定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年9月4日(木)

午前10時30分 午後0時05分


第2 出席者 山谷委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「9月12日付け地方警務官1名の人事案件について
発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)「客にダンスをさせる営業に関する風営法の規制の見直しに当たっ
て考えられる論点」に対する意見の募集結果等について

生活安全局長から、「7月25日から8月7日までの間、『客にダ
ンスをさせる営業に関する風営法の規制の見直しに当たって考えら
れる論点』について意見公募手続を行った結果、1,075件の御
意見が寄せられた。これら寄せられた御意見について、取りまとめ
の上、公示することとしたい。なお、この意見公募の結果は、風俗
行政研究会にも報告し、議論の参考にしていただいたものである」
旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)平成27年度地方警察官増員要求について

官房長から、平成27年度地方警察官増員要求の概要について報
告があった。

(2)殉職事案の発生について

官房長から、「福岡県警察の巡査が、8月22日午前4時25分こ
ろ、大雨洪水警報中の福岡県糟屋郡志免町内の路上において交差点
の冠水等の内水氾濫に対応中、高架脇の側道に雨水があふれて濁流
が流れていたため、同側道脇の側溝に転落し、そのまま濁流ととも
に流され、その後河川内で発見されたものの、同日午前7時15分、
搬送先の病院で死亡を確認し、殉職した」旨の報告があった。

(3)トルコからの柔道講師の帰国について(第4回アフガニスタン警
察官訓練支援)

官房長から、「本年6月2日からJICA短期派遣専門家としてト
ルコ共和国に派遣され、アフガニスタン警察官訓練生に対して柔道
訓練を実施した6名の柔道講師は、8月29日、任務を終え、帰国
した。なお、派遣期間中の8月6日には、山本国家公安委員会委員
が現地を訪問され、講師を督励していただいた」旨の報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「京都府警察の警部補が、7月24日に酒酔い運
転をした事案に関し、同府警察は、9月4日、同警部補を懲戒免職
処分とする予定である」旨の報告があった。

(5)平成26年上半期のインターネットバンキングに係る不正送金事
犯の発生状況等について

生活安全局長から、平成26年上半期のインターネットバンキン
グに係る不正送金事犯の発生状況等について報告があった。

(6)平成26年上半期における主な生活経済事犯の検挙状況等につい

生活安全局長から、平成26年上半期における主な生活経済事犯
の検挙状況等について報告があった。
 髙木委員より、「インターネットバンキングの不正送金事犯にし
ても、この生活経済事犯にしても、最近この種の犯罪に関する報告
で必ず話に出てくるのが中国であるが、中国に対して対処を求める
べきではないか」旨の発言があり、次長から、「中国も、当局はそ
れなりに対処はしているが、日中の捜査当局間の関係が諸般の情勢
でここ数年間希薄になっており、これまで行われてきた定期協議が
4年間中断していた。しかし、10月には定期協議を開催すること
となり、少しずつでも両国の捜査当局間の関係が改善され、捜査協
力が円滑に進むよう、努力していかなければいけないと考えている」
旨の説明があり、髙木委員より、「大変な御苦労があるのだろうと
思うが、ある種の犯罪の大半を同じ国の者が占めるという状態が毎
年毎年続くことはおかしな話である。偽ブランドの件にしても何十
年も言われていることである」旨の発言があり、生活安全局長から、
「知的財産に関しては、オールジャパンで世界に売り込んでいこう
としていることもあって、経済産業省等が中心となり、現地の当局
には、偽ブランドの取締りや知的財産の保護に重点的に取り組んで
もらうよう、働き掛けを行っているところである」旨の説明があっ
た。
 奥野委員より、「中国当局に対応を求めるのは当然であるが、今
できることとして、自分のことは自分で守ることが必要ではないか。
インターネットバンキングの不正送金事犯に関して言えば、これま
でのように大都市のメガバンクから、地方銀行、信用金庫、信用組
合等、地方にまで被害が拡がってきており、地方において啓蒙活動
をより徹底していただくことが重要になってきている。これまでは
警視庁を中心に取り組んできたが、これからは、地方の県警察にお
いても、意識・体制を強化して被害の防止に努めていただきたい」
旨の発言があった。
 長谷川委員より、「レンタル携帯電話が様々な犯罪のインフラに
使われており、業者への対策も行っているとのことであるが、この
レンタル業界の実態について把握して、規制ができれば、犯人側が
ツールを失うことになると思う」旨の発言があった。
 山本委員より、「先般の危険ドラッグ対策を例に見ると、警察の
取組だけでなく、東京都など、関係行政機関が有する権限の行使と
併せて取り組むことによって、極めて劇的に危険ドラッグを封じ込
めることができた。同じように、省庁の縦割りというものを外して
考えると、いろいろなことができるのではないか。今のレンタル携
帯電話の問題でも、犯罪にばかり使われるのであれば、これを規制
するということもできるだろう。また、インターネットバンキング
の不正送金事案において、中国人留学生が軽い気持ちで銀行口座を
作り、それが一時送金先の口座に悪用されているという実態がある
のであれば、外務省や入国管理局と連携して、中国人留学生に対し
て、そういう悪用される口座を作ったらすぐに在留資格を取り消し
て国に帰すよ、というような制度があれば、彼らもそういうことは
してはいけないことが理解できる。このように、現状では打つ手が
ないと思われるようなことでも、他の行政機関が持っている権限と
併せて対策を行うことによって、効果を生むこともあるということ
を念頭に取り組んでいただきたい」旨の発言があった。
 奥野委員より、「レンタル携帯電話に関連して言えば、借りる際
に身分証明書を提示することになっているが、その身分証明書の偽
造が相当蔓延しているようである。他の犯罪においても偽造した身
分証明書が使われている。昔から犯罪の陰には身分偽装はつきもの
ではあるが、特に今はネット社会だ。匿名化社会が進んできて、簡
単に身分証明書の偽造が行えるようになっている。国として、そろ
そろ身分証明の在り方というものを考え直す時代に来ているのでは
ないかと思う」旨の発言があった。

