定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年7月7日(木)

午前10時00分 〜 午前11時25分

 

 

第2 出席者 河野委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

 

(1)国外において不慮の犯罪被害を受けた被害者等に対する特別給付金の支給について

官房長から、7月2日にバングラデシュ・ダッカにおいて発生した襲撃事件における日本国民の遺族等に対し、国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律の施行までの間、政府が特別給付金を支給する旨の説明があり、原案どおり決定した。

奥野委員より、「法律の施行前だったために支給されるかどうか懸念していたが、重大な被害が生じた事件でもあり、特別給付金を支給することとしたのは適切な対応だと思う」旨の発言があった。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

 

(1)犯罪対策閣僚会議(第25回)について

官房長から、7月12日に開催される犯罪対策閣僚会議(第25回)について報告があった。

北島委員より、「児童ポルノ排除対策について警察庁が調整官庁となってから初めて本会議で決定される総合対策であることから、今後、しっかりとフォローしておきたい」旨の発言があった。

木村委員より、「再犯防止対策については関係省庁と連携する必要があるが、秩序を守るのは警察だというプライドを持ち、警察がリーダーシップを取って、関係省庁に必要な働きかけをしながら取り組んでいただきたい」旨の発言があり、次長から、「一般的には再犯防止対策は法務省が主体となるが、ストーカーの加害者対策等においては警察が中心となって取り組んでいる施策もあるので、今後ともしっかりと取り組んでいきたい」旨の説明があった。

長谷川委員より、「オランダを視察したとき、オランダでは、逮捕後から加害者をケアする人を付ける制度があるとの説明を受けた。刑務所を出所した後でもサポートを続けることで再犯防止につながっているとのことである。日本では、被害者等への支援は手厚くなってきたが、加害者やその家族への支援制度は、まだ国民的な理解が得られていないために公的なものはなく、NPOが行っている程度である。このような制度も踏まえると、各省庁が個別に対策を考えていては効果的な再犯防止対策は難しいと思われるので、どこかが中心となり全体的なプランを考える必要があるのではないか」旨の発言があった。

 

(2)リオデジャネイロ・オリンピック競技大会参加選手・役員について

官房長から、リオデジャネイロ・オリンピック競技大会における警察職員の参加選手・役員について報告があった。

   

(3)行政事業レビューにおける公開プロセスの結果について

官房長から、行政事業レビューにおける公開プロセスの結果について報告があった。

北島委員より、「警察庁の2つの対象事業については、おおむね好意的に受け止められており、結構である」旨の発言があった。

委員長より、「今回の公開プロセスで指摘された点については、警察庁あるいは行政改革担当の立場からそれぞれ検討させたい」旨の発言があった。

 

(4)監察の取扱い事案について

官房長から、中国管区警察局鳥取県情報通信部の事務官が文書を偽造するなどした事案に関し、7月8日、同管区警察局は、同事務官を停職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(5)改正風営法の施行について

生活安全局長から、6月23日、深夜において客に遊興と飲食をさせる営業が許可制の下で営業可能となることなどを内容とする「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律」が施行された旨の報告があった。

 

(6)佐賀県教育情報システムに対する不正アクセス禁止法違反事件について

生活安全局長から、佐賀県教育情報システムに不正アクセスし、不正に情報を入手した事件について、6月27日までに警視庁・佐賀県警察合同捜査本部が少年2名を不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反(不正アクセス行為の禁止)で検挙した旨の報告があった。

川本委員より、「逮捕された少年は、この分野では高い能力を有していることから、この能力が社会で生かされるよう、少年をよく指導していただきたい。また、管理者側にも不備があった点について、注意喚起のために広報していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「少年が高いプログラミング能力を有しているのは確かだが、システム自体に脆弱性があったのも事実である。この点については、捜査の過程で警視庁から佐賀県教育委員会へも情報提供しているし、警察庁から文部科学省にも注意喚起しており、既に文部科学省が全国の教育委員会に通知もしている」旨の説明があった。

奥野委員より、「早い段階で警視庁から佐賀県教育委員会に対して不正アクセスを情報提供したが、その時に教育委員会が講じた対策についてまでは把握できなかったということか」旨の発言があり、生活安全局長から、「警視庁からの情報提供を受けて、調査をしていたようであるが、5月にも、不正アクセスされた事実がある」旨の説明があった。

