定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年2月25日(木)

午前10時00分 〜 午前11時20分

 

 

第2 出席者 河野委員長、長谷川、奥野、川本、北島各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律による犯罪収益移転防止法の一部改正について

刑事局長から、いわゆるビットコイン等の仮想通貨への対応を図るために銀行法等の一部が改正されることに伴い、「仮想通貨交換業者」の特定事象者への追加等を内容として犯罪収益移転防止法の一部を改正する旨の説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に関する報告について

警備局長から、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき国会に報告する、平成27年中の同法の施行状況について説明があり、原案どおり決定した。

奥野委員より、「オウム真理教による事件において検挙された信者は高学歴で知識のある者が多かったが、最近の新規信者も同様の傾向にあるのか」旨の発言があり、警備局長から、「最近の若者に見られがちな居場所が無い者や疎外感を感じている者等を対象として、占い等の宗教色を感じさせないイベントを利用するなどして勧誘している」旨の説明があった。

北島委員より、「主流派の団体を中心に、基本的な教義を維持しながら、資産を増加させたり、新規信者を獲得したりしている状況に懸念を表明しておきたい」旨の発言があった。

 

(3)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

委員間の互選により、2月25日以降の「委員長を代理する者」の順位について、第1順位長谷川委員、第2順位奥野委員、第3順位川本委員、第4順位北島委員、第5順位木村委員とすることとした。

 

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

官房長から、1月31日、愛知県警察の巡査が住居侵入の上、強制わいせつ致傷に及んだ事案に関し、2月26日、同県警察は、同巡査を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(3)平成27年中の少年非行情勢について

生活安全局長から、平成27年中の少年非行情勢について報告があった。

北島委員より、「検挙人員が減少している中、児童ポルノ事犯、大麻事犯が急増したことに懸念を表明しておきたい。また、再犯者率が18年連続して増加しているが、再犯防止策を徹底させるためには、関係機関・団体等を巻き込んだ、一層の努力が必要だと思う」旨の発言があった。

奥野委員より、「全体的に少年非行対策が効果を上げていると認識しているが、特に初発型非行が減少数の7割を占めていることに関心を持った。これは、街頭犯罪対策を強化した効果でもあると理解してよいか」旨の発言があり、生活安全局長から、「非行にまで至ってないが、不良行為少年として補導された人員も大きく減少しているおり、特に、深夜徘徊の減少が大きい。現場の警察官等からも、最近は深夜に街頭でたむろする少年を見なくなっているという意見が出ており、少年のライフスタイルの変化が背景にあると思われる」旨の説明があり、奥野委員より、「社会情勢の変化に応じて、少年犯罪も特殊詐欺やラインを悪用した犯罪等に移行しているだろうから、警察の対策も同様にシフトしながら、引き続き犯罪撲滅に努力していただきたい」旨の発言があった。

長谷川委員より、「先週と同様に、刑法犯少年等の年齢別、年別の推移についても、資料内のグラフを工夫して作成すれば、実態を把握しやすくなってよいと思う」旨の発言があった。

 

(4)平成27年中における死体取扱状況について

刑事局長から、平成27年中における死体取扱状況について報告があった。

長谷川委員より、「資料にある検視官の臨場率は、何の数字に対するものか」旨の発言があり、刑事局長から、「警察が取り扱った全ての死体数の約16万体に対するものである」旨の説明があった。

 

(5)平成27年の暴力団情勢について

刑事局長から、平成27年の暴力団情勢について報告があった。

北島委員より、「構成員等の数の減少は、警察がこれまで暴力団対策を一生懸命に推進してきたことの結果であり、評価したい」旨の発言があった。

奥野委員より、「暴力団勢力が17年以降減少し続けていることは、暴力団排除条例制定等の対策の成果だと思う。一方、暴力団から離脱した者が、その後どのようになっているか関心がある。また、暴力団には加入せず、いわゆる半グレの状態で各種違法行為をしている若者も最近は多いのではないかと思う。実態はどうなのか」旨の発言があり、刑事局長から、「暴力団から離脱した者でも、正業に就く者もいれば組織の周辺で活動している者もいて様々である。また、暴力団の事務所当番や厳しい上下関係等は、最近の若者の感覚には合わないので、暴力団側は新規獲得に苦労しているようである。一方、暴力団に加入しない若者は、ローリスク・ハイリターンの振り込め詐欺グループ等にシフトしている流れが見られる」旨の説明があり、奥野委員より、「各種取締りによる締め付けの一方で、離脱した者に対する就労支援についても進めていかなければ、対策の効果が表れにくいと思う。極めて地道で難しい施策ではあるが、警察だけではなく、就労支援を行うNPO等様々な団体との組織づくりを通じて進めていただきたい」旨の発言があり、長官から、「離脱した者の社会復帰支援に取り組んではいるものの、社会復帰した者が多いとは言えない。ただし、暴力団対策は組織対策であるという性質上、まずは、組織の勢力を減少させることをしっかりと進めてまいりたい」旨の説明があった。

 

(6)平成27年中の暴走族等の実態及び検挙状況等について

交通局長から、平成27年中の暴走族等の実態及び検挙状況等について報告があった。

 

(7)外為法違反事件被疑者の逮捕について

警備局長から、平成26年1月、北朝鮮に日用品等を不正に輸出したとして、本年2月18日、京都府警察、山口県警察、島根県警察及び神奈川県警察が貿易会社役員を外国為替及び外国貿易法違反(無承認輸出)で通常逮捕した旨の報告があった。

北島委員より、「最近、北朝鮮に対する制裁を強化したが、その実効性を担保することが非常に重要な時期に、警察が本件のような事件を検挙したことを評価したい」旨の発言があった。

 

(8)革労協反主流派非公然アジトの摘発等について 

警備局長から、平成25年11月に発生した米軍横田基地に向けた飛翔弾発射事件に関連し、本年2月23日、警視庁が革労協反主流派非公然アジト3箇所を摘発するとともに、捜索の際、捜査員に対して暴行を加えた同派の非公然活動家ら6人を公務執行妨害罪で現行犯逮捕した旨の報告があった。

 

3 その他

(1)川本委員より、「公安委員会での説明資料は広報資料にそのままつながっていくので、最近になって、事前に各担当課から公安委員会資料案を見せてもらえるように業務プロセスを変更してもらい、疑問点等を指摘しているが、その中で特に気付いた点を申し述べる。統計からの事実の把握や数字の取り方、読み方の訓練が十分ではない説明が見られる。また、新しい潮流を見つけるのは上手だが、それが全体感を持っているかという点では疑問である。さらに、今後の政策を具体的に記述することも抜けがちである。組織の説明能力は、一人一人の職員の能力の向上が不可欠であるので、しっかりと訓練していただきたい」旨の発言があった。