定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年4月21日(木)

午前10時00分午前11時05分

 

 

第2 出席者 河野委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

露木審議官(刑事局担当)

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案について

審議官(刑事局担当)から、「平成28年熊本地震」による被害状況等に鑑み、本人特定事項の確認方法等に関し特例を設けることを内容とする、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則を改正する命令案について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)「平成28年熊本地震」に伴う対応について

警備局長、交通局長、生活安全局長、審議官(刑事局担当)、情報通信局長及び官房長から、4月14日以来発生している「平成28年熊本地震」に伴う対応について報告があった。

北島委員より、「今回の地震に対しては、救助、支援、交通等様々な分野でしかるべく対応されたという印象であり、今後も頑張っていただきたい。また、G7関連の各会合に対する警備も控えており大変だと思うが、しっかりと対応していただきたい」旨の発言があり、長官から、「今週末のG7新潟農業大臣会合は新潟県警察のみでの対応のため、熊本県警察への応援とは重複しない。伊勢志摩サミット開催が近づいてくると全国警察からの動員が始まるので、若干調整が必要になるかもしれないが、熊本地震への対応は人命が関わる問題であることから、最大限の努力をしたい」旨の説明があった。

奥野委員より、「他の都道府県警察から熊本県警察への応援は、16日の本震の発生後に増援しているのか。また、東日本大震災のときには、中継基地の電源が落ちて、情報通信局の担当者が急きょそこに駆けつけて対応した事案があったが、今回、そのような事案は無かったのか」旨の発言があり、警備局長から、「当初の警備部隊の応援は千人程度だったが、増援をして体制を強化した」旨、情報通信局長から、「今回、そのような事案は無かったが、燃料がひっ迫しているため、機能の継続が課題である」旨の説明があり、奥野委員より、「広島県の土砂崩れや茨城県での水害等、近年発生している大規模災害に対しては、管轄する都道府県警察のみならず、全国警察を挙げて応援部隊を投入するという方法が確立してきたのではないか。今後もこのような対応を進めていくべきと考える。また、以前視察した広域緊急援助隊がこのしたときに活躍しているのだと感慨深く思った」旨の発言があった。

川本委員より、「知人から、避難所での女性警察官の活動がとても心強かったと聞いた。また、インターネット上の流言飛語に対しては、何か対応することはしないのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「犯罪に該当する情報については事後捜査をすることになる。また、あまりにひどい情報はプロバイダ等に削除要求することもあるが、基本的には、警察から正しい情報をしっかりと提供していくことが重要と考える」旨の説明があった。

 

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(3)平成27年度会計監査実施結果について

官房長から、平成27年度会計監査実施結果について報告があった。

木村委員より、「大手自動車会社による不正データ問題が報道されていたが、この種事案の防止のためには、普段からのコンプライアンスの教育、啓発は大事だが、もう一つ、オープンな職場環境が重要だと思う。何かあったときに職場のみんなに相談できるような環境を整備とするとともに上司はその維持に努めること、また、コンプライアンスの意識は薄れてくるものなので、持続的、継続的にその意識の醸成を図っていくことが大事である。これらの点は、警察でもよろしくお願いしたい」旨の発言があり、長官から、「警察でも、業務上のミスが発生した場合にどのようにリカバーすればよいかという観点からのリカバリー教養を充実させたり、部下の書類作成に対して上司自らが指導する風土を醸成したりして、改善を図っているところである」旨の説明があった。

 

(4)監察の取扱い事案について

官房長から、平成27年1月10日、北海道警察の巡査が強制わいせつに及んだ事案に関し、同警察は、同巡査を免職処分とする予定である旨、並びに同年11月17日、茨城県警察の警部補が児童福祉法違反をした事案に関し、平成28年4月28日、同県警察は同警部補を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(5)インターネット・ホットラインセンターの運用変更について

生活安全局長から、平成27年におけるインターネット・ホットラインセンター(IHC)の運用状況及び平成28年度からのIHCの運用変更について報告があった。

北島委員より、「平成24年度行政事業レビューでの指摘を踏まえ、官民の役割分担を明確化するため、有害情報について民間の事業者による自主的対応を求めることとしたという運用変更については、うまく運用されることに期待感を表明しておきたい」旨の発言があった。

