定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年10月13日(木)

午前10時00分 〜 午前11時30分

 

 

第2 出席者 松本委員長、長谷川、奥野、北島、木村各委員

坂口長官、三浦官房長、種谷生活安全局長、吉田刑事局長、

井上交通局長、松本警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)全国殉職警察職員・警察協力殉難者慰霊祭の開催について

官房長から、10月27日に全国殉職警察職員・警察協力殉難者慰霊祭が開催される旨の報告があった。

 

(3)平成28年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会の開催について

官房長から、10月17日に平成28年度全国警察柔道大会、10月18日に平成28年度全国警察剣道大会がそれぞれ開催される旨の報告があった。

 

(4)100km/hを超える規制速度の試行区間の選定等について

交通局長から、本年3月の「高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言」を受け、一定区間における100km/hを超える規制速度の引き上げについて試行実施を行う区間の選定状況について報告があった。

木村委員より、「規制速度の見直しについては、様々な意見を聞きながらこの方向で進めていくことでよい。一方、規制速度を緩和することで交通事故が発生する可能性が高まるが、交通事故防止において重要なものの1つが車間距離の保持だと思う。安全確保方策において、「車間距離の保持に関する注意喚起、同不保持に対する取締り等」が掲げられているが、この点を特に強化してもいいのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「我々も、試行実施に当たっては、交通事故防止のため、車間距離の保持が今まで以上に重要であると認識しているので、注意喚起や交通取締り等をしっかりと取り組んでまいりたい」旨の説明があった。

奥野委員より、「せっかくの高規格の高速道路なので、規制速度を引き上げようという趣旨は理解できるが、高速道路と言っても運転能力が異なる人が混在して走行しているわけで、特に高齢者ドライバーが多くなっている状況下においては、規制速度を引き上げても従来の100km/h弱のスピードで走る人も相当いるのではないか。速度差がある車が混在することによる影響をしっかりと調べてほしい。次に、規制速度区間の終了後、運転者が速度を元に戻すかどうか。特に、東北自動車道の試験実施区間は30km余りで15分程度で通過するため、区間終了に気付かないか、気付いても標識を無視してそのまま120km/hを維持して走行するおそれがある。高速運転をずっと維持できる欧州と違い、日本では細切れ区間の速度引き上げとなるので、そういう高速道路が走りやすいのかという疑問もある。この2点について関心があるので、後日、調査結果を知りたい」旨の発言があり、交通局長から、「委員御指摘の点については、先般の調査研究においても、規制速度の変化をドライバーが認知できないことが考えられることから、規制速度の区間の開始・終了時点をしっかりと認識できるよう工夫する必要があるとの指摘があった。試行実施に当たり、区間終了後の実勢速度にも関心を持ってまいりたい」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)奥野委員より、「昨日、東京都内において大規模停電が発生したが、事故なのか事件なのかについての原因調査等も含め、どのような警察活動を展開したのか」旨の発言があり、刑事局長から、「現在、埼玉県警察において、人為的なものかどうかという可能性も含め、東京電力あるいは消防等と連携して出火原因等について捜査を行っている。現時点においては、内部がまだ高温の状況であることから、実況見分等を行うための準備を進めているほか、施設の施錠、周囲の状況等について把握を進めている。今後、周辺の捜査も含め、しっかりと対応していきたい」旨、交通局長から、「警視庁の交通管制センターで集中制御を行っている信号機のうち、最大時で177の交差点で信号機が滅灯したが、その後、停電が復旧するなどして、12交差点に減少し、その12交差点には交通機動隊と各所轄の警察署の警察官により手信号等で交通整理を行い、17時58分には信号機の滅灯は解消した。停電に伴う信号機の滅灯と関係がある事故として、停電の直後に自動車同士の出会い頭の物件事故が1件発生しているが、その他、特異事案はない」旨、情報通信局長から、「情報通信関係では、隣の警視庁本部庁舎が停電となったが、この中央合同庁舎2号館については電源が維持されていた。警視庁管内では一部の署が停電した旨、報告を受けているが、情報通信関係については、全て非常用電源等が所定の稼働をし、機能が維持されていた。ただ、1サーバだけシャットダウンしたものがあり、それについては、監視している職員が手動で立ち上げ、運用上は問題なく維持されていた」旨、それぞれ説明があった。

 

(2)長谷川委員より、「警察庁が作成している「平成27年の犯罪」等の犯罪統計を利用して殺人についていろいろ分析してきたが、この作業中に気が付いた点を申し上げたい。被疑者の犯行時の年齢別の検挙人員と被害者の年齢別の認知件数があるが、20歳未満における年齢区分が被疑者と被害者で異なっており、また、被害者の方には女性数が記載されているが、被疑者の方には記載が無い。さらに、巻末にある年次別、年齢別の人口では、8歳以上65歳未満では2歳ごと又は5歳ごとに一緒になって区分され、ここでも女性数の記載が無い。よって、この1冊だけでは、人口10万人当たりの被害者数等を計算しようとしてもできないので、別途、厚生労働省が作成している人口統計も必要になる。どのように年齢区分を設けて統計を取るかについては、被疑者の方は少年犯罪に注目して20歳未満を1歳ずつ区分する必要があったなど、被疑者と被害者で異なっている理由もあるだろうが、一度、統計の区分の仕方や巻末の人口統計の示し方を見直し、この1冊だけで利用できる形にするべきである」旨の発言があり、刑事局長から、「被疑者と被害者の違いについては、今御指摘いただいたとおり、少年犯罪の関係もあると思う。また、人口の掲載関係につきましても、よく経緯を確認し、必要があれば、見直しを検討していきたい」旨の説明があった。

