定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年1月28日(木)

午前10時00分 ~ 午前11時50分

 

 

第2 出席者 長谷川、前田、奥野、川本、北島各委員

金髙長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

白川審議官(国際・サイバーセキュリティ担当)、古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、2月8日付けを始めとする地方警務官104名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)サイバーセキュリティ戦略本部第6回会合について

審議官(国際・サイバーセキュリティ担当)から、1月25日、「我が国のサイバーセキュリティ推進体制の更なる機能強化に関する方針について」を主な議題として、サイバーセキュリティ戦略本部第6回会合が開催された旨の報告があった

 

(3)訪日外国人等の急増への対応について

審議官(国際・サイバーセキュリティ担当)から、今後、日本に滞在する外国人の増加が見込まれることから、これら訪日外国人等が日本の良好な治安を体感できるような環境を整備するため、警察庁が全国警察に示す施策の概要について報告があった。

奥野委員より、「資料にある「コミュニケーション支援のための資料・資機材の活用」については、翻訳機等を整備するのもよいが、こちらは時間も予算もかかる。外国語の簡単な質疑応答のマニュアルを印刷して配付するだけでも効果的である。先日、青森県を視察した際、米軍の三沢基地を管内に抱える三沢警察署を訪問したが、必ずしも署員全員が外国語に堪能ではないので、外国人対応マニュアルを署員に配付し、効果的に活用していた。速やかに幅広く対応できるように進めていただきたい」旨の発言があり、審議官(国際・サイバーセキュリティ担当)から、「御指摘の点は了解した。また、そのような現場での経験、方策を共有できるようにしてまいりたい」旨の説明があった。

北島委員より、「立派なメニューだと思うので、是非、頑張って取り組んでいただきたい」旨、川本委員より、「発出する通達も内容がよく練られており、分かりやすくなっている。ただし、現場には負担になるものなので、このような追加的な措置を講じる場合には、スクラップ・アンド・ビルドのスクラップ部分、「現場では何をしなくてもよくなるのか」の点についても示すべきである」旨の発言があった。

 

(4)平成27年中の懲戒処分者数について

首席監察官から、平成27年中の懲戒処分者数について報告があった。

前田委員より、「業務上の懲戒処分者数が2桁になったことは、大変良いことである。全体数では実態が見えにくいが、私行上と業務上とに分けて見ると、業務上は対策の成果が出たことが分かる。職員全体のモラルダウンを起こさないよう、発表の仕方には考慮がいると思う。また、私行上の事案の改善は難しいが、ストレスなど職場との関連がうかがわれるものは内容を精査し、防止策を講じる必要がある」旨の発言があり、首席監察官から、「広報する場合には、業務上の非違事案に対してどのような対策を講じたために効果が上がったのかなどを具体的に説明するなどして、全体数だけが一人歩きしないよう配慮をお願いしている。また、私行上の事案の中にも、職場のストレスが関連しているものはある」旨の説明があった。

川本委員より、「業務上と私行上を分けたのはよいことであり、私行上のものをどれだけ広報するのかは、よく考えた方がよいと思う。また、セクハラを私行上のものと区分している点は疑問がある。セクハラの多くは、職場関係の宴席で発生しているようであり、それはパワハラと言える。最近は、両者を区別せずに「パクハラ」と称しているところもある」旨の発言があり、首席監察官から、「セクハラを全て私行上と位置づけているわけではなく、事案ごとに判断している」旨の説明があった。

北島委員より、「平成24年から見ると、処分者数が非常に減ってきたこと、その中で、業務上のものが特に減っていることを評価したい。一方、異性関係を事由とする事案が著しく増えたことについて懸念を表明しておきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「直接、間接的に女性が関係する事案が増えているが、異性関係はプライベートなものなので対応が難しいと捉えずに、内容を詳しく分析して欲しい。世代交代により若手警察官が増えて、社会情勢に応じて警察業務が変化し、新しい環境となっている中で、警察官の意識、考え方がどう変わっているのか見つめ直す良い機会だと思う」旨の発言があった。

 

(5)平成27年度第3四半期監察の実施状況について

首席監察官から、「適正な捜査管理の推進状況」を全国統一実施項目として警察庁が都道府県警察に対して行った平成27年度第3四半期における監察の実施状況について報告があった。

長谷川委員より、「捜査上の不適正事案について、失敗の原因は何か、どのようにしたら成功したのかを周知することが大事なので、しっかりと情報提供してほしい」旨の発言があった。

 

(6)平成28年度監察実施計画について

首席監察官から、平成28年度監察実施計画について報告があった。

 

(7)監察の取扱い事案について

首席監察官から、昨年9月18日、宮崎県警察の巡査長が拾得現金を横領するなどした事案に関し、本年2月4日、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(8)亜酸化窒素製品の販売に係る食品衛生法違反事件の検挙について

