定例委員会の開催状況

第１　日　時　平成２７年４月２３日（木）

　　　　　　　午前１０時００分 〜 午前１１時４５分

第２　出席者　山谷委員長、長谷川、山本、前田、奥野、川本各委員

金��長官、坂口次長、栗生官房長、辻生活安全局長、

三浦刑事局長、鈴木交通局長、��橋警備局長、川邉情報通信局長

村田審議官（サイバーセキュリティ担当）、桑原首席監察官

第３　議事の概要

　１　議題事項

（１）警察庁長官等の評価手続について

警察庁長官等の評価手続を実施した。

（２）搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験に係る規制の特例措置について

交通局長から、産業競争力強化法に基づく搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験に係る規制の特例措置の整備に関する要望に対する回答について説明があり、原案どおり決定した。

また、交通局長から、構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会において、搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験特区における規制の特例措置を全国展開する旨の評価意見が取りまとめられたことを受け、全国展開に必要な措置を講じることとする旨の報告があった。

（３）国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

　２　報告事項

（１）国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

（２）平成２６年度会計監査実施結果について

官房長から、平成２６年度における会計監査の実施結果について報告があった。

（３）平成２６年度中における犯罪被害給付制度の運用状況について

官房長から、平成２６年度中における犯罪被害給付制度の運用状況について報告があった。

（４）平成２６年度第４四半期監察の実施状況について

首席監察官から、平成２６年度第４四半期における監察の実施状況について報告があった。

（５）平成２６年中における地方警務官に係る株取引等報告書及び所得等報告書の提出について

官房長から、国家公務員倫理法の規定に基づき、平成２６年中における地方警務官に係る株取引等報告書及び所得等報告書について、国家公安委員会に提出する旨の報告があった。

（６）平成２７年第１四半期における地方警務官に係る贈与等報告書の提出について

官房長から、国家公務員倫理法の規定に基づき、平成２７年第１四半期における地方警務官に係る株贈与等報告書について、国家公安委員会に提出する旨の報告があった。

（７）平成２７年春の勲章伝達式等について

官房長から、４月２９日付けで発令される平成２７年春の叙勲に関し、警察関係者の受章者に対する勲章の伝達式の予定等について報告があった。

（８）人身取引対策に関する年次報告（案）の策定について

生活安全局長から、昨年１２月に策定された政府の「人身取引対策行動計画２０１４」に基づき、内閣官房を中心に取りまとめられた人身取引対策に関する年次報告（案）について報告があった。

（９）平成２６年中の｢インターネット・ホットラインセンター｣の運用状況等について

生活安全局長から、平成２６年中の｢インターネット・ホットラインセンター｣の運用状況等について報告があった。

（10）文化財等を対象としたき損事件の発生等について

生活安全局長から、４月４日以降、奈良県や京都府等の各地において認知された、寺社の文化財等に油様の液体がかけられて汚損される事件の発生状況等について報告があった。

（11）警察における取調べの録音・録画の試行の実施状況について

刑事局長から、警察における取調べの録音・録画の試行の実施状況について報告があった。

長谷川委員より、「取調べの録音・録画は相当進んできてはいるが、実際に裁判で使われているのか。実際に役に立つという感覚や役立った事件がたくさんないと、現場に浸透しないのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「録音・録画したものが公判で証拠として使われているケースはいくつかある。現場でも、任意性の立証に関しては非常に有効だという共通認識は広がっていると思う。ただ、問題は、「全過程の義務化」であり、取調べの支障という点は考慮しなければならないが、「こういう形で任意性の立証に使おうか」という考え方は広がっていくだろうし、今の刑事裁判の動向を踏まえても、そういう手法は、もっと積極的に実施していく必要は出てくると思われる」旨の説明があった。さらに、長谷川委員より、「日本の取調べ時間は、すごく長い。その全てを録音・録画したら、膨大なものが溜まっていく一方で、それらが有効活用されるのかとなると難しい。イギリスやオランダでは、日本のように、被疑者の心の奥底まで知ることは必要なく、客観証拠が重視されるため、取調べは１時間半程度しか行われていないことから、全過程の録音・録画が実施できるものだ。日本で実施しようとなると、欧米とは同じ条件ではないので、日本流のやり方を開発しなければならないと思う」旨の発言があり、長官から、「客観的証拠自体も、取調べで得られた被疑者の供述によって初めて得られる場合が少なくない。それに加え、結局、運用面も含めた刑事司法制度全体の在り方が日本と英米法とは違い、欧米では、量刑を機械的にあてはめられる一方、日本では、殺人事件といっても、その犯情や、犯行の動機、手段、相手との関係や反省具合など全部総合して初めて量刑が出てくる。したがって、被疑者の内心を捜査側が立証する必要があるため、取調べの意義が非常に大きい。一方、取調べを全部録音・録画して、それがどれだけ活用されるのかという問題はある。チェックする方も全部を見ると負担が膨大で、公判でも全部は再生できない。だから、日本の今の刑事司法制度の中で、この制度をなるべく活用しながら捜査を進めていくということになると思う」旨、刑事局長から、「イギリスでは、ほとんど取調べに重きを置いておらず、あとは公判で決着をつけるという感じであり、実際には、日本と比べて無罪率も非常に高い。いずれにせよ、どのような方法がよいかという点については、しっかりと検討してまいりたい」旨の説明があった。

