定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年9月8日(木)

午前10時00分 〜 午前11時15分

 

 

第2 出席者 松本委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、種谷生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

斉藤総括審議官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)平成28年度全国警察柔道選手権大会及び全国警察剣道選手権大会の結果について

官房長から、9月6日に開催された平成28年度全国警察柔道選手権大会及び全国警察剣道選手権大会の結果について報告があった。

川本委員より、「大会を視察したが、とても活気あり参考になった。一方、最近の犯罪情勢においてはサイバー犯罪が重要になってきていることから、このくらいの熱気や規模、警察全体での参加を、サイバー犯罪対策の大会でも実現してもらいたいと思う」旨の発言があった。

 

(2)平成28年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について

生活安全局長から、平成28年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について報告があった。

北島委員より、「インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害額が大きく減少したことは歓迎したい。昨年の報告では、信用金庫が不正アクセスに対して脆弱であることを指摘していたが、上半期に被害額が大きく減少した要因は何か」旨の発言があり、生活安全局長から、「今回、信金が非常に減っている大きな原因は、信金が共同で使っているネットワークにウイルスを早期に感知できる仕組みを構築したことがあると思う。警察からも働きかけてそういう仕組みを作ってもらった。ただ、毎月の推移のグラフを見ると、対策をとると、また新しい攻撃手法で来るので、継続して新しいウイルスの出方等を把握しつつ、情報提供等していかないと、また増える可能性がある」旨の説明があった。

奥野委員より、「新たな不正送金ウイルスの解明、分析の分野においては、民間の技術や情報が大いに役立つと思うので、人的な協力、連携も更に強化してもらいたい」旨の発言があった。

 

(3)平成28年上半期における少年非行情勢について

生活安全局長から、平成28年上半期における少年非行情勢について報告があった。

木村委員より、「少年の検挙人員が減少するなど非常に良い傾向であり、引き続き、各種施策を関係機関やボランティアと連携して推進していただきたい。一方、政府では少子化対策を重要施策に掲げているが、子供を健全に成長させるため、あるいは少年グループ同士による殺人事件のような悲惨な被害に遭わないようにするためにどうするべきかという問題については、あまり質的な議論がなされてこなかった感じがあることから、もう少し国全体、社会全体で考えるべきではないかと思う。特に、子供に対する教育だけではなく、親の在り方、家庭環境にも目を向ける必要があるのではないか。警察の役割は非常に限定されていることから、警察庁から他省庁に働きかけて、関係省庁と連携しながら検討を進めてもらいたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「関係府省庁連絡会議もあるので、そういう場でいろいろ発信していきたい」旨の説明があった。

奥野委員より、「少年の刑法犯検挙人員は14年連続、人口比でも12年連続で減少、再犯者率は増加傾向にあるが初発型非行の検挙人員は大幅に減少している。今後、どの段階で下げ止まりとなるか分からないが、少年非行が大きく減少する傾向は変わらないだろう。社会環境の変化が一義的な要因だと思われるが、警察の長年にわたる地道な少年非行対策の結果とも見ている。一方、確かに、コンビニエンスストア等の前で深夜にたむろする少年たちの姿は少なくなったようだが、本当に少年たちは真面目な生活をするようになったのか見えない部分もある。従来、非行に走ったような少年たちはどこに消えたのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「確かに、自動販売機やコンビニの周りに一時たむろしていた青少年たちの姿が見えなくなってきているというのは、現場の声としても上がってきている。それが、部屋にこもってSNSをやっているがために出てきていないのか、その辺の分析はできていない。ただ、全体の数は減ってきているが、埼玉の東松山のような事件が発生しており、集団的な不良交友関係も把握できているので、補導活動等を引き続きやっていかなければならない」旨の説明があった。

長谷川委員より、「ニュージーランドのダニーデン市で行われた、子供が誕生してから成人するまで追跡するコホート調査の報告書には、13歳から16歳の間に1回くらい警察にお世話になるのは当たり前だということが書かれている。元々、思春期にはアドレナリンやいろいろなホルモンが分泌されて身体的に強くなったり、仲間に付和雷同したり、自分がどうなるかを探っていろいろなことを試したりする時期だから、その結果、問題行動が生じても仕方がない面もあるが、問題とすべきは、それを繰り返して悪い方向に行かないようにすることであり、再犯者にターゲットを絞った対策を講じた方がよいとのことである。ただし、日本の警察は、「子供は無垢だから、非行はあってはならない」と思っている感じがする。ダニーデンでの調査で考察されたように、思春期には1回くらいは警察のお世話になるのが当たり前だと思う方が現実的ではないかと思われる。更に悪い方向に行くおそれがあるのか、単にはしかのように一過性の非行なのかを見分けることが大事である」旨の発言があった。

