定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年6月2日(木)

午前10時00分 〜 午前11時20分

 

 

第2 出席者 長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

1 議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、福岡県警察の警部補らが捜査諸雑費等を詐取した事案に関し、6月2日、同県警察は、同警部補らを免職処分等とする旨の報告とともに、国家公安委員会の了承が得られれば、監督責任として、地方警務官1名を本部長注意の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

木村委員より、「今週、香川県警察を視察したが、警察の業務には、ストレスがたまりモラルやモチベーションが上がりにくいものもあり、そのような職場でコンプライアンス違反が起きやすいのではないか。今年の非違事案の処分件数は昨年と同程度とのことだが、それでよいとするのではなく、現場の方々も含めて一緒になって考え、着実に数を減らし、ゼロに近づける努力をしていただきたい」旨の発言があり、長官から、「本件を機に捜査諸雑費の執行の在り方を各県警察であらためて見直すべきと思っている」旨の発言があった。

長谷川委員より、「上司が誤ったことを言っても、部下はなかなかそれを指摘できないということは、心理学で多数の実験結果が出ている。このことを、上司、部下の両方にしっかりと教える必要がある」旨の発言があった。

 

(2)「第三次児童ポルノ排除総合対策(案)」について

生活安全局長から、児童の性的搾取等に係る対策に関する関係府省庁連絡会議において審議を経て、次期犯罪対策閣僚会議において決定される「第三次児童ポルノ排除総合対策(案)」について説明があり、原案どおり決定した。

北島委員より、「児童の権利条約との関係からも非常に大事な課題であり、このような形で策定されたことを歓迎するとともに、これらの施策をしっかりと進めていくことに期待感を表明したい」旨の発言があった。

長谷川委員より、「児童ポルノ事犯の送致件数、送致人員は、インターネット関連のもの、自画撮りによるものなどと区分されているが、このような統計の取り方は世界的に同じなのか。日本は、児童ポルノ事犯への対応が遅いなどと指摘されており、そのような指摘に対して説明するためにも、横並びで比較できるものがあればよい」旨の発言があり、生活安全局長から、「単純に、横並びのデータを見付けるのは難しいと思うが、確認する」旨の説明があった。

奥野委員より、「児童ポルノ事犯は、ネット社会の普及を背景として急増し、今後も増加していくものと思われる。児童ポルノの問題のポイントは、被害児童や親が届け出をためらうことである。DV・ストーカー事案については、相談窓口の体制を強化して、相談しやすくしたが、児童ポルノ事犯についても相談に来やすい仕組みを考えていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「御指摘の点については、今後、関係府省庁局長級会合においても議論していく」旨の説明があった。

 

(3)稲川会、住吉会、五代目工藤會及び旭琉會の指定の確認について

刑事局長から、東京都、福岡県及び沖縄県の各公安委員会から受理した、稲川会、住吉会、五代目工藤會及び旭琉會に対する指定暴力団としての指定の確認請求について、審査専門委員の意見聴取を終えたことから、本日、国家公安委員会による確認を求め、それぞれの都県公安委員会に通知する旨の説明があり、原案どおり決定した。

 

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)「国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律」の成立について

官房長から、国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律が6月1日に成立した旨の報告があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、和歌山県警察の警部補が捜査諸雑費を横領等した事案に関し、6月3日、同県警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨及び5月19日、兵庫県警察の警部補が窃盗等で通常逮捕された事案に関し、6月8日、同県警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨の報告があった。

奥野委員より、「和歌山県警察と福岡県警察の捜査諸雑費の事案はいずれも警部補の係長によるものであるが、捜査諸雑費の決裁権限は係長にあるのか」旨の発言があり、次長から、「制度的には警察署の課長クラスの権限であり、所要のチェックをしているが、ベテラン警部補に対しては、年齢が下の課長や経験の浅い課長が十分に監督できていないケースもあるのではないかと思われる」旨の説明があり、奥野委員より、「現場では幹部の年齢が相当若くなっているので、長くいる年上のベテランに言いたくても言えないところがあるのではないか。コミュニケーション不足がこういう不祥事を招くことになってしまう」旨の発言があった。

 

(4)第24回参議院議員通常選挙の違反取締りについて

刑事局長から、第24回参議院議員通常選挙における違反取締りについて報告があった。

 

(5)第42回主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)開催等に伴う警護警備実施結果について

警備局長から、5月26日及び27日に開催された第42回主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)開催等に伴う警護警備実施結果について報告があった。

奥野委員より、「問題も無く無事に終わったことを高く評価したい。全国警察を挙げて応援部隊を派遣し、ソフトターゲットの警戒等も含め直接的、間接的にほぼ全員が今回の警備にかかわったことが成功につながったのではないか。また、警察側の一般市民に対するソフトな警備も印象的だった。事前にマスメディアを活用して市民に対する協力依頼をしっかりと行ったほか、海外における国際テロの相次ぐ発生も受けて、市民からの理解を得ることができたことが大きいと思う。なお、成功した今回の活動の結果を分析して、今後に生かしていただきたい」旨、北島委員より、「警備が成功し、おめでとうございます。なお、サミットで採択された文書のうち、テロ対策とサイバーセキュリティ対策に関するものをじっくりと読んだが、これらは今後の警察の活動に密接に関連する内容であることから、警察でもきちんとフォローアップしていただきたい」旨、川本委員より、「サミットの成功は、国家公安委員会委員として誇りに思う。本当におめでとうございます」旨の発言があり、長官から、「全く逮捕者が出なかったサミットは、日本の開催では初めてである。配置された警察官もソフトに対応しており、サミット後に苦情めいた話もあまり来ていない状況で、サミット警備としては非常によかった。それなりに教訓もあるので、よく整理して今後に生かしてまいりたい」旨の説明があった。

木村委員より、「やはり相当の準備をしたことが成功につながったのではないか。今回の教訓を今後の業務にも生かしていただきたい」旨の発言があった。

 

(6)天皇皇后両陛下の第67回全国植樹祭御臨席等に伴う警衛警備について

警備局長から、6月5日から6日までの間、第67回全国植樹祭に御臨席等されるため、天皇皇后両陛下が長野県へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、佐賀県警察等における運転免許試験手数料の誤徴収事案について報告があった。

奥野委員より、「本件は、技能試験を免許申請日とは別の日に実施していたことが背景にあるが、技能試験を一緒の日に実施できない理由は何か」旨の発言があり、交通局長から、「免許種別が非常に多く分かれており、多くの免許種別の異なる試験を1日の中で行うことは、技能試験官の人数が少ないことなど体制の面で困難であることから、比較的小規模な県では、週に何曜日と何曜日は二種試験、何曜日と何曜日は大型特殊の技能試験というように、曜日等を限定して試験をせざるを得ないというような背景がある。手数料というものの意義をよく理解させ、あわせて、今後このような問題が生じないよう、広くマニュアル等を整備して徹底するということで再発防止してまいりたい」旨の説明があり、奥野委員より、「利用する側としても1日で技能試験も済ませたいだろうから、できるだけ業務を改善し、1日で技能試験も実施できるようにすることでこの種の事案が防止できるのではないかと思う」旨の発言があり、交通局長から、「県の体制等の都合もあるので、それぞれの県でよく検討するよう指導してまいりたい」旨の説明があった。

川本委員より、「技能試験を免許申請日に実施するかどうかは、行政改革の面から、リソース配分の問題としても検討してもらいたい。また、徴収においては過多だけではなく過少の場合もあるので、よくチェックしていただきたい」旨の発言があった。

 

(2)警備局長から、5月31日に下された、国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案に関する国賠訴訟の上告審決定について報告があった。