定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年9月25日(木)

午前10時00分 午前11時20分


第2 出席者 山谷委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「9月30日付けを始めとする地方警務官等10名の
人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案ど
おり決定した。

(2)国家公安委員会・警察庁外部通報処理要綱の一部改正について

官房長から、国家公安委員会又は警察庁への公益通報等に関する
個人情報保護の徹底などを内容とする「国家公安委員会・警察庁外
部通報処理要綱」の一部改正案について説明があり、原案どおり決
定した。

(3)警察庁長官及び地方警務官に係る人事評価実施規程の改正につい

官房長から、「行政のスリム化・自主的な事業の改善、女性職員の
活躍及び仕事と生活の調和の推進に資する働き方改革等に関する人
事評価における取組について」(平成26年9月4日人事政策統括官
通知)を踏まえた「警察庁長官及び地方警務官に係る人事評価実施
規程」の改正案について説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)警察庁幹部候補育成課程実施規程の制定について

官房長から、「改正国家公務員法により、各府省等の長は、幹部職
員候補となり得る職員を育成するための課程を設け、運用すること
とされたことを受け、この度、警察庁における幹部候補育成課程の
実施規程を制定し、10月1日から施行することとした」旨の報告
があった。

(2)「全国犯罪被害者支援フォ-ラム2014」の開催について

官房長から、10月3日に開催される「全国犯罪被害者支援フォ
ーラム2014」の概要について報告があった。

(3)総務省による「規制の簡素合理化」に関する調査結果に基づく勧
告について

生活安全局長から、「総務省は、規制に伴う国民負担を最小限にす
る観点から、各種規制の実施状況、その効果や負担の状況等につい
て昨年8月から調査を行ってきたが、この度、当該調査結果に基づ
き、各規制を所管している6省庁の18項目について勧告が行われ
ることになり、当庁関係では、『警備業法等の警備員の手続に係る添
付書類』が対象となった。今後、勧告に即して負担軽減措置を講ず
るとともに、警備業界への周知を図ることとしている」旨の報告が
あった。

(4)平成26年上半期の児童虐待及び児童ポルノ事犯の検挙状況等に
ついて

生活安全局長から、平成26年上半期の児童虐待及び児童ポルノ
事犯の検挙状況等について報告があった。
 奥野委員より、「報告によると、児童虐待に係る通告児童数は過去
最多、検挙人員も前年同期より増え、他方、死亡児童数は減ってお
り、社会的関心の高まりとともに、警察もこの問題に熱心に取り組
むようになったことを反映していると思う。児童虐待の問題に関し
ては、本年5月に神奈川県の厚木市で、長期間所在の分からなくな
っていた児童が自宅で白骨死体で見つかるという事件があった。犯
罪により犠牲になるのは弱い立場の女性や子供が多く、いつも心を
痛めるのだが、特にこの事件は非常に残念であり、社会的にも反響
を呼んだ。一連の報道や報告を聞くと、問題の背景に、関係機関の
縦割りの弊害があるのではないかと感じる。特に、児童相談所と警
察との連携に関しては、警察は児童相談所に通告はするが、その後
のフォローアップができる立場にはない一方で、児童相談所の側は、
この種の事案に対する機能、人員、対処能力が十分にないためフォ
ローできず、結果、放置されたような形になってしまうのではない
か。本年8月には、児童虐待防止対策に関する副大臣等会議が開催
され、官邸主導で全省庁的に取り組むことになり、これも歓迎する
が、では、この会議の枠組みで何ができるのかを考えると、法整備
ということもあるのではないかと思う。警察には、これまで法律上
の権限が十分に与えられていなかったから、どちらかというと腰が
引けた対応をしていたが、警察には法的権限が与えられれば、きち
んと取り組む体制と能力があると思う。是非、法整備も含めて積極
的に取り組んでいただきたい。これまではどうしても親権が前面に
出てなかなか踏み込めない側面があったが、子供の人権は非常に大
切なもので、欧州などでは子供の人権を特に重視しており、日本で
もそのあたりを考えなければならない時代になってきている。警察
を始めとする関係機関の取組により、児童虐待による死亡児童数は
減ってはいるが、今の時代、今後も起きるおそれは十分考えられる
ので、徹底した取組をお願いしたい」旨の発言があり、生活安全局
長から、「御指摘の副大臣等会議には、警察庁からは次長が出席して
いるが、非常に重要な問題であると認識しており、前向きに取り組
んでまいりたい。関係省庁、特に児童相談所との連携について御指
摘があったが、現場レベルでは、警察、児童相談所、保健機関、学
校等の関係機関が情報共有して連携を密にすることを目的とした要
保護児童対策地域協議会という枠組みがあり、今後も充実させてい
きたい。法整備の御指摘については、今後の対策を検討していく中
で必要があれば検討するということになろうかと思う」旨の説明が
あり、奥野委員より、「警察には強制的な立入り権限がないというこ
とだったか」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察には立入り
権限はないが、立入り権限のある児童相談所が立入りを行う際に、
トラブル防止のため同行することはある。かつて、警察に立入り権
限を与えたらどうかということが議論されていたようだが、慎重な
意見が多かったようで、今に至っている」旨の説明があり、奥野委
員より、「これまでは、強制力を持つ警察が家庭内にまで踏み込むと
いうことに社会的な抵抗があり、警察に立入り権限を与えようとい
うふうにはなかなかならなかったと思うが、他方で、立入り権限を
持つ児童相談所がそれを十分に行使できていないという実態があり、
そこに縦割り行政の谷間があったことが問題だと思う」旨の発言が
あり、生活安全局長から、「危険な状態にある児童を発見した場合に
は、警察も警察官職務執行法に基づいて即保護することができるが、
24時間に限られ、その後は児童相談所等の関係機関にお任せする
ことになる。警察が児童相談所に通告した後、児童相談所において
親元に帰すと危険であると判断された児童については、児童養護施
設に委ねるという一応の制度上の流れはあるのだが、御指摘のよう
に、市町村を含め、関係機関の人員体制等が十分でないというよう
な課題がある。いずれにしても、今後副大臣等会議で課題を全て洗
い出し、検討していこうということになっているので、我々として
もしっかりと取り組んでまいりたい」旨の説明があり、奥野委員よ
り、「副大臣等会議の場を活用して徹底した議論をしていただきたい。
昔から無理心中で嫌がる子供を道連れにするなど、親の都合で子供
が死んでしまうということはあるが、子供は親を選べない。子供の
人権を包括的に保護するような法整備などを進め、社会全体で子供
を守っていくことを考えてもよいのではないか」旨の発言があり、
生活安全局長から、「確かに家庭の問題はなかなか外からは見えづら
く、子供にとって、家庭の問題を誰にも相談できないというような
状態が危ない。スクールサポーター制度を活用するなど、子供の悩
みを聞いてあげられるような仕組をつくっていかなければならない
と思う」旨の説明があった。
 山本委員より、「家庭が崩壊して子供を任せておけなくなったとす
れば、子供を家庭から取り上げ、社会の側で保護するということも
考える必要があるのだと思う。警察としてできることは限られ、関
係機関において考えていただかなければならないことの方が多いの
かもしれないが、少なくとも、警察には、児童虐待が非常に増えて
きており、危機的な状況にあることを情報発信し、関係機関の対応
を促していただくということになるのだと思う」旨の発言があった。
 長谷川委員より、「心理的虐待に関して、児童相談所への通告件数
は非常に増えている一方で、検挙の方は非常に少ないが、検挙され
ていない大多数の事案は、どういう扱われ方をしているのか」旨の
発言があり、生活安全局長から、「心理的虐待についても、積極的に
事件化するようにはなってきているが、物理的な暴力とは異なり、
犯罪としての認定が難しいところがあり、事件化するまでには至ら
ないという事案が多い。しかし、事件化できないものについても、
そのまま家庭に帰すとより虐待がエスカレートし、児童が危険にさ
らされるおそれがある場合には、児童相談所と連携して保護対策を
行うなど、何らかの措置は確実に行うようにはしており、そのよう
に現場の意識は高まってきていると思う」旨の説明があった。

