定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年10月20日(木)

午前10時00分 〜 午前11時10分

 

 

第2 出席者 長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、種谷生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、川邉情報通信局長

古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、10月3日、神奈川県警察の巡査部長が地方公務員法違反で通常逮捕された事案等に関し、10月25日、同県警察は、同巡査部長を免職処分とする予定である旨の報告とともに、国家公安委員会の了承が得られれば、監督責任として、地方警務官1名を本部長注意の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

 

(2)「犯罪捜査規範の一部を改正する規則案」について

刑事局長から、本年成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律のうち、弁護人の選任に係る事項の教示の拡充に関する規定が12月1日に施行されることに伴い、犯罪捜査規範の一部を改正する旨の説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成28年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会の結果について

官房長から、10月17日及び18日にそれぞれ開催された平成28年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会の結果について報告があった。

 

(3)平成28年度第2四半期監察の実施状況について

首席監察官から、「捜査を取り巻く社会情勢の変化を受けた取組の推進状況」を全国統一実施項目として警察庁が都道府県警察に対して行った平成28年度第2四半期における監察の実施状況について報告があった。

北島委員より、「犯罪捜査という警察の重要な業務を対象とした監察を実施したことは非常に良い。大阪府警察で問題となった証拠物件等の組織的管理については、まだ努力が必要な部分も見受けられるが、その点について指摘したことも良かった」旨の発言があった。

 

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、10月4日、埼玉県警察の巡査長が窃盗罪で通常逮捕された事案に関し、10月21日、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(5)平成28年上半期におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について

生活安全局長から、平成28年上半期におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について報告があった。

木村委員より、「被害児童のうち15歳以下の児童の割合が多いことと、被害児童の大半が学校においてインターネット利用に関する指導を受けていないことが気になる。これまでの様々な対策を講じているが、この点が強化すべきものと考える。文部科学省や各教育委員会に働きかけて学校の重要な指導項目に盛り込んでもらうなど、教育機関との連携を強化していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「コミュニティサイトについては、特にスマートフォンの普及と関連して利用者が低年齢化してきており、教育が非常に重要である。学校おける教育については、文科省、教育委員会等を通じて指導するよう要請したり、警察官が直接学校に行って指導したりしている。また、サイバーボランティアの方々に協力いただき、子供たちにスマートフォンの使い方やネットの怖さなどについて指導してもらっている。こういった活動を強力に進めていかなければいけないと考えている」旨の説明があった。

奥野委員より、「学校等での指導も徹底できない部分もあり、また、スマートフォン、コミュニティサイトの利用が増えたことで、フィルタリングの効果が落ちているのだろう。今後、コミュニティサイトによる児童の被害を減らすためには、法整備による規制強化、罰則強化しかないように思われるがどうか」旨の発言があり、生活安全局長から、「フィルタリングについては、SNSの利便性と危険性のバランスの問題だと思う。その普及活動を地道に継続していくことが重要であると考える」旨の説明があった。

北島委員より、「コミュニティサイトにかかる被害児童が増加傾向にある点について懸念を表明しておきたい。これを踏まえると、講じられている対策のうち、特にフィルタリングの普及を更に進める必要がある。また、サイバー防犯ボランティアの活動に敬意を表明したい」旨の発言があった。

川本委員より、「コミュニティサイトにかかる被害児童が増加しているという情勢に対応して、表題をこれまでの「出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯」から変えたことは、非常に柔軟な対応でよいと思う」旨の発言があった。

長谷川委員より、「ISILによるテロの犠牲者の遺族が、ISILの活動を助長しているとしてSNS運営会社に対して訴訟を提起した。インターネットの世界では、まだ倫理や法をどうするべきかが議論されていないが、このような活動をきっかけに新たな倫理を作る動きが出てくるのではないか。日本も、何か考えて先取りできればよいと思う」旨の発言があった。

 

(6)交通の方法に関する教則及び交通安全教育指針の一部改正について

交通局長から、昨年成立した道路交通法の一部を改正する法律の施行及び昨今の交通情勢を踏まえ、交通の方法に関する教則及び交通安全教育指針をそれぞれ一部改正する旨の報告があった。

