定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成27年10月15日(木)

午前10時00分 〜 午前11時35分

 

 

第2 出席者 河野委員長、長谷川、前田、奥野、北島各委員

金長官、栗生官房長、種谷生活安全局長、三浦刑事局長、鈴木交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)全国殉職警察職員・警察協力殉難者慰霊祭の開催について

官房長から、10月29日に全国殉職警察職員・警察協力殉難者慰霊祭が開催される旨の報告があった。

 

(2)平成27年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会結果について

官房長から、平成27年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会の結果について報告があった。

 

(3)平成27年上半期の出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について

生活安全局長から、平成27年上半期の出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について報告があった。

前田委員より、「被害に遭った児童の親がフィルタリング等の防犯対策を講じていたかどうかなど親の状況も分析しているのか。そのような親への対策も講じなければ、有効な対策にならないと思われる」旨の発言があり、生活安全局長から、「児童の親にフィルタリングをしっかりと説明するということは、インターネットの環境整備法でも一般的に義務化されてはいるものであるが、御指摘のとおり、被害児童の親の状況についても分析してまいりたい」旨の説明があった。

長谷川委員より、「フィルタリングを掛けていない児童が被害に遭っている状況が認められることから、フィルタリングをしっかりと掛けてもらうよう、親に対して啓蒙して行くことが第一だと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「フィルタリングを掛けてもらうと、悪質なサイトを阻止できる。しかし、従来は携帯電話が一般的だったが、最近はWi−Fiでの通信もあり、更にダウンロードしたアプリケーションを使用したりしているので、それぞれに対応したフィルタリングを掛ける必要があることから、これらに一つ一つ対応してもらうように進めていかなければならない」旨の説明があった。

 

(4)埼玉県熊谷市における被害者多数の殺人事件の検挙について

刑事局長から、埼玉県熊谷市における被害者多数の殺人事件について、9月14日に夫婦2名を殺害したとして、10月8日、埼玉県警察が被疑者を住居侵入・殺人罪で通常逮捕した旨、並びに同事件における埼玉県警察の対応について報告があった。

奥野委員より、「住居侵入事件と殺人事件が連続的に発生している点を考えると、やはり、警察がどこかで抑えることができなかったのかと感じる。難しい問題ではあるが、今後、同種事案の再発を防止するためにも、個々の責任を問うためではなく、各捜査員の対応を詳細に把握した上で、捜査体制の問題なのか、捜査員の能力の問題なのか、組織の在り方の問題なのかということまで突き詰めて調べていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「本件は、最初から容疑性がある事案だった訳ではなく、その後、だんだんと事案全体が分かってきたものであり、その時々の対応について失態と言える事案ではないと認識しているが、重大な結果が発生していることに鑑み、将来的に被害の発生を可能な限り防ぐためにはどのようにすればよいかという観点で、埼玉県警察において教訓事項のとりまとめ作業を進めている。最初の殺人事件を認知した段階では、連続発生を予見することが困難ではあるものの、殺人事件が発生したので注意すべき旨を付近住民にできるだけ広く知らせることなどを含めて教訓とすべき点があれば、全国で共有してまいりたい」旨の説明があった。

前田委員より、「最初、被疑者がパスポートや財布を置いたまま立ち去ったとき、これら返却するためにパスポートの住所から本人の住居を調べるなどはしてはいなかったのか」旨の発言があり、刑事局長から、「それらの作業はしていた」旨、長官から、「本件では、むしろ最初の殺人事件を認知したとき、相談に来た被疑者が警察署から立ち去った事案、その後連続して発生した住居侵入事件と殺人事件とをリンクさせてどこまで対応を図ることができたのかという点が、今回の大きな教訓になるのではないかと思う。本件のように完全に無関係の人たちが連続的に被害に遭うという形態は、従来はあまり無かったと思うが、現実に発生してしまっていることから、本件から教訓を引き出し、同種事案が発生しないような仕掛けを考えていきたい」旨の説明があった。

 

(5)厚生労働省職員による情報連携基盤整備事業をめぐる収賄事件の検挙について

刑事局長から、厚生労働省職員による情報連携基盤整備事業をめぐる収賄事件について、10月13日、警視庁が被疑者を収賄罪で通常逮捕した旨の報告があった。

 

(6)第10次交通安全基本計画中間案について

交通局長から、中央交通安全対策会議において検討されている、第10次交通安全基本計画の中間案について報告があった。

北島委員より、「平成32年までに、死者数を2,500人以下、死傷者数を50万人以下とすることが目標に掲げられているが、最近の状況を踏まえると、なかなか達成が難しいのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「厳しい目標のようではあるが、関係省庁と協力して対策を進めてまいりたい」旨の説明があった。

