定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年11月17日(木)

午前10時00分 〜 午前11時25分

 

 

第2 出席者 長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、三浦官房長、種谷生活安全局長、吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、川邉情報通信局長

徳永国際・調整担当審議官、古谷首席監察官

高須生活安全企画課長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)道仁会、五代目浅野組、二代目親和会及び双愛会の指定の確認について

刑事局長から、福岡県、岡山県、香川県及び千葉県の各公安委員会から受理した、道仁会、五代目浅野組、二代目親和会及び双愛会に対する指定暴力団としての指定の確認請求について、審査専門委員の意見聴取を終えたことから、本日、国家公安委員会による確認を求め、それぞれの県公安委員会に通知する旨の説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)海外におけるIoT機器を踏み台としたサイバー攻撃を踏まえた注意喚起のための情報発信について

国際・調整担当審議官から、海外においてIoT機器を踏み台とした大規模なサイバー攻撃が発生したことを踏まえ、IoT機器のセキュリティレベルの向上のため、警察庁が日本サイバー犯罪対策センターと連携して注意喚起のための情報を発信したことについて報告があった。

木村委員より、「今回の攻撃で把握した不正プログラムに対しては対応できたが、今後使用される様々な不正プログラムについても一つ一つ対応策を講じていかなければならないのか」旨の発言があり、

情報通信局長から、「不正プログラムには自分で変化していくものもあり、年々大量に増えるというような話もある。現在の対策技術は、個別のプログラムの内容ではなくて振る舞い等で検知するといった、AIで対応するような方向性でいろいろな研究が進んでいる。ただ、そのためには国家を挙げての研究体制や人材の投入が必要であり、官民の連携はその面でも非常に重要だと思っている」旨、国際・調整担当審議官から、「最も基本的な対応策は、今回のMiraiへの対応策でも記載しているが、パスワードを推測されにくいものにきちっと変更することや、ソフトに脆弱性が見つかった場合にはその都度更新していくなど、セキュリティに関する意識をしっかりとしていくことである。他方で、情報通信局長が申し上げたように、いろいろなウイルスが発生している中で、どのように検知していくかについては、既知ウイルスについてはブラックリスト等で突合するなどにより検知したり、未知のウイルスについては、その不審な「振る舞い」等を検知していくということが考えられる。例えば、これまでの不正プログラムの解析結果等から、一種のプロファイリングではないが、特徴点等を分析しAI等を使って検知に役立てていくということも考えられるが、かなり大きな開発・投資が必要であるため、産業界全体等で取り組んでいくことが必要であると思う。ただ、そういった取組を促進していくためにも、警察が検知した情報を迅速に提供していくことも必要となると思う。そのスキームの一つは、セキュリティベンダー等の色々な企業が参画しているJC3の枠組みであり、例えば、サイバーフォースセンターが観測した結果等を積極的に提供し、対処策を一緒に考えていく取組を推進していくのが良いのではないかと思う」旨の説明があった。

奥野委員より、「日本では、まだ被害が広がっていないようだが、攻撃対象が家庭でも使用されているIoT機器でもあることから、注意喚起、被害防止対策についての情報発信は速やかに行うべきと考える」旨の発言があった。

長谷川委員より、「38億年もの進化の過程で生物が絶滅を回避できたのは、有性生殖を選択して常に遺伝子を組み変え続けてきたからだとする進化論上の「赤の女王仮説」のように、ウイルスに感染しないためにはパスワードを頻繁に変えなければならない。絶対に破られないパスワードはないので、頻繁に変えることを周知するのがよい」旨の発言があり、国際・調整担当審議官から、「報道ベースであるが、今回の乗っ取られたIoT機器の多くにはかなりセキュリティに脆弱な点があり、今の脅威の状況に対応していないところがあったともいわれているので、そのような場合には事業者の方に情報提供し改善を促していくことが必要である。また、それとともに、今正に委員が指摘されたように、情報を発信し、エンドユーザー側でもしっかりと意識を高めて対応策を講じて頂くということが重要であるので、これら双方の対策を講じていくことが必要であると思う」旨の説明があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、千葉県警察の巡査長が被留置者の領置金を窃取するなどした事案、9月29日に山口県警察の一般職員が業務上横領で通常逮捕された事案等、10月31日に宮城県警察の巡査長が窃盗罪で通常逮捕された事案及び10月18日に山口県警察の巡査が酒気帯び運転で現行犯逮捕された事案等に関し、11月18日、これらの県警察において当該職員をそれぞれ免職処分とする予定である旨の報告とともに、現金取扱いに係る非違事案防止方策について報告があった。

