定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年3月16日(木)

午前10時00分 〜 午前11時50分

 

 

第2 出席者 奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

中村組織犯罪対策部長

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、4月5日付け地方警務官1名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)警察法施行令の一部を改正する政令案等について

官房長から、47都道府県警察の地方警察職員たる警察官の定員を886人増員することなどを内容とする警察法施行令の一部改正案等について説明があり、原案どおり決定した

 

(3)警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の一部を改正する政令案について

官房長から、給付基礎額及びその扶養加算額の改定並びに介護給付の金額の改定を行うことを内容とする「警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令」の一部改正案について説明があり、原案どおり決定した

 

(4)「平成29年度政策評価の実施に関する計画」等について

官房長から、「平成29年度政策評価の実施に関する計画(案)」等について説明があった

川本委員より、「2つの事業評価書については、有識者による政策評価研究会でも疑義が呈されているが、そうした意見を踏まえたものとなっていないのではないか。これを了承することは問題なのではないか」旨の発言があった。

木村委員より、「毎年度の評価結果がどのように反映されるのか、評価と業務改善とのつながりが明確ではない。また、29年度の評価計画の作成に当たっては、ある程度28年度の総括をし、それを踏まえるべきであるが、そのように作成されているのかどうか明確でなく、改善すべきではないか。さらに、東京五輪後の日本の社会、経済等をも考慮した上で、これからの警察活動を考えていくことが必要であり、その点も視野に入れて評価に取り組んでいただきたい。この評価制度が評価だけで終わりとなることを懸念している」旨の発言があり、官房長から、「政策評価は年度ごとに行うという枠組ではあるが、警察の活動はその時々の事象を見ながら機敏に対応することが求められており、政策評価の形に乗ってこない部分はあるが、常々、各局部においてもPDCAサイクルは意識されており、問題があれば対策を講じているところである」旨の説明があった。

安藤委員より、「29年度実績評価計画書は、28年度の実績を踏まえて作成されており、今後作成される28年度実績評価書を見れば、28年度の評価がどのような形で29年度実績評価計画書に反映されているのかということが分かるようになっているという理解でよいか」旨の発言があり、官房長から、「そのようになっている」旨の説明があり、安藤委員より、「期待して、確認させていただくこととしたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「改正道路交通法により新設された高齢運転者等専用駐車区間制度についての事業評価書は、十分に評価した結果なのかどうか疑問が残る。高齢者等標章の有効枚数が6万枚に上るとの理由から需要は高いと判断し、「必要性及び有効性が認められる」と評価している。一方で、高齢運転者等専用駐車区間の設置箇所数は全国に477箇所と、この5年間で増加していないが、本当に需要が高いならばもっと普及しているはずである。最近は高齢運転者に免許返納を呼びかけている中で、こうした専用駐車区間に実際に利用価値があるのか、利用実態はどうなのか、その辺の調査結果が示されていないにもかかわらず、これで十分な評価ができたかどうか理解できない」旨の発言があった。

次長から、「本日頂いた御意見をも踏まえ、実績評価計画書、事業評価書を含めて、改めて定例会議の場でお諮りすることとする」旨の発言があった。

 

(5)ストーカー規制法施行規則等の一部を改正する規則案に対する意見の募集について

生活安全局長から、昨年12月に成立した「ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律」の施行に伴う、「ストーカー行為等の規制等に関する法律施行規則」等の一部改正案に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した

 

(6)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

委員間の互選により、3月16日以降の「委員長を代理する者」の順位について、第1順位奥野委員、第2順位川本委員、第3順位北島委員、第4順位木村委員、第5順位安藤委員とすることとした。

 

(7)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成28年における組織犯罪の情勢について

刑事局長から、平成28年における組織犯罪の情勢について報告があった。

北島委員より、「暴力団による資金獲得活動の変容、犯罪組織による国境を越えた犯罪の巧妙化、潜在化の2点について、特に関心を持った。警察としてはこれまでの対応を改善し、様々な取組を進めていくということで良いと思う」旨の発言があった。

 

(3)移動追跡装置を使用した捜査に係る最高裁判所大法廷判決と今後の対応について

 刑事局長から、移動追跡装置を捜査対象車両に取り付けて行うGPS捜査について、3月15日に示された最高裁判所大法廷判決と今後の対応について報告があった。

北島委員より、「判決には補足意見もあるが、警察としては、GPS捜査はしないという理解で良いか」旨の発言があり、刑事局長から、「補足意見においては、立法措置がとられるまでの間は、限定した条件の下で現行の令状を取得してGPS捜査を実施する可能性にも言及しているが、基本的に現行の令状を取ってもGPS捜査を行うことは違法だという判断がなされているという前提で、今後は控えていくということになる」旨の説明があり、奥野委員より、「補足意見はあるが、判決そのものはGPS捜査を禁止しているのではないか」旨の発言があり、次長から、「GPS捜査については、判決では令状を発付することには疑義があるとされていることから、警察は、今後そのような捜査はしないということである」旨の説明があった。

