定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年6月23日(木)

午前10時00分 〜 午前11時20分

 

 

第2 出席者 河野委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

金長官、栗生官房長、種谷生活安全局長、三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)五代目共政会、七代目合田一家、六代目会津小鉄会及び四代目小桜一家の指定の確認について

刑事局長から、広島県、山口県、京都府及び鹿児島県の各公安委員会から受理した、五代目共政会、七代目合田一家、六代目会津小鉄会及び四代目小桜一家に対する指定暴力団としての指定の確認請求について、審査専門委員の意見聴取を終えたことから、本日、国家公安委員会による確認を求め、それぞれの府県公安委員会に通知する旨の説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等について

交通局長から、道路交通法施行令の一部を改正する政令案等について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、6月19日、北海道警察の巡査2名が酒気帯び運転等を行った事案に関し、同警察は、同巡査らを免職処分とする予定である旨、並びに6月22日、北海道警察の警部補が証拠偽造等で通常逮捕された事案に関し、同警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨の報告があった。

北島委員より、「警部補の事案は、捜査協力者を利用して不適正な捜査を行ったとして、平成14年に懲戒処分となった事案に似ていると思う」旨、奥野委員より、「処分された警部補は、実績を上げていた者なのか」旨、木村委員より、「同人の周辺に悪い噂はなかったのか」旨の発言があり、長官から、「本件は、背景事情がまだはっきりとしておらず、捜査を徹底して事案を解明してまいりたい」旨、刑事局長から、「経験はあったようだが、特別に検挙実績が高かったという話は聞いていない。元々、組織内での風評のようなものはあったため、着目をしたということはある」旨の説明があった。

木村委員より、「警察官による非違事案対策を検討している中、またこのような飲酒運転事案が発生し、非常に残念である」旨、委員長より、「北海道内で飲酒運転撲滅期間中にもかかわらず発生したのは問題である」旨、川本委員より、「警察は本来、社会の中での犯罪を捜査すべきところ、自らを捜査せざるを得ないこととなっており、こういった面について組織強化を考える必要がある。また、飲酒が良いことだと思っている者がまだ多いのではないか」旨の発言があり、長官から、「本件は、午前4時まで飲酒の上、追突事故を起こし、さらに逃走するなどした非常に悪質な事案である。飲酒に対する考え方も組織的に改善する必要があると思うので、北海道警察に出張で赴いたとき、本部の幹部を招集してよく指導したい」旨の説明があった。

奥野委員より、「飲酒運転で逮捕された警察官は20歳になったばかりであるが、このような飲み方をする者は元々飲酒運転の常習者の可能性もあり、そうなると採用の問題ではないか」旨の発言があり、長官から、「その点は論点として考えられる」旨の説明があった。

 

(2)大阪府警察における捜査書類・証拠物件の不適切管理について

刑事局長から、大阪府警察における捜査書類・証拠物件の不適切管理について報告があった。

北島委員より、「本件を踏まえた再発防止策にしっかりと取り組んでいだたきたい。また、本年度第2四半期の業務監察項目としたとのことなので、よく確認していただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「大変遺憾なことだと思っている。今回調査が完了し、大阪府警察において大阪府公安委員会に報告の上、今後公表することとしている。現在、総合捜査支援システムというものを導入するとともに、捜査部門ではなく総務部門からなる証拠品係を各署に設置し、証拠品をQRコードで管理の上、その出納をさせるなど、管理を強化している。また、長期保管の証拠物件については、本部で一括管理するなど厳格に管理をしている。今回の調査においても、26年の総合捜査支援システムによる管理開始以降は不適切な扱いはないので、システムへの入力を徹底することにより、この種事案の発生を防ぐことができると考えている。併せて、全国に対しても注意喚起をする予定であるが、正規の保管場所以外の場所についても点検をするなど、再発防止に努めていきたい。」旨の説明があった。

奥野委員より、「今回、事案の調査結果に関する報告書がまとめられたことを契機に、事案の重大性を認識していただき、再発防止策を現場に徹底していただきたい。特に、大量にある軽微な事件については、捜査管理の判断を現場が着実に行うことが重要である。また、管理のために捜査が後手にならないよう、現場の担当者の負担をできるだけ軽減する管理システムを構築していただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「今回の事案については、非常に重く受け止めている。国会においても警告決議がなされており、既に全国警察本部長会議や刑事部長会議において、長官や私から注意喚起をした。また、システムに関しては、大阪では当初平成16年に導入したが、26年の春に抜本的に見直しを行った。新しいシステムでは、例えば時効が近づいた事件のアラーム表示、未処理事件の把握、統計とのリンクによる認知票未作成事件の把握等が可能となっているほか、幹部がアクセスして管理することとしている。また、各事件の証拠物件の出納の状況もシステムで把握できるので、システムにきちんと入力することにより管理が徹底されると考えている。負担もそれほど重くなく、また、システムに入力されれば、例えば氏名を検索してその事件の情報を表示させることができるなど、簿冊に手書きで記載する場合よりもはるかに効率的であるので、このシステムを適切に運用し、また、さらに使い勝手を良くしていくようにしていきたい。」旨の説明があった。

