定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年3月24日(木)

午前10時00分 〜 午前11時55分

 

 

第2 出席者 河野委員長、奥野、川本、北島、木村各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)「平成28年度政策評価の実施に関する計画(案)」等の策定について

官房長から、「平成28年度政策評価の実施に関する計画(案)」等について説明があり、原案どおり決定した

河野委員長より、「基本目標7「安心できるIT社会の実現」において、業績指標だった「サイバー犯罪の検挙件数」を参考指標に変更しているのはなぜか」の発言があり、長官から、「サイバー犯罪をどのくらい検挙したかということには、外部要因により左右されるという要素が大きく、また、検挙の規模が小さいために、大きな事件に着手すると検挙件数が大きく跳ね上がるなど年によってばらつきもあることから、業績指標とすることは適当ではないと考え、参考指標に変更したものである」旨の説明があった。

川本委員より、「業績評価を見直し、仕事の結果を評価するという方向に変更されており良かったと思う。また、基本目標4「安心かつ快適な交通の確保」において、老朽化した信号機を放置せず、廃止も含めてストックを把握、評価することとした「老朽化した信号機数」を業績指標に新設した点については、これまでの公安委員会でも議論があった点であり、しっかりと取り組んでいただきたい」旨の発言があった。

 

(2)第3次犯罪被害者等基本計画について

官房長から、基本計画策定・推進専門委員会議において取りまとめられた第3次犯罪被害者等基本計画案を、犯罪被害者等施策推進会議及び閣議において決定することについて異議なしとする旨の説明があり、原案どおり決定した。

北島委員より、「親族間犯罪被害に係る犯罪被害給付金の在り方のように難しい問題もあるが、立派な計画が策定されたことに対して評価したい」旨の発言があった。

奥野委員より、「若年者に対する給付金の在り方等について1年を目処に調査を行うとのことだが、調査終了後は、計画策定後5年以内でも給付金制度を見直すのか」旨の発言があり、官房長から、「そのとおりである。調査終了後、各方面から意見を伺ったり、当庁で研究したりするので、所要の期間を要することとはなるが、検討は速やかに行うということとなる」旨の説明があり、奥野委員より、「親族間犯罪で被害に遭った児童に対する給付金の在り方は、まだ十分ではない点もあると思うので、速やかに検討を進めていただきたい」旨の発言があり、川本委員より、「若年者の給付は、現在、被害当時の稼得能力を一断面で切って計算する方式だと思うが、生涯賃金等を考慮して現在の価値に割り戻して計算する方式もあり得ると思う。立ち上げた研究会でしっかりと研究していただきたい」旨の発言があり、官房長から、「若年者の給付の在り方についても、どこまでが犯罪被害給付制度による支給の範囲で、どこまでが福祉や他の制度の支給の範囲かという問題もあるので、その点を含めて検討させていただきたい」旨の説明があった。

 

(3)審査専門委員に関する規則の一部を改正する規則案等について

刑事局長から、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定された審査専門委員の意見聴取について、近年の情勢等に鑑み、所要の規定の整備を行うため、審査専門委員に関する規則等の一部を改正する旨の説明があり、原案どおり決定した

 

(4)国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の制定及び関係法令の制定について

警備局長から、「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」が国会で成立した旨の報告があり、合わせて、同法の施行に伴い、警察庁組織令の一部を改正するなどの説明があり、原案どおり決定した。

奥野委員より、「伊勢志摩サミットの開催を踏まえ、以前、三重県がこの種の規制を内容とする条例を制定したが、本法の施行により、都道府県では同種の条例を制定する必要は無くなるのか」旨の発言があり、警備局長から、「基本的には必要無い。ただし、本法の目的が、国政の中枢機能等及び良好な国際関係の維持並びに公共の安全の確保に資することであるので、別途、他に必要性があって都道府県条例を制定することはあり得る」旨の説明があった。

 

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成27年における相談の状況等について

官房長から、平成27年における相談の状況等について報告があった。

奥野委員より、「相談取扱件数は毎年増加し続けており、平成27年には200万件を超えたという現状について、これはストーカー・DV事案の増加に伴い、警察署の相談窓口の整備、拡充を図った結果だとみている。児童虐待事犯の検挙件数が増加しているとの統計数値も、従来は表面化しなかった児童虐待が警察への相談を通じて明るみに出て事件化したケースが多いのではないか。問題は、相談件数が増えて、現場の相談取扱担当をしている捜査員の負担が大きくなり、犯罪捜査、検挙活動に支障が生じていないかという点である。市民からの相談を広く受け付けるという警察の基本方針を維持しつつも、限られた体制で対応するには、相談内容を精査し、重要な事案かどうか振るい分けすることが必要だろう。現場に相談内容を判断する能力のある責任者を置くなど、効率的な運用を考えていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「ストーカー・DV事案を含め、生活安全部門の相談の取扱いについては、警察署の担当者の負担は確かに増加している。そのため、最近のストーカー・DV事案対応のために増員した警察官の一部を相談取扱対応に充てているほか、一部の県警察では、相談取扱担当者にベテランと若手をペアで配置し、若手の技能習得の向上を図ったり、相談取扱部門を捜査員の登竜門として、一定期間若手警察官を配置し、士気が下がらないようにするなど工夫したりしている」旨の発言があった。

