定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年12月8日(木)

午前10時00分 ~ 午前11時05分

 

 

第2 出席者 松本委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、種谷生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

官房長から、11月26日、高知県警察の巡査長が飲酒運転の上、交通事故を起こした事案に関し、12月8日、同県警察は同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

    

(3)相模原市の障害者支援施設における事件の検証等チーム報告書について

生活安全局長から、7月に発生した相模原市の障害者支援施設における殺傷事件を受けて厚生労働省設置された「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」において、12月8日に取りまとめられた、再発防止策に係る提言としての報告書について報告があった。

奥野委員より、「この事件は、事前にいくつかの段階で犯罪の可能性を探知し、関係機関で情報を共有していれば、この悲惨な事件を阻止できたのではないかという問題を残した。報告書は、この点を踏まえて、再発防止のため具体的な方策として「関係機関等の協力」を挙げているが、警察としてもこの点を重視し、関係機関と必要な情報共有できるような体制づくりを進めていただきたい。とりわけ、個人情報保護に過剰に反応し、各機関が情報を囲い込むおそれがあるが、少し工夫すれば、人権に配慮しつつ関係機関で情報共有することは十分に可能だと考える」旨の発言があり、生活安全局長から、「先ほど御説明した柱の4のところにその部分が入っている。相模原の事案については、措置入院中に大麻の使用が分かったが、そういった情報は今のシステムの中では共有できていないことから、どういった情報が共有できるのかということについて検討していくこととなる。このような情報共有のあり方を協議する場を定期的に地域で持つという提言になっているので、警察としてしっかり対応してまいりたいと思う」旨の説明があった。

川本委員より、「報告書に掲げられている「社会福祉施設等の防犯に係る安全確保の協力」のような防犯措置が警察の主な職務であり、その点を踏まえると、犯罪情報等必要な情報は共有されるべきであるが、一方で、共有されるべきではない個人情報についてはそれぞれの機関が慎重に取り扱う必要がある」旨の発言があり、生活安全局長から、「その点については十分気を付けて、厚生労働省の有識者会議にも臨んだ。結果として、提言の中では、このような書き方になったものと思う」旨の説明があった。

 

(4)ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律の成立について

生活安全局長から、12月6日に成立した、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律について報告があった。

北島委員より、「本法律が成立したことを歓迎したい。本法律の下での警察の責任は非常に重いものがあると思っている。今回の改正内容では、加害者の更生についての調査研究を始めとした国や地方公共団体の様々な措置が盛り込まれているが、それらの進展に対する期待感を表明しておきたい」旨の発言があった。

 

(5)特定危険指定暴力団等の指定の期限延長等について

刑事局長から、福岡県及び山口県の各公安委員会は、指定暴力団五代目工藤會を特定危険指定暴力団等として指定した後、当該指定期限を3回延長していたところ、12月26日に当該期限が満了することから、この度、更に当該期限を1年間延長することとした旨の報告があった。

木村委員より、「工藤會以外の暴力団の最近の動向はどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「現在、六代目山口組と神戸山口組が対立抗争状態にあることから引き続き、情報収集、取締り、警戒をしっかり進めてまいりたい。各種暴力団排除活動も進んできたこともあり、凶悪事件等は現在少なくなっていると認識している」旨の説明があった。

奥野委員より、「工藤會の構成員は昨年まで年々減少しているが、今年もこの傾向に変わりはないのか」旨の発言があり、刑事局長から、「今後平成28年末現在の構成員数が出ることになるが、傾向は変わっていないと思われる」旨の説明があった。

 

(6)プーチン・ロシア連邦大統領来日に係る警備について

警備局長から、12月15日から16日までの間、プーチン・ロシア連邦大統領が来日する予定であり、これに伴い所要の警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、12月2日、愛知県知事等から国家公安委員会委員長等に対して提出された「車両運転中の「ながらスマホ」対策の強化に関する要請」について報告があった。

