定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年10月6日(木)

午前10時00分 〜 午前11時10分

 

 

第2 出席者 長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、種谷生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、川邉情報通信局長

古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律施行規則案等について

官房長から、国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律の施行に伴い制定する国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律施行規則案等及び同規則案等に対する意見の募集結果について説明があり、原案どおり決定した

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成29年度採用候補者(国家公務員採用総合職・一般職試験合格者)の内定について

官房長から、平成29年度採用候補者(国家公務員採用総合職試験・一般職試験(大卒程度試験)合格者)の内定状況について報告があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、月24日、大阪府警察の巡査が強制わいせつで現行犯逮捕された事案等に関し、9月29日、同府警察は、同巡査を免職処分とした旨、及び栃木県警察の警部が業務上横領するなどした事案に関し、10月6日、同県警察は、同警部を免職処分とする予定である旨の報告があった。

木村委員より、「基本的には、署内各課で現金を管理するのではなく、会計部門等が集中管理することとして、できる限り職員が現金を手にしない仕組みを構築してはどうか。また、集中管理する部署でも、担当者を定期的に異動させるなどの予防策を講じるべきである」旨の発言があり、首席監察官から、「被留置者の所持金や届出を受けた拾得現金の取扱いなど、現金を触らざるを得ない業務があるものの、可能な限り現金を会計等の別の部署で保管するなど、システム的に現金に触らずに管理できる制度作りを進めている」旨の説明があった。

川本委員より、「現金を直接扱っていることが様々な事案からうかがえるが、現金を直接扱わないようシステマティックな仕組みを作るために、現状の取扱い状況を調べてはみてどうか。民間企業では、現金を直接扱わなくてもよい仕組みができており、警察でもできるのではないか」旨の発言があり、官房長から、「例えば、遺失物として交番に届けられた現金は最終的には警察署会計課が保管することになるが、それまでは交番の警察官が保管せざるを得ない」旨、次長から、「まず警察が住民からどこまで行政サービスを望まれているのかという問題があり、組織の管理という面から見ると、ミスや非違事案を少なくするためにそのような観点からもアプローチが必要であると思う。いずれにせよ、様々な問題が起きていることから考えていきたい」旨の説明があり、奥野委員より、「事故防止を理由に住民に対する警察のサービスを低下させないことも大事である」旨、川本委員より、「現金の管理を民営化することも考えられるが、必要なのは民営化ではなく、チェックがしっかりと機能する仕組みを構築することと、現金を扱う仕事と通常の仕事とを分けることである」旨の発言があり、次長から、「業務負担との関係から、効果的な抜き打ちチェックの実施についても考えていく必要がある」旨の説明があった。

 

(4)暴力団に対する民事訴訟の最近の動向について

刑事局長から、暴力団事務所に係る民事訴訟の取組等、暴力団に対する民事訴訟の最近の動向について報告があった。

北島委員より、「これまでの警察による民事訴訟支援も評価するが、特に、極東会代表者に対する賠償請求訴訟において、暴力団対策法の規定が適用され、威力利用資金獲得行為に係る指定暴力団の代表者等の損害賠償責任が初めて認容されたことは高く評価する。今後、この司法判断が定着するようになることを期待したい」旨の発言があった。

奥野委員より、「暴力団を訴える民事訴訟が活発化し、住民側が勝訴する今回のような事例は、相次ぐ暴力団対策法の改正や全国におけるいわゆる適格都道府県センターの認定等、警察が住民とともに協力して進めてきた暴力団対策の成果の一つだと思う。警察側から力で身を守ってもらっても、報復を恐れる住民が暴力団に立ち向かうのは勇気がいるものだが、民事訴訟は法律で相手を攻める有効な武器になる。今後とも、警察の支援を期待したい。また、事例として紹介された極東会に対する賠償請求訴訟で認容された賠償額は、これまでの最高額ではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「今回の事例のような指定暴力団の代表者等に対する損害賠償請求訴訟において、今まで判決において認容された賠償額の中では最高額と把握している」旨の説明があった。

川本委員より、「今回の民事訴訟の結果については、暴力団対策として一歩前進だとは思う。一方、以前、暴力団が社会経済に介入する隙を与えないような予防策を構築するべきではないかとの提案をしたが、それについても報告してもらいたい」旨の発言があった。

木村委員より、「不動産の賃貸借契約に暴力団排除条項を盛り込むことで暴力団員を排除しやすくなるなど、暴力団排除条項が非常に効果的に運用されていると思う。不動産業界も協力しているところではあるが、暴力団排除条項は重要事項として説明する必要があるにもかかわらず、説明が負担になるとして、一部には説明をしない業者もいるのではないかと懸念される」旨の発言があった。

 

(5)第47回全国白バイ安全運転競技大会の開催について

交通局長から、10月8日及び9日に茨城県ひたちなか市において開催される第47回全国白バイ安全運転競技大会について報告があった。

 

(6)皇太子殿下の第40回全国育樹祭御臨場等に伴う警衛警備について

警備局長から、10月7日から9日までの間、第40回全国育樹祭御臨場等のため、皇太子殿下が京都府へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

(7)天皇皇后両陛下のベルギー国国王陛下及び王妃陛下御案内に伴う警衛警護警備について

警備局長から、10月12日、ベルギー国国王陛下及び王妃陛下御案内のため、天皇皇后両陛下が茨城県へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警護警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)長谷川委員より、オーストラリア連邦・ニュージーランド視察におけるニュージーランドでの視察結果について報告があった。

川本委員より、「今回の結果報告を受けて、警察庁でどのようなことができるようになると考えているか」旨の発言があり、官房長から、「エビデンス・ベースド・ポリシング・センター(Evidence-based policing center)では、警察の施策のうちどの施策が本当に有効に働いているか証拠に基づいた検証をしているが、日本でもこのような検証をする場合には、ランダム・アロケーションによる実験比較が基本になるのではないか。施策の有効性を示す証拠とするためには、施策Aが結果Bをもたらした因果関係を確立する必要があるとのことだが、これを確認する作業にあまり膨大なコストをかけるべきではないこともあり、このランダム・アロケーションによる実験比較が有効だと思われる」旨の説明があり、長谷川委員より、「ランダム・アロケーションによる実験比較の場合には、サンプルがたくさん必要である。また、例えば犯罪を減少させるための施策を行った後に犯罪が減少しても、その背景には様々な社会経済要因があるため、当該施策と犯罪の減少とを結びつける要因を抽出しなければならない。これらの分析には、その種の社会科学系の専門家が20人から30人程度必要ではないか」旨の説明があった。

木村委員より、「エビデンス・ベースド・ポリシング・センターは、かなりの実績を上げているのか」旨、北島委員より、「このセンターやセンター・フォア・プロブレム・オリエンティド・ポリシング(Center for Problem-Oriented Policing)は、ニュージーランド国家警察の内部組織か」旨の発言があり、長谷川委員より、「研究結果は公表され、様々なホームページに掲載されている。また、2つのセンターは内部組織と位置付けられると思う。警察ではあるが、大学の政策研究のようなことを行っている」で旨の発言があった。

川本委員より、「このエビデンス・ベースドの考え方は、アングロサクソン系の諸外国では一般的に行われていると思うので、これらの国に調査研究に行くのがよいのではないか」旨の発言があった。