 

(7)バングラデシュ・ダッカにおける襲撃事件について

警備局長から、7月2日、バングラデシュ・ダッカ市内において武装集団がレストランを襲撃して人質をとり立てこもった事件が発生し、邦人7人が殺害されるなどの被害が生じた旨の報告があった。

奥野委員より、「今回の事件は、ISLEの犯行声明が出ているが、フランス・ベルギーにおける同時テロや中東における日本人殺害事件とも性質が異なっている印象である。バングラデシュでは、昨年10月にも邦人が殺害されている。現地の邦人対策が十分に行われていたのかという点も含め、しっかりと検証していただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「現場のレストランがどの程度の警備体制を敷いていたのかなどについては、引き続き情報収集を行いたい。また、在外邦人の安全対策については、基本的には外務省が中心となって取り組んでいるところ、今回の事案を受けて、外務省とJICAでODA事業関係従事者の安全対策に関する会議を立ち上げると承知している」旨、長官から、「本件では、外国人が多く利用するレストランが襲撃され、被害者にも邦人やイタリア人等外国人が多く含まれていた。在外邦人の安全確保には、今までよりも注意が必要であると思われ、政府としても、この点に照準を当てた対策を検討する必要がある」旨の説明があり、奥野委員より、「今後、アジアの他域等でも本件と同種の事件が起きる可能性もある。現地の邦人の警戒意識を徹底させるよう、外務省と連携して対策を進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(8)安倍内閣総理大臣のモンゴル国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、7月14日から7月16日までの間、第11回アジア欧州首脳会合(ASEM11)出席等のため、安倍内閣総理大臣がモンゴル国を訪問する予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、「自動運転」機能の利用に関する運転者に対する注意喚起について報告があった

木村委員より、「一部のユーザーは、自動ブレーキ機能があれば何もしなくても大丈夫と思っているようなので、自動車の販売業者等に協力してもらい、ユーザーへの正確な理解の普及を徹底していただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「国土交通省の方から、自動車工業会等の団体に対し、今回、正式に注意喚起要請がなされたと聞いている。販売する立場、生産する立場として注意喚起を今までもしていただいたと思うが、死亡事故や重大な被害が生じてからでは遅いので、私どもとしても、引き続き注意喚起をしてまいりたい」旨の説明があった。

委員長より、「国内での「自動運転」機能を有する自動車による2件の事故は、いずれも自動ブレーキ機能を有していたものか。テレビコマーシャルを見ると、どんな状況でもしっかりと自動的にブレーキがかかるというイメージである」旨の発言があり、交通局長から、「1件は、速度と車間距離を維持するように前車を追尾して走っていく装置を稼働させている限り事故は起きないだろうと過信をして、カーテレビに脇見をしながら走行してしまい、前車との接近に気付いて急ブレーキを踏んだものの、間に合わずに追突してしまったというものである。もう1件も、自動ブレーキ機能により停車すると過信をして、自らブレーキを直前まで踏まず、前車との接近に気付いて慌てて急ブレーキを踏んだものの、間に合わずに追突してしまったというものである。これらは、速度が何キロまでであればとか、前のクルマがどういう速度で走っていればとか、いろいろな条件の中で運転を支援する装置であり、これらの装置を稼働させれば全ての場合に車が自動で安全に止まるというものではないので、そういった点について、販売する立場の方々にも、これから注意喚起をしていただき、我々も、例えば運転免許の更新時講習の機会を捉えて注意喚起をしてまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)警備局長から、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた課題と取組について報告があった。

長谷川委員より、「先日の伊勢志摩サミットでも全国警察を挙げて警備体制を確保したが、東京大会では、警備体制は何人規模になり、それらをどのように確保する予定か」旨、委員長より、「伊勢志摩サミットよりも相当多い体制が必要ではないか」の発言があり、警備局長から、「基本的には警視庁が中心になり、当然他県からも応援を求めて、警備を行うことになると思う。また、他の県の会場があったり、あるいはキャンプ地があったり、そうした箇所での警備事象も当然想定されるので、その点のやりくりが非常に難しいなと考えている。加えて、やはり警備関係で重要な役割を果すのは警備業者であり、立候補ファイルでは1万4千というような数が記載されている。施設内や観客の方の誘導整理等は、警備業者が担い、一般的な治安対策は、警察が担うことになり、警視庁を中心とした、全国警察が最大限の体制で取り組むこととなる。伊勢志摩サミットでも、ソフトターゲット対策で約7万という数が出ており、全体として東京大会では、全国でそれを相当上回る体制になろうと思う」旨、生活安全局長から、「警備業界の方でも、特に、人手不足の中で、どうやって必要な警備員数を確保するか、余剰人員にならぬようどういう雇用形態とするか、ということが課題となると聞いている」旨の説明があった。

