定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年3月2日(木)

午前10時00分 〜 午前11時00分

 

 

第2 出席者 長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、3月21日付けを始めとする地方警務官161名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成29年度会計監査実施計画について

官房長から、平成29年度会計監査実施計画について報告があった。

川本委員より、「部内でもしっかりと監査を行っているとは思うが、外部の方の技術や考え方から学ぶ場面も多いと思うので、常にアップデートされた情報や手法が導入される環境を作るよう努力していただきたい」旨の発言があった。

 

(3)平成28年における生活経済事犯の検挙状況等について

生活安全局長から、平成28年における生活経済事犯の検挙状況等について報告があった。

北島委員より、「今後の取組として、「各種犯行助長サービス対策の更なる推進」が挙げられているが、最近1、2年でみると、預貯金の口座凍結ための金融機関への情報提供件数やレンタル携帯電話の契約解除要請件数が減少している。これらへの対策は非常に重要だと思うので、しっかりと取り組んでいただきたい」旨の発言があった。

 

(4)「特殊詐欺に関する世論調査」の結果について

生活安全局長から、1月に内閣府が実施した「特殊詐欺に関する世論調査」の結果について報告があった。

川本委員より、「今回の調査では、高齢の男性には客観的現状認識能力の欠如が認められる傾向にあるなど、とても有意義な結果が出たと思う。一方で、実際に被害に遭った方々の性格、性別等プロフィールを分析して明らかにすれば、更なる注意喚起につながるのではないか。また、「希望する情報提供の手段」として「メール・ソーシャルメディアによる発信」が少なかったが、今回の調査の母集団自体がソーシャルメディアと疎遠な方々が多かった可能性もあることから、別の機会にネット調査を行うこともあり得ると思う」旨の発言があった。

木村委員より、「今後、高齢化が大きく進むことは間違いないので、それに向けた備えを社会で一緒になって考えていかなければならない。特に団塊世代の方々は、通常は冷静かつ慎重であっても、ちょっとしたことで興奮してしまったり、自分は被害には遭わないと思ってしまうほど視野が狭くなったりする傾向があり、また、子ども世代からいろいろと注意を受けても、素直に聞く方は少ないと思う。防犯機能を備えた電話の設置等ハード面での対策についても、自分のところには架かってこない、自分は騙されないと思いこんで消極的になると思う。このような高齢者の傾向を踏まえて、警察や関係団体から様々なPRをして、意識改革を進めることが効果的だと思う。さらに、今回の結果も様々な機会を活用して、社会にPRしていただきたい」旨の発言があった。

北島委員より、「とてもきめ細かい内容の調査だという印象である。是非とも、この結果を有効活用していただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「この調査の趣旨は、特殊詐欺に対する一般市民の意識を調べるということだが、せっかくの調査なので、もう少し被害実態について聴いてもよかったのではないか。つまり、この中に実際に被害に遭った方がいたのか、または電話が架かってきた経験はあるが実質的な被害は免れたのかなどを知りたい。特に、高齢者ほど「被害に遭わないと思う」との比率が高い結果となったが、そのような自信を持っていても実際に被害に遭うのか、あるいは、自信がある人の方が被害を食い止める確率が高いのかなどが分かれば、今後の防止対策の参考にもなるだろう。今後、このような調査を実施する場合には、被害に遭ったかどうか、電話が架かってきたかどうかという実態も調査項目に加えてほしい」旨の発言があった。

長谷川委員より、「警察庁が把握している統計を利用して、年齢層別、性別で1万人当たり何人がこうした詐欺の被害に遭っているか分析することにより、最も被害に遭いやすい年代、性別が明らかになる。その結果と今回の調査結果とのかい離を示せば、より分かりやすく伝わるのではないか。なお、一般的には男性の方が自信過剰傾向にあることは、これまでの実験や調査で明らかになっていることではある」旨、木村委員より、「長谷川委員から提案のあった分析については、是非とも早期にまとめていただきたい」旨の発言があった。

 

(5)平成28年における犯罪収益移転防止法の施行状況について

刑事局長から、平成28年における犯罪収益移転防止法の施行状況について報告があった。

北島委員より、「海外のFIUとの情報交換の枠組みを設定した国・地域が増えていることは紹介されているものの、海外のFIUとの情報交換の件数はまだ少ないのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「まずは国内において、特定事業者から受理した疑わしい取引の届出である40万件を活用し捜査をしている。これに加えて国際的な情報交換枠組みもあるので、これらをしっかり活用しながら、有益な情報を得ていきたい。外国の情報に基づいて日本で捜査が行われたという事件例もあり、外国の情報に基づく事件捜査を今後推進していく必要があると考えている」旨の説明があった。

奥野委員より、「犯罪収益移転防止法は、今年で成立から10年の節目を迎えるが、この間、何度かの法改正を経て、体制も飛躍的に強化されてきた。各種機関から届出の形で上がってくる不正な資金移動等の情報を活用して、数多くの検挙につなげてほしい。報告書にある「業態別の疑わしい取引の届出受理件数」では、圧倒的に金融機関からのものが多い。これは当然のことではあるが、最近は手口も巧妙になり、他のルートを経由して不正資金を移動させるケースも増えているのではないか。例えば、いわゆる私書箱等の郵便物受取サービスでは、信書の秘密を維持できる優位性を悪用して、犯罪インフラとして使われるケースもあるのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「私書箱業者の中で、顧客の本人確認等ができていないケースが散見され、都道府県警察の事件捜査の過程で、そのような業者を把握したとの報告を受けた場合、警察庁の職員が当該事業者から事情聴取を実施し、違反事実が確認されれば、これを所管する経済産業省に対し、当該事業者への指導等を促し、違反の是正等を図っている。警察の捜査の過程で、私書箱が使用されたことを把握し、業者による違反事実が明らかになれば、所管の経済産業省に対して、意見陳述という形で是正命令等による指導をしていただいているところであり、このような形で犯収法の適正な運用を図っていくことが大切であると認識している」旨の説明があり、奥野委員より、「いずれにしても、犯罪捜査の基本は、多くの場合、金の流れを把握することでもあるので、今後も不正な資金移動への監視はしっかりとしていただきたい」旨の発言があった。