木村委員より、「これまで報告を受けた非違事案への対応には、個人の問題なので警察全体で組織的に見ていないという感じが非常に強い。非違事案を防止するためには、組織全体の問題として対応することが重要だと思う」旨の発言があり、首席監察官から、「平成25年の有識者検討会での議論を踏まえ、警察庁も県警も組織全体として問題点を解明して、そこにしっかり手当をするという形で取り組んでいる。本件についても、それぞれの県でどう対応すべきかを組織として検討するとともに、各職員に自らのこととして理解をして仕事をさせるように対応している」旨の説明があり、木村委員より、「今回、組織的な対応策を報告してもらいよかった。非違事案を起こさせないという雰囲気や環境を作っていき、少しでも非違事案を少なくしていってもらいたい」旨の発言があった。

川本委員より、「某大手メーカー会社役員の本に、小さな事務所の金庫の管理を徹底できない組織はあらゆるチェックができていないので、そのような組織を買収してはいけない、買収するなら小さな事務所の金庫をまず見なさいとあった。警察にも当てはまるような、非常に大事なことだと思う」旨の発言があった。

 

(4)「車座ふるさとトーク」の開催について

刑事局長から、11月9日、山口県山口市において「特殊詐欺対策を効果的に推進するためには」をテーマに開催される「車座ふるさとトーク」について報告があった。

北島委員より、「以前は専ら交通安全がテーマになっていたが、今回は特殊詐欺対策であるように、警察の幅広い課題に合わせて、様々なテーマが取り上げられていることを評価したい」旨の発言があった。

 

(5)第85回国際刑事警察機構(ICPO)総会の開催結果について

刑事局長から、11月7日から10日までの間、インドネシア共和国バリにおいて開催された第85回国際刑事警察機構(ICPO)総会の結果について報告があった。

 

(6)安倍内閣総理大臣のアメリカ合衆国(政府要人等との会談)、ペルー共和国(APEC首脳会議)及びアルゼンチン共和国(首脳会談等)歴訪に伴う警護警備について

警備局長から、11月17日から11月23日までの間、アメリカ政府要人等との会談、APEC首脳会議、アルゼンチン首脳との会談等のため、安倍内閣総理大臣がアメリカ合衆国、ペルー共和国及びアルゼンチン共和国を歴訪予定であり、それに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、11月15日に開催された、内閣総理大臣、内閣官房長官、国家公安委員会委員長等を構成員とする「高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議」について報告があった。

北島委員より、「総理の指示を受けて有識者会議が設置されるようだが、どの省庁に設置されるのか」旨の発言があり、交通局長から、「どの省庁に設置されるのかも含めて、現在、調整中である」旨の説明があった。

川本委員より、「本会議において、総理から、「更なる対策の必要性」について検討するよう指示があった。この「更なる」という指示を受けて、警察庁では、来年3月の改正道路交通法の施行にとどまらず、徹底した対策を検討していただきたい。特に、80歳以上の高齢運転者が事故を起こしている点を踏まえ、高齢者に対する年齢制限を運転免許制度に導入することも検討が必要ではないか。元々、若年層に対する年齢制限を導入している一方、高齢者に対しては個々の能力の差で運転免許の可否を判断することは、むしろロジックに破綻を来すことになると思う。今後、高齢運転者が等比的に増加していくことは、検討の重要なポイントである」旨、木村委員より、「高齢運転者による死亡事故がこれだけ相次いで発生すると、運転免許制度に高齢者の年齢制限を導入することも必要ではないか。一方、そのような高齢者に対する代替的な移動手段を確保することが必要であることから、デマンドバス、LRT(軽量軌道交通)の整備やコンパクトシティの推進等、中期、長期にまたがる対策について国土交通省等と連携して検討していただきたい。さらに、このような付随的な問題も様々ある中で、警察庁が中心とならないとなかなか進まない問題ではないか。是非、警察庁が関係省庁の意識を統一させながら進めていただきたい。また、海外でもこの種対策を講じている国はあると思うので、調査してみてはどうか」旨の発言があり、交通局長から、「高齢者特有の事故の防止対策を考えるというだけではなく、運転免許制度の在り方等も含めた検討をしていく必要があると考えている。改正法の円滑な施行に向けた作業と同時並行で検討していくこととなると思う。海外の認知症運転者対策については、様々な国の状況を全て調査しているわけではないが、必要に応じて調査をした上で考えていく必要があると考えている」旨の説明があった。