 

(4)平成28年上半期における薬物・銃器情勢について

刑事局長から、平成28年上半期における薬物・銃器情勢について報告があった。

北島委員より、「少年非行情勢が改善されている中で、危険ドラッグへのアクセスの変化によるものかもしれないが、少年の大麻事犯の検挙人員が増えていることに懸念を表明しておきたい」旨の発言があった。

 

(5)天皇皇后両陛下の「第36回豊かな海づくり大会」御臨席等に伴う警衛警備について

警備局長から、9月10日から12日までの間、「第36回全国豊かな海づくり大会」への御臨席等のため、天皇皇后両陛下が山形県へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

奥野委員より、「陛下の生前退位の御言葉に関する影響の大きさも考慮に入れた上で、万全の態勢で警備に臨んでもらいたい」旨の発言があった。

 

(6)G7神戸保健大臣会合に係る警備について

警備局長から、9月11日から12日までの間、G7神戸保健大臣会合が兵庫県神戸市において開催される予定であり、これに伴い、所要の警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)総括審議官から、先月行われたリオデジャネイロ・オリンピックに係る警備の視察結果について報告があった。

木村委員より、「警備体制について、東京オリンピックでは1万4千人の民間の警備員を活用することが想定されているが、大手警備業者でも人員確保が非常に難しいようで、かなりの警備体制の不足が予想されるが、どのように考えているか」旨の発言があり、総括審議官から、「まず、数については、民間警備員1万4千人とあるが、先ほど申し上げたように、ロンドンでは民間警備員4千人のほか、軍隊の1万2千人を民間警備員の替わりに使い、合算すると1万6千人と、ほぼ同様となる。実際に、立候補ファイルを書くときには1万4千人は確保できそうであったが、その後、警備会社もソフトターゲット警備で需要が増えてきており、この数は結構厳しいという話は聞いている。その対応については、今後、組織委員会とも調整し、警察部内で検討すべき点もある。一つには、退職警察官の活用について、リオと全く同様にはできないとは思うが、どのように活用できるかや、あるいはセキュリティボランティアとして、学生等に協力をしてもらえないか、言うまでもなく、責任関係等は別途議論する必要があるが、そうしたことも含めて、検討したいと考えている」旨、生活安全局長から、「全国警備業協会としても、この問題は非常に大きな問題としてとらえている。特に、短期雇用の警備員をどうやって確保していくかという問題がある。実際にどのくらい警備員が必要なのかは、警察、警備員、ボランティア等の役割分担が決定しないと正確に出てこない。組織委員会と連携を取りながら対策を考えていきたい」旨の説明があった。

北島委員より、「オリンピック開催で警察が多忙なため、ブラジルで犯罪が増加したという状況はないのか」旨の発言があり、総括審議官から、「リオ州警察は、基本的に会場内の警戒は行わず、一般治安に配意をして、ファベーラ対策を含め、会場外の警戒を行い、軍も街頭で警戒していた。これにより、体感的には、リオに限ると、期間中の治安は良くなっているのではないかという感じがした。この状況は我が国でも同様で、サミット期間中に警戒警備を強化すると、一般犯罪は減っているので、それと同様の現象ではないかと考えている。現在、長期出張者をリオに派遣しているが、この出張者も「4月頃と比較すると、オリンピック期間中は、警戒も目立ち、街中の警備も厚くなり、安心できる」と言っていたので、観光客を狙ったすり等の発生は増加しているかもしれないが、少なくとも、凶悪犯罪は減少しているのではないかと感じた」旨の説明があった。

川本委員より、「リオデジャネイロ・オリンピックは、国際テロ対策やサイバーセキュリティ対策といった時代性の意味では参考になるが、国の治安情勢としてロンドン・オリンピックも参考になると思うので、両方の大会についてよく研究してもらいたい。また、日本の空港のセキュリティチェックは、海外と比べて非常に緩いので改善すべきである。空港警備員の乗客への接し方についても、海外は毅然として禁止された物の持ち込みを拒否するが、日本では、お願いするような言い方となっており、このような風土も変えていかなければならないと思う」旨、長谷川委員より、「このような機会に、考え方を変えるようしていくべきである」旨の発言があった。