定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成27年7月9日(木)

午前10時00分午前11時35分

 

 

第2 出席者 山谷委員長、長谷川、前田、奥野、川本、北島各委員

金長官、栗生官房長、辻生活安全局長、三浦刑事局長、

鈴木交通局長、橋警備局長、川邉情報通信局長

桑原首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、皇宮警察本部の警部補が業務上横領をした事案に関し、7月10日、同警察本部は同警部補を停職処分とする予定である旨並びに奈良県警察の巡査部長が6月3日に犯人隠避、虚偽有印公文書偽造・同行使で通常逮捕された事案等に関し、7月14日、同県警察は同巡査部長を懲戒免職処分とする予定である旨の報告があった。

奥野委員より、「交通取締りは、一般市民の警察に対する信頼に関わるもので、公安委員会でも常日頃からその在り方について検討しているが、奈良県警察の事案は相当罪が重い。上司のチェック機能はどうなっていたのか。また、責任問題は、当時の高速道路交通警察隊長だけでいいのかという疑問がある」旨の発言があり、首席監察官から、「訓戒という処分は、監督責任としては重いものと考える。チェックのシステムについては、隊長、副隊長、小隊長と3人の上司がいたが、副隊長と隊長しか決裁ラインに入っていなかった。この点については、小隊長もチェックする仕組みに改めるよう奈良県警察で検討している。また、処分を隊長までとしたことについては、この業務は実質的に隊長限りで完結している業務であり、その上司である交通部長等が実質的にチェックのしようがないために期待可能性、予見可能性がないことなどから、隊長以下での処分としたとのことである」旨の説明があった。

前田委員より、「同じ人が6年間同じ仕事をしていることを容認していたこと自体が、ある意味、犯罪を誘発しているのだと思う。その観点から考えてみる必要があるのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「本来、上司が関係書類を突合して精査すれば、判明できた事案だと考えている。人事配置の問題、決裁ラインの問題を含め、再発防止を徹底するよう指示したいと考えている」旨、長官から、「上司が簿冊をしっかりと見ていれば、非常におかしなことになっていることは分かるはずであったが、それがきちんとできていなかった」旨の説明があり、長谷川委員より、「しっかりとチェックされていないということを分かってやっていたということが問題だと思う」旨の発言があった。

奥野委員より、「皇宮警察の事案については、以前も同様のことがあったので対応策を講じていたにもかかわらず、また起きたということは、対応策以前の体質の問題、組織としての深い問題が内在しているのではないのかと懸念する。もう少し考えていただきたい。被処分者は学校の教官であり、そのような教官で学校が成り立っているというのがちょっと理解できない」旨の発言があり、首席監察官から、「緩みを防ぎながら緊張感を全体的に持たせていくことについては皇宮警察でも検討し、職員に対する規律の保持と士気高揚をしっかりとやっていきたいと考えているとのことである」旨、官房長から、「今回は2回目であり、このような現金の取扱いのシステムの抜本的な改善について検討しようと思っている」旨の説明があり、奥野委員より、「やはり皇宮警察には組織上の様々な問題があるので、時間をかけて、じっくりと考えていかなければならないと思う」旨の発言があった。

前田委員より、「比較的少額の現金を一々銀行口座に入れるのはコストや手間がかかるからということなのだろうが、100万、200万の現金を机の中に入れ放しというのは異常である。現金を預かるときは上限を決めた方がいいのではないか。全部銀行口座で管理するのは非現実的である。大きい組織は合理化効果がすぐに出るのだが、皇宮警察のような小さい組織は効果が現れにくいため、なかなか合理化しづらい。それでも、小さい組織なら小さい組織なりにきちんと対応できるように仕組みを作って、要は犯罪を誘発しないようにして欲しい」旨の発言があった。

 

3)人身取引事犯に係るコンタクトポイント連絡会議について

生活安全局長から、関係省庁、在日関係国大使館、国際機関駐日事務所、NGO等関係機関・団体を招致し、人身取引事犯に関する情報交換や意見交換を行う、「人身取引事犯に係るコンタクトポイント連絡会議」について報告があった。