(5)指名手配被疑者捜査強化月間の実施について

刑事局長から、指名手配被疑者捜査強化月間の実施について報告
があった。
 髙木委員より、「月間中は広く国民からの情報提供を呼び掛ける
活動が中心になるのだろうが、指名手配ポスターの被疑者写真を見
るとかなり昔のものがあったりする。古い事件だとなかなか捜査も
難しいと思うのだが、実際、効果の方はどうなのか」旨の発言があ
り、刑事局長から、「年に1回は全国一斉に集中的に国民からの情
報提供を求めようというのがこの月間であり、警察庁でも御指摘の
ようなポスターを作ったりして国民に呼び掛けている。それ以外で
も、各都道府県警察においては、日頃から、最新の公開手配のポス
ターを出すなど情報提供を求める活動のほか、駅頭における見当た
り捜査など、指名手配被疑者の検挙に向け、取り組んでいるところ
である」旨、次長から、「この月間においては、国民からの情報提
供を求めるための取組のほか、特別な体制を構築して捜査を強化し
ており、そうした警察独自の取組により、被疑者を検挙することも
多い。御指摘のポスターの手配写真に関しては、確かに古い写真し
か入手できず、苦労することも多いが、古い写真しかない場合でも、
変わらない特徴を手掛かりに見当たり捜査などを行っているほか、
最近では、逃走中の被疑者が整形手術を試みるということもあるの
で、美容整形外科学会に対する情報提供の働き掛けなども行ってい
るところである」旨の説明があり、髙木委員より、「毎年それなり
の成果は挙がっているのだろう」旨の発言があり、刑事局長から、
「昨年の月間中には全国で約500人の指名手配被疑者を検挙した」
旨の説明があった。

(6)平成26年上半期の薬物・銃器情勢について(暫定値)

刑事局長から、平成26年上半期の薬物・銃器情勢(暫定値)に
ついて報告があった。

(7)危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策フォローアップにつ
いて

刑事局長から、9月19日に開催された薬物乱用対策推進会議に
おいてフォローアップが行われた「危険ドラッグの乱用の根絶のた
めの緊急対策」に基づく各種取組の推進状況について報告があった。

(8)女子児童被害に係る殺人死体遺棄事件の検挙について

刑事局長から、「兵庫県警察は、9月11日、神戸市長田区におけ
る女子児童の行方不明事案を認知し、翌12日、公開手配するとと
もに、自宅付近等を捜索していたところ、23日、同区内の草むら
において同女の遺体を発見し、所要の捜査を推進した結果、24日、
被疑者を死体遺棄罪で逮捕した」旨の報告があった。

(9)第45回全国白バイ安全運転競技大会の開催について

交通局長から、「10月11日及び12日の2日間、茨城県ひたち
なか市所在の自動車安全運転センター安全運転中央研修所において、
第45回全国白バイ安全運転競技大会を開催する」旨の報告があっ
た。