定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成27年10月29日(木)

午前10時00分 〜 午前11時40分

 

 

第2 出席者 河野委員長、前田、奥野、川本、北島各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、鈴木交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

村田総括審議官、古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

 議題事項

(1)平成28年警察白書の構成について

総括審議官から、平成28年警察白書の構成案について説明があり、原案どおり決定した。

北島委員より、「重要なステークホルダーということで、都道府県公安委員会や警察署協議会の方からの声も掲載しており、非常によい。今後も続けていただきたい」旨の発言があった。

川本委員より、「これまでの警察白書の構成案の説明は、なぜこの特集にしたのかという説明がやや不足していたように思われるが、今回のようにしっかりと説明をしてもらうとよい。作成に当たっては、誰が読んでも分かりやすく、何が新しいことなのかということを明確にするように心がけていただきたい」旨の発言があった。

 

(2)犯罪被害者等給付金の裁定(沖縄県・兵庫県)に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決案について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、千葉県警察の警視らによる交通死亡事故統計の不適正な取扱いに関し、10月30日、同県警察は同警視らを本部長訓戒等とするとともに、国家公安委員会の了承が得られれば、監督責任として前交通部交通総務課長の地方警務官を本部長注意の措置とする予定である旨の報告があり、原案どおり了承した。

奥野委員より、「処分された者だけでなく、この作業に携わるほとんどの職員が実態を知っていたはずであるが、疑問を持つ者はいなかったのか」旨の発言があり、首席監察官から、「関係職員は相当数に上るが、最終的に統計に計上するかどうかを判断するポストにある6人の処分となった。その他の関与者にも問題があるため、関係所属全てに業務指導を行い、組織全体に対して注意喚起をして、正確な統計処理を徹底してまいりたい」旨の説明があった。

前田委員より、「この種の改ざんが行われるのは、警察本部長が「交通死亡事故全国ワースト1を何としても返上しろ」などと号令をかけるからではないか。本部長に対して、変な形でプレッシャーを現場にかけるのはやめるよう警察庁から言わなければ、この種事案はまた起こる。また、統計データを手作業で管理している点については、システム的にできるよう改善すべきである」旨の発言があり、交通局長から、「交通事故を減少させること自体は大変重要な問題ではあるが、御指摘のとおり、統計的に何とかするということは全く筋違いである。正しく交通事故対策を講じるためにも、正しく客観的なデータを把握した上で交通安全対策を講じるよう、本部長に対応させてまいりたい。また、統計システムについては、次回の原票改正の際にシステム的にチェックできよう改訂を検討している」旨の説明があった。

 

(4)「国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法第四条第一項の規定に基づき国際テロリストを指定する件」について(決裁事項)

警備局長から、「国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法」に基づく国際テロリストの指定について説明があり、原案どおり決定した。

 

(5)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

委員間の互選により、11月1日以降の「委員長を代理する者」の順位について、第1順位長谷川委員、第2順位奥野委員、第3順位川本委員、第4順位北島委員、第5順位前田委員とすることとした。

 

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について(了承事項)

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

 報告事項

(1)平成27年秋の勲章伝達式等について

官房長から、11月3日付けで発令される平成27年秋の叙勲及び褒章に関し、警察関係者の受章者に対する勲章及び褒章の伝達式の予定等について報告があった。

 

(2)殉職事案の発生について

官房長から、8月14日、夜間に無灯火の自転車を停止させようとしたところ自転車に衝突され、意識不明の重体となり治療中であった高知県警察官が、10月26日に死亡した旨の報告があった。

川本委員より、「手を広げて自転車の停止を求めるということは、基本動作とされているものか」旨の発言があり、生活安全局長から、「これまでは、検問時における自動車等の停止方法等については指導しているが、このような暴走する自転車への対応については、指導していなかった。今回の事案の発生を踏まえ、このような自転車への対応についても指導してまいりたい」旨の説明があった。

 

 (3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、9月29日、警察庁の警部補が児童買春をしたとして通常逮捕された事案等に関し、10月30日、同庁は同警部補を免職処分とする予定である旨、及び宮崎県警察の巡査部長が捜査対象者であった知人女性を隠避させるなどした事案に関し、11月4日、宮崎県警察は同巡査部長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(4)埼玉県熊谷市において発生した連続殺人事件を受けた警察庁の取組について

