定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年6月15日(木)

午前10時00分 〜 午前11時25分

 

 

第2 出席者 松本委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、三浦官房長、山下生活安全局長、吉田刑事局長、

井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

白川審議官(警備局担当)、藤本首席監察官

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成28年度における留置施設の巡察の実施結果について

官房長から、平成28年度における留置施設の巡察の実施結果について報告があった。

木村委員より、「留置管理業務は、業務の質を考えるとモチベーションの維持が難しいと思う。士気高揚・尊厳の確保のためには、担当者の異動サイクルに配慮すべきではないか」旨の発言があり、官房長から、「確かに、留置管理業務はモチベーションの維持が大きな課題である。各都道府県警察では、比較的に短いサイクルで異動し、希望する部門に配置するなどの人事上の措置を採っている。また、署長等が巡視時に積極的に担当者に声掛けをするなど、モチベーションの維持のため様々な工夫をしているところである」旨の説明があった。

安藤委員より、「いわゆる刑事収容施設法の第18条、第20条に規定した県警本部による実地監査や留置施設視察委員会による視察と、今回の警察庁による巡察とは、趣旨、目的がどのように異なるのか。また、昨年度は1157施設中224施設を巡察したが、今後も同様の割合の施設を毎年度巡察する予定なのか」旨の発言があり、官房長から、「例えば留置施設視察委員会による視察は、外部からの目で見てもらい必要な意見をいただくものである。警察庁による巡察は、詳細に決められた規律が遵守されているかどうかを部内からチェックするものである。また、巡察の年度計画は、5年で全国を一巡するようにしているが、業務負担が大きいことから、今後は8年で一巡することとした。その間も、各県警察本部による監査はしっかりと行ってもらうことから、各本部の監査機能の強化が重要な課題だと考えており、巡察の際にも、その点の指導もかなり細かく行っている」旨の説明があり、安藤委員より、「留置管理業務は、モチベーションの維持が重要である。個人での対応は困難なので、組織的な対応をしっかりとできるような工夫をしていただきたい。また、巡察の結果は、当該留置施設だけではなく、他の留置施設でも共有し、結果が生かされる仕組みにしていただきたい。業務の合理化については、なかなかイメージがわかないことから、具体的な合理化方策を示すようにしていただきたい」旨の発言があり、官房長から、「巡察結果については、各都道府県警察にも通知し、周知を図っている。業務の合理化については、例えば、被留置者から預かっている現金の出納の管理を合理化する方法を試行しているが、問題が無ければ全国に広めることとしており、個々の業務についての合理化を進めているところである」旨の説明があった。

川本委員より、「問題が生じたときの組織的な対応を徹底していただきたい。また、古い警察署では看守台から留置室の入口が放射状に見渡せる扇形の留置場がまだ存在していることから、インフラ面での改善も進めていただきたい。担当者の士気高揚・尊厳確保のためには、警察白書で手記を寄せてもらうことも一助になるのではないかと思うので、様々な工夫をしていただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「留置管理の仕事は、単調な中でも緊張感が求められるために、大変きつい仕事だと思う。モチベーションを維持するために人事異動を活発にすることも有効だと思うが、刑事になる前に留置管理業務を経験させるという方策をとっている都道府県警察は増加しているのか」旨の発言があり、官房長から、「留置管理部門を捜査部門への登竜門として位置付け、かなりの都道府県警察で行っている」旨の説明があった。

 

(3)警察官による殺人事件について

首席監察官から、6月6日、福岡県警察の巡査部長が自宅内において妻を殺害したとして、6月8日に通常逮捕された旨の報告があった。

北島委員より、「現職の警察官による殺人事件は最悪の不祥事だと思っており、非常に重く受け止めている」旨の発言があった。

奥野委員より、「まだ捜査が続いており、詳しい状況が明らかになっていないが、重大な非違事案であり、社会的な関心も強いので、更に捜査を徹底し、全容を解明してほしい」旨の発言があった。

委員長より、「重大事件なので、しっかりと真相解明をしていただきたい」旨の発言があった。

 

