化したことが意味をなさな
くなるのではないかと心配されるので、そのような弁解を封じる工
夫をする必要がある」旨の発言があった。
 奥野委員より、「取締りは警察の大切な業務である。関係当局と連
携して販売店に対する立入検査や指導取締りを強化するよう通達し
たとのことであるが、警察官が単独で販売店の立入調査を行うのは
難しいのか」旨の発言があり、長官から、「現在の法制度では、警察
官が立入調査を行う権限はないため、権限のある知事部局の職員と
合同で行っている」旨の説明があり、奥野委員より、「今後、警察官
に立入調査の権限を与えるような法整備を考えてはいないのか」旨
の発言があり、長官から、「東京都では、条例により、警察官に立入
調査の権限を与えようとする動きがあるようである」旨の説明があ
った。
 髙木委員より、「飲酒運転に関しては、飲酒運転をするおそれがあ
るのが分かっていて酒を提供した者、車を提供した者、その者の運
転する車に同乗した者といった飲酒運転を助長する周辺者を罰する
枠組みを作ったが、脱法ドラッグに関しても、同様の仕組みはでき
ないか。先日、視察先の県の公安委員と意見交換をした際、日本は
ゴルフ場における飲酒運転防止対策をかなり強力に進めるくらいの
ことができるのだから、脱法ドラッグに関しても、その気になれば
同様の取組ができるのではないか、という趣旨のことを話されてい
たが、どうか」旨の発言があり、交通局長から、「脱法ドラッグとし
て販売した販売店側に飲酒運転周辺者三罪のように共犯としての刑
事責任を負わせようとすれば、その販売店側に、薬物であることの
認識に加え、売った相手がこれを使用し、その上で車を運転するこ
との認識の立証を要し、ハードルはかなり高い」旨、生活安全局長
から、「いわゆる脱法ドラッグの多くは、お香として売られているも
のが多く、立件しようとすれば、その内容物に規制対象の成分が含
まれていることの知情性を立証する必要がある」旨、次長から、「い
わゆる脱法ドラッグは、様々な商品名で売られているので、販売す
る方も購入する側も、それが指定薬物であるとの認識を立証する必
要がある。無承認医薬品として取り締まる場合でも、効能などが書
いてあって、医薬品として売っているという状況があれば、正に無
承認の医薬品として取り締まることもできるが、そういう売られ方
をしているわけでもなく、規制の狭間にあるような状況にある」旨
の説明があり、髙木委員より、「とはいえ何らかの対策は考えないと
いけない」旨、奥野委員より、「飲酒運転の場合、誰でもそれが酒で
あると認識でき、それを飲んで運転してはいけないということも分
かるが、脱法ドラッグの場合は、販売した側が、販売した物の中に
規制対象の薬物が含まれているかどうかについて認識があったか立
証するのが難しいのだろう」旨の発言があった。

(6)貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関する報告書について

交通局長から、現在の貨物自動車に係る運転免許制度の課題を明
らかにしつつ、より安全で、我が国内で運転されている自動車の実
態に即した運転免許制度の在り方について検討するため、昨年9月
以降開催されてきた有識者検討会において取りまとめられた報告書
の内容等について報告があった。