 

(3)生活安全局長から、ストーカー対策における中長期的課題について報告があった。

北島委員より、「ストーカー対策の取組については、警察でストーカー事案を含む人身安全関連事案への対処体制を確立したことが効果的だったと思う。今後は、ストーカーに対する更生の仕組みをどのように構築していくのかが重要になってくるのではないかとの印象を持った」旨の発言があった。

長谷川委員より、「古くは桶川事件があり、最近では、三鷹事件、逗子事件、小金井事件があり、これらの事件が発生するたびに防止策を抽出してきたと思うが、防止策を徹底する上で一番課題になっているものは何だったのか。事件ごとに見落とした点が異なるだろうが、何か大きな課題を抽出できるのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「個別にみると、それぞれの事案ごとに事情があり、全体を通じた課題の抽出というのはなかなか難しいところがある。例えば小金井案件を見ると、危険性や切迫性の判断が困難であった事案である。現場の話をいろいろと聞いていると、被害者側が何を求めているのかが明確であると動きやすいのだが、明確ではない場合もあり、警察にただ話を聞いてもらうと気持的におさまるし、単に知っておいてもらいたいという場合も多い。その段階で、警察が動くと、相手が逆に興奮して攻撃的になるかもしれないという場合に、例えば弁護士に相談をして警告書を出してもらうとか、民間の団体に相談するとか、バリエーションのある他の処方箋が提示できればより良い対処ができるのではないかという現場の声もある」旨の説明があった。

長谷川委員より、「年間約2万件ものストーカー事案の相談を警察が受理しているが、相談者は、地方自治体等他機関の相談窓口は知らないのか。知らないのであれば、警察からそれぞれの相談窓口ではどのようなことをしてくれるなどと説明をしてはどうか」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察に相談に来た段階では、知らない方も多いのではないかと思う。警察で紹介をして、実際に弁護士と相談し、弁護士から警告書を出してもらっておさまったという例もある。まだ、それぞれの窓口のPR度が足りないという状況はあると思う」旨の説明があった。

木村委員より、「ストーカー事案において一番重要なことは、被害者にどの程度危険性を認識してもらえるかということではないか。被害者としては、それまで普通に接してきた者から重大な被害を受けるとは思わないだろうから、警察としては、被害者に対して危険性を数値化して説明したりストーカー被害の実例を示したりして、危険性を理解してもらい、危機意識を高めてもらうことが必要だと思う。また、加害者の更生の問題は非常に難しいと感じる。更生プログラムがあっても、それを受けるべき者のうち大半は受けていないとのことなので、何とかして強制的に受けさせる仕組みについていろいろと検討してもらいたい。当面は対処療法的な対策にはなるがしっかりと取り組むとともに、効果的な対策についても検討していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「リスクの評価については、チェックリストを使っており、ヒアリングをしながら項目ごとに打ち込んでいくと、リスクが非常に高いとか、中くらいとか低いとか、判別される仕組みとなっている。ソフトとして全県に配っているが、県によっては自ら作って使っているところもある。また、危険度については、確かに相手方が認識していないことも多く、そういう場合には、ストーカーやDV行為が急にエスカレートする危険性があることを十分に説明し、理解してもらう必要がある」旨の説明があった。

奥野委員より、「現在、受刑者等に対して行われている更生プログラムは、ほとんどが常習性のある犯罪に関するものである。ストーカーのように常習性があるかどうか分からない犯罪に関しては、効果的な更生プログラムを構築することができるのだろうか」旨の発言があり、生活安全局長から、「ストーカー行為に対する特別のプログラムというものができるのかどうか、カウンセリングなり治療によって更生できるのかという点については、精神医学会や心理学会においても統一された見解が無いようである。府県によっては専門の医師のいないところもあり、対応が進んでいる県と全く手が着いていない県と分かれてきているという実態がある」旨の説明があり、木村委員より、「いずれにせよ、少しでもストーカーを減少させるために地道な努力が必要であり、更生プログラムも効果があるものを取り入れながら少しずつでも充実させていってもらいたい」旨、長谷川委員より、「更生プログラムを研究している精神科医や心理学者が少なく、そもそも認知行動療法の専門が少ない。また、その効果も人によって差がある。もっとたくさんの症例を研究しなければ、効果が分からないものである」旨の発言があり、生活安全局長から、「まだ被験者数が少なく、今後、実践を積み重ねていくことが必要だと思う」旨の説明があった。

長谷川委員より、「ストーカー被害者の住民基本台帳の閲覧防止は、どのような仕組みになっているのか。閲覧防止措置を申し立てたら、誰が請求しようとも閲覧できないような状態になるのではないのか。以前、調査のために一定の自治体から居住者を無作為で抽出してもらった際、その中に閲覧防止措置を申し立てた人がいてトラブルになったことがある」旨の発言があり、生活安全局長から、「被害者が市町村に申し立てた場合、警察等からの相談状況等に係る意見等を踏まえ、市町村が閲覧防止を決定することとされている。ただし、学術研究等のために特別の申し出があった場合には、個別に慎重に審査して、閲覧することができる場合もある制度となっていると理解している」旨の説明があり、長谷川委員より、「被害者側が閲覧防止措置がちゃんと機能していると思うように、少なくとも内部の情報共有の不徹底で閲覧させたりすることは無くすとともに、公共の調査目的で部外に提供されることもあり得ることを説明することが必要ではないかと思う」旨の発言があった。