生活安全局長から、平成27年10月、フィリピン国籍の男がカートリッジ式小型ボンベ入りの亜酸化窒素を食品添加物として販売していた事案について、本年1月24日、群馬県警察が同人を食品衛生法違反(規格基準に合わない添加物の販売)で逮捕した旨の報告があった。

 

(9)平成27年の特殊詐欺認知・検挙状況等について

刑事局長から、平成27年の特殊詐欺認知・検挙状況等について報告があった。

奥野委員より、「全体的には成果が出てきていると思う。全国的に体制を強化しているが、これは、近年減少している盗犯捜査の人員を移しているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「26年に首都圏を中心として被害が急増したが、特殊詐欺は、ある程度体制がないと効果がないので、昨春くらいから、体制を組んで取り組んできた。しかし、重要窃盗犯の検挙率もまだ十分ではなく、盗犯捜査の負担が少なくなっているわけではないので、盗犯捜査の人員を移したものではなく、組織全体を見て、かなり苦慮しながら、いろいろな部門から人員を集めて体制を構築したものと思う」旨の説明があり、奥野委員から、「体制づくりにおいては、組織内でメリハリのある配置をするという基本方針を徹底してもらいたい」旨の発言があり、刑事局長から、「特殊詐欺では、体制がなければ効果的な検挙ができないことは経験則上分かってきていると思うので、被害の大きい首都圏を中心に、できるだけ体制を維持して、今後も取り組んでまいりたい」旨、長官から、「特殊詐欺は、いくら受け子を検挙しても犯罪は減らず、減らすためには、長期間、多くの捜査員を投入して次々と組織の者を検挙していかなればならないので、それなりの体制を構築できた府県は大量検挙により効果が出ている。一方、被害が多いにもかかわらずなかなか体制がとれない西日本の一部府県などは、被害が増えており、その点は課題である」旨の説明があった。

川本委員より、「今回、電子マネーを利用した犯行が急増しているとのことで、これは、秘匿性が担保され、利便性が優先されているルールになっているためであることから、犯罪に便利なツールにならないうちに、金融庁と連携して対応策を講じていただきたい」旨の発言があった。

 

10)警察庁ウェブサイトの閲覧障害について 

警備局長から、1月27日19時頃から21時頃までの間、警察庁ウェブサイトにおいて閲覧障害が発生した旨の報告があった。

奥野委員より、「捜査機関に対する攻撃は看過できない。捜査は容易ではないが、是非犯人を突き止めて欲しい」旨の発言があり、警備局長から、「しっかりと捜査してまいりたい」旨、情報通信局長から、「非常に抽象的な話だが、DDoS攻撃は大別すると2つしか対策がなく、1つはDDoS攻撃をいくら受けても問題ない程度の大規模な通信能力を持つこと、2つめは、攻撃された相手のアドレス等を特定して攻撃を遮断又は低減することであり、これらの対策と攻撃の量的な関係で罹障時間が決まってくる。今回は対策を取っていたが、攻撃が強かったために2時間程度罹障した。今後、今話した2つの方法をどこまで向上できるか検討を続けてまいりたい」旨の説明があった。

 

 3 その他

 (1)刑事局長から、鹿児島市呉服町における強姦事件控訴審の無罪判決の確定及び本件判決を踏まえた警察の対応について報告があった。

奥野委員より、「本件では、自県で発生した犯罪は自県だけで捜査を遂げたいという意識があったのかもしれないが、DNAが微量だったためにDNA型の検出に至らなかった時点で、なぜ科学警察研究所に鑑定を依頼しなかったのか疑問であった。本件を受けて、警察庁から都道府県警察に対して、鑑定困難な場合には、科警研に幅広く相談するよう通達したとのことだが、この点を一層強化してもらいたい」旨の発言があり、刑事局長から、「科学警察研究所には、全国的な視野や幅広い知見があるので、御指摘のとおり、より幅広く相談するように指導してまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)交通局長から、1月21日に開催された国家公安委員会定例会議の報告事項「長野県軽井沢町における大型貸切バス転落事故の発生について」における公安委員会委員からの意見について、1月27日、交通局長が国土交通省自動車局長に説明した旨の報告があった。

川本委員より、「本件については、警察庁の問題としてしっかりと取り組むとともに、今後も公安委員会において適宜報告していただきたい」旨の発言があった。

 

(3)川本委員より、「先日、奥野委員、北島委員とともに、警察庁高度情報技術解析センターを視察した。解析の技術と緻密で忍耐強い作業が非常に印象深く思った。以前から取り組んでいるとは思うが、海外や研究機関との交流や、いわゆる「匠」の伝達のような育成プログラムについて、警察庁からもケアしていただきたい」旨の発言があった。