定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年5月11日(木)

午前10時00分 〜 午前11時25分

 

 

第2 出席者 奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

藤本首席監察官、小田部審議官(生活安全局担当)、白川審議官(警備局担当)

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成28年度中における犯罪被害給付制度の運用状況について

官房長から、平成28年度中における犯罪被害給付制度の運用状況について報告があった。

川本委員より、「平均の裁定時間が短縮化されていることはよい。また、分析の際には、中央値を用いたり、加害者、被害者の関係性まで分析したりしており、分析の仕方がよりしっかりとしたものになってきている。今後も、このような分析を続けていただきたい」旨の発言があった。

安藤委員より、「不支給裁定事案では、被害者に帰責事由があった事案が増加しているが、裁定業務の負担が大きくなっているのではないかと感じている。不支給裁定の減額理由に、親族間、密接な関係というものがあるが、いろいろな微妙な事案もあると思われ、この点については、犯罪被害給付制度の見直しのための有識者会議でしっかりと議論を尽くしていただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「裁定に要する期間がほぼ6箇月前後まで短縮されていたが、これは審査体制が整備され、作業も習熟してきたということか」旨の発言があり、官房長から、「数年前からの指示により、各都道府県警察でしっかりとした体制が確保されたことや、できる限り早期に裁定しようという担当職員の意識が高まったことが考えられるのではないかと思う」旨の説明があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、大阪府警察の巡査部長による強制わいせつ及び窃盗事案並びに巡査による窃盗事案に関し、同府警察は、同巡査部長及び同巡査を5月11日に免職処分とする予定である旨並びに福岡県警察の事務職員による業務上横領等事案に関し、同県警察は、同事務職員を5月18日に免職処分とする予定である旨の報告があった。

木村委員より、「福岡県警察の事案については、被処分者1人で拾得物を取り扱っていたようだが、警察署では、どのように管理することとなっているのか」旨の発言があり、首席監察官から、「本件は、上司不在のため、行為者が遺失者が判明しない拾得物件の処理業務に単独で従事していた中で発生しているが、本件以前、また以降の処理においては、行為者を含む複数の職員での対応がなされており、不正は確認されていない。こうした取扱いが特に多い署においては、基本的には2人で実施するのが通常であると考えている」旨の説明があり、木村委員より、「必ず複数で取り扱うなど、全警察署でしっかりとした管理体制がとられるよう徹底していただきたい」旨の発言があった。

安藤委員より、「同事案では、被処分者の動機は何だったのか。経済的困窮ではなく、事務処理の懈怠が理由であるならば、通常業務の中で被処分者の動向等が把握されているべきである。問題のある職員に目を向けるという基本的なことをしっかりとしていただきたい」旨の発言があった。

川本委員より、「以前、拾得物を受領した段階での再発防止策について議論したが、本件ではその後の取扱いの段階で発生してしまっている。そうなると、元々の取扱いの仕組み自体を合理的、効率的に見直す必要があるのではないか。その点をしっかりと検討してもらいたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「私行上の非違事案は、個人の生活管理に繋がるため決定的な防止策は難しいが、業務上の非違事案、特に金銭や証拠物件等の警察内での管理は、防止策を徹底すれば防ぐことができる性質のものだ。現場の警察職員が金銭を取り扱うケースはあまり多くはないが、拾得物管理は、金額の多少にかかわらず、おろそかにできない業務である。約30年前に大阪府警察において交番の警察官が拾得物を横領した事件が発生して大きな問題となったが、それ以降、拾得物管理が厳しくなったと聞いている。しかし、規律には必ず緩みが生じることから、適時点検、周知徹底が必要だと思う」旨の発言があった。

木村委員より、「拾得物の管理は、業務委託できないのか」旨の発言があり、官房長から、「市民の権利に係る問題でもあり、にわかには難しいと思われる」旨の説明があり、川本委員より、「拾得物に係る権利義務関係を整理して、業務委託の検討を進めるべきではないか」旨の発言があった。

川本委員より、「都道府県警察の一般職員が減少しているのであれば、むしろ減少した分、どの業務を廃止して見直すのかということまで明確に指示しなければ、マネジメントが不十分である」旨の発言があった。

木村委員より、「29年は非違事案が増加しているのではないか」旨の発言があり、首席監察官から、「4月末時点で、8人の増となっている」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)刑事局長から、神戸山口組の動向について報告があった。

 

(2)警備局長から、国際テロ対策における現状と課題について報告があった。

北島委員より、「今後、各地で外国人コミュニティができていくと思うが、警察が外国人コミュニティとの関係をしっかりと作っていくことは大事だと思う」旨の発言があった。

木村委員より、「2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会まで残り3年となったが、昨年の伊勢志摩サミットが無事に開催されたこともあり、テロに関する国民の警戒意識が薄れているのではないかと懸念する。情報収集については、外務省と連携して、もっと在外公館を活用できないかと思う。また、民泊の問題もあるが、最近、アパートメントが相当増加しているので、その対策も考えおく必要があると思う。さらに、ソフトターゲット対策については、国民の意識を高めるために、広報活動をしっかりとするべきである。テロ対策に関しては、想像力を駆使して様々な発生形態をシミュレーションした上で、可能な対策を進めていくという形が良いのではないかと思う」旨の発言があり、警備局長から、「海外における情報収集については、警察職員を在外公館に派遣しており、外務省と連携して行っているところである。また、国際テロ情報収集ユニット(CTU)が設置されており、関係機関と連携してテロ情報の収集が進められている。アパートについては、不動産管理会社等への管理者対策に努めている。ソフトターゲット対策における広報の重要性については御指摘のとおりであり、オリンピックを見据えて取り組んでまいりたい。引き続き、想像力を働かせてテロ対策を推進してまいりたい」旨の説明があり、北島委員より、「CTUでは、在外公館の専門職員が現地で収集した情報も集約されている」旨の発言があった。

川本委員より、「官側が行うべき課題としては、EUとの間のPNR(Passenger Name Record)協定の早期締結を進めることや、入国審査、税関検査をしっかりと実施していくことなどが挙げられる。官民連携の面では、例えば民泊や外国人居住者の日本語習得といった制度設計にも警察が積極的に関与するべきではないか。また、日本では、テロ対策についての国民意識が十分に醸成されているとは言い難い状況にあるので、意識を高めるための啓発活動をしっかりと行う必要がある。さらに、海外諸国においては、危機管理情報の提供が早いと思うので、情報提供の在り方について、関係省庁とも相談しながら進めていただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「情報収集には言語の習得が必要であり、特に特殊言語については国内での習得が困難なため、現地で徹底して学ぶことが最も効果的だと思うが、そのような方策は検討しているのか」旨の発言があり、警備局長から、「各種言語に精通した人材の育成は時間がかかるが重要であると感じており、外国語の修得について今後も取組を模索していきたい」旨の説明があった。