定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年11月10日(木)

午前10時00分 〜 午前11時30分

 

 

第2 出席者 松本委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、種谷生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、11月1日付けを始めとする地方警務官16名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成28年度全国警察逮捕術大会及び全国警察拳銃射撃競技大会の開催について

官房長から、11月8日に開催された平成28年度全国警察逮捕術大会及び全国警察拳銃射撃競技大会の結果について報告があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

官房長から、10月16日、富山県警察の巡査が酒気帯び運転で現行犯逮捕された事案に関し、11月10日、同県警察は、同巡査を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(4)インターネットバンキング不正送金事犯に係るウイルス付メールの早期警戒情報の発信について

生活安全局長から、11月7日から、インターネットバンキング不正送金事犯に使用されるウイルス付メールの件名等の情報ついて、警視庁ツイッター等を利用して早期警戒情報の発信を行うこととした旨の報告があった。

北島委員より、「民間事業者と連携してインターネットバンキング不正送金事犯に使用されるウイルスを解析するなどしたことで、早期警戒情報を発信できるようになったことを評価したい」旨の発言があった。

奥野委員より、「不正ウイルス感染防止策は、対策を講じても相手方がまた新手のウイルスを作り出すなどイタチごっこになってしまうが、今回の警視庁による早期警戒情報の発信は面白いアイディアであり、効果を期待したい。また、民間セキュリティ業者の協力で開発したとのことだが、どのような協力形態だったのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「警視庁は、アンチウイルスベンダーとの契約に基づき、今回、警視庁が把握したウイルスの解析を委託したものである」旨の説明があり、奥野委員より、「サイバー犯罪対策には民間の力は不可欠であり、これからも人材、技術面等で更に協力関係を深めてもらいたい」旨の発言があった。

 

(5)仮想通貨「ビットコイン」取引所に対する電子計算機使用詐欺等事件の検挙について

生活安全局長から、仮想通貨「ビットコイン」を不正に購入したとして、11月2日、警視庁が会社員の男ら3人を私的電磁的記録不正作出・同供用、電子計算機使用詐欺等で通常逮捕した旨の報告があった。

 

(6)特殊詐欺グループに犯行拠点を提供する会社役員らの検挙について

刑事局長から、特殊詐欺グループに犯行拠点を提供するため、会社役員らがビル事務所の賃借権を不正に取得した事件について、11月2日、警視庁が会社役員ら7人を詐欺罪で通常逮捕したほか、同グループに犯行拠点を提供した他の同種事件について、不動産業者らを通常逮捕した旨の報告があった。

木村委員より、「特殊詐欺グループの犯行拠点として提供されないよう、仲介事業者等に注意喚起して、意識を高めてもらうことが大事である。また、犯行拠点として提供されないような仕組みを構築することも重要であるので、不動産業界と連携しながら具体的な方策を検討していただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘の点に関して、昨年、東京都が警視庁と東京都の宅建業協会及び不動産協会と危険薬物及び特殊詐欺の根絶に係る協定を締結している。この協定が締結された時点においては、今回報告したような事件の構図等は明らかになっていないが、不動産会社の方々に対する啓発等も行うという枠組みであるので、そのような枠組みの中で、今回摘発した事件の事例等を共有する形で、更に啓発を推進していくということも検討できるかと考えている」旨の説明があった。

 

(7)神奈川県横浜市内における集団登校中の小学生が死傷した交通事故について

交通局長から、10月28日、横浜市内において、軽四貨物車が集団登校中の小学生の列に突っ込み、小学生男児1人が死亡し、6人が重軽傷を負った事故が発生し、同日、神奈川県警察が運転手の男を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)で通常逮捕した旨の報告があった。

木村委員より、「認知症の運転手の死亡事故に対して、世論はたいへん厳しい見方をしていると思う。運転できなければ生活できない地域もあることから首都圏等一定の地域内での規制を強化するなど、何か新たな対策を考えなければならないのではないか」旨の発言があった。

