定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成27年1月8日(木)

午前10時00分 〜 午前11時40分

 

 

第2 出席者 山谷委員長、長谷川、山本、前田、奥野、川本各委員

米田長官、金次長、坂口官房長、辻生活安全局長、

栗生刑事局長、倉田交通局長、橋警備局長、佐野情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

 議題事項

(1)人事案件について(決裁事項)

官房長から、12月27日付け人事案件1名について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)開発協力大綱の決定について(決裁事項)

   官房長から、現行の政府開発援助(ODA)大綱を改定し、新たに定める開発協力大綱の案について説明があり、原案どおり決定した。

   奥野委員より、「これまでも、警察庁ではODAやJICAの支援プログラム等を通じて国際協力を進めてきているが、是非これを更に進めてほしい。各国の警察機関同士のパイプをつくり、国際協力を進めていく上で、ODAは最も有効なやり方だと思う。特に、情報部門の連携強化にもつながることから、様々な角度から方法を考え、取組を推進していただきたい」旨の発言があった。

 

(3)特定秘密の提供に関する他省庁との協議等について(決裁事項)

警備局長から、特定秘密の保護に関する法律第6条に基づく特定秘密の提供に関する国家公安委員会と、警察庁を含む関係省庁との協議の案等について説明があり、原案どおり決定した。

 

 (4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について(了承事項)

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

 報告事項

(1)平成26年度警察庁補正予算(案)の概要について

   官房長から、平成26年度警察庁補正予算(案)の概要について報告があった。

 

 (2)平成27年度警察庁予算の査定状況について

官房長から、財政当局と調整中の平成27年度警察庁予算の査定状況及び今後の予定について報告があった。

川本委員より、「大臣折衝により地方警察官1,020人の増員を要求されるとのことだが、刑法犯が減少している情勢を踏まえると、今なぜそれだけの増員が必要なのか、国民に対してきちんと説明しなければならないと思う」旨の発言があり、官房長から、「今回の地方警察官の増員要求は、3箇年で約3千人を増員する構想の1年目に当たるものである。今回は、『人身安全関連事犯対策の強化』、『特殊詐欺対策の強化』及び『我が国を取り巻く国際情勢の変化に対応するための事態対処能力の強化』の3つの重点に掲げ、これらに要する人員を積み上げた上で、内部捻出可能な人員を差し引いた1,020人を大臣折衝事項として最終的に調整しているものである。引き続き、国民に対して広報なり必要な説明はきちんとしてまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)平成26年の刑法犯認知・検挙状況と今後の犯罪抑止対策について(暫定値)

   生活安全局長から、平成26年の刑法犯認知・検挙状況(暫定値)と今後の犯罪抑止対策について報告があった。

   長谷川委員より、「刑法犯認知件数はずっと減り続けているが、それで治安が良くなっているという実感がないのは、なぜだろうと思っていた。そのような観点で統計を見ると、住宅のセキュリティが向上し、犯罪者がちまちま窃盗をやって稼ぐのは割に合わなくなってきたから窃盗犯の認知件数は減ってきた反面、特殊詐欺などの被害額がものすごく増えてきている。世の中の格差が広がっているという感覚が、特に若者の間で出てくると、犯罪は増えるはずである。なのに、刑法犯認知件数が減り続けているというのは、犯罪の態様が変わってきているというだけで、犯罪者に盗られてヤミに流れる被害の総額というのは変わっていない、認知件数の減少だけをもって治安が良くなったとはいえない現実があるのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「刑法犯認知件数の約75%は窃盗犯が占めているため、窃盗犯が減少すると刑法犯認知件数自体も減少するという関係にある。御指摘のとおり、窃盗犯に関しては、住宅のセキュリティが向上したり、これまで窃盗犯の多くを占めていた自転車盗についても、自治体による放置自転車対策がとられたりして、犯行を行いにくい環境が整ってきている。他方、先般の11月末時点での報告の際にも申し上げたが、詐欺の被害総額が窃盗を上回ってきているという情勢にあり、そこは注目している。また、少年などが、特殊詐欺の現金の受取役として犯罪に加担させられるという事案が増えてきており、その意味では御指摘のとおり犯行の形態が変わってきているという面もあるかもしれない」旨の説明があった。