奥野委員より、「一般のドライバーが交通教則に目を通すのは、運転免許の取得時、更新時に配られる教則本を読むときくらいだ。今回の改正のうち、準中型自動車関連のほかに重要な変更点として、ライトのハイビームの活用、先進安全自動車の運転留意点、並びに歩行者が道路を横断するとき、特に左から来る車に注意する旨の記載が追加されており、交通施策にとって重要な事項が含まれている。指導指針、交通教則の改正で良しとせず、マスメディアや自治体等を通じて、一般のドライバーや道路利用者が今回の新たな施策を知ることができるよう、広報、周知徹底を図ってほしい」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘のとおり、既に免許を取得している方に対しては、更新時講習の際に、交通の方法に関する教則にイラストを入れるなどしてわかりやすくしたものを配付することによって、周知を図っている。また、運転免許試験は、道路交通法上、交通の方法に関する教則の範囲内で出題すると定められており、教則の改正内容は運転免許試験にも反映されることになるので、新たに免許を取得する方に対しても、教習を通じて教則の内容を周知することとなると考えている。加えて、教則と指針を踏まえて、各都道府県警察だけでなく、警察以外の諸団体、自治体等による交通安全教育が行われており、これら各種交通安全教育の場においても、今回の改正の内容が反映されるよう努めてまいりたい」旨の説明があった。

川本委員より、「情勢を分析した上で教則等を見直すということは、あるべき行政の形だと思う。また、原則としてハイビームで走行することについては、国民の間でも様々な意見が出ているようであり、運転手間でのトラブルを防止するため、対向車があるときにはライトを下げることを徹底してもらうことについても工夫して周知するべきである。運転免許の更新時講習だけでは、十分な周知が難しいのではないか」旨、木村委員より、「原則としてハイビームで走行することは、国民生活全体に関わる大きな変化だと思うので、新聞だけなくテレビも活用しながら積極的な周知を図っていただきたい」旨の発言の発言があり、交通局長から、「ハイビームについては、様々な議論を巻き起こしているようであるが、その議論の中には、交通量の多い市街地を除いて灯火を上向きにすることが原則であり、対向車がいるときには例外として下向きとするということが十分に理解されずになされているものもある。今回、秋の交通安全運動の要綱にも本件についての記述を初めて盛り込んだところであり、今後も様々な機会を通じて周知を図っていきたいと考えている。工夫を凝らして今回の改正の内容についてドライバー等に周知を図っていきたいと考えている」旨の説明があった。

 

(7)皇太子同妃両殿下の第16回全国障害者スポーツ大会御臨場等に伴う警衛警備について

警備局長から、10月21日から23日までの間、第16回全国障害者スポーツ大会御臨場等のため、皇太子同妃両殿下が岩手県へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった

 

(8)天皇皇后両陛下の第40回国際外科学会世界総会開会式御臨席等に伴う警衛警備について

警備局長から、10月23日から26日までの間、第40回国際外科学会世界総会開会式御臨席等のため、天皇皇后両陛下が京都府へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)警備局長から、大阪府警察から沖縄県警察に派遣されていた機動隊員による不適切な発言について、事実関係の報告があった。

奥野委員より、「本件は、「若い機動隊員が興奮して、思わず口から出た暴言」ではすまされない問題である。抗議参加者の実力行為に対する規制については、慎重に対応するよう現場を指導しているはずだが、どんな状況下でもこのような内容の発言は許されない。「土人」、「シナ人」といった表現は戦前に使われたもので、今や死語になっているものと理解しているが、今回は若い機動隊員の口から出た。沖縄の方々だけでなく、全国でもこの発言映像を見た人たちの多くが警察の教育に疑問を持ったのではないだろうか。背景の調査と厳正な対応をお願いしたい」旨の発言があった。

川本委員より、「本件を受けて、「適切な指導」を行うとのことであったが、そのようなレベルの話ではないように思う。また、ヘリパッド移設工事の警備では、どうしても抑え込むという感じにならないよう、今一度考えていただきたい」旨の発言があった。