定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成28年1月21日(木)

午前10時00分 〜 午前11時00分

第2 出席者 長谷川、前田、奥野、川本、北島各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

第3 議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会に対する異議申立て事案の決定について

交通局長から、行政不服審査法に基づき国家公安委員会に対してなされた異議申立てに対する決定について説明があり、原案どおり決定した

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)DDoS攻撃を利用した恐喝事件に対するユーロポール等の国際共同捜査への参画について

生活安全局長から、金融機関やIT企業等のサーバにDDoS攻撃を仕掛け、攻撃回避のための支払いを仮想通貨で要求する事件が欧米や日本で発生していたことから、警察庁も参加した欧州刑事警察機構(ユーロポール)による国際捜査会議を経て、今般、ユーロポール及び国際刑事警察機構(ICPO)の調整の下、関係各国の法執行機関が複数の捜索差押を行い、ボスニア・ヘルツェゴビナにおいて関連被疑者2名を検挙した旨の報告があった。

北島委員より、「国境を越えるサイバー犯罪ということで、正に国際連携が重要であるということを示した事案である。今後とも、国際連携をしっかりと図ってもらいたい」旨の発言があった。

(3)廃棄食品の横流しに係る廃棄物処理法違反事件の発生について

生活安全局長から、昨年10月頃、飲食事業者から多量のビーフカツの処分を委託された廃棄物処理業者が、そのうち一部を処分した事実しかないのに全量を廃棄した旨の虚偽の報告を行った廃棄物処理法違反事件について、同廃棄物処理業者等に対する捜索差押を行った旨の報告があった。

北島委員より、「飲食事業者からの相談の後、速やかに対応した点を評価したい」旨の発言があった。

奥野委員より、「廃棄依頼を受けた食品の横流しには、他の事業者も多数関与しているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「県の立入調査結果の公表内容を踏まえると、本件以外の事業者からの廃棄物も横流ししている可能性がある。今後、廃棄依頼を受けた食品の流通ルートも含め、全容を解明していかなければならないと思っている」旨の説明があり、奥野委員より、「この種の事案は、あまり表面化しないが、潜在的には半ば常識化しているのではないか。捜査機関が介入したこの機会に、実態を徹底解明していただきたい」旨の発言があった。

(4)長野県軽井沢町における大型貸切バス転落事故の発生について

交通局長から、1月15日、長野県軽井沢町内の国道において発生した、スキー場に向かう大型貸切バスによる死者15名等を伴う転落事故の捜査状況等について報告があった。

奥野委員より、「直接の事故原因については捜査を待たなければならないが、バスの乗客のシートベルトの着用状況はどうなっていたのか。被害が拡大した要因の一つとして、シ−トベルト着用の有無が関係しているのかどうか。最近、警察では乗用車の後部座席でのシートベルト着用に力を入れているが、バスに対しては指導がどの程度行き届いていたのか疑問である」旨、川本委員より、「警察は、シートベルトを着用している場合の事故における生存率の高さを把握しているにもかかわらず、シートベルトの有効性は国民にあまり知られていないと思う。また、後部座席のシートベルト不着用には一般道路であっても点数を設けるなど、シートベルトの着用が徹底されるようにしてもらいたい。さらに、24年4月に関越自動車道において多数死傷者を伴う大型バス事故が発生して以降、各省庁で様々な対策を講じていたが、この種ツアーでは、消費者側に宿泊場所や価格の情報は提供されているものの、バスの運行状況やバス会社の運営実態については情報提供されないなど対策が十分とは言えない状況で、またもやこのような事故が発生したことについて、行政としてどのように考えているか」旨の発言があり、交通局長から、「シートベルトの着用状況については捜査中である。大型バス乗客のシートベルトの着用については、これまでも国土交通省からバス業界に対して指導はなされていたが、今回の事故では、発車前に運転手から装着の呼びかけが行われていたという状況は未だ確認できていない。また、一般道路における後部座席のシートベルト不着用に対する点数については、これまでのシートベルトの着用の義務付けの経緯を踏まえると、実際のシートベルト着用率が一定レベルに向上した上で導入されることが望ましいことから、当面はシートベルト着用の効果の周知とともに、着用率の向上のための啓発に努めてまいりたい。さらに、関越自動車道における事故の発生以降、国土交通省では、バス会社に対する行政処分を行った場合には速やかにホームページで公表するなど様々な対策を講じているとのことである」旨の説明があり、奥野委員より、「最近は、観光バス、定期運行バスも含めてバスの需要が高くなっていると思うが、そのような中で、シートベルトの着用がなかなか徹底されていないのであれば、バスについても、例えば、普通乗用車のようにシートベルトを着用していないと警告音が鳴るシステムを導入するようメーカーに要請するなど、各方面に対し何らかの措置を講じるよう働きかけをしなければならない段階に来ているのではないか」旨、川本委員より、「関越自動車道の事故以降、国土交通省側の対策が実態を伴っていなかったのではないかと感じられる」旨の発言があった。

前田委員より、「警察が懸命に取締りを強化しても、事業者への罰則などがないと効果が少ない。警察庁から国土交通省に対して、法改正等の対策をしっかりと講じるよう、もっと訴えないといけないのではないか」旨、川本委員より、「ここでの議論をしっかりと伝える必要がある」旨、奥野委員より、「国土交通省も含め他省庁との連携が不可欠な案件については、国家公安委員会での議論、意見を伝えていただきたい」旨の発言があり、長谷川委員より、「ヨーロッパに長く滞在した後に日本に戻ってきたとき、全席でのシートベルトの装着、チャイルドシートの装着等、安全の確保のためには必要だという明らかな証拠があるにもかかわらず、日本での導入がとても遅れていると感じた。バスでも、放送はあっても乗客がシートベルトを装着しないままで走ったり、タクシーでも、シートベルトを差し込む箇所がいずれか分かりにくかったりもするように思う。国土交通省には、国家公安委員会の意見をしっかりと伝えてもらいたい」旨、北島委員より、「関越自動車道の事故以降、国土交通省によるバス業界の監査がしっかりとしていないことが問題ではないかという印象である」旨の発言があり、次長から、「この機会に、国土交通省に対してしっかりと伝えたい」旨、長官から、「インバウンドにより観光バスへの需要が相当伸びており、業界内でも運転手不足等の問題を抱えている実態があるようなので、私としても危機意識を持って対策を講じなければならないと思っていることから、しっかりと国土交通省と話をしてまいりたい」旨の説明があった。

(5)中核派非公然アジトの摘発等について

警備局長から、1月18日、警視庁が中核派非公然アジトを摘発するとともに、捜索の際、捜査員に対して暴行を加えた同派の非公然活動家2人を公務執行妨害罪で現行犯逮捕した旨の報告があった。

(6)天皇皇后両陛下のフィリピン国御訪問に伴う警衛警備について

警備局長から、フィリピン国政府からの招請を受け、国際親善のため、1月26日から30日までの間、天皇皇后両陛下が同国を御訪問になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。