木村委員より、「証拠品や事件の管理は、システマティックにできるようにすべきであり、また、管理システムを構築したことで安心せず、2、3年に一度は点検し、必要があれば改善するなど、常にケアすることが重要だという考え方を持っていただきたい」旨、川本委員より、「本件は、元々組織的な管理の意識がなかったことが原因であるが、その点の反省があまり見られない再発防止策のような気がする。管理システムを構築する点は良いが、現場で定着するかどうか心配である。警察内の文書が分かりにくいものが少なくないので、現場でどのように受け止められているかという点も考えていただきたい」旨、長谷川委員より、「本件では、現場の捜査員に、必ずシステムに載せて管理すべきという意識があったのかどうか疑問である。管理システムを新たに構築する点は良いが、その意識の方が再発防止には必要である」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘の点は反省点である。事件を認知して所要の捜査を行ったものの、その後被疑者が特定できない、捜査が進展しないといった状況の中、次から次へと新しい事件が発生し、それらに対応していくうちに捜査書類等の管理がなされなくなるといった状態にあった。このような点を改善すべく、最初にシステムに入力し、入力しなければ次の業務に進まない仕組みにし、また、幹部も随時チェックができるものとしており、今後は、同種事案が発生しないようにしてまいりたい。委員御指摘の点も重々胸に刻んで、引き続き指導していきたい」旨の説明があった。

 

(3)法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会における調査審議の結果について

刑事局長から、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会において、性犯罪に関する罰則の在り方について調査審議されてきた結果について報告があった。

 

(4)安心な社会を創るための匿名通報事業の平成27年度中の運用状況について

刑事局長から、安心な社会を創るための匿名通報事業の平成27年度中の運用状況について報告があった。

北島委員より、「今度の行政事業レビューの対象になっているとのことだが、匿名通報事業は有益だと思うので、その点をしっかりと説明していただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「いろいろと検挙事例もあり、一定の有益性をもった事業だと思うので、維持できるよう、来週実施の公開プロセスではしっかりと説明し、改善すべき点があれば、見直しを図ってまいりたい」旨の説明があった。

 

(5)北海道釧路市における殺傷事件について

刑事局長から、6月21日、北海道釧路市において発生した殺傷事件について報告があった。

 

(6)皇太子殿下の第52回献血運動推進全国大会御臨席に伴う警衛警備について

警備局長から、7月7日、第52回献血運動推進全国大会御臨席等のため、皇太子殿下が東京都内へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、交通事故死者数の抑止目標について報告があった。

長谷川委員より、「政府が掲げた交通事故死者数の抑止目標達成のために過去の交通死亡事故の分析をしているが、どのような対策によって事故が減ったのかという根拠まで明らかにして対策を検討する必要があるのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「交通事故死者数の抑止目標を検討する内閣府で5年ごとに今後の事故情勢に関する長期予測をしている。長期予測の検討会では、御指摘のように施策の効果を積算した目標にすべきではないかという御意見についても議論がなされてきたが、今年決定された第10次交通安全基本計画も含めて、交通事故死者数の抑止には様々な施策が複合的に効果を表していることから、個別の施策効果の積み上げでこれだけ死者数が減るという効果測定は困難とされてきた。これまでも各種の対策がどれくらい交通事故死者数の減少に寄与しているのかという効果を分析したいと考えてはいるが、なかなか難しいのが現状である」旨の説明があり、長谷川委員より、「警察の交通事故統計だけでもビッグデータ解析すると効果的な対策が見つかるのではないか。また、交通事故の原因は主にヒューマンエラーなので、自動運転装置やIoTを活用すれば、従来とは違った対策が講じられると思う。さらに、それに伴い車の使い方、街作り、人間の生活も変わってくるので、将来的に社会がどのように変化するのか見据えながら対策を進めていただきたいと思う」旨、木村委員より、「ビッグデータの解析は相当進んでいるので、専門的な部署と相談してはどうか」旨、川本委員より、「ビッグデータを活用することにより、普段行っている分析作業がより効率的、効果的になる」旨の発言があり、長官から、「おそらく、事故のビッグデータの分析と、講じた対策の相関関係をよく見ることが重要ではないかと思う。現在あるデータを使って分析を進めていきたい」旨の説明があった。

川本委員より、「交通死亡事故の減少に寄与している施策の効果は複合的なので、死亡事故の減少の理由が正確に把握できないと言うだけではなく、仮説ベースで組み立て、PDCAサイクルのDとCがどのような関係にあるのか検証することを徹底するという枠組みで捉える必要がある。また、海外で交通死亡事故が減少している国では、なぜ減少しているのか、また、例えば歩行者の安全確保といった日本での課題についてどのように取り組んでいるのかなども調べた上でしっかりと議論するべきである」旨、木村委員より、「議論を徹底していただき、是非、実効性のある施策を講じていただきたい」旨の発言があった。

木村委員より、「目標達成に向けた対策として高齢者に法令違反が多いという実態の周知と高齢者への交通ルールの遵守の指導等を掲げているが、これらは誰がどのように行うのか。実行するためのシナリオが必要である。また、横断中の歩行者事故を減らすため、歩行者を早期発見するためのハイビームを促進すると聞いたが、ドライバーにはハイビームにしてはいけないという意識があるのではないか。また、法律で義務とされているにもかかわらず、一般道では後部座席のシートベルトをしなくてもよいなどと思っている国民も少なくないと思われるので、交通安全対策を徹底するためには、国民にPRする機会をもっと広げる必要がある」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘のハイビームについては、昨年、非市街地における夜間の人対車両の横断中の死亡事故は164件発生しているところ、そのうちの157件はロービームだったことが分かっており、このような情報の発信に努めてまいりたい。一部の自動車では、対向車がある場合などはロービームに自動調節されるオートマチックハイビームの装着が始まっており、今後、さらにハイビームを促進するため、今回、全国交通安全運動の要綱にハイビームの促進に関する内容が盛り込まれる方向で検討が進められている」旨の説明があった。

委員長より、「ビッグデータの解析を進めるとともに海外の交通安全対策も調べ、後日、報告していただきたい」旨の発言があった。