(7)交通政策基本計画の原案(警察関連部分)について

交通局長から、交通政策基本法に基づき、国土交通省を中心に策
定中の交通政策基本計画の原案における警察関連の主な施策、今後
の手続等について報告があった。
 前田委員より、「環状交差点に係る改正道路交通法の規定が今月か
ら施行された。環状交差点は、交通量の少ない地方部で特に効果が
あるということで制度を導入したのだろうから、その推進に関して、
このような基本計画にある程度はっきり書いておいた方が良いので
はないか。例えば、老朽化した信号機の更新を検討する場合には、
信号機に代えて環状交差点にすることも視野に入れて見直すべきと
いうような方針を国が示さなければ、引き続き信号機にしたい、と
いう地元の発想は変わらない。ものを新たに設置するプラスの方向
の目標というのは比較的簡単だが、その逆となると難しいものであ
る。よほど国がしっかりと方針を示さなければ、現場が数多くの不
要な信号機を抱え込んで苦労することになる」旨の発言があり、交
通局長から、「環状交差点は、国土交通省、道路管理者と連携しなけ
れば進められない施策である。多くの場合、市町村道や都道府県道
といった、自治体が管理する道路が整備の中心となり、国が数値目
標のようなものを定めて方針を示しても、自治体が付いてこられな
いという問題はあるが、効果に着目した定性的な書き方ででも何と
か盛り込めないだろうかということを国土交通省と調整していると
ころである」旨の説明があった。
 委員長より、「信号機の在り方をどうするとかいうことも含め、交
通政策の在り方については、ある程度明確に国が方針を示した方が
自治体もやりやすい面があるかと思うので、今後意見交換させてい
ただきたい」旨の発言があった。

(8)広島市における土砂災害等の被害状況と警察措置について

警備局長から、広島市における土砂災害等の現在までの被害状況
と警察措置について報告があった。

(9)安倍内閣総理大臣のバングラデシュ人民共和国及びスリランカ民
主社会主義共和国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、「安倍内閣総理大臣は、9月6日から9月8日まで
の間、各国首脳との会談等のため、バングラデシュ人民共和国及び
スリランカ民主社会主義共和国を訪問予定であり、これに伴い、所
要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

(10)外為法違反事件被疑者の逮捕について

警備局長から、「大阪府警察は、北朝鮮に貨物を不正に輸出した疑
いで、8月21日、被疑者2人を通常逮捕した」旨の報告があった。

3 その他

(1)会議冒頭、委員長より、「先ほど、警察庁職員の前で就任の挨拶を
させていただいた。古屋前委員長同様、日本の警察は世界一と考え
ており、皆様の日頃の御努力により、今の日本の安全・安心が支え
られているのだと思う。どうぞよろしくお願い申し上げる」旨の挨
拶があった。

(2)生活安全局長から、ダンスに係る風営法規制の見直しに関し、こ
の度、外部有識者から成る『風俗行政研究会』において取りまとめ
られる予定の報告書案の概要、今後の予定等について報告があった。
 委員長より、「当初は、もっとダンスを楽しめるようにしたらよい
ではないかということで、規制改革会議の答申や多くの国民の共感
もあり、超党派の議員連盟の活動につながった。しかし、実際に議
員連盟から出てきた案は、周辺の環境などへの影響について考慮が
なされていないのではないかなどという懸念もあったので、結果、
再度改正案を考えていこうということになったものである。今後、
条文化の作業等で大変かと思うが、よろしくお願いしたい」旨の発
言があった。
 長谷川委員より、「このダンスの件に限らず、警察庁が主催する
様々な有識者検討会のメンバーを見ると、ここ十何年間、いつも同
じ先生にお願いしているような印象がある。特にどなたが問題だと
かいうことではないのだが、透明性やコンプライアンスといったこ
とが求められる今の時代に、同じ人が長く関わっているというのは、
結果の信憑性に疑問を持たれやすく、非常にリスクが高い。現にそ
うやって批判されている研究機関もある。もっと幅広く、ほかの先
生を開拓した方が良いと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、
「できるだけ幅広く人選をするように心掛けてはいるが、なかなか
その分野に精通された御専門の方となると限られてしまうのが現状
である。もちろん、御指摘のとおり、今後とも幅広い人選について
配慮してまいりたい」旨の説明があった。