刑事局長から、9月に埼玉県熊谷市で発生した連続殺人事件を受けた警察庁の取組について報告があった。

奥野委員より、「埼玉県警察がまとめた報告書によると、「当時、本件の発生を防ぐためには非常に不利な条件がいろいろあり、やむを得ない状況だった」という旨の記載があるが、たとえそうであっても、警察として、6人もの死者を出す悲惨な結果を生じさせたということを重く受け止めていただきたい。また、「状況が判然としない中で警戒を呼びかける広報は、地域社会の不安感を高めるおそれが懸念された」という旨の記載もあるが、確かにこれは判断が難しい。しかし、警察の仕事は、「結果が全て」という側面があり、今回の事件は「警察の敗北」だったと思う。さらに、全国各地の捜査幹部、捜査官は、本報告書を読んで、自分だったらこの事件にどう対応したか、何かできたかと考えて、是非とも本事件を教訓としてもらいたい」旨の発言があり、刑事局長から、「大変重い結果が生じた事件であり、そこから得た様々な教訓を全国で共有していくことが今後の課題だと思う。また、住民への情報提供については、多少は不安感をあおることになるかもしれないが、そこは承知の上で前広に情報提供しようという、従来よりも一歩踏み込んだ取組をしていくものと御理解いただきたい。殊更に不安感をあおる必要はないが、危機感は持って防犯対策を講じていただくように地域住民に前広に情報提供していくこととしたい」旨の説明があり、奥野委員より、「前広に情報提供することは、現場の負担が増えることになるため、現場からの不満が出たりしないか」旨の発言があり、刑事局長から、「むしろ、大きく構えるという対応方針は、警察では既に定着していることである。例えば、女子児童の行方不明事案が発生した場合には、重大な事態に至らないことが多いが、本部も関与して必要な体制を組んで捜索するということを日常的に行っている。今回の取組は、それを更に徹底しようというものである」旨、長官から、「最近は、ストーカー、DV、児童虐待等の事案を中心に、最悪の事態を生じさせないための対応は相当進んでいる。ただし、今回のような殺人事件への対応については、今まであまり無かったことなので、本件は教訓になる」旨の説明があった。

 

(5)FATF対日審査フォローアップ結果について

刑事局長から、10月21日に開催されたFATF全体会合における対日相互審査に対するフォローアップ結果について報告があった。

北島委員より、「パレルモ条約の締結についての見通しはどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「政治情勢等もあり、最終的には法務省だけの問題では無く、国全体で考えていくことになるものと思われる」旨の説明があった。

 

(6)トルコ共和国大使館前における在日トルコ人らによる暴行事案の発生について

警備局長から、トルコ共和国大使館前における在日トルコ人らによる暴行事案の発生について報告があった。

奥野委員より、「民族間の対立を背景として、国内で騒動が発生するのは初めてではないか。昨今、日本国内での国際テロの可能性も懸念されている中、ついにこのような事案も発生する時代になったのかという印象である。この種事案について、事前の阻止はなかなか難しいと思うが、警察として、情報収集を徹底していただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「国際テロの温床になる可能性もあるので、外国人コミュニティと連携して情報収集を図っている。コミュニティの外国人の方々が日本国内で安全に生活できるようにするためにも重要である」旨の説明があり、奥野委員より、「日曜日の朝にもかかわらず、機動隊が速やかに投入され対応していた。警視庁では、常時待機部隊を置いており、それが効果的に機能したということか」旨の発言があり、警備局長から、「御指摘のとおりであり、今回は、警視庁機動隊の突発部隊に加え、非番の部隊も招集し現場で対応した」旨、長官から、「本件のような海外での民族問題、政治問題を背景とする様々な対立が反映された大規模な集団暴行事案は初めてである。今回は、不測の事態ということで機動隊を投入し沈静化を図ったが、本来的には不測の事態にもならないよう事前に警備体制をとるのが理想であり、そのためにも各国大使館等と連携した情報収集を進めてまいりたい」旨の説明があった。

 

(7)皇太子殿下の第30回国民文化祭・かごしま2015御臨場等に伴う警衛警備について

警備局長から、10月30日から31日までの間、第30回国民文化祭・かごしま2015御臨場等のため、皇太子殿下が鹿児島県へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

(8)安倍内閣総理大臣の大韓民国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、11月1日から2日までの間、日中韓サミット出席等のため、安倍内閣総理大臣が大韓民国を訪問する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

 

(9)警察情報セキュリティポリシーの改正について

情報通信局長から、平成26年5月に「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準群」が改正されたことを受けて、警察情報セキュリティポリシーを改正する旨の報告があった。

川本委員より、「本件はとても大事なものだが、政府で昨年5月に改正してから1年半もかかっており、対応が遅いのではないか。情報セキュリティの世界は、変化のスピードがとても速いものである。今後は、政府の基準群の改正後約1年で警察庁も改正するなどと計画する必要があるのではないか」旨の発言があり、情報通信局長から、「御指摘のとおり、1年半もかかったことについては改善の必要があると考える。今後は、改正内容に対し、政府の基準群のような準拠性が高いものについては、作業工程を分けて優先的に進めるなどして対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)刑事局長から、大阪市東住吉区における放火殺人事件について、被告人2名の有罪が確定していたものの、24年3月に再審開始が決定、検察庁が即時抗告していたところ、本年10月23日、即時抗告が棄却され、その後、検察庁による特別抗告がなされず再審が開始されることとなった旨の報告があった。