(4)平成28年における行方不明者の状況について

生活安全局長から、平成28年における行方不明者の状況について報告があった。

北島委員より、「警察が取組を強化したことがうかがえる結果だと思う。今後とも、関係機関との連携を強化し、早期発見に繋がるような取組を期待する」旨の発言があった。

木村委員より、「今後、認知症の行方不明者の急増が懸念されるが、関係機関との連携をしっかりして、地道な努力を続けていただきたい」旨の発言があった。

川本委員より、「届出受理から1週間以内で73.7%の所在を確認していることは、日本の警察のすばらしさではないかと感銘を受けた。一方、認知症が注目されてはいるが、人口比で見て最も多い10歳代に対しても対策を強化していただきたい」旨の発言があった。

 

(5)平成28年における山岳遭難及び水難の概況等について

生活安全局長から、平成28年における山岳遭難及び水難の概況等について報告があった。

北島委員より、「今回は統計の取り方を工夫しているので、是非、積極的な広報を図ってもらいたい。特に、登山関係には様々な専門雑誌があるので、それらを活用して広報すれば良いと思う」旨の発言があった。

川本委員より、「統計分析により、小学生高学年と中学生は河川での水難事故がとても多いということが判明したことから、その点の対策を徹底していただくとともに、今後も対策に繋がる効果的な分析を徹底していただきたい。山岳遭難に関しては、体力が落ちていることへの自覚が少ない中高年者への広報を雑誌社と連携するなど工夫していただきたい。また、外国人登山者については、一部の県で独自に注意喚起をしているが、その情報が外国人には伝わりにくいと思われるので、関係機関と連携して外国人が接し易い効果的な広報の在り方を検討していただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「山岳救助隊等警察により救助された山岳遭難者はかなりの数に上ると思われる。諸外国と比べて、日本では山岳救助において警察が果たす役割が大きいと理解しているが、山岳救助活動は常に悪条件の下で行われ、警察活動の中でも特に危険度の高いものと認識している。悪天候等でヘリコプターが使えない時に遭難者を背負って搬送するなどの話も聞くと、本当に頭が下がる。近年の登山ブームで出動機会も増えていると思うが、日常の訓練により救助隊員としての高度な技術を維持して、二次遭難を起こさないよう努めてほしい。また、事故を起こさないためにも、装備面の整備には予算上の配慮をお願いしたい」旨の発言があった。

安藤委員より、「そもそも、登山届の制度自体、主管官庁が定まっていないことに驚いた。山岳遭難対策について、警察としては民間団体に協力をお願いするという形で進めていくことになるのか」旨、木村委員より、「登山届を出さない人が圧倒的に多く、軽装で安易に登山に行く人もいる。警察の所管ではないかもしれないが、登山において守るべきルール等を記したガイドラインを作成して周知を図ることが必要だ」旨の発言があり、生活安全局長から、「4年くらい前から、日本山岳ガイド協会がインターネットを利用して、登山届を受け付けるサービスを行っており、留守宅等を登録し、登山届を出したことが、家族にもメールで発信され、7時間後に降りてこないと、自動的に家族に通知するサービスを行っている。また、協会と各県警が連携しているという実態もある。非常に合理的と思うので、協会等とも相談して、より良いあり方を考えていきたいと思う。そういう意味では、紹介した静岡県警が配付している富士山のチラシは、しっかり計画を立てる・服装や持ち物・体調管理等をきめ細かく書かれており、外国の方が見ると気を付けなければと思うケースもあると思うので、山岳関係の協会等とも意見交換をしていきたい」旨の説明があった。

 

(6)安心な社会を創るための匿名通報事業の平成28年度中の運用状況について

刑事局長から、安心な社会を創るための匿名通報事業の平成28年度中の運用状況について報告があった。

北島委員より、「ウェブサイトでの通報受理件数が急増していることは、認知度が高まった結果だと思うので、この点を評価したい」旨の発言があった。

木村委員より、「段々と認知度は高まっていると思うが、通報者は、匿名性が確保されているかどうかを心配していることから、匿名性の確保をしっかりと手当てした上で、安心、安全な社会を確保するためにこの制度を利用してもらえるようPRする必要がある」旨の発言があった。

 

3 その他

(1)刑事局長及び審議官(警備局担当)から、6月15日に「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立したことについて報告があった。

安藤委員より、「テロ等準備罪について、その内容を正確に理解させるとともに、適正に運用するよう周知徹底していただきたい」旨の発言があった。