北島委員より、「警備体制の確保に向けた警備業の健全育成をどのように進めていくのか、また、交通規制やサイバーセキュリティ対策をどのように進めていくのかという問題は非常に重要だと考える」旨の発言があり、生活安全局長から、「警備業界については、他の業界も同様であると思われるが、一番大きな問題は人手不足であり、特に若い人がなかなか確保できない状況であると聞いている。オリンピック、パラリンピックの開催を見据え、こういう状況の中でいかに人を集めていくかというのは、非常に大きな課題である。そのためには、職場環境をよくしたり、魅力ある職場作りに向けた取組みを進めたり、そしてそれをどういう形でやっていくのかという問題であると思われるが、警備業法を所管する警察庁としても、十分な関心を持って対応していかなければならないと思っている」旨、交通局長から、「交通規制の問題については、東京都内で約1千3百万、首都圏で見れば約3千万の人口があり、産業の中枢を担っている交通機能にかなりのしわ寄せがいくことが想定される。そういう状況で、交通総量抑制対策を行うこととなるが、国を挙げて交通総量抑制対策に取り組まないと、円滑な大会関係者の輸送と交通機能の確保を両立するのはかなり難しいのではないかとの危機感を持っている。輸送連絡調整会議が組織委員会の下に設けられており、そこに参画をして検討しているところである。リオにも交通局の職員を派遣するが、リオでも専用レーン、優先レーンなどの交通規制手法を使って輸送対策が講じられるということであり、大会関係者の輸送がどういう形で行われるのかということを、よく見てきた上で、本格的な検討を始めていきたい」旨の説明があった。

木村委員より、「2012年のロンドン大会は警備活動がうまくいったと聞いている。是非、モデルケースとしていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「ロンドンオリンピックの際の交通規制の責任者の方に、昨年来日していただいて講演をいただくなど、ロンドンの状況の把握にも努めている。交通総量の抑制でも、いろいろな施策が講じられたということを聞いている。東京大会においては、観客は、鉄道で最寄り駅まで輸送して、駅から遠い会場についてはシャトルバスを走らせるということにしていかざるを得ないと考えているが、大会関係者や選手の輸送は、首都高速道路を中心にオリンピックレーンなど、さまざまな手法を活用して円滑な輸送ができるように、今後は検討が進められていくものと考えているところである」旨の説明があった。

川本委員より、「一般的にこの種の長期的課題に取り組む場合、主体となる幹部が退任しても、しっかりと引き継がれて対応できるようにすることが重要である。そのためにマスタープランを早期に策定する必要がある」旨、木村委員より、「準備を進めるためにはマスタープランが必要であるので、できるだけ早く策定していただきたい」旨、委員長より、「警察庁は、いつまでに何を行うかというマスタープランを作り、それに基づき組織委員会や東京都等と連携が必要な部分や警察庁自体が行うことを進めてもらい、定期的に進捗状況を管理していただきたい」旨の発言があり、次長から、「先日までサミット対策に集中していたが、今後、大会に向けてしっかりと対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)川本委員より、「最近、ポンチ絵を中心に、警察庁が作成する資料が丁寧でわかりやすい。一方、内容が同じ資料を別途作成しているようなので、資料の作成の要否について、適宜判断していただきたい」旨の発言があり、官房長から、「事務の合理化の観点からも検討したい」旨の説明があり、木村委員より、「このような形での資料は、他の会議でも作成されているのか」旨の発言があり、次長から、「おおむねどの会議でも作成しているが、ワークライフバランス推進強化月間中で、「ゆう活」に取り組んでいる状況でもあることから、更に業務の効率化への意識付けを図り、見直すべき点は見直してまいりたい」旨の説明があった。