川本委員より、「違法情報と有害情報の振るい分けが最も重要であると思うが、これはどこが行うのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「振るい分けは国の事務であり、それをIHCに委託する。振るい分けの基準は国の委託を受けたIHCの協議会で策定し、基準に基づいてIHCが通報情報の振るい分けを行うものである」旨の説明があった。

 

(6)警察における取調べの録音・録画の試行の実施状況について

審議官(刑事局担当)から、平成27年度における警察における取調べの録音・録画の試行の実施状況について報告があった。

奥野委員より、「取調べの全過程の録音・録画の割合は、今後、更に拡大していると思われるが、最終的にはどの程度まで割合を上げることを考えているのか」旨の発言があり、審議官(刑事局担当)から、「現在、国会で審議されている改正刑事訴訟法案の審議結果にも係ってくるが、一番大きいのは、都道府県警察による録音・録画機器の整備の進捗状況次第である」旨の説明があり、奥野委員より、「警察庁で補助金を支出したりできないのか」旨の発言があり、審議官(刑事局担当)から、「補助対象にはなっている。加えて、昨年度は録音・録画機器の整備のモデル事業を国費で実施した」旨の説明があり、長官から、「財政的な問題と同時に、検挙水準、治安水準を落とさないで取調べの録音・録画を進めていくという枠組みをとっているため、都道府県警察では慎重に事件を選びながら進めていると思う。しかし、法案が成立して公布の3年後に施行となると、もう一歩踏み込み、全過程の録音・録画を例外事由に当たる場合を除き100%実施するという方向に持っていくことにしたいと思う」旨の説明があった。また、奥野委員より、「録音・録画した供述内容を書面にする作業が非常に大変だと聞いた。全過程の録音・録画が進むと負担も相当なものになるはずだが、対策は検討しているのか」旨の発言があり、審議官(刑事局担当)から、「取調べ状況を捜査幹部が自席でモニタリングできるような機器を導入するなどして合理化を図ってまいりたい」旨の説明があり、奥野委員より、「話したことが自動的に文字に転換されて筆記される機材があるが、それは使用できないのか」旨の発言があり、審議官(刑事局担当)から、「業者によると、様々な方言が含まれている場合があるなどにより技術的に難しいとのことである」旨、長官から、「被疑者が殺人を自供する場合など普通に話している状況ではないことが結構多く、それらを正確に再生することは難しいのではないか」旨の説明があった。

長谷川委員より、「以前視察に行った英国では、取調べを録音・録画することが被疑者側にとっても警察側にとっても証拠としてどういう点で役に立つかという点を明確にしている。そこでは、物的証拠、科学的証拠を第一と考え、たくさん供述させることが必ずしも立証上プラスになるわけではないという考えの下、非常に短い時間で取調べをしていた。さらに、取調べにおいては、どのような証拠を警察が持っていて、その証拠について、どのタイミングで質問するのか、そのときに被疑者が何を供述したのか、何を供述しなかったのかなどから犯行の状況を確認していく。そのため、取調べの手順やテクニックが重要になるので、しっかりと研究していたことが印象的だった。これを踏まえると、我が国では、これまであまり議論されていない様子だが、どの程度全過程での録音・録画をするかということとは別に、どのような取調べがベストなのか、そのように改善するための戦略をどうするかという点が重要である」旨の発言があり、審議官(刑事局担当)から、「取調べのテクニックを向上させるための取組は、警察大学校や各都道府県警察でも行っている。英国と日本との大きな違いは、公判における立証の精密さの程度だと思うが、法案が成立すれば、裁判所の姿勢も変わってきて、それに伴い警察捜査の在り方も変わってくるのではないかと思われる」旨、長官から、「現状では、取調べに重きを置いた捜査構造の影響から長時間の取調べが必要となっている。したがって、通信傍受等の捜査手法が拡充されれば、取調べ以外でも真実が解明されるようになり、取調べの比重が下がっていくことになると思う」旨の説明があり、長谷川委員より、「取調べの録音・録画を導入しようと決定したことは、そのような深い意味での政策全体の考え方の転換が含まれている問題だったはずである。したがって、従来どおり長時間の取調べをしたり、精密な立証を求めたりすることは整合性を欠くことになるので、数年先のことも含めてしっかりと検討するべきである」旨の発言があった。

 

(7)G7農業大臣会合に係る警備について

警備局長から、4月23日及び24日、G7新潟農業大臣会合が新潟市において開催される予定であり、所要の警備を実施する旨の報告あった。