奥野委員より、「高齢者による死亡事故は、件数だけ見ると数字の上では昨年比で横ばいということだが、高齢者全体の人口を母数とする比率では、どういう数値になっているか」旨の発言があり、交通局長から、「75歳以上の運転者が第一当事者の交通死亡事故が四百数十件起きている一方で、75歳以上の運転者は10年間で倍になっているので、運転免許保有者当たりにすると死亡事故件数は半減している。ただ、交通死亡全体に占める割合は、死亡事故全体が減っているので、7%前後から約13%とほぼ倍増している。この10年間、後期高齢者の中でも更に80歳とか85歳以上の方の保有者数が2倍以上に増えているという問題がある。認知症の有病率を厚生労働省が調査しているが、年齢が高くなればなるほど有病率は高まるので、認知症という観点からだけ見ても、これから対策の強化が必要であることを踏まえて、道路交通法を改正したところである」旨の説明があり、奥野委員より、「今はまだ後期高齢者に達していなくても、高齢の相当数の人たちが10年後には70歳代後半から80歳超に達し、今回事故を起こした高齢運転者と同じ年頃になる。これらの年代は、運転免許の自主返納に応じてもらうのも容易ではないだろう。高齢運転者が加害者となる事故は、今後、更に増加するのは間違いない。来年3月の改正道路交通法の施行により運転者の認知症対策は強化されるが、運転能力が低下した高齢運転者への対策はほとんど制度化されていないのではないか。今後は、運転機能が低下した運転者に何らかの規制措置を講じることもあり得ると思う。有識者の意見を聞くなどして、何が可能か考えてもらいたい」旨の発言があり、交通局長から、「認知機能検査は、認知、判断、操作という一連の運転行為の中の認知の部分だけの検査をするものであるが、高齢者講習の中で、特に高度化講習の中では、実際の実技で撮影したドライブレコーダーの映像を見せながら、運転行動全体を改善してもらえるように指導するという取組もなされている。アクセル、ブレーキの踏み間違いの事故については、既に踏み間違い防止機能が新車ベースでは約3割に装備されており、衝突軽減ブレーキも4割くらい装備されている。こうした新しい機能をどのように普及、促進するのか、我々の行政担当分野内で生かしていくのかということも、今後の検討の課題の一つと思っている」旨の説明があった。

長谷川委員より、「ある研究会で、ハイビームを目に受けて目くらまし状態になってから正常に回復する時間は、20歳代に比べて50歳代は約4倍の時間がかかること、また、現在37歳の世代が65歳になるまで何も健康対策が講じられていない場合、人口全体の約10%が認知症になっている可能性があることが報告されていた。有識者会議では、そのようなことについても細かく検討されるものと思われるが、かなり切迫した問題だと思う」旨の発言があり、交通局長から、「かねていろいろな問題提起はなされているが、既に検討を始めている課題として、視野の問題がある。現在、高齢者講習等で、水平視野の測定はしているが、水平方向は見えていて、上の方の部分は視野欠損になるような加齢に伴う様々な目の病気を持つ方もいるのではないかという指摘はいただいており、認知機能だけが問題ではないと考えている。有識者会議を開催することになっても、時間との兼ね合いもあるので、本当にどういった対策が必要なのかということをよく考えながら検討を進めてまいりたい」旨の説明があった。

川本委員より、「有識者会議の報告書の完成を待ってからではなく、警察庁でも並行して対策の強化を進めていく必要がある。また、総理から政府一丸となって取り組むよう指示されたことを踏まえ、補償対象範囲を高齢者を除く条件に限定して契約した場合に自動車保険料が安くなるように自動車保険を見直すなどいろいろなアイディアがあると思う。関係省庁、団体としっかりと連携して進めていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「お話いただいた観点は必要な観点だと考えている」旨の説明があり、木村委員より、「高機能の車を開発しても、高齢者は新車を買うことが少ないだろうから、技術的な対策はあまり即応しないかもしれないのではないか」旨の発言があった。

北島委員より、「閣僚会議開催翌日の新聞の社説を見ると、車の在り方、代替手段の確保、認知症の範囲等、様々な問題を議論すべきという論調であった。そのようなかなり幅広い問題を議論することになるということか」旨の発言があり、交通局長から、「関係する省庁と協力し、政府一丸となって検討を進めてまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)交通局長から、携帯電話使用等に係る交通事故発生状況及び交通事故防止に向けた取組について報告があった。

川本委員より、「ポケモンGOで遊んでいた運転者による死亡事故が相次いで発生したことを受けて、一定速度以上になるとポケモンが出現しなくなるようにするなど対策を運営会社が講じているが、この一定速度は、通常の車両の速度ではなく、歩行速度に合わせるべきではないか」旨の発言があり、交通局長から、「歩行速度以上の速度の場合には使えなくしてほしいという要望が提出されたという新聞報道は承知している」旨の説明があった。