川本委員より、「本当に痛ましい事故である。まだ、認知症の進行に対する国民の意識が高まっていないように思える。来年3月に改正道路交通法が施行されると、特定の交通違反を犯した高齢者には臨時の認知機能検査を受けてもらうこととなるが、それらの人がちゃんと検査しているかどうかフォローできるのか。通知葉書を送っても、検査を受けない人は想定されるので、そのような人にはどう対応するのか」旨、奥野委員より、「来年3月に施行される改正道路交通法により認知機能検査が強化され、免許更新時だけではなく、特定の違反を犯したときも検査を受けることとなるので、今回事故を起こした被疑者のような高齢者の存在を事前に把握できるかもしれない。ただし、新制度の下で検査が必要となった運転者に警察が通知しても、相手がそれに従わず、検査を受けない場合にはどうするのか。罰則規定もないのでそのまま放置することになりかねない。今回のような事故の再発を防止するため、新制度が形だけにならないよう、運用を徹底してほしい」旨の発言があり、交通局長から、「葉書を出しておしまいではなく、認知機能検査を受けてもらうことが大事なので、フォローアップは必要であると思う」旨の説明があり、木村委員より、「特定の違反をし、検査通知を受けた高齢者に漏れなく検査を受けてもらうことは、警察だけで対応できるものではない。方法は様々あると思うが、家族や自治会等の協力を得る必要があると思う」旨の発言があり、交通局長から、「現在も、免許の自主返納等のため、御家族に連れられて高齢ドライバーが警察に来ることもたくさんあるし、御家族から相談をいただくこともある。御家族の協力も得ながら、一方で、御家族がいない方は警察が直接働きかけるなどしながら、フォローアップに留意してやっていきたい」旨の説明があった。

長谷川委員より、「交通違反歴に関するデータベースを活用すると、来年施行される新制度では、特定の交通違反により臨時認知機能検査を受ける高齢者がどのくらいの人数になるかが分かるはずである。判明した人数が分かると、警察がそれらに対してどのくらいのことまで対応可能かなどが分かるのではないか」旨、川本委員より、「高齢者の認知症がどのくらい潜在的にいるのか把握した上で、警察がどれくらい対応できるのかなど分析、検討してはどうか」旨の発言があり、交通局長から、「国民全体で認知症に罹患している方がどれくらいいるかは、医学的な調査等もあり、ある程度分かるが、運転免許保有者の何%が認知症かについて、確たる数字は持ち合わせていない。高齢者の違反状況等については、データベースから抽出可能と思うので、別の機会に御説明したい」旨の説明があった。

木村委員より、「現在のように、認知機能検査結果を3分類にするだけでは、十分ではないのではないか。認知機能検査の基準を厳格化することはできないのか」旨の発言があり、交通局長から、「認知機能検査は、30分のスクリーニング検査であり、厳しくすれば第一分類なのに認知症でない方の比率が増える可能性があるし、どれくらい捕捉できるかということとの兼ね合いもある。平成21年から認知機能検査を行っているが、3種類の検査の配点やどこで線引きをするかについて、専門家の御意見をいただくなどして平成25年に見直したことから、認知症の捕捉率が25年の途中からかなり高まっており、第一分類の方の比率が急激に増えている一つの背景になっている」旨の説明があった。

委員長より、「新制度は来年から施行されるが、的確に運用されるよう、本日の定例会議で挙げられた意見をしっかりと受け止め、対策を進めることをお願いしたい」旨の発言があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、高規格の高速道路における100km/hを超える速度規制の試行について報告があった。

川本委員より、「今後、試行区間の拡大を検討する際には、自由流割合は時間帯によって大きく異なる点も考慮する必要があると思う。また、高速道路の規制速度を引き上げるに当たっては、規制速度と実勢速度とが乖離する道路が少なくない現状に対し、交通事故抑止のために取締り機器を活用したより厳格な取締りを徹底するなど、速度違反取締りの在り方の見直しが検討されるべきではないか」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘の問題は、古屋元大臣の懇談会の提言を受けて、今春取りまとめられた調査研究の報告書においても触れられている。また、現在、埼玉県と岐阜県で、新しい取締装置の導入に向けてモデル事業を行っているところである」旨の説明があり、川本委員より、「たいへん難しいことだとは思うが、乖離を解消するための対策を講じないと、交通事故死者数2,500人という目標も達成できないと思う。必要があれば、関係機関に働きかけたり国民的な議論に持っていったりしてもっと前向きに検討をしていかないと、効果的な交通安全対策ができるかどうか疑問であり、非常に強い懸念を表明せざるを得ない」旨の発言があった。

北島委員より、「規制速度超過に対する取締り機器を活用した厳格な取締りについては、海外の諸国ではどのような状況か」旨の発言があり、交通局長から、「OECD諸国の速度超過に対する取締り状況の一覧表は見たことはない」旨の説明があった。

木村委員より、「首都高では、多くの車は規制速度を20km/hほど超過して走っているのではないかと思うので、取締り機器を増強するなどしてしっかりと取り締まるべきではないか。また、交通事故の原因としては、速度超過よりも、車間距離や車線変更の問題が大きいと思っている。これらの点についての教育をもう少し行った方がいいのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「主に生活道路での取締りで活用することを念頭に置いたものだが、埼玉と岐阜で新しい取締装置の試行を行っている。110km/hあるいは更に120km/hに規制速度を引き上げていったときに、極めて高速度で走る人の取締りが緩くなるのではないかという問題は当然出てくるので、速度超過違反の取締りをどうするのか、試行開始までに、岩手・静岡両県警察と検討していきたい」旨の説明があった。