   山本委員より、「特殊詐欺が減らず、むしろ被害額が増えたという実情を踏まえると、まだまだ工夫の余地があるのではないか。危険ドラッグ対策の時のように、関係省庁が持つ権限を警察活動に利用するということも念頭に考えてもよいのではないか。例えば、犯行に携帯電話が使われているとすれば、総務省が有する電気通信に関する権限を利用して、実態把握を進めることなどが考えられる。特殊詐欺の撲滅に向け、是非いろいろな工夫をしていただきたい。現状は放置できない状況にあるということを肝に銘じて取り組んでいただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「特殊詐欺対策については、1月末を目途に、全国の担当者を集めた対策会議を開催することにしており、現在それに向けて準備をしているところである。御指摘のあった、携帯電話に関して言えば、レンタル携帯電話や他人名義の携帯電話が犯行に使われている現状がある。総務省の所管法令で本人確認を厳格化するようにはなってきているが、なお抜け道がある。総務省と連携して、更に徹底できないか、考える必要もあるかと思う」旨の説明があり、山本委員より、「ほかにも、法制審議会の『新時代の刑事司法制度特別部会』の答申において、通信傍受の対象拡大の方向性が決まったわけだが、被害の発生を防止する意味では通信傍受は有効な手段だと思うので、早期に実現できるよう、関連法案の整備等を進めてもらいたい」旨の発言があった。

 

(4)鳥インフルエンザへの対応状況について

    生活安全局長から、12月28日から29日にかけて、宮崎県及び山口県において確認された鳥インフルエンザへの対応状況について報告があった。

 

(5)前橋市における殺人等事件の検挙について

刑事局長から、「群馬県警察は、平成26年12月16日、群馬県前橋市内の民家において、夫婦が殺傷された事件につき、同月26日、この妻に対する殺人未遂の罪で、被疑者を通常逮捕した」旨の報告があった。

山本委員より、「今回の事件の背景としては、経済的な困窮が挙げられ、今後も同種の事案が起こらないとは限らないわけだが、やはり一番の予防策は早期検挙だと思うし、そのような結果を出したことについては敬意を表したい」旨の発言があった。

 

(6)平成26年中の交通事故死者数について

交通局長から、平成26年中の交通事故死者数は4,113人であり、14年連続で減少したことなどについて報告があった。

前田委員より、「今日のところは数字の報告だけで、詳細な分析結果については後日報告があるとのことだが、分析する上で留意してほしいのは、今後警察庁としてどういう取組を全国規模で行う必要があるのか、ということを明らかにするための分析をやっていただきたいということである。資料に昭和23年以降の交通事故死者数の推移のグラフがあり、これはこれで必要なのだろうが、道路交通を取り巻く環境は全く変わっており、あまり過去との対比は意味がないのではないか。むしろここ10年くらいの推移について、道路事情や車の性能の変化などを踏まえた重点的な分析をしたほうがよいと思う。地方視察でその県の交通事故情勢を分析したものを聞くと、元々母数が少ないこともあってか、非常に具体的で納得できる分析になっている。しかし、全国統計となると、各都道府県の数字を足し合わせたり平均したりすることにより、かえって個々の背景が見えない、分かりにくいものになってはいないだろうか。全国統計は、死者数を3,000人以下にするという政府目標を定めるといった場面では意味のあるものではあるが、更に進めて、警察庁として、どういった施策を全国的に取り組むのか、といったような、今後の対策に資する分析をしていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘も踏まえ、今後とも多角的で生産的な分析に努めてまいりたい」旨の説明があった。

 

(7)「第55回交通安全国民運動中央大会」の開催について

    交通局長から、「第55回交通安全国民運動中央大会が、1月15日及び16日の2日間、東京都内において開催される。第1日目は分科集会、第2日目には本会議が行われ、本会議においては、秋篠宮同妃両殿下の御臨席を仰ぎ、交通栄誉章等の表彰、交通安全宣言等が行われる予定である」旨の報告があった。

