定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年10月2日(木)

午前10時00分 午前11時30分


第2 出席者 長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について

生活安全局長から、国際的な規模で開催される運動競技会の空気
銃射撃競技に参加する選手等の競技技術の向上に資するなどのため、
年少射撃資格者の年齢の要件を緩和することなどを内容とする「銃
砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案」の概要、7月4日
から17日までの間に実施した意見募集の結果及び政策評価法に基
づき実施した事前評価の結果について説明があり、原案どおり決定
した。

(2)FATF関連2法案について

刑事局長及び警備局長から、マネー・ローンダリング対策及びテ
ロ資金供与対策における国際協力を推進するためのFATF勧告の
遵守のため必要となる措置の一環として、今臨時国会に提出予定の
「犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案」
及び「国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我
が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法
案」の概要並びに政策評価法に基づき実施した事前評価の結果につ
いて説明があり、原案どおり決定した。
 髙木委員より、「国連安全保障理事会の決議により、多くの国際テ
ロリストが指定されているが、これらの関係者が日本に出入りした
という事例はあるか」旨の発言があり、警備局長から、「平成15年
12月にドイツで逮捕されたアル・カーイダ関係者が、その後の捜
査で、かつて日本に潜伏していたことが判明したという事例がある。
その後、平成18年の入管法改正により、外国人テロリストについ
ては、退去強制の対象とされた」旨の説明があった。
 髙木委員より、「今回の法律案が成立すれば、FATF勧告の内容
は充足することになるのか」旨の発言があり、長官から、「今後のF
ATF会合において説明を尽くしていくこととなるが、主要な部分
についてFATFの指摘に応えているものと考えている」旨の説明
があり、髙木委員より、「一連のFATFの議論を聞いていると、そ
れぞれの国はそれぞれの仕組によりマネー・ローンダリングや国際
テロ対策に取り組んでいるはずなのに、国際協力の名の下に、やや
過剰に求められているような気がしないでもない」旨の発言があり、
官房長から、「FATFの場合は、法令が整備されているかという着
眼点で審査をする傾向にあり、日本の場合、例えば、金融機関にお
ける取引の際の確認も、実態としてはかなり厳格に行っているのだ
が、法令としてどうか、という点が見られている」旨の説明があっ
た。

(3)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」について

交通局長から、国際連合の多国間協定に基づく協定規則の改訂に
より導入された新たな素材の停止表示器材を国内でも使用可能とす
るため、その様式を改正することを内容とする「道路交通法施行規
則の一部を改正する内閣府令案」の概要及び8月22日から9月2
0日までの間に実施した意見募集の結果について説明があり、原案
どおり決定した。

(4)「災害対策基本法の一部を改正する法律案」について

交通局長から、災害時における緊急通行車両の通行を確保するた
め、道路管理者が自ら緊急通行車両の通行の妨害となる車両その他
の物件を移動することができるようにすることなどを内容とする
「災害対策基本法の一部を改正する法律案」の概要について説明が
あり、原案どおり決定した。
 奥野委員より、「今回の法改正のポイントは、道路管理者が、緊急
交通路を確保するため、放置車両を破損してでも排除できるように
することである。首都直下型地震などが起これば、駐車違反車両の
レッカー移動のように1台1台丁寧にというわけにはいかず、ブル
ドーザーで押し出してでも車を排除しなければならないこともある
かもしれない。そうすると、ほとんど使用不可能なまでに破損され
る車が相当数に上ることも考えられるが、それらの損失すべてに、
新たな規定に基づく損失補償を行わなければならないのか」旨の発
言があり、交通局長から、「通常、公目的のために私有財産に損失を
生じさせるような場合には、損失補償を行う旨の規定が置かれ、今
回の改正案においても、緊急交通路の確保のためやむを得ず車両を
破損させた場合の損失補償の規定を設けることとしたものと聞いて
いる。実際にどの程度の額を補償するのかについては、その時々の
状況に応じてなされるものと思う」旨の説明があった。
 奥野委員より、「通常の駐車違反取締りにおいて、違法駐車車両を
レッカー移動した際に車を破損した場合にも、警察は補償をするの
か。一般的には、違法駐車した者が悪いという感覚もあると思うが」
旨の発言があり、交通局長から、「道路交通法に明示の規定はないが、
警察側の故意又は過失により当該車両に損害を与えたということが
認定されれば、国家賠償法の規定に基づく損害賠償の対象になる可
能性はある」旨の説明があった。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関情報公開
法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関
係の開示請求に係る決定について報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「埼玉県警察の巡査が、8月5日に酒気帯び運
転をした事案等に関し、同県警察は、10月10日、同巡査を懲戒
免職処分とするとともに、上司らを本部長注意等の措置とする予定
である」旨の報告があった。