安藤委員より、「最高裁判所は、現行法上の何らかの令状でも可能となる条件を具体的に示すのではないかとも考えられたが、やはり、実際には難しいと判断したのであろう。必ずしも例外が無いわけではないとの補足意見もあったが、現実にはその審査は非常に厳しいと受け止めるべきである」旨の発言があった。

奥野委員より、「判決を受けて、警察庁は全国の警察にGPS捜査を控える旨の通達を発出したとのことだが、立法措置を講じるまでには時間もかかり、当面GPSは使用できないことになる。組織犯罪等への捜査は、従来の捜査手法を活用することとなるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「基本的には、GPS捜査は行わないということになるため、従来の捜査手法を活用して対応することになる」旨の説明があった。

奥野委員より、「既に裁判になっている事例については、今後の裁判の行方に影響を与えることとなるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「それは裁判所の判断だろうと思われる」旨の説明があった。

木村委員より、「今後、新たな科学技術を活用した捜査手法が生み出される可能性がある。それらの手法一つ一つに対応するのではなく、包括的に対応できるように制度を構築するべきだと考えるがどうか」旨、奥野委員より、「警察には厳しい判決となったが、捜査、防犯機器も科学技術の発展に伴って新しいものが開発されてくる時代なので、今後も同様の問題が発生するだろう。今回の最高裁判決は、捜査の必要性に基づくGPSの活用に対し、人権への配慮を忘れてはならないという裁判所からの警鐘という意味があると思う。GPSは尾行等行動確認捜査の延長との考え方もあるが、判決ではGPSが私権への侵害として、従来の行動確認とは一線を画している。ただし、GPSの利用を否定せず、立法措置を講じるよう促しており、今後、捜査当局は新しい捜査手法が出てくるごとに、個別に立法措置がなされることとなるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「個別の事例に係る裁判において問題の所在が明らかになっていくという場合もあると考えられる。事前に包括的に問題の所在を明らかにして、法的な手当てが必要だという議論をするのは、容易なことではない。今後、関係省庁とは連携しながら対応していくことになると思われる」旨の説明があった。

木村委員より、「ドローンで撮影するということなども影響があるのか」旨の発言があり、官房長から、「いろいろな科学技術を使った捜査をするにしても、どこまでが任意捜査として可能なのかということをしっかりと考えていく必要がある」旨の説明があり、安藤委員より、「常に苦労しているところではないかと思うが、必要性はあっても、権利を侵害される者が存在するので、その点はしっかりと歯止めをかけるべきである」旨の発言があった。

次長から、「任意捜査は、元々権利侵害への配慮をしながら行うべきものであり、技術の進歩にあわせて対応を検討していくことが求められると思う」旨の説明があった。

 

(4)安倍内閣総理大臣のドイツ、フランス、ベルギー及びイタリア歴訪に伴う警護警備について

警備局長から、3月19日から22日までの間、政府要人等との会談のため、安倍内閣総理大臣がドイツ連邦共和国、フランス共和国、ベルギー王国及びイタリア共和国の欧州4か国を歴訪する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する報告があった。

 

3 その他

(1)刑事局長から、「広島県山県郡北広島町における女子大学生被害に係る死体遺棄等事件」に係る捜査特別報奨金の支払について、捜査特別報奨金審査委員会の答申を踏まえ、本日、警察庁長官が支払対象者3人に対して総額300万円の支払を決定し、島根県警察本部長に通知することとした旨の報告があった。

 

(2)組織犯罪対策部長から、暴力団の資金源封圧について報告があった。

北島委員より、「暴力団による資金獲得活動が変わってきている点に着眼したことは非常に重要である。暴力団の活動を予測的な分析に取り組んでいることはとても良いと思う」旨の発言があった。

木村委員より、「バブル崩壊後における暴力団の経済活動への介入も、様々な規制のおかげで少なくなってきたと思うが、依然として巧妙に入り込んでおり、予防も難しいと思う。民間企業自身も暴力団の介入を防止するための対策を講じる必要はあるが、警察でも民間企業、団体と緊密に連携して、情報交換を行ったり、相談窓口を設置したりするなど、しっかりとした対策を講じていただきたい」旨の発言があった。

川本委員より、「以前、公安委員会の場で提案されたテーマがこのように綿密に検討されて報告されたことはたいへん良い。また、特に日本では紛争処理のプロセスが遅いために暴力団が介入しやすくなっている面があるので、「規制や制度の間隙を狙う」ということなど、関係機関、団体との間で問題意識の共有を更に広げていただきたい。これまでの株主総会対策や証券取引や貸金業からの暴力団排除については、警察が出てきてくれて初めて具体的な問題に着手できたと思うので、警察は暴力団排除活動の支援にしっかりと取り組んでいるということを経済活動において一層見せていただきたいと思う」旨の発言があった。

奥野委員より、「最近の暴力団の資金獲得活動は、よく研究され、巧妙化、高度化しているとの印象を受けた。社会システムの隙間等、今まであり得なかった世界にまで暴力団が触手を伸ばしているのかというケースも多く、被害届が出ないものもあるだろう。こうした事件を探知するには、捜査員が収集する生の情報が大切である。新たな暴力団犯罪を研究分析するためにも、大きく網を張って広く情報収集に努めてほしい」旨の発言があった。