 

(8)警察庁における特定秘密の指定について

    警備局長から、警察庁が、特定秘密の保護に関する法律に基づき特定秘密を23件指定したことについて報告があった。

 

 (9)米国企業に対するサイバー攻撃事件について

    警備局長から、米国企業に対するサイバー攻撃事件について報告があった。

 

 3 その他

 (1)生活安全局長から、児童虐待防止対策に関する副大臣等会議においてこの度取りまとめられた児童虐待防止対策の概要について報告があった。

    奥野委員より、「児童虐待については強い関心を持っている。全く罪のない、抵抗もできない子供に対する虐待、場合によっては殺人に至るという事件が発生している現状を踏まえると、警察の対応を強化すべきだと考える。児童虐待は家庭の中で行われることが多いため、なかなか対応が難しいが、児童相談所など関係機関とも更に連携しながら取り組んでほしい」旨の発言があり、生活安全局長から、「児童虐待事案への対応については、少年警察部門が児童相談所などの関係機関と連携して行っており、警察としても、市民の方から情報が寄せられた場合の、児童相談所への通告要領とか、児童相談所からの援助要請があった場合の現場立会いの要領など、ロールプレイング方式を用いるなどして訓練等も行っている。なお、児童虐待事案に対応するためには、やはり、まず、関係機関がそれぞれ保有する情報をいかに共有して、実態を把握するのか、把握した実態を踏まえ、どの機関がどういう対策をとっていくのかということが大切であるが、まだまだこのあたりのことが弱いのではないかと副大臣会合でも議論されたところである」旨の説明があり、奥野委員より、「警察としては、家庭内の状況をよりいち早く把握して、これまでより思い切って家庭に入っていくということになるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「それは事案にもよるが、人身安全関連事犯全般についていえることであるが、やはり警察としては、早めに出るところには出て、手を差し伸べることによって手遅れにならないようにしなければならないという姿勢で臨まなければならないと考えている。なお、現在、警察OBをかなり児童相談所に採用していただいている。OBが児童相談所にいれば、連携がよくなって警察と一体となった対応ができるようになるし、経験則から危機を察知できると思うので、是非進めていきたい」旨の説明があり、奥野委員より、「OBは、経験やノウハウを持っているので、是非活用を進めていただきたい」旨の発言があった。

    前田委員より、「警察は児童相談所に対していろいろ援助するようにしていくということだが、非常にリスクが高まった場合に、児童相談所は裁判所の許可を得て保護措置をとるという流れになるが、こういう危機管理や令状実務は警察の得意とするところであろうから、こういうところを積極的に援助すればよいのではないか。裁判所に許可請求をして一時保護するような段階はかなり事態が進んだ段階である。警察が強く関与することへの批判はあるかもしれないが、何もしないで批判されるよりはましである」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察は、全体的には積極的に対応するようになってきており、深刻な結果が発生する前に事件化したものや児童相談所への通告件数も増えているが、御指摘も踏まえ、さらに積極的に対応してまいりたい。また、児童相談所が行う裁判所への令状請求手続への援助に関しても、ノウハウを持った警察がよく援助した方がよいとの意見もあるところなので、そういった点も踏まえ、検討してまいりたい」旨の説明があった。

    長谷川委員より、「厚生労働省が実施した、居住実態が把握できない児童に関する調査結果の中で、リスクなしと不明とを同一に扱っているが、リスクがないということと実態不明ということでは大違いなので、きちんと分けて集計するようにしてほしい」旨の発言があった。

川本委員より、「同じく厚生労働省の調査で、居住実態が把握できなかった理由や今回の調査をすることによってなぜ判明したのかというところを突き詰めないと、予防策や対応策を立てようがないのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「確かにこれまでは確認が十分にできていなかったというケースが多かったが、今回徹底して調査を行ったらかなりのところが判明したということがある。今後は、いかに関係機関が断片的に保有している情報を寄せて把握するか、という方向にはある」旨の説明があった。