 

(3)平成28年度会計監査実施計画について

官房長から、平成28年度会計監査実施計画について報告があった。

木村委員より、「会計監査とは別に、業務監査は行っているのか」旨の発言があり、官房長から、「警察庁では、捜査活動等様々な活動が手続に沿って行われているかなどを確認する「業務監察」があるが、これが御指摘の「業務監査」に近いものではないかと思う。ただし、警察庁が行う「会計監査」では、会計処理が経理面で適切に行われているか確認することはもちろん、会計手続が正しく行われているか確認することも「会計監査」の中で行っている」旨の説明があり、木村委員より、「業務上の不祥事を予防するためにも業務監査は必要だと思っており、是非充実させていただきたい」旨の発言があった。

 

(4)監察の取扱い事案について

官房長から、3月11日、熊本県警察の巡査が酒気帯び運転等を行った事案に関し、3月25日、同県警察は、同巡査を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(5)平成27年における児童虐待及び児童ポルノ事犯の検挙状況等について

生活安全局長から、平成27年における児童虐待及び児童ポルノ事犯の検挙状況等について報告があった。

木村委員より、「児童虐待や少年犯罪も含めて、少年関係の治安が悪化している感じがする。今の少年が大人になったとき、今度は彼らが子供を虐待するなどして、新たな社会問題となるのではないかと思う。一方、事案が発生した後の対策は様々講じられているが、予防的な対策はやや弱いのではないか。警察だけではなく、関係省庁や政治も含めて、この問題をもっと真剣に取り上げるべきではないかと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「事案が発生する前の段階で対策を講じるべきではないかとの点については、政府で官房副長官を中心として副大臣等で構成される会合を設置しており、そこで「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」を構築し、妊娠期から切れ目の無い支援の在り方を中心に児童虐待防止、子供の貧困対策等を検討している」旨の説明があった。

 

(6)平成27年における不正アクセス行為の発生状況等の公表について

生活安全局長から、平成27年における不正アクセス行為の発生状況等の公表について報告があった。

 

(7)平成27年における来日外国人犯罪の検挙状況について

刑事局長から、平成27年における来日外国人犯罪の検挙状況について報告があった。

木村委員より、「少子化社会も考慮して、経済界では、もっと本格的に外国人労働者を受け入れるべきではないかという意見がある。外国人労働者の受け入れにより治安の悪化を懸念する声もあるが、来日外国人犯罪の検挙状況は平成17年をピークに減少しており、改善されていると思う。現在のインバウンドだけではなく、外国とのヒト・モノ・カネの交流が大事であり、それを実現するためにも、中長期的な外国人労働者の受け入れは必要だと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「現在の少子化社会や、既に一部の産業では外国人の技能実習制度が組み込まれている実態を踏まえると、外国人労働者をどのように受け入れるかというのは、国全体の大きな問題だと考える。一方、ヨーロッパでも移民によるコミュニティがテロ対策上問題となっているが、そうならないよう、国全体としてケアする必要があると思う」旨の説明があり、長官から、「近年、日本では観光ビザを緩和したが、観光等の短期滞在者の犯罪は増えていない。一方、技能実習等を目的とした中長期的な滞在者による犯罪者が増えており、特に技能実習で検挙された者の半分が実習場所を逃げ出したりして不法滞在になった者である。そのような実態を改善した上で、受入者数を増加させることが正しいのではないか。また、ヨーロッパでISILが関与したとされる国際テロ事件をみると、その背景にある移民社会における貧困や差別等の問題がテロを過激化させていると思われる」旨の説明があり、木村委員より、「外国人労働者を受け入れる場合には、やはり経済情勢が良好なことが必要だと思う」旨の発言があった。