奥野委員より、「裁判員裁判対象事件の取調べの録音・録画の平均時間が約１４時間に留まっているということは、取調べが難しくなるとか、性犯罪関連事件で録音・録画に適さないというような抵抗が現場にあるからなのか」旨の発言あり、刑事局長から、「だいぶ、現場の意識も変わってきているとは思っている。今はまだ試行という段階であり、全ての事件で実施しなければならない訳ではないので、それぞれの都道府県警察において、捜査上の支障も勘案しながら、必要な部分について録音・録画をしようというような形で実施している。ただし、いずれ、裁判員裁判対象事件での録音・録画が義務化されることになれば、原則１００％の実施が求められる訳なので、さらに推進していかなければならないと思う」旨、長官から、「捜査の真相解明に支障を及ぼさない限りでの実施が前提になっている。取調官としては、テレビカメラが回っている中で取調べをして、自分も相手も非常に意識すると、それがマイナスになっているということは認識している。ただし、改正刑事訴訟法が施行されるときまでには、１００％になるように３年間で何とかするということだと思う」旨の説明があった。

（12）平成２６年の来日外国人犯罪の検挙状況について

刑事局長から、平成２６年の来日外国人犯罪の検挙状況について報告があった。

（13）ＩＣＰＯシンガポール総局開所式及びＩＣＰＯアジア地域会議の開催結果について

刑事局長及び審議官（サイバーセキュリティ担当）から、４月１３日（月）から４月１７日（金）までの間、シンガポールにおいて開催された、ＩＣＰＯ（国際刑事警察機構）シンガポール総局開所式及びＩＣＰＯアジア地域会議の開催結果について報告があった。

（14）総務省による「道路交通安全対策（自転車安全対策）に関する行政評価・監視」の調査結果に基づく勧告について

交通局長から、平成２５年１２月から実施してきた「道路交通安全対策（自転車安全対策）に関する行政評価・監視」の調査結果に基づき、総務省が勧告を行うことについて報告があった。

川本委員より、「総務省の勧告は、よいことを指摘しているにもかかわらず、省庁によってはしっかりと受け止めないため、結果的に大きな瑕疵につながった例もあることから、勧告は真摯に受け止めていただきたい」旨、交通局長から、「今回、警察庁以外の関係行政機関に対しても勧告されたが、警察庁としては、これを真摯に受け止めて対応してまいりたい」旨の説明があった。

（15）平成２７年春の全国交通安全運動の実施について

交通局長から、５月１１日（月）から２０日（水）までの間、平成２７年春の全国交通安全運動が実施される旨の報告があった。

奥野委員より、「以前から公安委員会の場で、春・秋の交通安全運動の見直しについて考えていきたいという話をしてきたが、今回は、各県の事情に見合った対策をとること、不要なものは廃止すること、安全運動の期間が終わっても必要な措置は継続することなどの方針が示されており、是非、これを進めていただきたい。私は、この種の運動が形骸化して中身がなくなる、マンネリ化することへの懸念を指摘していたので、こうした見直しは非常に結構なことと思う。一方で、これらの見直しにより、実際にどういう結果が出たのかという検証も是非していただき、今後の安全運動に活かしてほしい」旨の発言があり、交通局長から、「せっかくの全国の交通安全運動の機会なので、御指摘のようにマンネリ化しないように努めながら、国民・県民の皆様に、交通安全運動の趣旨が真に浸透されるよう進めてまいりたい」旨の説明があった。

（16）安倍内閣総理大臣のアメリカ合衆国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、安倍内閣総理大臣が、４月２６日から５月３日までの間、日米首脳会談等のためアメリカ合衆国を訪問する予定であり、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

（17）総理大臣官邸における小型無人飛行機様のものの発見について

警備局長から、４月２２日、総理大臣官邸において小型無人飛行機様のものが発見された旨の報告があった。

奥野委員より、「官邸の前には、警備の警察官が２４時間体制でいると思うのだが、警察官は気づかなかったということか。以前から、ホワイトハウスの敷地内に落ちたり、警備対象ではないものの、日本国内でも小型無人飛行機に絡む様々な事故が起きたりしており、そういう状況にもう少し敏感に反応し、警戒対策を急いでいればよかったという感はある。いずれにせよ、政府の中枢を狙った事件は重大事であり、犯人検挙に向けて捜査を徹底するとともに、規制措置等の対策を速やかに講じていただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「こういう事案が今後起きないような対策や、規制措置等を講じてまいりたい」旨の説明があった。

長谷川委員より、「人間は、自分が知らないものや予想していないものについては、たとえ音が聞こえたりしても対応しないものである。こういうものが飛んでいたらどういう音がするか、どのように見えるかという意識をあらかじめ持つことが必要である」旨の発言があった。