長谷川委員より、「本来、死者数が何人というのは結果的なものに過ぎないものではないかと思う。考えられることを網羅的に挙げていくよりも、まずは基本的な重要政策がいくつか掲げられ、それらに基づき各種施策を講じることでその徹底を図っていけば、自ずと死者数が減少していくのではないのか」旨の説明があり、交通局長から、「従来の9次にわたる基本計画は、ある意味、網羅的に対策を講じることを念頭に置いていたことから、それを踏襲している部分はある。しかし、今回の基本計画では、基本的には生活道路対策、高齢者・子供対策、歩行者・自転車対策の3つを重点として打ち出しており、例えば、歩行者空間と自動車空間との分離を進めることで、これら重点の達成につながるものと考えているなど、御指摘のような考え方は踏まえられているものである」旨の説明があった。

前田委員より、「以前から「世界一安全」とうたっているが、これを示す統計はあるのか」旨の発言があり、交通局長から、「交通事故発生後30日以内に死亡した死者数が10万人当たり何人いるかという各国の統計を使っている。現在、スウェーデンやイギリスが最も少ない国となっており、国の規模等を踏まえると、日本はイギリスの水準を目標とすべきものである」旨の説明があり、前田委員より、「死者数だけに焦点を当てるのではなく、死傷者数70万人をベースに考え、全体の傾向を把握した上で、もう少し特化した対策を講じてもよいのではないか。例えば、なかなか実効性を上げるのが難しい高齢者の死亡事故対策ではなく、交通事故の多数を占める交差点での交通事故の抑止対策を重点として、交通量の少ない過疎の地域で環状交差点の整備を進めるなどの方が有効ではないか」旨の発言があり、交通局長から、「基本計画作成において、以前は死者数のみを目標としていたが、最近は死傷者全体も目標としており、死亡事故だけではなく全ての交通事故を抑止しようとしている。また、環状交差点の整備については、道路管理者の事情もあり全国的な整備はあまり進んでいないが、交差点の交通事故対策としては非常に有効であることから引き続き整備を進めてまいりたい」旨の説明があった。

 

(7)自動走行をめぐる最近の動向等について

交通局長から、自動走行をめぐる最近の動向等について報告があった。

奥野委員より、「欧州等海外では、自動走行の開発は、日本に比べて進んでいるのか」旨の発言があり、交通局長から、「欧州やアメリカでも開発が進められているが、日本でも大手メーカーや大学、研究機関において実証実験等を行っており、海外と比べて遅れているとの認識は持っていない」旨の説明があり、奥野委員より、「自動走行については、必ずしも肯定的な側面だけではなく、否定的な側面も認められることから、有識者による検討委員会でも、徹底した議論、調査研究をしていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「私どもも、交通安全の確保が大前提だという認識を持っている。一方で、車両運転におけるヒューマンエラーの防止を補完するという意味では、自動走行に至るまでの様々な技術には交通安全に資するものが相当あると認識しており、それらの技術は積極的に車両開発に活用していただきたいと思う。引き続き、国内的にも国際的にもしっかりと検討してまいりたい」旨の説明があった。

 

(8)安倍内閣総理大臣のモンゴル国、トルクメニスタン、タジキスタン共和国、ウズベキスタン共和国、キルギス共和国及びカザフスタン共和国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、10月22日から28日までの間、各国首脳との会談等のため、安倍内閣総理大臣がモンゴル国、トルクメニスタン、タジキスタン共和国、ウズベキスタン共和国、キルギス共和国及びカザフスタン共和国を訪問予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

 (1)奥野委員より、「先日、茨城県警察本部長から、先般、茨城県内で発生した鬼怒川水系河川の決壊等に対する災害警備活動について説明を受けた。避難勧告の在り方や県警察と県庁との連絡体制等の問題点も指摘されていたが、私が関心を持ったのは、警察の航空隊の活動である。1都9県から延べ34機のヘリコプターが投入され209人の方を救助するなど、警察のヘリコプターがこれだけ活躍したことはこれまでには無かったと思う。近年、地震、火山爆発、水害等大規模な自然災害が増えており、その中で警察の災害救助活動の重要さが以前にも増していることから、今回の茨城県警察の報告を参考にしていただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「今回の災害対策については、内閣府を中心に警察庁を含めた関係省庁においても検証することとしている」旨の説明があった。