(4)恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案に係る保護観察所等と
の連携について

生活安全局長から、恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案に
係る保護観察付執行猶予者等に関する保護観察所等との連携の状況
について報告があった。
 山本委員より、「保護司や検察庁との連携を密にしてこのような対
策が行われることはいいことだと思う。ただ、再度の加害行為を防
止するため、警察が注意を向けなければならない刑期を終えた加害
者は、今後も増加し続けるだろうから、警察の負担の軽減にも配慮
して対策を考える必要があると思う。刑の執行が終わった加害者に
はもちろん一般の人と同等の人権が保障されるべきであるが、他方
で、当該加害者により再度の加害行為がなされるおそれを考えると、
場合によっては若干本人の自由が抑制されることとなっても、再被
害を防止するための措置を執らなければならないこともあろうかと
思う。立法措置を含め、再被害の防止を第一に対策を御検討いただ
きたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「御指摘の点は、『ス
トーカー行為等の規制等の在り方に関する有識者検討会』において
も加害者対策の観点で様々な御議論があり、更生プログラムの実施
や警察庁で行う調査研究の結果を待つとされたところであり、今後
とも、御指摘の問題意識を踏まえつつ、関係省庁とも連携して取り
組んでまいりたい」旨の説明があった。

(5)指定暴力団五代目工藤會の代表者等の検挙について

刑事局長から、「福岡県警察は、9月30日から10月1日の間に、
平成25年1月28日に発生した組織的殺人未遂事件で、指定暴力
団五代目工藤會の代表者等15名を検挙した」旨の報告があった。

(6)平成26年秋の全国交通安全運動の実施結果等について

交通局長から、「平成26年秋の全国交通安全運動が、9月21
日から30日までの10日間実施され、各都道府県警察において、
運動の重点等に沿った様々な取組を実施した。また、期間中の9月
25日には、通学路における全国一斉取締りを実施し、8,971
件の交通違反を検挙した。期間中の交通事故死者数は、前年同期間
比マイナス10人の111人であった」旨の報告があった。

(7)御嶽山の噴火に係る被害状況と警察措置について

警備局長から、9月27日午前11時52分に発生した御嶽山(長
野県・岐阜県境)の噴火による現在までの被害状況とこれに伴う政
府・警察の対応について報告があった。
 奥野委員より、「救助活動は、警察だけでなく、消防、自衛隊、県
庁を始め各行政機関などの混成チームで行われていると思うが、こ
ういう場合、家族への安否確認などを含めた情報集約の拠点は警察
に置かれるのか」旨の発言があり、警備局長から、「現地では、警察、
消防、自衛隊の実働部隊の調整所のようなものを設け、それぞれの
部隊の責任者が集まり、情報の集約を行っている。また、木曽町や
王滝村などの行政機関とも情報交換し、情報を整理しながら取り組
んでいる」旨の説明があった。

(8)皇太子殿下の第29回国民文化祭・あきた2014御臨場等に伴
う警衛警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、10月3日から4日までの間、第
29回国民文化祭・あきた2014御臨場等のため、秋田県へ行啓
になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の
報告があった。

3 その他

(1)警備局長から、特定秘密保護法の施行に伴い整備される下位法令
案等の概要について報告があった。