定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年6月1日(木)

午前10時00分 〜 午前11時00分

 

 

第2 出席者 松本委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)平成28年度犯罪被害者等施策(犯罪被害者白書)(案)について

官房長から、平成28年度犯罪被害者等施策(犯罪被害者白書)(案)について説明があり、原案どおり決定した。

北島委員より、「昨年度に内閣府から警察庁に所管が移って以降、草案から作成を手がけた最初の犯罪被害者白書だが、とてもよくできていると思う」旨の発言があった。

安藤委員より、「基本計画に掲げられた施策について、現在取り組まれているのか、あるいはまだ検討中なのかなどが明記されている点は分かりやすい。実態を正確に把握、分析するとともに、次にどのような施策が必要なのかを整理していくことが白書の目的であると思う。また、それぞれの施策は被害者にとってはまだ十分ではないかもしれないが、その必要性について国民の理解を得ていくことが重要であると思うので、本白書が必要なところに隅々まで行きわたり、然るべく反応が上がるという仕組みとなるよう期待したい」旨の発言があった。

川本委員より、「全体の構成や見た目が読み手の立場で作成されており良いと思う」旨の発言があった。

奥野委員より、「読みやすくなるよう、徐々に改善されていると思う。白書は、法律や施策等を記載するために硬い内容になることは避けられないが、犯罪被害者の実態は統計数値だけでは見えてこないものもあるので、今回のように、被害者の声や被害者支援に取り組む警察官の手記をコラムで紹介するなど工夫を重ね、今後とも良いものを作ってほしい」旨の発言があった。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

官房長から、警視庁の巡査部長による強制わいせつ致傷事案に関し、警視庁は6月2日に同巡査部長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(3)「遠隔型自動運転システムの公道実証実験に係る道路使用許可の申請に対する取扱いの基準」等について

交通局長から、「遠隔型自動運転システムの公道実証実験に係る道路使用許可の申請に対する取扱いの基準」の策定及び同基準案に対する意見の募集結果並びに国連欧州経済委員会(UNECE)道路交通安全グローバルフォーラム(WP1)の状況について報告があった。

 

3 その他

(1)生活安全局長から、DV、児童の性的搾取及び人身取引に関する国際機関等からの勧告について報告があった。

木村委員より、「DV事案については、被害を潜在化させることのないよう、相談窓口の周知等を早めに行う必要がある。また、一時保護については、関係団体としっかりと連携して取り組んでもらいたい。児童の性的搾取事案については、児童から事情聴取等を行う担当者に対し、効率的・効果的な研修を行っていただきたい。インターネット上の規制の強化については、コミュニティサイト事業者と連携して、早期に取り組んでいただきたい。人身取引事案については、国際連携に注力すべきである。G7との比較では、日本はしっかりと取り組んでいると思うが、各国はもっと早めに対応しているようなので、国際的に乗り遅れないよう対応していただきたい」旨の発言があった。

安藤委員より、「DV事案の保護命令については、迅速に発令する仕組みが作られているが、審尋期日を経た上での発令が相当であるとされる内容の事案もあることから、被害者からの申立てだけで発令することはどうかという懸念もあり、裁判所も苦労しているようである。関係団体との情報交換等により、更に機能的な運用ができるのではないか」旨の発言があった。

木村委員より、「緊急保護命令制度の整備について、G7諸国では日本だけが勧告されているのはなぜか」旨の発言があり、生活安全局長から、「例えば、勧告主体がそれぞれの国の説明を聞いて比較をしながら審査を行っているというよりは、むしろそれぞれの国の報告書を見て、事前に関係団体からヒアリングも実施した上で審査を行っている。日本の場合は、NGO等の関係団体が、国連等で主張を行っており、そうした主張が正に勧告の中にもストレートに入ってきている側面もあると考えている。逆に言えば、審査時や審査前において、こうした関係団体の主張に対して我々が有効な反論ができていないのではないかと考えている。緊急保護命令に関する勧告についても、各国の状況を比較した上で勧告がなされているというわけではないと考えられる。もちろん、各国の状況を我々も注視して、調べられるものは調べるのは当然であると思うが、むしろ、日本の実態についての我々の把握がまだ不十分なところもあり、一方でそのような日本における取組に関する主張が不十分な部分もあったと考えている」旨の説明があり、安藤委員より、「国際機関が更に客観的な状況を把握できるようにする作業が必要なのではないか」旨の発言があった。

奥野委員より、「人権問題は重要なテーマなので、問題点があれば勧告を率直に受け入れ、対策を講じるべきだと思うが、勧告の中には、日本に暮らす我々とは現状に対する認識が異なるものもある。また、情報源が明らかにされてないなどの疑問点も多い。関係当局として必要があれば、批判を恐れずに反論することが必要ではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「正に御指摘のとおりで、取組が不十分である点については、しっかりと対策を講じること、一方で、反論すべき点、主張すべき点についてはきちんと反論・主張していくことが必要であると考えている」旨があった。

北島委員より、「DV、児童の性的搾取、人身取引の3つの問題に対する国際機関からの勧告内容について、G7各国と比較した上で、来るべく対日審査において警察庁として関係省庁と連携しながらどのように対応するのか整理したことは、非常に良い。また、人権問題についての国連の特別報告者が報告書を出した際には、警察としても関心を払って適切に対応していかなければならないし、米国国務省が作成する人権報告書についても、言うべきことは言う必要があると思う」旨の発言があった。

川本委員より、「国際機関からの勧告内容を整理してそれぞれの対応を明らかにしたことは、大きな進歩である。関係機関との協力については、できることから早めに取り組むとともに、対策についても改めるべきところは改めていただきたい。官民の連携においては、NPOとの連携等、効果的な事例を見つけて進めていくことが良い。国際機関からの勧告に対して、その内容に誤解があるなどの意見がまず出てきがちだが、説明責任は政府側にあるので、誤解があるならしっかりと説明して誤解を解かなければならない。必ずしも、勧告内容が全て正しいかどうか分からないが、潜在化して実態を把握できていないだけかもしれず、事実がどうなのか、世界標準がどうなのか、日本がどう理解されているのかということを考えることが必要である」旨の発言があった。

木村委員より、「今後の対応については、必ずフォローアップして、PDCAサイクルに載せていただき、適宜の機会に報告してもらいたい。これは、他の施策でも同様である」旨の発言があった。