奥野委員より、「車両運転中の「ながらスマホ」行為に対し罰則強化も含めた対策の強化に関する要請は、最近相次いで発生した、ポケモンGOで遊びながら運転していたことを原因とする事故を受けて提出されたものだが、このゲームだけではなく、一般に運転中にスマートフォン等を操作したり、その画像を見たりしていた「ながら運転」による死亡事故は増えているのか」旨の発言があり、交通局長から、「携帯電話等使用を要因とする死亡事故は、昨年は30件であり、そのうち、画像目的使用は、20件であった。画像目的使用は、スマートフォンやフィーチャーフォンでメールをすること等も含む。また、通話目的使用が3件、ハンズフリー使用が2件ある。ハンズフリーで使用すること自体は道路交通法には違反しないが、そのことによって注意力が散漫になり、事故の要因となったということで計上している。その他の事故は5件であるが、これは、携帯電話がダッシュボードから落ちたためそれを拾おうとして、結果として脇見になって事故が起きるといった類型である。特に我々が懸念をしているのは、ポケモンGOに関連する事故がその典型であるが、画像目的使用という類型である。画像目的使用が要因となった死亡事故は、平成23年が10件、24年が12件、25件が11件、26年が18件、昨年が20件と最近増加傾向にあることを懸念している。また、携帯電話使用等が要因となった死亡事故件数は、23年が19件、24年が20件、25年が32件、26年が32件、昨年が30件となっている。4,5年くらいのタームで見ると、やや増加傾向にある」旨の説明があり、奥野委員より、「ポケモンGOのようなゲームは、流行が過ぎ去れば消えてしまうかもしれないが、これに代わるゲームが出てきて、それを使った事故が繰り返されるおそれもある。「ながら運転」全般で事故がそれなりに増え続けているのであれば、現在の道路交通法違反に対する取締り以上の対策も必要ではないか」旨の発言があり、交通局長から、「ポケモンGOに関連する事故が特に社会的に大きく取り上げられ、今回の要請につながったのは、事実であるが、先ほど申し上げたように、携帯電話等使用を要因とする死亡事故が増加傾向にある中において、ポケモンGOの問題に局限化することなく、携帯電話、スマートフォンを要因とする事故をいかに減らしていくかという観点からよく研究していきたい」旨の説明があった。

木村委員より、「スマートフォン等でゲームの画像を見ながら運転することは、飲酒運転に比べて罰則が軽いことから、厳罰化したり、大規模なキャンペーンを行ったりすべきである。飲酒運転と同じくらい問題だという意識を持って対策を進めるべきではないか」旨の発言があり、交通局長から、「まず、キャンペーンについては、この夏のポケモンGOの配信をきっかけに、各都道府県警察において様々な広報啓発活動等を行っている。また、携帯電話使用等に関する取締りは、ここ数年間、100万件前後の取締りを行っており、今年も、上半期で約48万件の取締りを行っている。一方では、年間約100万件に及ぶ取締りを行っていながら、携帯電話使用等を要因とする死亡事故が増加傾向にあるという事態を踏まえ、そのペナルティの強化が必要ではないかという御意見がある。今回の事故の御遺族は、正に要請内容にあるとおり、道路交通法の罰則だけではなく、刑法から切り出された危険運転致死傷罪の類型に位置付けてほしいという強いお気持ちをお持ちだと理解している。大臣からお答えいただいたとおり、しっかりと研究をしていきたいと考えている」旨の説明があった。

川本委員より、「自らが能動的に画面を見る「ながら運転」は、明らかに過失ではないので、その点の整理をしっかりとしていただきたい。また、ポケモンGOで遊ぶ際に歩行速度を超えるとポケモンが出現しなくなるようにする対策が必要である。その対策に対して、同乗者も遊べなくなる、業者にも配慮すべきなどの意見があったとして、安全が確保されず、死亡事故が相次いでいる状況にあっては、安全にウエイトを置いた政策判断もやむを得ないのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「そのような点も含めて、これから研究していきたい。ポケモンGOに関しては、今回、御遺族が要請にいらっしゃった愛知県一宮市の事故や30日死者に計上されるものも含めて3件の死亡事故が発生している。8月23日に徳島市内で発生した死亡事故は、既に徳島地裁で判決が確定しており、報道等によると、運転者の利用禁止が表示されるゲームを殊更に利用するなどし、危険な状況を自ら招いたものであり、単純な過失の事案とは一線を画するというような判決要旨だったと承知をしており、そうした認識に基づいて、いろいろな研究をしていきたい」旨の説明があった。