北島委員より、「人身取引の問題は、従来から国際的に注目を浴びている問題であり、このような形で警察庁が会議を主催するということは非常に結構なことと思っている。今後とも、是非積極的にやっていただきたい」旨の発言があった。

長谷川委員より、「人身取引に関するアメリカ合衆国の年次報告書では、日本はなぜ一番上の評価にならないのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「現在、4段階ある評価で上から2番目の「Tier2」であるが、国際組織犯罪防止条約に付属している人身取引議定書を、日本は批准していないということが大きい。共謀罪の関係もあり条約の担保法が整備されていないために条約本体が批准できないことから、議定書も批准できていない。そのほか、日本の取締り活動や法制度について、これまでもアメリカ合衆国に対して何度も説明しているものの、なかなか理解を得られないところである。今年はまだ年次報告書が作成されてはいないが、やはり議定書をまだ批准できていないという点の影響はあると思われる」旨の説明があった。

川本委員より、「本当に説明が理解されていないというレベルなのか。法制度の整備を指摘されている訳であり、警察として行うべきことが情報交換や意見交換でよいのかという疑問がある。本来すべきことは何なのか、もう少し説明していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察の役割としては、まずは被害者の保護であり、これを優先させながら人身取引事犯の事件化も図る。他国に送り出し役がいる場合には、他国と連携して事件化してもらうようにする。これらの取組を行うために、コンタクトポイントを明確にして、情報交換や情報提供が円滑に行われるようにしている。必要な協力関係はできているものと思っている」旨の説明があった。

前田委員より、「諸外国の中には、自国の制度を基準として他国を評価する国もあり、その基準に基づき、ほぼ形式的に判断している。そのような国に対して日本の制度を理解してもらうことは、非常に困難なのではないかと思う。しかし、だからといって何もしなければ日本の評価を落とされてしまうので、日本の活動を説明したり、必要な法律は整備したりすることは続けていかなければならない」旨の発言があり、生活安全局長から、「今年から、日本の人身取引に関する活動報告書を簡単にまとめたものを各国にある我が国の大使館等に置いて、日本の活動を発信できるようにしている」旨の説明があった。

 

4)法務省「性犯罪の罰則に関する検討会」における検討状況について

刑事局長から、法務省で行われている「性犯罪の罰則に関する検討会」における検討状況について報告があった。

 

5)女子児童被害の監禁事件の検挙について

刑事局長から、奈良県香芝市において女子児童が行方不明になった事件について、7月5日、奈良県警察が車内で児童を発見、保護するととともに、被疑者を監禁罪で現行犯逮捕した旨の報告があった。

 

6)指定暴力団五代目工藤會の代表者等による組織的殺人未遂等事件の検挙について

刑事局長から、平成24年4月19日に北九州市内で元警察官が拳銃で撃たれた組織的殺人未遂等事件について、指定暴力団五代目工藤會の代表者等18人を逮捕した旨の報告があった。

前田委員より、「代表者等に対して、よく立件できたと思う」旨の発言があった。

 

(7)「車座ふるさとトーク」の開催について

交通局長から、7月19日、札幌市において「地域ぐるみの交通安全対策を一層盛り上げるためには」をテーマに開催される「車座ふるさとトーク」について報告があった。

 

(8)皇太子殿下の第51回全国献血運動推進全国大会御臨席に伴う警衛警備について

警備局長から、第51回献血運動推進全国大会御臨席等のため、7月16日から17日までの間、皇太子殿下が大阪府へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)刑事局長から、6月16日に福岡県警察が指定暴力団五代目工藤會の代表者らを所得税法違反で逮捕した事件について、7月6日、代表者ら2人が同法違反で起訴された旨の報告があった。

前田委員より、「暴力団に対しては、徹底的に脱税を摘発していかなければいつまでも弱くならない。工藤會だけではなく、他の団体に対しても、国税当局と連携して徹底的に脱税を摘発してもらいたい」旨の発言があり、刑事局長から、「それはかねてからの課題でもあり、今回、国税当局と緊密に連携したことで一つの突破口が開いたと認識している。工藤會のみならず他団体にも適用できないか、引き続き検討を重ねてまいりたい」旨の説明があった。