北島委員より、「日本とベトナムとは非常に良好な二国間関係が構築されているにもかかわらず、ベトナム人による犯罪が非常に増加していることは非常に悲しいことである。ベトナムの在京大使館が本報告書に対してもっと関心を持っていただければよいと思う」旨の発言があり、長官から、「警察庁はベトナム公安省との間で次官級協議を開催するなど密接な関係を持っており、今年も第4回の協議を開催する予定である。これまでに、来日ベトナム人犯罪の増加を協議しており、特に、日本で大量に万引きしたものをベトナムで売りさばくという手口に対して、ベトナム当局にも情報提供して、ベトナム国内でも情報収集や取締りを行っていただくよう要請している。ベトナム公安省もこの問題にかなり関心を持っており、連携強化に努めてまいりたい」旨の説明があった。

川本委員より、「来日外国人犯罪は、技能実習生が過酷な労働条件を逃れて不法滞在となり、精巧な偽造在留カードを簡単に入手し、犯罪につながっていくという傾向があると聞いた。この背景にはいわゆるブラック企業の存在があり、国連の報告書でブラック企業の技能実習が人権問題として指摘されている。この点についても、しっかりと取締りをしていただきたい」旨の発言があった。

 

(8)平成28年春の全国交通安全運動等の実施について

交通局長から、平成28年春の全国交通安全運動等の実施について報告があった。

奥野委員より、「今年も運動がマンネリ化しないよう、それぞれの地域の実情を踏まえて実施していただくとともに、運動期間終了後には、その効果を点検していただきたい。また、速度違反自動取締装置を導入し、新たな速度違反取締りを試験運用する予定とのことだが、将来的には、速度違反取締りの大部分を機械化するのか、それとも現行のような人力で行う部分を一定割合残すのか」旨の発言があり、交通局長から、「警察庁でも、マンネリ化しないよう現場で工夫しながら実施することを都道府県警察に対して指示しており、各県では、独自に地域の重点を定めたり、関連イベントを例年とは異なった場所で実施したりして、新たな取組を行っている。運動の効果の検証も、次の交通安全運動を実施する上でも必要だと考えており、春の全国会議等を活用し指示することとしたい。また、速度違反自動取締装置の導入については、試験運用の効果を検証しながら、できる限り普及に努めたいと考えている」旨の説明があった。

川本委員より、「高齢者の事故では高齢者の法令違反の割合が多いことについて、本件の広報でも触れており非常に良い」旨の発言があった。

 

(9)高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言について

交通局長から、有識者による調査研究委員会により取りまとめられた「高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言」について報告があった。

川本委員より、「見直しの可否の判断については、利用者の意識調査に依存している部分が大きいと思うが、その調査がインターネット調査で約2千人からの回答で、男性8割、女性2割という構成であった。事前に説明を聞いたとき、現場の警察官は、この調査結果の数値が妥当かなど、どのように考えているか質問したら、すぐに全国のいくつかの県警察に聞いて調べてくれて、現場でもこれに近い考えだということが把握できた。このように、現場の方々は様々なことを把握している。先日策定された第10次交通安全基本計画に盛り込まれていた交通事故死者数を2,500人以下とする目標についても、現場の意見を聞きながら、例えば、高齢者の方に規則を守ってもらえればこれくらい減らせるなどの積み上げ作業を行うなど、目標を現実化する作業をしていただきたいと思う」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘の作業については、別途説明申し上げたい」旨の説明があった。

 

10)ベルギー・ブリュッセルにおける連続テロ事案について

警備局長から、3月22日に発生したベルギー・ブリュッセルにおける連続テロ事案とそれを踏まえた国内の対応について報告があった。

奥野委員より、「今回の事件を踏まえ、まずは伊勢志摩サミットの警備は、テロ防止に対する強い気持ちで対応していただきたい。また、伊勢志摩サミットでは、国際テロ対策が重要な議題になると思われる。そうなると、日本も更なる国際テロ対策をその後に打ち出していくこととなり、国際テロ組織が日本を対象とすることも予想されることから、サミット終了後であっても国際テロ対策が大きな課題となるだろう。気持ちを引き締めて対応していただきたい」旨の発言があった。

 

11)安倍内閣総理大臣のアメリカ合衆国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、3月30日から4月3日までの間、2016年核セキュリティ・サミット出席等のため、安倍内閣総理大臣がアメリカ合衆国を訪問予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告あった。

 

12)天皇皇后両陛下の神武天皇二千六百年式年祭の儀山陵の儀御参拝等に伴う警衛警備について

警備局長から、4月2日から4日までの間、神武天皇二千六百年式年祭の儀山陵の儀御参拝等のため、天皇皇后両陛下が奈良県へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

13)各府省庁対抗インシデント・ハンドリング競技会の結果について

情報通信局長から、「サイバーの日」の3月18日、「各府省庁対抗インシデント・ハンドリング競技会」が開催され、1府12省庁が参加する中、警察庁が総合優勝した旨の報告があった。

北島委員より、「昨年に続いて、今年も警察庁が優勝したことを評価したい」旨の発言があった。